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[インデックス 1788] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のscanner.goファイル内のコメントの修正に関するものです。具体的には、スキャナーの目的をより正確に記述するために、既存のコメントが更新されています。

コミット

commit 5bd5242bcced5238b7c13580336565e1ef15e222
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Mon Mar 9 17:30:38 2009 -0700

    Fixing comment.

    R=r
    DELTA=2  (0 added, 0 deleted, 2 changed)
    OCL=25956
    CL=25960

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/5bd5242bcced5238b7c13565e1ef15e222

元コミット内容

Fixing comment.

このコミットは、src/lib/go/scanner.goファイル内のコメントを修正することを目的としています。

変更の背景

このコミットは、Go言語の初期開発段階におけるコードベースの品質向上の一環として行われました。特に、コードの可読性と正確なドキュメンテーションは、オープンソースプロジェクトにおいて非常に重要です。この場合、scanner.goのコメントが、その機能についてより正確で明確な説明を提供するように修正されました。

元のコメントは「A Go scanner.」と記述されていましたが、これはやや曖昧でした。Go言語のソースコードを扱うスキャナーであることを明確にするために、「A scanner for Go source text.」という表現に変更されました。このような小さな変更であっても、将来の開発者や利用者がコードベースを理解する上で、その意図を正確に伝えるために重要です。

前提知識の解説

スキャナー(字句解析器)

コンパイラやインタプリタの最初の段階で行われる処理が「字句解析(Lexical Analysis)」です。この処理を行うプログラムを「スキャナー」または「字句解析器(Lexer/Tokenizer)」と呼びます。

スキャナーの主な役割は以下の通りです。

  1. 入力の読み込み: ソースコードのテキスト(この場合は[]byte)を読み込みます。
  2. トークン化: 読み込んだテキストを、意味を持つ最小単位である「トークン(Token)」に分割します。例えば、ifelse、変数名、数値、演算子などがトークンになります。
  3. 不要な要素の除去: コメントや空白文字など、プログラムの実行には直接関係しない要素を除去します。
  4. エラー検出: 字句的に不正なパターン(例: 認識できない記号の羅列)を検出します。

Go言語のコンパイラも、ソースコードを処理する際にこのスキャナーを使用します。scanner.goファイルは、Go言語のソースコードをトークンに分割するための基本的な機能を提供します。

Go言語の標準ライブラリ構造

Go言語のソースコードは、通常、srcディレクトリ以下に配置されます。

  • src/cmd: Goツールチェインのコマンド(go build, go runなど)のソースコード。
  • src/pkg: 標準ライブラリのパッケージ。
  • src/lib: Go言語の初期段階では、一部のライブラリがここに配置されていました。scanner.goもその一つです。

このコミットが行われた2009年時点では、src/lib/go/scanner.goというパスに存在していましたが、Go言語の進化とともに、標準ライブラリの構造は整理され、現在ではgo/scannerパッケージはgoモジュールの一部として提供されています。

技術的詳細

このコミットは、src/lib/go/scanner.goファイル内のコメントの変更のみであり、プログラムの動作に影響を与えるコードの変更は一切ありません。これは、コードの機能的な修正ではなく、ドキュメンテーションの改善に特化したコミットです。

変更されたコメントは、scanner.goファイルの一番上にあるパッケージコメントの一部です。このコメントは、ファイルが提供する機能の概要を説明するものであり、GoDocなどのドキュメンテーションツールによって自動的に抽出され、公開されます。したがって、このコメントの正確性は、ライブラリの利用者がその機能を正しく理解するために重要です。

具体的な変更点は以下の通りです。

  • 変更前: // A Go scanner. Takes a []byte as source which can then be
  • 変更後: // A scanner for Go source text. Takes a []byte as source which can

「Go scanner」から「scanner for Go source text」への変更は、スキャナーがGo言語のソースコードを対象としていることをより明確に示しています。これは、スキャナーが一般的なテキストをスキャンするのではなく、Go言語の特定の文法規則に従ってトークン化を行うことを強調しています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/lib/go/scanner.go
+++ b/src/lib/go/scanner.go
@@ -2,8 +2,8 @@
 // Use of this source code is governed by a BSD-style
 // license that can be found in the LICENSE file.

-// A Go scanner. Takes a []byte as source which can then be
-// tokenized through repeated calls to the Scan() function.
+// A scanner for Go source text. Takes a []byte as source which can
+// then be tokenized through repeated calls to the Scan() function.
 //
 // Sample use:
 //

コアとなるコードの解説

変更されたのは、src/lib/go/scanner.goファイルの冒頭にあるコメントブロックです。

// Copyright 2009 The Go Authors. All rights reserved.
// Use of this source code is governed by a BSD-style
// license that can be found in the LICENSE file.

// A scanner for Go source text. Takes a []byte as source which can
// then be tokenized through repeated calls to the Scan() function.
//
// Sample use:
//
//	var s scanner.Scanner
//	s.Init(src, func(pos int, msg string) { /* error handler */ })
//	for tok := s.Scan(); tok != scanner.EOF; tok = s.Scan() {
//		// process tok
//	}

このコメントは、scannerパッケージの目的と基本的な使用方法を説明しています。

  • // A scanner for Go source text.:この行が修正された箇所です。スキャナーがGo言語のソーステキストを扱うことを明示しています。
  • Takes a []byte as source which can then be tokenized through repeated calls to the Scan() function.:スキャナーがバイトスライス([]byte)を入力として受け取り、Scan()関数を繰り返し呼び出すことでトークン化できることを説明しています。
  • Sample use::スキャナーの典型的な使用例がコードスニペットで示されています。Initメソッドでソースとエラーハンドラを設定し、Scanメソッドをループで呼び出してトークンを処理する流れが示されています。

このコメントは、scannerパッケージのAPIドキュメンテーションの基礎となり、開発者がこのパッケージをどのように使用すべきかを迅速に理解するのに役立ちます。

関連リンク

  • Go言語の公式ドキュメンテーション: https://go.dev/
  • Go言語のgo/scannerパッケージの現在のドキュメンテーション: https://pkg.go.dev/go/scanner (このコミット時点とはパスが異なりますが、機能的には関連しています)

参考にした情報源リンク

  • Go言語のソースコードリポジトリ: https://github.com/golang/go
  • コンパイラの字句解析に関する一般的な情報源 (例: Dragon Book - Compilers: Principles, Techniques, and Tools)
  • Go言語の初期開発に関する議論やメーリングリストのアーカイブ (Go言語の歴史的背景を理解するため)
  • GoDocのドキュメンテーション生成に関する情報