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[インデックス 17504] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ compress/flate パッケージ内の flate.Writer 型の Reset メソッドに関するドキュメンテーションの軽微な修正です。具体的には、Reset メソッドのコメントにおいて、NewWriter または NewWriterDict が適用される対象が w (Writer自身) ではなく dst (出力先) であることを明確にするための変更です。

コミット

  • コミットハッシュ: a789ae9e8eb676928bfb0f0cd19ecd19923bfbf7
  • Author: Dominik Honnef dominik.honnef@gmail.com
  • Date: Mon Sep 9 09:37:05 2013 +1000
  • コミットメッセージ:
    compress/flate: small documentation fix
    
    R=golang-dev, adg
    CC=bradfitz, golang-dev, remyoudompheng
    https://golang.org/cl/13568045
    

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/a789ae9e8eb676928bfb0f0cd19ecd19923bfbf7

元コミット内容

compress/flate: small documentation fix

R=golang-dev, adg
CC=bradfitz, golang-dev, remyoudompheng
https://golang.org/cl/13568045

変更の背景

この変更は、compress/flate パッケージの flate.Writer.Reset メソッドのドキュメンテーションの曖昧さを解消することを目的としています。Reset メソッドは、既存の flate.Writer インスタンスを再利用するためにその状態を破棄し、新しい出力先 (io.Writer) で初期化する機能を提供します。

元のドキュメンテーションでは、「NewWriter または NewWriterDictw と共に呼び出した結果と同等になる」と記述されていました。しかし、NewWriterNewWriterDict は、圧縮されたデータが書き込まれる先の io.Writer を引数として取ります。したがって、Reset メソッドがその状態をリセットし、新しい io.Writer (dst) を受け取った際に、その dstNewWriterNewWriterDict に渡されるべき対象であることを明確にする必要がありました。

この修正は、ドキュメンテーションの正確性を向上させ、開発者が Reset メソッドの挙動をより正確に理解できるようにするために行われました。特に、Reset メソッドの引数である dst が、NewWriterNewWriterDict のコンテキストにおける出力先と直接的に対応していることを明確にすることが重要でした。

前提知識の解説

compress/flate パッケージ

compress/flate パッケージは、Go言語の標準ライブラリの一部であり、DEFLATE圧縮データ形式を実装しています。DEFLATEは、LZ77アルゴリズムとハフマン符号化を組み合わせたロスレスデータ圧縮アルゴリズムで、ZIP、gzip、PNGなどの多くのファイル形式やプロトコルで使用されています。このパッケージは、データの圧縮(エンコード)と解凍(デコード)の両方の機能を提供します。

flate.Writer

flate.Writer は、DEFLATE形式でデータを圧縮し、指定された io.Writer に書き込むための型です。NewWriter 関数や NewWriterDict 関数を使って作成されます。

  • NewWriter(dst io.Writer, level int): 新しい flate.Writer を作成します。dst は圧縮されたデータが書き込まれる出力先、level は圧縮レベル(-1から9まで、-1はデフォルト、1は最速、9は最高圧縮率)を指定します。
  • NewWriterDict(dst io.Writer, level int, dict []byte): 辞書ベースの圧縮を行うための flate.Writer を作成します。dict は圧縮効率を向上させるための辞書データです。

io.Writer インターフェース

io.Writer はGo言語の io パッケージで定義されているインターフェースで、データを書き込むための基本的な抽象化を提供します。このインターフェースは Write([]byte) (n int, err error) メソッドを1つだけ持ちます。ファイル、ネットワーク接続、メモリバッファなど、様々な出力先が io.Writer インターフェースを実装できます。flate.Writer は、この io.Writer インターフェースを介して圧縮データを実際の出力先に書き込みます。

Reset メソッド

flate.WriterReset メソッドは、既存の flate.Writer インスタンスを再利用するための重要な機能です。通常、圧縮処理が完了した後、新しい圧縮処理を開始するために新しい flate.Writer インスタンスを作成すると、メモリの再割り当てやガベージコレクションのオーバーヘッドが発生します。Reset メソッドを使用すると、既存の flate.Writer の内部状態をクリアし、新しい io.Writer (dst) を指定して再初期化することができます。これにより、オブジェクトの再利用が可能になり、パフォーマンスが向上し、メモリ使用量が削減されます。

func (w *Writer) Reset(dst io.Writer): このメソッドは、w の内部状態を破棄し、dst を新しい出力先として設定します。これにより、w はあたかも NewWriter または NewWriterDictdst と共に呼び出したかのように振る舞います。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、flate.Writer.Reset メソッドのドキュメンテーションコメントにおける単語の変更に集約されます。

元のコメント: // Reset discards the writer's state and makes it equivalent to // the result of NewWriter or NewWriterDict called with w // and w's level and dictionary.

修正後のコメント: // Reset discards the writer's state and makes it equivalent to // the result of NewWriter or NewWriterDict called with dst // and w's level and dictionary.

この変更のポイントは、「called with w」が「called with dst」に修正された点です。

  • w の意味: wReset メソッドが呼び出されている flate.Writer のレシーバ(インスタンス自身)を指します。
  • dst の意味: dstReset メソッドの引数として渡される io.Writer であり、新しい圧縮データの出力先を指します。

NewWriterNewWriterDict 関数は、圧縮データの出力先として io.Writer を第一引数に取ります。Reset メソッドは、既存の flate.Writer の状態をリセットし、新しい出力先 dst を設定することで、あたかも NewWriter(dst, ...)NewWriterDict(dst, ...) が呼び出されたかのように振る舞います。

元のコメントでは、「NewWriter または NewWriterDictw と共に呼び出した結果と同等になる」と記述されており、これは NewWriterNewWriterDict の第一引数に w (つまり flate.Writer インスタンス自身) が渡されるかのような誤解を与える可能性がありました。しかし、実際には NewWriterNewWriterDict に渡されるのは io.Writer インターフェースを実装した出力先であり、Reset メソッドの引数 dst がその役割を果たします。

この修正により、Reset メソッドの動作が NewWriterNewWriterDict の動作とより正確に整合し、ドキュメンテーションの記述が実際のコードの挙動と一致するようになりました。これは、APIの利用者が混乱することなく、Reset メソッドを正しく理解し、利用するために非常に重要な修正です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/compress/flate/deflate.go
+++ b/src/pkg/compress/flate/deflate.go
@@ -553,7 +553,7 @@ func (w *Writer) Close() error {
 }
 
 // Reset discards the writer's state and makes it equivalent to
-// the result of NewWriter or NewWriterDict called with w
+// the result of NewWriter or NewWriterDict called with dst
 // and w's level and dictionary.
 func (w *Writer) Reset(dst io.Writer) {
 	if dw, ok := w.d.w.w.(*dictWriter); ok {

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/compress/flate/deflate.go ファイルの555行目で行われています。

元のコードのコメント: // the result of NewWriter or NewWriterDict called with w

修正後のコードのコメント: // the result of NewWriter or NewWriterDict called with dst

この変更は、flate.WriterReset メソッドのドキュメンテーションコメントを修正したものです。

  • func (w *Writer) Reset(dst io.Writer): このメソッドは、flate.Writer のレシーバ w の状態をリセットし、新しい出力先 dst を受け取ります。
  • NewWriter または NewWriterDict は、圧縮データの出力先として io.Writer を引数に取ります。
  • 元のコメントでは、「w と共に呼び出した結果と同等になる」と書かれていましたが、これは NewWriterNewWriterDict の引数に flate.Writer インスタンス自身 (w) が渡されるかのような誤解を与える可能性がありました。
  • 実際には、Reset メソッドが新しい出力先として受け取る dst が、NewWriterNewWriterDict に渡されるべき io.Writer です。

したがって、この修正は、Reset メソッドの動作をより正確に反映させるために、「w」を「dst」に置き換えることで、ドキュメンテーションの記述と実際のAPIのセマンティクスとの整合性を高めています。これにより、開発者が Reset メソッドの意図と正しい使用方法をより明確に理解できるようになります。

関連リンク

参考にした情報源リンク