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[インデックス 17248] ファイルの概要

このコミットは、Goコンパイラツールチェーンの一部であるリンカ(cmd/ld)内のsrc/cmd/ld/data.cファイルに対する変更です。data.cファイルは、リンカがデータセグメントとBSS(Block Started by Symbol)セグメントを処理するロジックを含んでいます。具体的には、プログラムのデータ領域の配置、初期化、およびセクションの管理に関連する機能を提供します。

コミット

commit 3b4da67ee3ed0ed370c92768d4052da553b9bbc2
Author: Elias Naur <elias.naur@gmail.com>
Date:   Wed Aug 14 16:28:40 2013 -0400

    cmd/ld: Remove superfluous redundant iself check
    
            CL 12741044 added an extra iself condition to an if statement that already contained it. Remove it.
    
    R=rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/12949043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/3b4da67ee3ed0ed370c92768d4052da553b9bbc2

元コミット内容

このコミットの目的は、「iself」という条件の冗長なチェックを削除することです。以前の変更(CL 12741044)によって、既にiself条件が含まれているif文に、誤って追加のiself条件が加えられていました。このコミットは、その余分な、つまり「余計な(superfluous)」かつ「冗長な(redundant)」チェックを取り除くことを目的としています。

変更の背景

この変更の背景には、コードの品質と可読性の維持があります。コミットメッセージに明記されているように、CL 12741044という以前の変更が原因で、if文の中にiselfという条件が二重に記述されてしまいました。これは、論理的には影響がないものの、コードの冗長性を生み出し、将来的なメンテナンスや理解を妨げる可能性があります。

CL 12741044は、Goのツールチェーンにおける特定の変更を指すコードレビューリンク(Change List)です。このCLがどのような目的で導入されたかは、このコミットメッセージからは直接読み取れませんが、何らかの機能追加やバグ修正の過程で、意図せずiselfの二重チェックが発生したと考えられます。

このコミットは、その冗長なコードを特定し、削除することで、コードベースをクリーンに保ち、不必要な複雑さを排除することを目的としています。これは、大規模なプロジェクトにおいて、コードの健全性を維持するための一般的なプラクティスです。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGoリンカの概念とC言語の構文に関する知識が必要です。

  • cmd/ld: Go言語のリンカです。コンパイラによって生成されたオブジェクトファイル(.oファイル)を結合し、実行可能なバイナリを生成する役割を担います。データセグメント、BSSセグメント、テキストセグメントなど、実行ファイルの様々なセクションを配置・管理します。
  • iself: この変数は、リンカが現在ELF(Executable and Linkable Format)形式のバイナリを生成しているかどうかを示すフラグであると推測されます。ELFは、LinuxやUnix系システムで広く使用されている実行ファイル、オブジェクトファイル、共有ライブラリの標準フォーマットです。
  • linkmode == LinkExternal: リンカの動作モードを示します。LinkExternalは、外部リンカ(通常はシステムのgccなど)を使用して最終的なリンクを行うモードを指します。Goのリンカは、内部リンカと外部リンカの両方を使用する場合があります。外部リンカを使用する場合、Goのリンカはオブジェクトファイルを生成し、それを外部リンカに渡して最終的な実行ファイルを生成させます。
  • s != nil: C言語におけるポインタのNULLチェックです。sが有効なシンボル(またはセクション)へのポインタであることを確認しています。
  • s->type == STLSBSS: シンボルsのタイプがSTLSBSSであるかどうかをチェックしています。STLSBSSは、TLS(Thread Local Storage)のBSSセグメント、つまりスレッドローカルな未初期化データ領域を指すシンボルタイプであると推測されます。TLSは、各スレッドが独自のデータコピーを持つことを可能にするメカニズムです。
  • HEADTYPE != Hopenbsd: 生成されるバイナリのヘッダタイプがOpenBSDのものではないことをチェックしています。HEADTYPEは、ターゲットOSのバイナリフォーマットを示す定数であり、HopenbsdはOpenBSD固有のフォーマットを指します。この条件は、特定のOSに依存するリンカの挙動を制御するために使用されます。
  • dodata()関数: src/cmd/ld/data.cファイル内の関数で、データセグメントとBSSセグメントの処理を担当します。
  • addsection(&segdata, ".tbss", 06): segdataというセグメントに.tbssという名前の新しいセクションを追加する関数呼び出しです。.tbssは、TLSのBSSセグメントを指すことが一般的です。06はセクションのパーミッションまたはフラグを示している可能性があります。

技術的詳細

このコミットは、src/cmd/ld/data.cファイルのdodata関数内のif文から、冗長なiselfチェックを削除しています。

元のコードは以下のようになっていました。

if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && iself && HEADTYPE != Hopenbsd) {

このif文では、iselfという条件が2回出現しています。論理積(&&)で結合されているため、iselffalseであれば、最初のiselfで条件全体がfalseと評価され、それ以降の条件は評価されません(ショートサーキット評価)。逆にiselftrueであれば、2回目のiselfも必ずtrueとなるため、この2回目のiselfチェックは完全に無意味です。

このコミットは、この冗長なiselfを削除し、コードを以下のように修正しました。

if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && HEADTYPE != Hopenbsd) {

この変更は、プログラムの実行ロジックや生成されるバイナリの動作に一切影響を与えません。これは純粋にコードのクリーンアップであり、可読性の向上と冗長性の排除を目的としています。このような冗長な条件は、コードレビューで見落とされたり、リファクタリングの際に誤って導入されたりすることがあります。

Goのリンカは、様々なアーキテクチャやOSに対応するために複雑な条件分岐を持つことがありますが、このような単純な論理的冗長性は、コードの品質を低下させる要因となります。このコミットは、そのような小さな不整合を修正し、コードベースの健全性を維持する上で重要な役割を果たします。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/ld/data.c
+++ b/src/cmd/ld/data.c
@@ -1212,7 +1212,7 @@ dodata(void)
 		diag("data or bss segment too large");
 	}
 	
-	if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && iself && HEADTYPE != Hopenbsd) {
+	if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && HEADTYPE != Hopenbsd) {
 		sect = addsection(&segdata, ".tbss", 06);
 		sect->align = PtrSize;
 		sect->vaddr = 0;

コアとなるコードの解説

変更された行は、src/cmd/ld/data.cファイルの1215行目です。

元のコード:

if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && iself && HEADTYPE != Hopenbsd) {

修正後のコード:

if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && HEADTYPE != Hopenbsd) {

この変更では、if文の条件式から2番目のiselfが削除されました。

  • 削除された部分: && iself
  • 影響: なし。論理積(&&)の特性により、最初のiselffalseであれば条件全体がfalseとなり、2番目のiselfは評価されません。最初のiselftrueであれば、2番目のiselfも必ずtrueであるため、条件式の評価結果は変わりません。

この修正は、コードの冗長性を排除し、より簡潔で理解しやすいコードにするためのものです。リンカの動作や生成されるバイナリの機能には影響を与えません。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語のリンカに関する一般的な情報 (Goの公式ドキュメントやソースコードのコメントに基づく推測)
  • ELFフォーマットに関する一般的な情報 (Wikipediaなど)
  • スレッドローカルストレージ (TLS) に関する一般的な情報 (Wikipediaなど)
  • C言語の論理演算子とショートサーキット評価に関する一般的な情報 (C言語の教科書やオンラインリソース)
  • CL 12741044に関する情報 (Goのコードレビューシステムまたはコミット履歴を検索)
    • CL 12741044の具体的な内容は、このコミットメッセージからは直接特定できませんでしたが、Goのコードレビューシステム(Gerrit)で検索することで詳細が確認できます。一般的に、GoのCLはhttps://go.dev/cl/の後にCL番号を続けることでアクセスできます。
      • https://go.dev/cl/12741044 (このリンクは、当時のGoのコードレビューシステムへのリンクであり、現在のGerritのURLとは異なる可能性がありますが、当時のCL番号の形式を示しています。)
      • 現在のGerritのURL形式では、https://go.googlesource.com/go/+show/の後にコミットハッシュやCL番号が続くことが多いです。
      • CL 12741044は、cmd/ld: add support for TLS on OpenBSDというコミットであり、OpenBSDでのTLSサポートを追加するものでした。このコミットの過程で、iselfの冗長なチェックが誤って導入されたと考えられます。# [インデックス 17248] ファイルの概要

このコミットは、Goコンパイラツールチェーンの一部であるリンカ(cmd/ld)内のsrc/cmd/ld/data.cファイルに対する変更です。data.cファイルは、リンカがデータセグメントとBSS(Block Started by Symbol)セグメントを処理するロジックを含んでいます。具体的には、プログラムのデータ領域の配置、初期化、およびセクションの管理に関連する機能を提供します。

コミット

commit 3b4da67ee3ed0ed370c92768d4052da553b9bbc2
Author: Elias Naur <elias.naur@gmail.com>
Date:   Wed Aug 14 16:28:40 2013 -0400

    cmd/ld: Remove superfluous redundant iself check
    
            CL 12741044 added an extra iself condition to an if statement that already contained it. Remove it.
    
    R=rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/12949043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/3b4da67ee3ed0ed370c92768d4052da553b9bbc2

元コミット内容

このコミットの目的は、「iself」という条件の冗長なチェックを削除することです。以前の変更(CL 12741044)によって、既にiself条件が含まれているif文に、誤って追加のiself条件が加えられていました。このコミットは、その余分な、つまり「余計な(superfluous)」かつ「冗長な(redundant)」チェックを取り除くことを目的としています。

変更の背景

この変更の背景には、コードの品質と可読性の維持があります。コミットメッセージに明記されているように、CL 12741044という以前の変更が原因で、if文の中にiselfという条件が二重に記述されてしまいました。これは、論理的には影響がないものの、コードの冗長性を生み出し、将来的なメンテナンスや理解を妨げる可能性があります。

CL 12741044は、Goのツールチェーンにおける特定の変更を指すコードレビューリンク(Change List)です。このCLがどのような目的で導入されたかは、このコミットメッセージからは直接読み取れませんが、何らかの機能追加やバグ修正の過程で、意図せずiselfの二重チェックが発生したと考えられます。

このコミットは、その冗長なコードを特定し、削除することで、コードベースをクリーンに保ち、不必要な複雑さを排除することを目的としています。これは、大規模なプロジェクトにおいて、コードの健全性を維持するための一般的なプラクティスです。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGoリンカの概念とC言語の構文に関する知識が必要です。

  • cmd/ld: Go言語のリンカです。コンパイラによって生成されたオブジェクトファイル(.oファイル)を結合し、実行可能なバイナリを生成する役割を担います。データセグメント、BSSセグメント、テキストセグメントなど、実行ファイルの様々なセクションを配置・管理します。
  • iself: この変数は、リンカが現在ELF(Executable and Linkable Format)形式のバイナリを生成しているかどうかを示すフラグであると推測されます。ELFは、LinuxやUnix系システムで広く使用されている実行ファイル、オブジェクトファイル、共有ライブラリの標準フォーマットです。
  • linkmode == LinkExternal: リンカの動作モードを示します。LinkExternalは、外部リンカ(通常はシステムのgccなど)を使用して最終的なリンクを行うモードを指します。Goのリンカは、内部リンカと外部リンカの両方を使用する場合があります。外部リンカを使用する場合、Goのリンカはオブジェクトファイルを生成し、それを外部リンカに渡して最終的な実行ファイルを生成させます。
  • s != nil: C言語におけるポインタのNULLチェックです。sが有効なシンボル(またはセクション)へのポインタであることを確認しています。
  • s->type == STLSBSS: シンボルsのタイプがSTLSBSSであるかどうかをチェックしています。STLSBSSは、TLS(Thread Local Storage)のBSSセグメント、つまりスレッドローカルな未初期化データ領域を指すシンボルタイプであると推測されます。TLSは、各スレッドが独自のデータコピーを持つことを可能にするメカニズムです。
  • HEADTYPE != Hopenbsd: 生成されるバイナリのヘッダタイプがOpenBSDのものではないことをチェックしています。HEADTYPEは、ターゲットOSのバイナリフォーマットを示す定数であり、HopenbsdはOpenBSD固有のフォーマットを指します。この条件は、特定のOSに依存するリンカの挙動を制御するために使用されます。
  • dodata()関数: src/cmd/ld/data.cファイル内の関数で、データセグメントとBSSセグメントの処理を担当します。
  • addsection(&segdata, ".tbss", 06): segdataというセグメントに.tbssという名前の新しいセクションを追加する関数呼び出しです。.tbssは、TLSのBSSセグメントを指すことが一般的です。06はセクションのパーミッションまたはフラグを示している可能性があります。

技術的詳細

このコミットは、src/cmd/ld/data.cファイルのdodata関数内のif文から、冗長なiselfチェックを削除しています。

元のコードは以下のようになっていました。

if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && iself && HEADTYPE != Hopenbsd) {

このif文では、iselfという条件が2回出現しています。論理積(&&)で結合されているため、iselffalseであれば、最初のiselfで条件全体がfalseと評価され、それ以降の条件は評価されません(ショートサーキット評価)。逆にiselftrueであれば、2回目のiselfも必ずtrueとなるため、この2回目のiselfチェックは完全に無意味です。

このコミットは、この冗長なiselfを削除し、コードを以下のように修正しました。

if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && HEADTYPE != Hopenbsd) {

この変更は、プログラムの実行ロジックや生成されるバイナリの動作に一切影響を与えません。これは純粋にコードのクリーンアップであり、可読性の向上と冗長性の排除を目的としています。このような冗長な条件は、コードレビューで見落とされたり、リファクタリングの際に誤って導入されたりすることがあります。

Goのリンカは、様々なアーキテクチャやOSに対応するために複雑な条件分岐を持つことがありますが、このような単純な論理的冗長性は、コードの品質を低下させる要因となります。このコミットは、そのような小さな不整合を修正し、コードベースの健全性を維持する上で重要な役割を果たします。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/ld/data.c
+++ b/src/cmd/ld/data.c
@@ -1212,7 +1212,7 @@ dodata(void)
 		diag("data or bss segment too large");
 	}
 	
-	if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && iself && HEADTYPE != Hopenbsd) {
+	if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && HEADTYPE != Hopenbsd) {
 		sect = addsection(&segdata, ".tbss", 06);
 		sect->align = PtrSize;
 		sect->vaddr = 0;

コアとなるコードの解説

変更された行は、src/cmd/ld/data.cファイルの1215行目です。

元のコード:

if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && iself && HEADTYPE != Hopenbsd) {

修正後のコード:

if(iself && linkmode == LinkExternal && s != nil && s->type == STLSBSS && HEADTYPE != Hopenbsd) {

この変更では、if文の条件式から2番目のiselfが削除されました。

  • 削除された部分: && iself
  • 影響: なし。論理積(&&)の特性により、最初のiselffalseであれば条件全体がfalseとなり、2番目のiselfは評価されません。最初のiselftrueであれば、2番目のiselfも必ずtrueであるため、条件式の評価結果は変わりません。

この修正は、コードの冗長性を排除し、より簡潔で理解しやすいコードにするためのものです。リンカの動作や生成されるバイナリの機能には影響を与えません。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語のリンカに関する一般的な情報 (Goの公式ドキュメントやソースコードのコメントに基づく推測)
  • ELFフォーマットに関する一般的な情報 (Wikipediaなど)
  • スレッドローカルストレージ (TLS) に関する一般的な情報 (Wikipediaなど)
  • C言語の論理演算子とショートサーキット評価に関する一般的な情報 (C言語の教科書やオンラインリソース)
  • CL 12741044に関する情報 (Goのコードレビューシステムまたはコミット履歴を検索)
    • CL 12741044の具体的な内容は、このコミットメッセージからは直接特定できませんでしたが、Goのコードレビューシステム(Gerrit)で検索することで詳細が確認できます。一般的に、GoのCLはhttps://go.dev/cl/の後にCL番号を続けることでアクセスできます。
      • https://go.dev/cl/12741044 (このリンクは、当時のGoのコードレビューシステムへのリンクであり、現在のGerritのURLとは異なる可能性がありますが、当時のCL番号の形式を示しています。)
      • 現在のGerritのURL形式では、https://go.googlesource.com/go/+show/の後にコミットハッシュやCL番号が続くことが多いです。
      • CL 12741044は、cmd/ld: add support for TLS on OpenBSDというコミットであり、OpenBSDでのTLSサポートを追加するものでした。このコミットの過程で、iselfの冗長なチェックが誤って導入されたと考えられます。