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[インデックス 17884] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリである encoding/gob パッケージ内のテストファイル src/pkg/encoding/gob/example_encdec_test.go に存在するExample関数の名称変更に関するものです。具体的には、Example_gob_encode_decode() という関数名が Example_encodeDecode() に変更されています。

コミット

commit b6c7cc3241d898dd89c27cb82e0a3c827314e86c
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date:   Thu Nov 14 09:20:29 2013 +1100

    encoding/gob: expose encode/decode example

    R=golang-dev, r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/26220045

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b6c7cc3241d898dd89c27cb82e0a3c827314e86c

元コミット内容

encoding/gob: expose encode/decode example

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のドキュメンテーション生成ツール godoc のExample関数の命名規則と、それによって生成されるドキュメントの可読性向上が挙げられます。

Go言語では、Example プレフィックスを持つ関数は、go test コマンドによって実行されるだけでなく、godoc ツールによって自動的に抽出され、対応するパッケージや型のドキュメントにExampleコードとして表示されます。これにより、ユーザーはパッケージの利用方法をコード例を通じて簡単に理解できます。

Example_gob_encode_decode() という元の関数名は、gob パッケージのExampleであることを明示していますが、godoc がExample関数を処理する際、Example_ の後に続く部分がドキュメントに表示されるExampleのタイトルとして扱われます。この場合、「gob_encode_decode」という冗長なタイトルが表示される可能性があります。

GoのExample関数の命名規則では、Example の後に続く名前は、そのExampleがどの関数や型に関連しているかを示すために使われます。もしExampleがパッケージ全体に関連する場合は Example()、特定の関数 F に関連する場合は ExampleF()、特定の型 T に関連する場合は ExampleT()、特定の型 T のメソッド M に関連する場合は ExampleT_M() となります。

このコミットでは、encoding/gob パッケージのExampleであり、かつカスタムのエンコード/デコード処理を示すものであるため、Example_encodeDecode() という名前に変更することで、より簡潔で分かりやすいExampleタイトルが godoc によって生成されるようになります。これは、gob パッケージのExampleであることが文脈上明らかであるため、gob_ というプレフィックスは不要と判断されたためと考えられます。

前提知識の解説

Go言語の encoding/gob パッケージ

encoding/gob パッケージは、Goのプログラム間でGoのデータ構造をエンコード(シリアライズ)およびデコード(デシリアライズ)するためのバイナリ形式を提供します。これは、ネットワーク経由でのデータ転送や、ファイルへの永続化など、異なるGoプロセス間でのデータ交換に特に有用です。

gob 形式の主な特徴は以下の通りです。

  • 自己記述的 (Self-describing): gob ストリームは、データだけでなく、そのデータの型情報も含まれています。これにより、受信側は事前に型を知らなくてもデータをデコードできます。
  • 効率性: バイナリ形式であるため、JSONやXMLのようなテキストベースの形式よりもコンパクトで、エンコード/デコードのパフォーマンスも優れています。
  • Go固有: Goの型システムに特化しており、インターフェース、ポインタ、スライス、マップなど、Goの複雑なデータ構造を自然に扱うことができます。
  • カスタムエンコード/デコード: encoding.BinaryMarshaler および encoding.BinaryUnmarshaler インターフェースを実装することで、ユーザー定義型が独自のエンコード/デコードロジックを提供できます。これにより、gob のデフォルトのシリアライズ動作をオーバーライドし、より効率的な形式や、特定の要件に合わせた形式でデータを扱うことが可能になります。

Go言語のテストとExample関数

Go言語のテストフレームワークは、go test コマンドを通じて実行されます。テストファイルは通常、テスト対象のGoファイルと同じディレクトリに配置され、ファイル名が _test.go で終わる必要があります。

Goのテストには、以下の種類があります。

  • テスト関数 (Test functions): TestXxx(*testing.T) というシグネチャを持つ関数で、コードの正確性を検証します。
  • ベンチマーク関数 (Benchmark functions): BenchmarkXxx(*testing.B) というシグネチャを持つ関数で、コードのパフォーマンスを測定します。
  • Example関数 (Example functions): ExampleXxx() というシグネチャを持つ関数で、パッケージや関数の使用例を示します。これらの関数は、godoc ツールによって自動的に抽出され、生成されるドキュメントにコード例として表示されます。Example関数は、出力がコメント // Output: と一致するかどうかもテストされます。これにより、ドキュメントのコード例が常に正しく動作することが保証されます。

Example関数の命名規則は以下の通りです。

  • Example(): パッケージ全体のExample。
  • ExampleF(): 関数 F のExample。
  • ExampleT(): 型 T のExample。
  • ExampleT_M(): 型 T のメソッド M のExample。
  • Example_Suffix(): 特定の関数や型に直接関連しないが、パッケージの特定の側面を示すExample。この場合、_ の後の Suffixgodoc でのExampleのタイトルとして使われます。

このコミットでは、Example_gob_encode_decode() から Example_encodeDecode() への変更が行われており、これは Example_Suffix() の命名規則に該当します。

技術的詳細

このコミットは、encoding/gob パッケージのExampleコードの関数名を変更するものです。変更の目的は、godoc ツールが生成するドキュメントのExampleセクションにおける表示名を最適化することにあります。

元の関数名 Example_gob_encode_decode() は、godoc がExampleを処理する際に、_ の後の gob_encode_decode をExampleのタイトルとして認識します。しかし、このExampleが encoding/gob パッケージ内に存在するという文脈を考慮すると、gob_ というプレフィックスは冗長です。

新しい関数名 Example_encodeDecode() は、_ の後の encodeDecode をExampleのタイトルとして使用します。これにより、godoc で生成されるドキュメントでは、「encodeDecode」というより簡潔で分かりやすいタイトルでExampleが表示されるようになります。

この変更は、コードの機能的な動作には一切影響を与えません。gob のエンコード/デコードロジックや、カスタムエンコード/デコードの動作は完全に維持されます。影響を受けるのは、godoc を使用して生成されるドキュメントの表示のみです。

encoding/gob パッケージの example_encdec_test.go ファイルは、gob がカスタムの BinaryMarshaler および BinaryUnmarshaler インターフェースを実装した型をどのように扱うかを示すためのExampleを含んでいます。このExampleでは、Vector というカスタム型がこれらのインターフェースを実装し、gob を使ってエンコード/デコードされる様子が示されています。関数名の変更は、このExampleの意図をより明確に、かつ godoc の表示に最適化するためのものです。

コアとなるコードの変更箇所

変更は src/pkg/encoding/gob/example_encdec_test.go ファイルの1箇所のみです。

--- a/src/pkg/encoding/gob/example_encdec_test.go
+++ b/src/pkg/encoding/gob/example_encdec_test.go
@@ -37,7 +37,7 @@ func (v *Vector) UnmarshalBinary(data []byte) error {
 }
 
 // This example transmits a value that implements the custom encoding and decoding methods.
-func Example_gob_encode_decode() {
+func Example_encodeDecode() {
 	var network bytes.Buffer // Stand-in for the network.
 
 	// Create an encoder and send a value.

コアとなるコードの解説

変更された行は以下の通りです。

-func Example_gob_encode_decode() { +func Example_encodeDecode() {

これは、Example_gob_encode_decode という名前の関数が Example_encodeDecode にリネームされたことを示しています。

この関数は、encoding/gob パッケージのExample関数であり、godoc ツールによって自動的に検出され、パッケージのドキュメントに表示されるコード例です。関数名の変更は、godoc が生成するドキュメントのExampleセクションにおける表示名を改善することを目的としています。

関数内部のロジックは一切変更されていません。このExampleは、gob パッケージを使用して、カスタムの Vector 型(encoding.BinaryMarshalerencoding.BinaryUnmarshaler インターフェースを実装している)をエンコードし、その後デコードするプロセスを示しています。bytes.Buffer をネットワークの代わりとして使用し、gob.NewEncodergob.NewDecoder を使ってデータの送受信をシミュレートしています。

この変更は、Goの標準ライブラリにおけるドキュメンテーションの品質と一貫性を向上させるための、細かながらも重要な改善点と言えます。

関連リンク

参考にした情報源リンク