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[インデックス 17840] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ net/url パッケージにおける Values.Encode メソッドのドキュメンテーションコメントの修正に関するものです。具体的には、Encode メソッドがURLエンコードされたクエリ文字列を常にキーでソートするという動作を、ドキュメンテーションの例が正しく反映していなかった点を修正しています。

コミット

commit 6ea5687b46b080304584fbc80c3e2dd18f2e1c43
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date:   Fri Oct 25 23:00:22 2013 +0300

    net/url: fix Encode doc comment
    
    Encoded query strings are always sorted by key; the example wasn't.
    
    R=golang-dev, dsymonds, minux.ma, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/16430043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/6ea5687b46b080304584fbc80c3e2dd18f2e1c43

元コミット内容

このコミット自体は機能変更ではなく、既存のドキュメンテーションの誤りを修正するものです。したがって、「元コミット内容」というよりは、修正前のドキュメンテーションがどのような状態であったかを説明します。

修正前、net/url パッケージの Values.Encode() メソッドのドキュメンテーションコメントには、以下のような記述がありました。

// Encode encodes the values into ``URL encoded'' form.
// e.g. "foo=bar&bar=baz"

この例 "foo=bar&bar=baz" は、クエリパラメータがキーによってソートされていない状態を示していました。しかし、実際の Values.Encode() メソッドの実装は、常にクエリパラメータをキーのアルファベット順にソートして出力します。この不一致が、このコミットによって修正されました。

変更の背景

net/url パッケージの Values.Encode() メソッドは、url.Values 型(map[string][]string のエイリアス)のデータをURLエンコードされたクエリ文字列形式に変換するために使用されます。このメソッドの内部実装では、クエリパラメータのキーをソートしてからエンコードするという挙動が元々存在していました。

しかし、メソッドのドキュメンテーションコメントに記載されていた例 "foo=bar&bar=baz" は、この「キーによるソート」という重要な挙動を反映していませんでした。これにより、開発者がドキュメンテーションを読んだ際に、実際の挙動と異なる理解をしてしまう可能性がありました。

このコミットは、ドキュメンテーションと実際のコードの挙動との間の不一致を解消し、開発者に対して正確な情報を提供することを目的としています。ドキュメンテーションの正確性は、ライブラリの利用者がコードを正しく理解し、意図した通りに利用するために非常に重要です。

前提知識の解説

URLエンコーディングとクエリ文字列

URL(Uniform Resource Locator)は、インターネット上のリソースを一意に識別するための文字列です。URLは、スキーム、ホスト、パス、クエリ、フラグメントなどのコンポーネントで構成されます。

  • クエリ文字列 (Query String): URLのパスの後に ? で始まり、& で区切られたキーと値のペアのリストです。例えば、https://example.com/search?q=golang&lang=en の場合、q=golang&lang=en がクエリ文字列です。
  • URLエンコーディング (URL Encoding): クエリ文字列やパスに含まれる特殊文字(スペース、&=? など)は、URLの構文と衝突したり、誤解を招いたりする可能性があります。そのため、これらの文字は %HH の形式(HH は文字のASCII値の16進数表現)に変換されます。例えば、スペースは %20 に、&%26 にエンコードされます。

Go言語の net/url パッケージ

net/url パッケージは、URLの解析、構築、およびURLエンコーディング/デコーディングのための機能を提供します。

  • url.Values: map[string][]string のエイリアスであり、HTTPのクエリパラメータやフォームデータを表現するために使用されます。キーは文字列で、値は文字列のスライス(同じキーに対して複数の値が存在する場合があるため)です。
  • Values.Encode() メソッド: url.Values 型のレシーバメソッドで、マップ内のキーと値のペアをURLエンコードされたクエリ文字列形式に変換します。このメソッドは、内部的にキーをソートしてから文字列を生成します。

クエリパラメータのソートの重要性

クエリパラメータをソートすることには、いくつかの利点があります。

  1. 決定論的 (Deterministic) なURL生成: 同じキーと値のセットを持つクエリパラメータは、常に同じ順序でエンコードされます。これにより、生成されるURLが常に一意になり、キャッシュの効率が向上したり、署名付きURLの生成などで予測可能な結果が得られたりします。
  2. テストの容易性: クエリパラメータの順序が固定されるため、テストケースの作成が容易になり、テストの信頼性が向上します。
  3. デバッグの容易性: ログやネットワークトラフィックを分析する際に、クエリパラメータの順序が一定であると、問題の特定がしやすくなります。

技術的詳細

net/url パッケージの Values.Encode() メソッドは、以下のような手順でクエリ文字列を生成します。

  1. url.Values マップのすべてのキーを取得します。
  2. 取得したキーをアルファベット順にソートします。
  3. ソートされたキーの順に、各キーとその値のペアを処理します。
  4. 各キーと値をURLエンコードします。
  5. エンコードされたキーと値を = で結合し、複数の値がある場合は & で結合します。
  6. 最終的に、すべてのキーと値のペアを & で結合して、完全なクエリ文字列を生成します。

このコミットは、このソートの挙動がドキュメンテーションに明示されていなかった点を修正しました。修正後のドキュメンテーションは、"bar=baz&foo=quux" のように、キーがソートされた状態の例を示し、さらに「sorted by key」という説明を追加することで、メソッドの正確な挙動を明確に伝えています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/net/url/url.go
+++ b/src/pkg/net/url/url.go
@@ -558,8 +558,8 @@ func parseQuery(m Values, query string) (err error) {
 	return err
 }
 
-// Encode encodes the values into ``URL encoded'' form.
-// e.g. "foo=bar&bar=baz"
+// Encode encodes the values into ``URL encoded'' form
+// ("bar=baz&foo=quux") sorted by key.
 func (v Values) Encode() string {
 	if v == nil {
 		return ""

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/net/url/url.go ファイルの Values.Encode() メソッドのドキュメンテーションコメントに限定されています。

  • 変更前:

    // Encode encodes the values into ``URL encoded'' form.
    // e.g. "foo=bar&bar=baz"
    

    このコメントでは、Encode メソッドがURLエンコード形式に変換することを示していますが、例示されている "foo=bar&bar=baz" は、キーがソートされていない状態です。

  • 変更後:

    // Encode encodes the values into ``URL encoded'' form
    // ("bar=baz&foo=quux") sorted by key.
    

    変更後では、例が "bar=baz&foo=quux" に修正されています。これは、barfoo の前に来るようにキーがアルファベット順にソートされていることを示しています。さらに、コメントの最後に sorted by key. という明確な説明が追加され、Encode メソッドが常にキーでソートされたクエリ文字列を生成するという挙動が明示されました。

この修正は、コードの動作自体には影響を与えませんが、ドキュメンテーションの正確性を大幅に向上させ、開発者が net/url パッケージをより適切に利用できるようになります。

関連リンク

参考にした情報源リンク