[インデックス 17178] ファイルの概要
このコミットは、Go 1.1.2 リリースノートを doc/devel/release.html
に追加するものです。具体的には、Go 1.1.2 で修正されたコンパイラ、cgo、および bufio
、runtime
、syscall
、time
パッケージに関する情報が追記されています。特に、Linux の ARM または 386 アーキテクチャで syscall
パッケージの Getrlimit
および Setrlimit
関数を使用しているユーザー向けの重要な変更点(issue 5949 の修正)が強調されています。
コミット
commit f7ab3917f93b7eabf2d642d5241f225a3207d803
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Tue Aug 13 15:08:10 2013 +1000
doc: release notes for go1.1.2
R=golang-dev, go.peter.90, rsc, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/12016043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/f7ab3917f93b7eabf2d642d5241f225a3207d803
元コミット内容
doc: release notes for go1.1.2
R=golang-dev, go.peter.90, rsc, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/12016043
変更の背景
このコミットは、Go 1.1.2 のリリースに伴い、公式ドキュメントにそのリリースノートを追加するために行われました。Go の開発プロセスでは、新しいバージョンがリリースされるたびに、そのバージョンに含まれる変更点、修正点、新機能などをユーザーに伝えるためのリリースノートが作成されます。このリリースノートは通常、Go の公式ウェブサイトのドキュメントセクションに掲載されます。
Go 1.1.2 は、Go 1.1 のパッチリリースであり、主にバグ修正と安定性の向上が目的でした。特に、コンパイラ、cgo、およびいくつかの標準ライブラリパッケージ(bufio
, runtime
, syscall
, time
)における重要な修正が含まれていました。これらの修正は、ユーザーが Go をより安定して利用できるようにするために不可欠であり、その内容を明確に伝える必要がありました。
また、特定のアーキテクチャ(Linux の ARM および 386)における syscall
パッケージの Getrlimit
および Setrlimit
関数に関する重要なバグ修正(issue 5949)があったため、この点についてユーザーに注意を促す必要がありました。このような特定の環境に影響する修正は、リリースノートで明示的に言及することで、ユーザーが自身の環境で影響を受けるかどうかを判断し、必要に応じて対応できるようにすることが重要です。
前提知識の解説
- Go 言語のリリースサイクル: Go 言語は、通常半年ごとにメジャーリリース(例: Go 1.1, Go 1.2)を行い、その間にバグ修正やセキュリティアップデートを含むパッチリリース(例: Go 1.1.1, Go 1.1.2)を行います。パッチリリースは、既存のメジャーバージョンに対する後方互換性を維持しつつ、重要な修正を提供するものです。
doc/devel/release.html
: これは Go 言語の公式ドキュメントの一部であり、Go の各バージョンのリリースノートが記述されている HTML ファイルです。開発者はこのファイルを更新することで、新しいリリースの情報を公開します。gc
コンパイラ: Go 言語の公式コンパイラです。Go のソースコードを機械語に変換する役割を担います。コンパイラのバグは、生成されるバイナリの動作に直接影響するため、その修正は非常に重要です。cgo
: Go プログラムから C 言語のコードを呼び出すためのメカニズムです。cgo
に関連する修正は、Go と C の相互運用性を使用するアプリケーションに影響します。- 標準ライブラリパッケージ:
bufio
: バッファリングされた I/O を提供するパッケージです。ファイルやネットワークからの読み書きの効率を向上させます。runtime
: Go ランタイムシステム(ガベージコレクタ、スケジューラなど)と直接対話するための低レベルな機能を提供するパッケージです。ランタイムの修正は、Go プログラム全体のパフォーマンスや安定性に影響します。syscall
: オペレーティングシステムのシステムコールにアクセスするためのパッケージです。ファイル操作、プロセス管理、ネットワーク通信など、OS レベルの機能を利用するために使用されます。time
: 時間の測定、表示、操作を行うためのパッケージです。
Getrlimit
およびSetrlimit
: これらはsyscall
パッケージに含まれる関数で、プロセスが利用できるシステムリソースの制限(例: オープンできるファイルの最大数、利用できるメモリ量など)を取得 (Getrlimit
) および設定 (Setrlimit
) するために使用されます。これらの関数は、特に Unix 系システムでリソース管理を行う際に重要です。- ARM および 386 アーキテクチャ: これらは CPU の命令セットアーキテクチャの種類です。ARM は主にモバイルデバイスや組み込みシステムで広く使用され、386(x86 の一部)は古いデスクトップコンピュータや一部の組み込みシステムで使用されます。Go はクロスプラットフォーム言語であり、これらのアーキテクチャ上でも動作します。
- Issue 5949: Go プロジェクトの issue tracker で報告された特定のバグを指します。このコミットでは、この issue が修正されたことが明記されています。issue tracker は、バグ報告、機能要求、議論などを管理するためのシステムです。
- Change 55ac276af5a7: Go のバージョン管理システム(Mercurial を使用していた時期)における特定の変更セットのハッシュです。これは、issue 5949 を修正した具体的なコード変更を指します。
技術的詳細
このコミット自体は、Go のソースコードの機能的な変更ではなく、ドキュメントの更新です。しかし、その内容は Go 1.1.2 の技術的な修正点をユーザーに伝える上で非常に重要です。
具体的には、doc/devel/release.html
ファイルに以下の情報が追加されています。
- Go 1.1.2 のリリース日: 2013年8月13日。
- 修正されたコンポーネント:
gc
コンパイラ、cgo
、およびbufio
、runtime
、syscall
、time
パッケージ。これは、Go 1.1.2 がこれらの領域で安定性向上やバグ修正を行ったことを示しています。 - 変更履歴へのリンク:
https://code.google.com/p/go/source/list?name=release-branch.go1.1&r=a6a9792f94acd4ff686b2bc57383d163608b91cf
。このリンクは、Go 1.1 リリースブランチにおける具体的な変更履歴(コミットログ)を参照するためのものです。ユーザーはここから、Go 1.1.2 に含まれる個々のコミットの詳細を確認できます。 syscall
パッケージのGetrlimit
およびSetrlimit
関数に関する注意喚起:- この修正は、Linux の ARM または 386 アーキテクチャを使用している場合に特に重要であると明記されています。これは、これらの特定の環境で
Getrlimit
およびSetrlimit
関数が正しく動作しないバグが存在したことを示唆しています。 - 修正を行った具体的な変更セットのリンク:
http://golang.org/change/55ac276af5a7
。 - 修正されたバグの issue 番号:
issue 5949
。
- この修正は、Linux の ARM または 386 アーキテクチャを使用している場合に特に重要であると明記されています。これは、これらの特定の環境で
このドキュメントの更新は、Go 開発チームがユーザーに対して透明性を持ち、重要な修正点を明確に伝えるという方針を反映しています。特に、特定の環境や関数に影響するバグについては、詳細な情報と関連する変更セットや issue へのリンクを提供することで、ユーザーが問題を診断し、解決策を適用するのに役立ちます。
コアとなるコードの変更箇所
このコミットは、doc/devel/release.html
ファイルのみを変更しています。
--- a/doc/devel/release.html
+++ b/doc/devel/release.html
@@ -28,6 +28,17 @@ go1.1.1 (released 2013/06/13) includes several compiler and runtime bug fixes.
See the <a href="https://code.google.com/p/go/source/list?name=release-branch.go1.1&r=43c4a41d24382a56a90e924800c681e435d9e399">change history</a> for details.
</p>
+<p>
+go1.1.2 (released 2013/08/13) includes fixes to the <code>gc</code> compiler
+and <code>cgo</code>, and the <code>bufio</code>, <code>runtime</code>,
+<code>syscall</code>, and <code>time</code> packages.
+See the <a href="https://code.google.com/p/go/source/list?name=release-branch.go1.1&r=a6a9792f94acd4ff686b2bc57383d163608b91cf">change history</a> for details.
+If you use package syscall's <code>Getrlimit</code> and <code>Setrlimit</code>
+functions under Linux on the ARM or 386 architectures, please note change
+<a href="http://golang.org/change/55ac276af5a7">55ac276af5a7</a>
+that fixes <a href="http://golang.org/issue/5949">issue 5949</a>.
+</p>
+
<h2 id="go1">go1 (released 2012/03/28)</h2>
<p>
コアとなるコードの解説
変更は doc/devel/release.html
ファイルへの追加のみです。
go1.1.1
のリリースノートの段落の直後に、新しい<p>
タグで囲まれた段落が追加されています。- この新しい段落には、
go1.1.2
のリリース日(2013年8月13日)と、修正された主要なコンポーネント(gc
コンパイラ、cgo
、bufio
、runtime
、syscall
、time
パッケージ)が記述されています。 - Go 1.1 リリースブランチの変更履歴へのリンクが提供されており、ユーザーが詳細な変更内容を確認できるようになっています。
- 特に重要な点として、Linux の ARM または 386 アーキテクチャで
syscall
パッケージのGetrlimit
およびSetrlimit
関数を使用しているユーザーへの注意喚起が含まれています。 - この注意喚起には、関連する変更セットのハッシュ(
55ac276af5a7
)と、修正された issue 番号(5949
)への直接リンクが含まれており、ユーザーが具体的な修正内容やバグの詳細を追跡できるようになっています。
この変更は、Go のドキュメントの整合性を保ち、ユーザーが最新のリリース情報を容易に参照できるようにするための標準的な手順です。
関連リンク
- Go 1.1.2 リリースノートが追加された変更履歴のリンク: https://code.google.com/p/go/source/list?name=release-branch.go1.1&r=a6a9792f94acd4ff686b2bc57383d163608b91cf
- Go issue 5949:
syscall
パッケージのGetrlimit
およびSetrlimit
関数に関するバグ報告。 - 変更セット 55ac276af5a7: issue 5949 を修正した具体的なコード変更。
参考にした情報源リンク
- Go プロジェクトの公式ドキュメント
- Go プロジェクトの issue tracker
- Go プロジェクトの変更履歴(Mercurial リポジトリ)
- Go 言語のリリースに関する一般的な情報
syscall
パッケージのドキュメントGetrlimit
およびSetrlimit
システムコールに関する一般的な情報