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[インデックス 17882] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の各アーキテクチャ向けアセンブラ(5a for ARM, 6a for x86-64, 8a for x86)のドキュメントファイル(doc.go)を更新し、Go固有のアセンブラに関する新しい公式ドキュメント「A Quick Guide to Go's Assembler」(http://golang.org/doc/asm.html)へのリンクを追加するものです。これにより、Goのアセンブラを使用する開発者が、より正確で最新の情報を参照できるようになります。

コミット

commit 0bdd90bc0a5bdd1844862b36ce69cc9283a9713f
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Tue Nov 12 20:07:08 2013 -0800

    src/cmd/?a: link to new assembler document
    Blocked on 20930043, the CL the new text references.
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/18430044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0bdd90bc0a5bdd1844862b36ce69cc9283a9713f

元コミット内容

src/cmd/?a: link to new assembler document
Blocked on 20930043, the CL the new text references.

R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/18430044

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のアセンブラに関するドキュメントの改善と一元化の必要性があります。Goのアセンブラは、Plan 9のアセンブラをベースにしていますが、Go固有の考慮事項や慣習が存在します。従来のドキュメント(doc.goファイル内)は、主にPlan 9のドキュメントへの参照を含んでいましたが、Go特有の側面については十分な情報が提供されていませんでした。

コミットメッセージにある「Blocked on 20930043, the CL the new text references.」という記述は、このコミットが、新しいアセンブラドキュメント(asm.html)自体が導入される変更セット(CL: Change List)に依存していることを示唆しています。つまり、新しいドキュメントが作成された後に、既存のアセンブラツールのドキュメントからその新しいドキュメントへのリンクを張るという、連携した作業の一環としてこのコミットが行われました。

これにより、Goのアセンブラを使用する開発者は、Goのコンパイラが使用するアセンブラの特殊な形式、Goとの連携方法、シンボル命名規則、ラベルの扱い、ランタイムとの協調(特にガベージコレクションのためのポインタ情報の定義)など、Go固有の重要な情報を一元的に参照できるようになります。

前提知識の解説

Go言語のアセンブラ

Go言語は、そのパフォーマンスが重要な部分において、アセンブリ言語を使用することがあります。しかし、Goが使用するアセンブラは、一般的なx86やARMのアセンブラとは異なる独特の構文を持っています。これは、ベル研究所のPlan 9オペレーティングシステムで使用されていたアセンブラのスタイルに基づいています。

Goのアセンブラは、以下のような特徴を持ちます。

  • Plan 9スタイル: 命令セットの表記やレジスタの指定方法などがPlan 9のアセンブラに準拠しています。
  • 半抽象的な命令セット: Goのコンパイラは、直接的な機械語ではなく、半抽象的な命令セットを扱います。例えば、MOV命令は、単にデータを移動するだけでなく、クリア操作やロード操作など、文脈によって異なる意味を持つことがあります。
  • シンボル命名規則: Goのオブジェクトファイルやバイナリでは、シンボル名にパッケージパスが含まれます(例: fmt.Printf)。
  • doc.goファイル: Goのソースコードでは、パッケージやコマンドのドキュメントをdoc.goというファイルに記述する慣習があります。これは、go docコマンドなどで参照される公式ドキュメントの一部となります。

Plan 9アセンブラ

Plan 9は、ベル研究所で開発された分散オペレーティングシステムです。その開発ツールチェーンには、独自のアセンブラが含まれており、Go言語のアセンブラはその影響を強く受けています。Plan 9のアセンブラは、特定のCPUアーキテクチャに依存しない、より抽象的なアプローチを採用している点が特徴です。

CL (Change List)

Goプロジェクトでは、コードの変更は「Change List (CL)」という単位で管理されます。これは、Gitのコミットに相当しますが、GoのコードレビューシステムであるGerritと密接に連携しています。コミットメッセージに記載されている「CL」は、Gerrit上の特定の変更セットを指します。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、既存のアセンブラツールのドキュメントファイル(src/cmd/5a/doc.go, src/cmd/6a/doc.go, src/cmd/8a/doc.go)に、新しいドキュメントへのリンクを追加することに集約されます。

具体的には、各doc.goファイル内の既存のPlan 9アセンブラのドキュメントリンクの下に、以下の行が追加されています。

Go-specific considerations are documented at

	http://golang.org/doc/asm.html

この変更により、Goのアセンブラに関する情報を探している開発者は、まず各アーキテクチャのアセンブラのdoc.goファイルを参照した際に、Go固有の重要な情報がまとめられた新しいドキュメントへの明確な誘導を得られるようになります。これは、ドキュメントの発見性を高め、開発者の学習体験を向上させる上で非常に重要です。

また、src/cmd/6a/doc.gosrc/cmd/8a/doc.goでは、既存のテキストの誤字修正(IItsItsに修正)も同時に行われています。これは、ドキュメントの品質向上にも寄与しています。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/cmd/5a/doc.go b/src/cmd/5a/doc.go
index 29725db04e..74d025fe2c 100644
--- a/src/cmd/5a/doc.go
+++ b/src/cmd/5a/doc.go
@@ -10,6 +10,10 @@
 
 	http://plan9.bell-labs.com/magic/man2html/1/8a
 
+Go-specific considerations are documented at
+
+	http://golang.org/doc/asm.html
+
 Its target architecture is the ARM, referred to by these tools as arm.
 
 */
diff --git a/src/cmd/6a/doc.go b/src/cmd/6a/doc.go
index a5f3f87f09..9fdc6ed3a5 100644
--- a/src/cmd/6a/doc.go
+++ b/src/cmd/6a/doc.go
@@ -10,7 +10,11 @@
 
 	http://plan9.bell-labs.com/magic/man2html/1/8a
 
-Its target architecture is the x86-64, referred to by these tools as amd64.
+Go-specific considerations are documented at
+
+	http://golang.org/doc/asm.html
+
+IIts target architecture is the x86-64, referred to by these tools as amd64.
 
 */
 package main
diff --git a/src/cmd/8a/doc.go b/src/cmd/8a/doc.go
index 737c56f133..bdf2fcfbb7 100644
--- a/src/cmd/8a/doc.go
+++ b/src/cmd/8a/doc.go
@@ -10,6 +10,11 @@
 
 	http://plan9.bell-labs.com/magic/man2html/1/8a
 
+Go-specific considerations are documented at
+
+	http://golang.org/doc/asm.html
+
+I
 Its target architecture is the x86, referred to by these tools for historical reasons as 386.
 
 */

コアとなるコードの解説

上記の差分は、Go言語のアセンブラツール(5a, 6a, 8a)のドキュメントファイル(doc.go)に対する変更を示しています。

  • src/cmd/5a/doc.go: ARMアーキテクチャ向けのアセンブラのドキュメントです。既存のPlan 9アセンブラのドキュメントリンクの下に、Go-specific considerations are documented at http://golang.org/doc/asm.htmlという行が追加されています。これは、Goのアセンブラに関するより詳細な情報が新しいドキュメントで提供されていることを示し、開発者をそちらに誘導します。

  • src/cmd/6a/doc.go: x86-64アーキテクチャ(amd64)向けのアセンブラのドキュメントです。5a/doc.goと同様に、新しいGoアセンブラドキュメントへのリンクが追加されています。注目すべきは、IIts target architectureという誤字がIts target architectureに修正されている点です。これは、ドキュメントの正確性を向上させるための小さな修正です。

  • src/cmd/8a/doc.go: x86アーキテクチャ(386)向けのアセンブラのドキュメントです。ここでも、新しいGoアセンブラドキュメントへのリンクが追加されています。6a/doc.goと同様に、I Its target architectureという誤字がIts target architectureに修正されています。

これらの変更は、Goのアセンブラを使用する開発者が、Go固有の慣習や詳細について、より簡単に、かつ正確な情報源にアクセスできるようにすることを目的としています。これにより、Goのアセンブラを用いた開発の効率と正確性が向上することが期待されます。

関連リンク

参考にした情報源リンク