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[インデックス 17815] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のディストリビューションツールである misc/dist において、go.tools のデフォルトタグを設定する変更です。具体的には、defaultToolTag の値を tip から特定のコミットハッシュ 9e246fa49449 に変更しています。これは、Go 1.2のリリースに向けて go.tools のバージョンを固定化することを目的としています。

コミット

commit 73d7d12ea62e99fef210ec3d9d2ffbe87d1628f0
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date:   Fri Oct 18 10:51:21 2013 +0900

    misc/dist: set default go.tools tag
    
    Fixes #6607.
    
    R=dsymonds
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/14830043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/73d7d12ea62e99fef210ec3d9d2ffbe87d1628f0

元コミット内容

misc/dist: set default go.tools tag

このコミットは、misc/dist ツールにおいて go.tools のデフォルトタグを設定するものです。 Fixes #6607. と記載されており、これはGoのIssueトラッカーにおける6607番の課題を解決することを示唆しています。 レビュー担当者は dsymonds であり、golang-dev メーリングリストにもCCされています。 関連するコードレビューのリンクは https://golang.org/cl/14830043 です。

変更の背景

この変更の背景には、Go言語のリリースプロセス、特にGo 1.2の安定化があります。go.tools はGo言語の開発において重要なツール群であり、そのバージョン管理はGo本体のリリースと密接に関連しています。

以前の defaultToolTag の値は tip でした。tip は通常、開発ブランチの最新の状態を指します。開発中は最新のツールを使用することが一般的ですが、Goの安定版リリース(例えばGo 1.2)を準備する際には、そのリリースと互換性のある、安定したバージョンのツール群を同梱または参照する必要があります。

Fixes #6607 という記述から、go.tools のタグ設定に関して何らかの問題(おそらく、安定版リリースで tip を参照し続けることによる不安定性や互換性の問題)が存在し、それを解決するためにこのコミットが作成されたと考えられます。Go 1.2のリリースが近づくにつれて、go.tools のバージョンを特定の安定した状態に固定する必要が生じたため、このコミットが導入されました。

前提知識の解説

go.tools

go.tools は、Go言語の公式ツール群のリポジトリです。これには、go vet (静的解析ツール)、go doc (ドキュメント生成ツール)、go generate (コード生成ツール) など、Go開発者が日常的に使用する様々なツールが含まれています。これらのツールはGo言語の標準ライブラリとは別に開発・管理されており、Go本体のリリースとは独立してバージョンアップされることもあります。しかし、Goのディストリビューションには、特定のGoバージョンと互換性のある go.tools のバージョンが推奨されるか、あるいは同梱されることがあります。

misc/dist

misc/dist は、Go言語のソースコードリポジトリ内のディレクトリで、Goのディストリビューション(バイナリ配布物)を構築するためのスクリプトやツールが含まれています。Goの公式バイナリリリースは、この misc/dist ディレクトリ内のツールを使用して作成されます。これには、Goコンパイラ、標準ライブラリ、そして go.tools のような関連ツール群のビルドとパッケージングが含まれます。

defaultToolTag

defaultToolTag は、misc/dist/bindist.go ファイル内で定義されている定数で、go.tools リポジトリからどのバージョン(タグまたはコミットハッシュ)のツールを取得するかを指定します。

  • tip: これは通常、Gitリポジトリの HEAD、つまり最新の開発ブランチの状態を指します。開発中は最新の機能やバグ修正が含まれるため便利ですが、安定版リリースでは予期せぬ変更やバグが含まれるリスクがあります。
  • 特定のコミットハッシュ: Gitのコミットハッシュは、リポジトリの特定の時点での状態を一意に識別するものです。これを使用することで、go.tools のバージョンを厳密に固定し、Go本体のリリースとの互換性を保証することができます。

Go 1.2のリリースプロセス

Go言語は、半年に一度のペースでメジャーリリースを行います。各メジャーリリースには、新機能の追加、パフォーマンスの改善、バグ修正などが含まれます。リリース前には、安定性を確保するために、機能フリーズ、ベータ版のリリース、リリース候補版のリリースといった段階を踏みます。このコミットが行われた2013年10月18日は、Go 1.2のリリースが近づいている時期であり、安定版の準備が進められていたと考えられます。この時期に go.tools の参照バージョンを固定することは、リリースされるGo 1.2の安定性を確保するために重要なステップです。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、misc/dist/bindist.go ファイル内の defaultToolTag 定数の変更です。

変更前: defaultToolTag = "tip" // TOOD(adg): set this once Go 1.2 settles

変更後: defaultToolTag = "9e246fa49449" // go.tools as of 2013-10-18, for go1.2

この変更は、Goのディストリビューションをビルドする際に、go.tools リポジトリから取得するツールのバージョンを、開発中の最新版 (tip) から、特定のコミットハッシュ (9e246fa49449) に固定することを意味します。

なぜ tip から特定のコミットハッシュへ変更するのか?

  1. 安定性の確保: tip は常に変動するため、Go 1.2のリリースバイナリに含める go.tools が、ビルドごとに異なるバージョンになったり、予期せぬバグを含んだりする可能性があります。特定のコミットハッシュに固定することで、Go 1.2リリースに含まれる go.tools のバージョンが確定し、安定性が保証されます。
  2. 再現性の向上: 特定のコミットハッシュを使用することで、Go 1.2のディストリビューションをいつでも同じバージョンの go.tools と共に再現してビルドできるようになります。これは、デバッグや検証の際に非常に重要です。
  3. 互換性の保証: Go本体のリリースと go.tools の間には、APIの変更などによる互換性の問題が発生する可能性があります。Go 1.2のリリースに合わせて、そのバージョンと完全に互換性のある go.tools のコミットハッシュを選択することで、ユーザーがGo 1.2をインストールした際に、ツールが正しく動作することを保証します。

コメント // go.tools as of 2013-10-18, for go1.2 は、このコミットハッシュが2013年10月18日時点の go.tools の状態を表しており、Go 1.2のために選定されたものであることを明確に示しています。これは、Go 1.2のリリースに向けた最終的な調整の一環として行われた変更であると理解できます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/misc/dist/bindist.go
+++ b/misc/dist/bindist.go
@@ -49,7 +49,7 @@ const (
 	blogPath       = "code.google.com/p/go.blog"
 	toolPath       = "code.google.com/p/go.tools"
 	tourPath       = "code.google.com/p/go-tour"
-	defaultToolTag = "tip" // TOOD(adg): set this once Go 1.2 settles
+	defaultToolTag = "9e246fa49449" // go.tools as of 2013-10-18, for go1.2
 )
 
 // Import paths for tool commands.

コアとなるコードの解説

この変更は、misc/dist/bindist.go ファイル内の defaultToolTag という定数の定義を修正しています。

  • 変更前: defaultToolTag = "tip"
    • これは、go.tools のバージョンとして、リポジトリの最新の状態(tip)を使用することを意味していました。コメント // TOOD(adg): set this once Go 1.2 settles は、Go 1.2が安定したらこの値を変更する必要があることを示唆していました。
  • 変更後: defaultToolTag = "9e246fa49449"
    • この変更により、go.tools のバージョンが特定のコミットハッシュ 9e246fa49449 に固定されました。これは、2013年10月18日時点の go.tools の状態を表すハッシュであり、Go 1.2のリリースに合わせた安定版の選択です。新しいコメント // go.tools as of 2013-10-18, for go1.2 は、この変更の意図と、Go 1.2リリースとの関連性を明確にしています。

この一行の変更は、Goのディストリビューションのビルドプロセスにおいて、go.tools の依存関係を明確かつ安定したものにするための重要なステップです。これにより、Go 1.2の公式リリースに含まれるツール群のバージョンが予測可能になり、安定性が向上します。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (Go 1.2リリースノートなど、当時の情報)
  • Go言語のソースコードリポジトリ (特に misc/dist および go.tools の構造)
  • Gitの基本的な概念 (コミットハッシュ、タグ、HEAD など)