[インデックス 17308] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリ net/textproto
パッケージ内のドキュメンテーションコメントにおける表記揺れを修正するものです。具体的には、「3-digit」という数字とハイフンを組み合わせた表記を、より正式な「three-digit」という単語表記に統一しています。これはコードの機能には影響を与えず、ドキュメンテーションの形式的な改善を目的としています。
コミット
- コミットハッシュ:
20eb4cba377174276e2e67284080cd89d5abfac3
- 作者: Emil Hessman (
c.emil.hessman@gmail.com
) - コミット日時: 2013年8月18日 08:10:00 +1000
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/20eb4cba377174276e2e67284080cd89d5abfac3
元コミット内容
net/textproto: replace '3-digit' with 'three-digit'
A matter on form in documentation.
R=golang-dev, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/13087043
変更の背景
この変更は、Go言語の標準ライブラリのドキュメンテーションにおける表記の統一性を図るためのものです。コミットメッセージにある「A matter on form in documentation.」が示す通り、これは機能的な変更ではなく、ドキュメンテーションの「形式」に関する修正です。
プログラミングプロジェクト、特にGoのような公式な標準ライブラリにおいては、コードだけでなくドキュメンテーションの品質も非常に重要視されます。一貫性のある記述は、ドキュメントの可読性を高め、誤解を招く可能性を減らし、プロフェッショナルな印象を与えます。このコミットは、「3-digit」という略式的な表記を「three-digit」という完全な単語表記に修正することで、ドキュメンテーションのスタイルガイドラインへの準拠を強化し、より正式で統一された記述を目指しています。
前提知識の解説
net/textproto
パッケージ
net/textproto
パッケージは、Go言語の標準ライブラリの一部であり、テキストベースのネットワークプロトコル(例: HTTP, SMTP, FTP, NNTP)を扱うための基本的な機能を提供します。これらのプロトコルは、通常、行指向のテキストデータで構成されており、ステータスコードやヘッダーなどの構造化された情報をやり取りします。
このパッケージは、以下のような機能を提供します。
- Reader/Writer: テキストプロトコルにおけるデータの読み書きを容易にするための構造体(
Reader
,Writer
)。これらは、行の読み取り、ヘッダーのパース、ステータスコードの処理などを行います。 - MIMEヘッダーの処理: MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)形式のヘッダーをパースし、操作するための機能。
- ステータスコードの処理: 多くのテキストプロトコルで使用される数値のステータスコードを扱うためのヘルパー関数。
テキストプロトコルの「コード行」と「3桁のステータスコード」
多くのテキストベースのネットワークプロトコルでは、サーバーからの応答は通常、数値の「ステータスコード」とそれに続くテキストメッセージで構成される「コード行」で始まります。
例えば、SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) や FTP (File Transfer Protocol) では、以下のような応答が見られます。
- SMTPの例:
220 service.example.com ESMTP
(サービス準備完了) - FTPの例:
200 Command okay.
(コマンド成功)
ここで、220
や 200
が「3桁のステータスコード」です。これらのコードは、プロトコルによって定義されており、応答の種類(成功、エラー、情報など)を示します。メッセージ部分は、人間が読める形式でコードの意味を補足します。
net/textproto
パッケージの Reader
は、このようなコード行をパースし、コードとメッセージを分離する機能を提供します。ドキュメンテーションで「3-digit status code」や「three-digit status code」と記述されているのは、まさにこの数値コードの形式を指しています。
技術的詳細
このコミットの技術的な詳細は、コードの機能変更ではなく、ドキュメンテーションコメントの文字列置換に集約されます。
変更されたファイルは src/pkg/net/textproto/reader.go
です。このファイルには、テキストプロトコルの応答を読み取るための Reader
型とそのメソッドが定義されています。
具体的に変更されたのは、以下の2つの関数に関するドキュメンテーションコメントです。
func parseCodeLine(line string, expectCode int) (code int, continued bool, message string)
func (r *Reader) ReadCodeLine(expectCode int) (code int, message string, err error)
これらの関数は、前述の「コード行」をパースする役割を担っています。ドキュメンテーションコメントは、これらの関数がどのような形式の行を処理し、どのような値を返すのかを説明しています。
変更内容は、コメント内の「3-digit
」という文字列を「three-digit
」に置き換えるという単純なものです。
- 変更前:
where code is a 3-digit status code and the message
- 変更後:
where code is a three-digit status code and the message
この変更は、以下のような意図で行われたと考えられます。
- 一貫性: ドキュメンテーション全体で数値の表記方法を統一する。例えば、他の箇所で「one hundred」と書かれているのに、別の箇所で「100」と書かれているような表記揺れをなくす。
- 可読性: 数字を単語で表記することで、より自然な文章の流れを作り、読みやすさを向上させる。特に、技術文書においては、数字を単語で表記する方が正式な印象を与える場合が多い。
- スタイルガイドへの準拠: Goプロジェクトには、コードだけでなくドキュメンテーションに関するスタイルガイドラインが存在する可能性があります。この変更は、そうしたガイドラインに沿ったものかもしれません。
この変更は、コンパイルされたバイナリの動作には一切影響を与えません。純粋にソースコード内のコメントのみが変更されています。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/net/textproto/reader.go
+++ b/src/pkg/net/textproto/reader.go
@@ -203,7 +203,7 @@ func parseCodeLine(line string, expectCode int) (code int, continued bool, messa
// ReadCodeLine reads a response code line of the form
// code message
-// where code is a 3-digit status code and the message
+// where code is a three-digit status code and the message
// extends to the rest of the line. An example of such a line is:
// 220 plan9.bell-labs.com ESMTP
//
@@ -231,7 +231,7 @@ func (r *Reader) ReadCodeLine(expectCode int) (code int, message string, err err
// ...
// code message line n
//
-// where code is a 3-digit status code. The first line starts with the
+// where code is a three-digit status code. The first line starts with the
// code and a hyphen. The response is terminated by a line that starts
// with the same code followed by a space. Each line in message is
// separated by a newline (\n).
コアとなるコードの解説
変更されたのは src/pkg/net/textproto/reader.go
ファイル内のドキュメンテーションコメントです。
parseCodeLine
関数のコメント
この関数は、単一のコード行をパースし、ステータスコード、継続フラグ、メッセージを抽出します。変更前のコメントでは「3-digit status code
」と記述されていましたが、これが「three-digit status code
」に修正されました。
// ReadCodeLine reads a response code line of the form
// code message
// where code is a three-digit status code and the message
// extends to the rest of the line. An example of such a line is:
// 220 plan9.bell-labs.com ESMTP
// ...
このコメントは、parseCodeLine
関数が処理する行の一般的な形式を説明しています。code
の部分が3桁の数値であることを示しており、その表記が修正されました。
ReadCodeLine
関数のコメント
このメソッドは、複数行にわたる可能性のある応答コード行を読み取ります。最初の行はコードとハイフンで始まり、最後の行は同じコードとスペースで終わるという形式です。ここでも、「3-digit status code
」という記述が「three-digit status code
」に修正されました。
// ...
// ...
// code message line n
//
// where code is a three-digit status code. The first line starts with the
// code and a hyphen. The response is terminated by a line that starts
// with the same code followed by a space. Each line in message is
// separated by a newline (\n).
このコメントは、ReadCodeLine
メソッドがどのように複数行の応答を扱うかを説明しています。ここでも、ステータスコードの桁数に関する記述の表記が統一されました。
まとめ
これらの変更は、Go言語のドキュメンテーションの品質と一貫性を向上させるための、純粋なテキスト修正です。コードの動作やパフォーマンスには影響を与えません。このような細かな修正は、大規模なオープンソースプロジェクトにおいて、コードベース全体の品質を維持するために日常的に行われています。
関連リンク
- GitHubコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/20eb4cba377174276e2e67284080cd89d5abfac3
- Go CL (Change List): https://golang.org/cl/13087043
参考にした情報源リンク
- Go言語の
net/textproto
パッケージのドキュメンテーション (Go公式ドキュメント): https://pkg.go.dev/net/textproto (一般的なパッケージの理解のため) - SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) のRFC (例: RFC 5321): (テキストプロトコルのステータスコードの一般的な理解のため)
- FTP (File Transfer Protocol) のRFC (例: RFC 959): (テキストプロトコルのステータスコードの一般的な理解のため)
- Go言語のコードレビューガイドラインやスタイルガイドライン (Go公式ドキュメント): (ドキュメンテーションの品質に関する一般的な理解のため)