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[インデックス 17640] ファイルの概要

このコミットは、Goコンパイラのcmd/gcにおける「set but not used (設定されたが使用されていない)」エラーの修正に関するものです。具体的には、src/cmd/gc/popt.cファイル内で宣言されていたが、実際には使用されていなかった変数genの宣言と初期化を削除しています。

コミット

commit b27e09331c2aba431e3ba91ebeac7da74e3b86e0
Author: Dave Cheney <dave@cheney.net>
Date:   Wed Sep 18 10:15:52 2013 +1000

    cmd/gc: fix set but not used error
    
    R=rsc, r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/13749044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b27e09331c2aba431e3ba91ebeac7da74e3b86e0

元コミット内容

cmd/gc: fix set but not used error

R=rsc, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/13749044

変更の背景

Go言語のコンパイラは、コードの品質と保守性を高めるために、未使用の変数に対してエラーまたは警告を出すことがあります。これは、開発者が意図しないコードやデッドコードを残すことを防ぐための重要な機能です。このコミットは、Goコンパイラ自身のコードベース内で発生していた「set but not used (設定されたが使用されていない)」という特定のエラーを修正することを目的としています。

具体的には、src/cmd/gc/popt.cファイル内のnilopt関数において、genという名前のuint32型の変数が宣言され、初期化されていましたが、その後のコードで一度も使用されていませんでした。このような未使用の変数は、コンパイラによってエラーとして検出され、ビルドプロセスを妨げる可能性があります。この修正は、コンパイラ自身のコードベースをクリーンに保ち、不必要なエラーを排除することで、開発体験を向上させるためのものです。

前提知識の解説

Goコンパイラ (cmd/gc)

Go言語の公式コンパイラは、通常gcと呼ばれます。これはGoツールチェーンの一部であり、Goのソースコードを機械語に変換する役割を担っています。cmd/gcは、Goのソースコードが置かれているディレクトリ構造の一部であり、コンパイラの主要な部分が含まれています。

popt.c

popt.cは、Goコンパイラのバックエンドの一部であり、主に最適化パスに関連するコードが含まれています。ファイル名のpoptは「peephole optimizer (ピーフォール最適化)」を指す可能性があります。ピーフォール最適化は、コンパイラ最適化の一種で、生成されたコードの小さな連続した命令(「ピーフォール」)を調べて、より効率的な命令シーケンスに置き換えることで、コードのパフォーマンスを向上させます。

「set but not used (設定されたが使用されていない)」エラー

Go言語は、未使用の変数に対して厳格なポリシーを持っています。変数が宣言され、値が割り当てられたにもかかわらず、その後のコードで一度も読み取られたり使用されたりしない場合、Goコンパイラは「declared and not used (宣言されたが使用されていない)」または「set but not used (設定されたが使用されていない)」というエラーを生成します。これは、デッドコードの存在を示唆し、コードの意図を不明瞭にする可能性があるため、Goではエラーとして扱われます。他の言語では警告として扱われることが多いですが、Goではビルドを停止させるエラーとなります。

このポリシーは、コードの可読性と保守性を高め、潜在的なバグを早期に発見するのに役立ちます。開発者は、不要な変数を削除するか、適切に使用するようにコードを修正する必要があります。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は非常にシンプルです。src/cmd/gc/popt.cファイル内のnilopt関数において、以下の2行が削除されました。

  1. uint32 gen;genという名前のuint32型変数の宣言。
  2. gen = 0;:宣言されたgen変数への初期値0の割り当て。

これらの行が削除された理由は、gen変数がnilopt関数内で宣言され、初期化されたものの、その後のコードパスで一度も参照または使用されていなかったためです。Goコンパイラはこのような未使用の変数をエラーとして検出するため、この変数を削除することでコンパイルエラーを解消し、コードベースをクリーンに保つことができます。

この変更は、コンパイラの動作や生成されるコードの効率に影響を与えるものではなく、単にコンパイラ自身のコードベースの健全性を維持するためのものです。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/cmd/gc/popt.cファイルにのみ行われました。

--- a/src/cmd/gc/popt.c
+++ b/src/cmd/gc/popt.c
@@ -795,7 +795,6 @@ nilopt(Prog *firstp)
  {\n \tNilFlow *r;\n \tProg *p;\n-\tuint32 gen;\n \tGraph *g;\n \tint ncheck, nkill;\n \n@@ -806,7 +805,6 @@ nilopt(Prog *firstp)\n \tif(debug_checknil > 1 /* || strcmp(curfn->nname->sym->name, \"f1\") == 0 */)\n \t\tdumpit(\"nilopt\", g->start, 0);\n \n-\tgen = 0;\n \tncheck = 0;\n \tnkill = 0;\n \tfor(r = (NilFlow*)g->start; r != nil; r = (NilFlow*)r->f.link) {\n```

## コアとなるコードの解説

上記のdiffを見ると、`nilopt`関数内の2行が削除されていることがわかります。

1.  `- uint32 gen;`:これは、`gen`という名前の符号なし32ビット整数型(`uint32`)の変数を宣言していた行です。
2.  `- gen = 0;`:これは、宣言された`gen`変数に`0`という値を割り当てて初期化していた行です。

これらの行が削除されたのは、`nilopt`関数内で`gen`変数が宣言され、初期化されたにもかかわらず、その後のコードで一度も使用されていなかったためです。Goコンパイラは、このような未使用の変数に対して「set but not used」エラーを発生させます。この修正は、このエラーを解消し、コンパイラ自身のコードベースをよりクリーンで保守しやすい状態に保つためのものです。

この変更は、コンパイラの機能や生成されるバイナリの動作に影響を与えるものではなく、単にコンパイラコードの内部的な健全性を改善するものです。

## 関連リンク

*   Go言語の公式リポジトリ: [https://github.com/golang/go](https://github.com/golang/go)
*   Go言語のコードレビューシステム (Gerrit): [https://go.dev/cl/](https://go.dev/cl/)
    *   このコミットに対応する変更リスト (CL): [https://golang.org/cl/13749044](https://golang.org/cl/13749044)

## 参考にした情報源リンク

*   Go言語の公式ドキュメント
*   Go言語のソースコード
*   Go言語のコンパイラに関する一般的な知識
*   Go言語の「unused variable」エラーに関する情報