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[インデックス 17724] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のcrypto/tlsパッケージにおけるTLSバージョンの参照を更新するものです。具体的には、パッケージのドキュメント内で参照されているTLS 1.2のRFC(Request for Comments)を、古いRFC 4346から新しいRFC 5246へと変更しています。これは、以前のコミットでTLSのバージョンが1.2に更新されたことに伴う、ドキュメントの整合性を保つための修正です。

コミット

  • コミットハッシュ: 4d7c63558c2f4b79169eaa6f6b3ce017f5d43b1e
  • Author: Frithjof Schulze schulze@math.uni-hannover.de
  • Date: Wed Oct 2 12:09:13 2013 -0400

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/4d7c63558c2f4b79169eaa6f6b3ce017f5d43b1e

元コミット内容

    crypto/tls: Update reference to the TLS 1.2 RFC.
    
    Ticket 13740047 updated the documented TLS version to 1.2.
    This also updates the RFC refered to.
    
    R=golang-dev
    CC=golang-dev, rsc
    https://golang.org/cl/14029043

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のcrypto/tlsパッケージがサポートするTLSプロトコルのバージョンが更新されたという事実があります。元のコミットメッセージにもあるように、「Ticket 13740047」によって、crypto/tlsパッケージがドキュメント上でTLS 1.2をサポートしていると明記されるようになりました。

TLSプロトコルは、インターネット上での安全な通信を確立するための暗号化プロトコルであり、その仕様はIETF(Internet Engineering Task Force)によってRFC(Request for Comments)として公開されています。TLSのバージョンが更新されると、それに伴い参照すべきRFCも変更されるのが一般的です。

このコミットは、パッケージがTLS 1.2をサポートするようになったという変更に合わせて、ドキュメント内の参照を、TLS 1.2の正式な仕様を定義するRFCへと更新することで、情報の正確性と整合性を保つことを目的としています。

前提知識の解説

TLS (Transport Layer Security)

TLSは、インターネット上でデータを安全にやり取りするための暗号化プロトコルです。ウェブブラウジング(HTTPS)、電子メール、VoIPなど、様々なアプリケーションで利用されています。TLSは、通信の盗聴、改ざん、なりすましを防ぐためのセキュリティ機能を提供します。

TLSプロトコルは、主に以下の2つの層で構成されています。

  1. TLSレコードプロトコル (TLS Record Protocol): アプリケーションデータをフラグメント化し、圧縮、MAC(Message Authentication Code)の追加、暗号化を行います。
  2. TLSハンドシェイクプロトコル (TLS Handshake Protocol): クライアントとサーバーが互いを認証し、暗号化アルゴリズムとセッションキーをネゴシエートします。

RFC (Request for Comments)

RFCは、インターネット技術の標準や仕様を定義する文書シリーズです。IETFによって発行され、インターネットプロトコル、ネットワークプロトコル、プログラミング言語の仕様などが含まれます。RFCは、インターネットの相互運用性を確保するための重要な基盤となっています。

TLSのバージョンと関連RFC

TLSプロトコルには複数のバージョンが存在し、それぞれ異なるRFCで定義されています。

  • TLS 1.0: RFC 2246で定義されました。
  • TLS 1.1: RFC 4346で定義されました。TLS 1.0からの改善点として、CBC(Cipher Block Chaining)攻撃に対する保護の強化や、明示的な初期化ベクトル(IV)の使用などが挙げられます。
  • TLS 1.2: RFC 5246で定義されました。TLS 1.1からの主要な変更点として、MD5とSHA-1の組み合わせをSHA-256に置き換えたPRNG(擬似乱数生成器)の使用、ハッシュと署名アルゴリズムの指定機能の強化、認証付き暗号(AEAD)モードのサポートなどが挙げられます。このバージョンは、より強力な暗号化とセキュリティ機能を提供します。
  • TLS 1.3: RFC 8446で定義されました。TLS 1.2からさらに大幅な変更が加えられ、ハンドシェイクの高速化、サポートされる暗号スイートの削減、前方秘匿性(Forward Secrecy)の強化などが特徴です。

このコミットでは、crypto/tlsパッケージがTLS 1.2をサポートしていることを明示するために、参照するRFCをTLS 1.1を定義するRFC 4346から、TLS 1.2を定義するRFC 5246へと変更しています。

技術的詳細

Go言語のcrypto/tlsパッケージは、GoプログラムでTLS通信を実装するための標準ライブラリです。このパッケージは、クライアントとサーバーの両方でセキュアな接続を確立するための機能を提供します。

コミットが行われた2013年当時、TLS 1.2は比較的新しいバージョンであり、そのセキュリティ上の利点から採用が進んでいました。Goのcrypto/tlsパッケージがTLS 1.2を部分的に実装し、その旨をドキュメントに記載することは、パッケージの機能とセキュリティレベルを正確に反映するために重要でした。

このコミットは、コードの機能的な変更ではなく、ドキュメントの変更に焦点を当てています。具体的には、src/pkg/crypto/tls/tls.goファイルのパッケージコメントを修正し、参照するRFC番号を更新しています。

元のコメント: // Package tls partially implements TLS 1.2, as specified in RFC 4346.

変更後のコメント: // Package tls partially implements TLS 1.2, as specified in RFC 5246.

この変更は、crypto/tlsパッケージがTLS 1.2の仕様に準拠していることを明確にするためのものです。RFC 4346はTLS 1.1の仕様を定義しており、TLS 1.2の仕様はRFC 5246で定義されています。したがって、パッケージがTLS 1.2を実装していると主張するならば、参照すべきRFCもTLS 1.2のものを指すべきです。

この修正は、Goの標準ライブラリが常に最新かつ正確な情報を提供するように努めていることを示しています。開発者がcrypto/tlsパッケージを使用する際に、どのTLSバージョンがどのRFCに基づいているのかを正確に理解できるようになります。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/pkg/crypto/tls/tls.go b/src/pkg/crypto/tls/tls.go
index 7c6bd6977f..6c67506fc3 100644
--- a/src/pkg/crypto/tls/tls.go
+++ b/src/pkg/crypto/tls/tls.go
@@ -2,7 +2,7 @@
 // Use of this source code is governed by a BSD-style
 // license that can be found in the LICENSE file.
 
-// Package tls partially implements TLS 1.2, as specified in RFC 4346.
+// Package tls partially implements TLS 1.2, as specified in RFC 5246.
 package tls
 
 import (

コアとなるコードの解説

変更されたファイルは src/pkg/crypto/tls/tls.go です。このファイルは、Go言語のcrypto/tlsパッケージの主要なソースコードファイルの一つです。

変更内容は非常にシンプルで、ファイルの冒頭にあるパッケージコメントの1行が修正されています。

  • 変更前: // Package tls partially implements TLS 1.2, as specified in RFC 4346.
  • 変更後: // Package tls partially implements TLS 1.2, as specified in RFC 5246.

この変更は、crypto/tlsパッケージが「部分的にTLS 1.2を実装している」という記述はそのままに、そのTLS 1.2の仕様が「RFC 4346」ではなく「RFC 5246」で定義されていることを明確にしています。

// Package tls で始まる行は、Goのパッケージドキュメンテーションの一部であり、go docコマンドやGoの公式ドキュメントサイトで表示される情報です。このコメントを正確に保つことは、開発者がパッケージの機能や準拠している標準を理解する上で非常に重要です。

この修正は、コードの動作には一切影響を与えません。これは純粋にドキュメンテーションの修正であり、パッケージが参照しているTLS 1.2の仕様が、正しいRFC番号(RFC 5246)であることを保証するためのものです。

関連リンク

参考にした情報源リンク