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[インデックス 17928] ファイルの概要

このコミットは、Goコンパイラ(cmd/gc)におけるインポートパスの解決失敗時のエラーメッセージを改善するものです。特にWindows環境でのデバッグを容易にすることを目的としています。

コミット

commit 295e73e13fa36c4f52fc88aec46bfb0ab72f63ba
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Mon Dec 9 12:55:25 2013 -0500

    cmd/gc: print more information for windows failure

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/295e73e13fa36c4f52fc88aec46bfb0ab72f63ba

元コミット内容

cmd/gc: print more information for windows failure

TBR=iant
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/39510043

変更の背景

このコミットの背景には、Goコンパイラ(cmd/gc)がパッケージのインポートに失敗した際に、特にWindows環境でデバッグが困難になるという問題がありました。元々のエラーメッセージは「can't find import: "パッケージ名"」という形式で、どのパスを探索して見つからなかったのかという情報が欠落していました。

Goのパッケージインポートは、GOPATH環境変数で指定されたディレクトリやGoの標準ライブラリパスなど、複数の場所を探索して行われます。しかし、ファイルシステムの大文字・小文字の区別やパスの区切り文字(Windowsでは\、Unix系では/)の違いなど、OS固有の挙動が原因でインポートに失敗することがあります。特にWindowsでは、パスの大文字・小文字の扱いがUnix系OSと異なるため、開発者が意図しないパスでパッケージを探してしまうことがありました。

このような状況で、コンパイラが実際にどのパスを探索して失敗したのかがエラーメッセージに含まれていないと、ユーザーは問題の特定に多くの時間を費やす必要がありました。このコミットは、エラーメッセージに探索したパスの情報を追加することで、デバッグの効率を向上させることを目的としています。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGoコンパイラ(cmd/gc)の内部動作とC言語の基本的な概念に関する知識が必要です。

  • cmd/gc: Go言語の公式コンパイラの一つで、Goのソースコードを機械語に変換する役割を担います。gcは"Go compiler"の略です。Goのツールチェインの一部として提供され、go buildコマンドなどで内部的に利用されます。
  • import文とパッケージ解決: Go言語では、import "path/to/package"という形式で他のパッケージをインポートします。コンパイラは、このパスに基づいて、GOPATHGOROOTなどの環境変数で指定されたディレクトリ内を探索し、対応するパッケージを見つけ出します。この探索プロセスは「パッケージ解決」と呼ばれます。
  • src/cmd/gc/lex.c: cmd/gcコンパイラのソースコードの一部で、字句解析(lexical analysis)やインポート処理に関連する機能が含まれています。lex.cというファイル名から、字句解析器(lexer)の実装が含まれていることが示唆されますが、このコミットが変更しているimportfile関数は、コンパイラがソースファイル内でimport文を処理する際に呼び出される部分です。
  • importfile関数: Goコンパイラがソースコード中のimport文を処理する際に呼び出される関数です。この関数は、インポートされるパッケージのパスを解決し、そのパッケージが既にインポートされているか、または見つかるかどうかを確認します。
  • findpkg関数: importfile関数内で呼び出される補助関数で、与えられたパッケージパスに対応するパッケージがファイルシステム上で存在するかどうかを探索します。この関数がfalseを返した場合、パッケージが見つからなかったことを意味します。
  • yyerror関数: Goコンパイラ(cmd/gc)の内部で使われるエラー報告関数です。C言語で書かれたコンパイラやパーサーでよく使われるyacc/bisonなどのツールが生成するコードで利用されるエラー報告メカニズムに由来します。yyerrorは、コンパイル時に発生したエラーメッセージを標準エラー出力に出力するために使用されます。フォーマット文字列と可変引数を取り、printfライクな形式でメッセージを整形できます。
  • %Zフォーマット指定子: yyerror関数内で使用されるカスタムフォーマット指定子です。これは、Goコンパイラの内部で文字列(char*)を安全に出力するために定義されたものです。通常のC言語のprintfにおける%sと同様に文字列を出力しますが、コンパイラの内部構造体やメモリ管理と連携して動作します。
  • f->u.sval: Val構造体のメンバーで、インポートしようとしたパッケージの元の文字列値(例: "fmt""net/http")を指します。
  • path変数: importfile関数内で、findpkg関数に渡される、実際に探索されたパッケージのパス文字列を指します。これは、GOPATHGOROOTのパスと結合された、ファイルシステム上の絶対パスまたは相対パスの可能性があります。
  • errorexit(): エラーが発生した際にコンパイラの実行を終了させる関数です。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、src/cmd/gc/lex.cファイルのimportfile関数内の一行の変更に集約されます。

変更前:

yyerror("can't find import: \"%Z\"", f->u.sval);

変更後:

yyerror("can't find import: \"%Z\" [path=%Z]", f->u.sval, path);

この変更は、yyerror関数の呼び出しにおいて、エラーメッセージのフォーマット文字列に" [path=%Z]"を追加し、さらにpath変数を追加の引数として渡しています。

具体的には、以下の点が重要です。

  1. エラーメッセージの拡張: 元々のエラーメッセージは、インポートに失敗したパッケージ名(f->u.sval)のみを表示していました。変更後は、それに加えて、コンパイラが実際にそのパッケージを探しに行ったパス(path変数)も表示されるようになります。
  2. path変数の重要性: path変数は、importfile関数内でfindpkg関数に渡される直前の、正規化された(または探索対象となる)パスです。このパスは、GOPATHGOROOTの各エントリとインポートパスが結合された結果のパスであり、実際にファイルシステム上で存在するかどうかをチェックされたパスです。この情報がエラーメッセージに含まれることで、ユーザーはどの具体的なパスでパッケージが見つからなかったのかを正確に知ることができます。
  3. デバッグの容易性: 特にWindows環境では、ファイルシステムの大文字・小文字の区別が曖昧であったり、パスの区切り文字が異なる(/\)ために、Goのビルドシステムが期待するパスと実際のパスが一致しないことがあります。例えば、github.com/user/repoをインポートしようとした際に、ファイルシステム上ではGitHub.com/User/Repoとして存在する場合、Unix系OSでは問題になることがありますが、Windowsでは問題なく動作することがあります。しかし、Goのツールチェインが内部的に期待するパス形式と実際のパス形式の不一致が原因で、findpkgが失敗するケースも考えられます。このpath情報があれば、ユーザーはGOPATHの設定、ディレクトリ名、ファイル名の大文字・小文字、またはシンボリックリンクなどの問題を迅速に特定できます。
  4. %Zの再利用: yyerrorが複数の%Zフォーマット指定子をサポートしているため、既存のメカニズムをそのまま利用して、追加の文字列引数(path)を渡すことが可能です。これにより、コンパイラのコードベースに大きな変更を加えることなく、エラーメッセージの改善が実現されています。

この変更は、コンパイラのロジック自体には影響を与えず、あくまでエラー報告の品質を向上させるためのものです。しかし、開発者体験(Developer Experience)の観点からは非常に価値のある改善と言えます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/gc/lex.c
+++ b/src/cmd/gc/lex.c
@@ -707,7 +707,7 @@ importfile(Val *f, int line)
 	}
 
 	if(!findpkg(path)) {
-		yyerror("can't find import: \"%Z\"", f->u.sval);
+		yyerror("can't find import: \"%Z\" [path=%Z]", f->u.sval, path);
 		errorexit();
 	}
 	importpkg = mkpkg(path);

コアとなるコードの解説

変更が行われたのは、src/cmd/gc/lex.cファイル内のimportfile関数です。

importfile関数は、Goのソースコード内でimport文が検出された際に呼び出されます。この関数は、インポートされるパッケージのパスを解決し、そのパッケージがシステム上で利用可能かどうかを確認する役割を担っています。

変更箇所の周辺のコードは以下のようになっています。

// ... (importfile関数の他の部分) ...

// パッケージが見つからない場合の処理
if(!findpkg(path)) {
    // パッケージが見つからなかった場合にエラーを報告
    yyerror("can't find import: \"%Z\" [path=%Z]", f->u.sval, path);
    // エラー発生によりコンパイラを終了
    errorexit();
}

// パッケージが見つかった場合の処理
importpkg = mkpkg(path);

// ... (importfile関数の残りの部分) ...
  1. if(!findpkg(path)):

    • findpkg(path)は、pathで指定されたパッケージがGoの探索パス(GOPATH, GOROOTなど)内に存在するかどうかをチェックする関数です。
    • !演算子により、findpkgfalse(パッケージが見つからなかった)を返した場合に、このifブロック内のコードが実行されます。
  2. yyerror("can't find import: \"%Z\" [path=%Z]", f->u.sval, path);:

    • これがこのコミットの核心的な変更です。
    • yyerrorはコンパイラのエラー報告関数です。
    • 第一引数はエラーメッセージのフォーマット文字列です。変更前は"can't find import: \"%Z\""でしたが、変更後は"can't find import: \"%Z\" [path=%Z]"となりました。
    • %Zは、Goコンパイラ内部で文字列を出力するためのカスタムフォーマット指定子です。
    • 第二引数f->u.svalは、ユーザーがソースコードに記述した元のインポートパス(例: "fmt""github.com/foo/bar")です。
    • 第三引数pathは、findpkg関数に渡された、コンパイラが実際に探索したファイルシステム上のパスです。このpathは、GOPATHGOROOTのパスと結合された、具体的なディレクトリパスやファイルパスの可能性があります。
    • この変更により、エラーメッセージには「インポートしようとしたパッケージ名」と「実際に探索されたパス」の両方が含まれるようになり、デバッグ情報が大幅に強化されました。
  3. errorexit();:

    • yyerrorが呼び出された後、errorexit()が呼び出され、コンパイルプロセスが直ちに終了します。これは、インポートエラーが致命的な問題であり、それ以上コンパイルを続行できないためです。

このコード変更は、Goコンパイラの堅牢性や機能性には直接影響を与えませんが、エラーメッセージの質を向上させることで、開発者がコンパイルエラーの原因を特定し、問題を解決するまでの時間を大幅に短縮する効果があります。特に、環境設定やファイルパスの不一致が原因で発生するインポートエラーのデバッグにおいて、その効果は顕著です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

このコミットは、Goコンパイラ(cmd/gc)におけるインポートパスの解決失敗時のエラーメッセージを改善するものです。特にWindows環境でのデバッグを容易にすることを目的としています。

コミット

commit 295e73e13fa36c4f52fc88aec46bfb0ab72f63ba
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Mon Dec 9 12:55:25 2013 -0500

    cmd/gc: print more information for windows failure

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/295e73e13fa36c4f52fc88aec46bfb0ab72f63ba

元コミット内容

cmd/gc: print more information for windows failure

TBR=iant
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/39510043

変更の背景

このコミットの背景には、Goコンパイラ(cmd/gc)がパッケージのインポートに失敗した際に、特にWindows環境でデバッグが困難になるという問題がありました。元々のエラーメッセージは「can't find import: "パッケージ名"」という形式で、どのパスを探索して見つからなかったのかという情報が欠落していました。

Goのパッケージインポートは、GOPATH環境変数で指定されたディレクトリやGoの標準ライブラリパスなど、複数の場所を探索して行われます。しかし、ファイルシステムの大文字・小文字の区別やパスの区切り文字(Windowsでは\、Unix系では/)の違いなど、OS固有の挙動が原因でインポートに失敗することがあります。特にWindowsでは、パスの大文字・小文字の扱いがUnix系OSと異なるため、開発者が意図しないパスでパッケージを探してしまうことがありました。

このような状況で、コンパイラが実際にどのパスを探索して失敗したのかがエラーメッセージに含まれていないと、ユーザーは問題の特定に多くの時間を費やす必要がありました。このコミットは、エラーメッセージに探索したパスの情報を追加することで、デバッグの効率を向上させることを目的としています。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGoコンパイラ(cmd/gc)の内部動作とC言語の基本的な概念に関する知識が必要です。

  • cmd/gc: Go言語の公式コンパイラの一つで、Goのソースコードを機械語に変換する役割を担います。gcは"Go compiler"の略です。Goのツールチェインの一部として提供され、go buildコマンドなどで内部的に利用されます。
  • import文とパッケージ解決: Go言語では、import "path/to/package"という形式で他のパッケージをインポートします。コンパイラは、このパスに基づいて、GOPATHGOROOTなどの環境変数で指定されたディレクトリ内を探索し、対応するパッケージを見つけ出します。この探索プロセスは「パッケージ解決」と呼ばれます。
  • src/cmd/gc/lex.c: cmd/gcコンパイラのソースコードの一部で、字句解析(lexical analysis)やインポート処理に関連する機能が含まれています。lex.cというファイル名から、字句解析器(lexer)の実装が含まれていることが示唆されますが、このコミットが変更しているimportfile関数は、コンパイラがソースファイル内でimport文を処理する際に呼び出される部分です。
  • importfile関数: Goコンパイラがソースコード中のimport文を処理する際に呼び出される関数です。この関数は、インポートされるパッケージのパスを解決し、そのパッケージが既にインポートされているか、または見つかるかどうかを確認します。
  • findpkg関数: importfile関数内で呼び出される補助関数で、与えられたパッケージパスに対応するパッケージがファイルシステム上で存在するかどうかを探索します。この関数がfalseを返した場合、パッケージが見つからなかったことを意味します。
  • yyerror関数: Goコンパイラ(cmd/gc)の内部で使われるエラー報告関数です。C言語で書かれたコンパイラやパーサーでよく使われるyacc/bisonなどのツールが生成するコードで利用されるエラー報告メカニズムに由来します。yyerrorは、コンパイル時に発生したエラーメッセージを標準エラー出力に出力するために使用されます。フォーマット文字列と可変引数を取り、printfライクな形式でメッセージを整形できます。
  • %Zフォーマット指定子: yyerror関数内で使用されるカスタムフォーマット指定子です。これは、Goコンパイラの内部で文字列(char*)を安全に出力するために定義されたものです。通常のC言語のprintfにおける%sと同様に文字列を出力しますが、コンパイラの内部構造体やメモリ管理と連携して動作します。
  • f->u.sval: Val構造体のメンバーで、インポートしようとしたパッケージの元の文字列値(例: "fmt""net/http")を指します。
  • path変数: importfile関数内で、findpkg関数に渡される、実際に探索されたパッケージのパス文字列を指します。これは、GOPATHGOROOTのパスと結合された、ファイルシステム上の絶対パスまたは相対パスの可能性があります。
  • errorexit(): エラーが発生した際にコンパイラの実行を終了させる関数です。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、src/cmd/gc/lex.cファイルのimportfile関数内の一行の変更に集約されます。

変更前:

yyerror("can't find import: \"%Z\"", f->u.sval);

変更後:

yyerror("can't find import: \"%Z\" [path=%Z]", f->u.sval, path);

この変更は、yyerror関数の呼び出しにおいて、エラーメッセージのフォーマット文字列に" [path=%Z]"を追加し、さらにpath変数を追加の引数として渡しています。

具体的には、以下の点が重要です。

  1. エラーメッセージの拡張: 元々のエラーメッセージは、インポートに失敗したパッケージ名(f->u.sval)のみを表示していました。変更後は、それに加えて、コンパイラが実際にそのパッケージを探しに行ったパス(path変数)も表示されるようになります。
  2. path変数の重要性: path変数は、importfile関数内でfindpkg関数に渡される直前の、正規化された(または探索対象となる)パスです。このパスは、GOPATHGOROOTの各エントリとインポートパスが結合された結果のパスであり、実際にファイルシステム上で存在するかどうかをチェックされたパスです。この情報がエラーメッセージに含まれることで、ユーザーはどの具体的なパスでパッケージが見つからなかったのかを正確に知ることができます。
  3. デバッグの容易性: 特にWindows環境では、ファイルシステムの大文字・小文字の区別が曖昧であったり、パスの区切り文字が異なる(/\)ために、Goのビルドシステムが期待するパスと実際のパスが一致しないことがあります。例えば、github.com/user/repoをインポートしようとした際に、ファイルシステム上ではGitHub.com/User/Repoとして存在する場合、Unix系OSでは問題になることがありますが、Windowsでは問題なく動作することがあります。しかし、Goのツールチェインが内部的に期待するパス形式と実際のパス形式の不一致が原因で、findpkgが失敗するケースも考えられます。このpath情報があれば、ユーザーはGOPATHの設定、ディレクトリ名、ファイル名の大文字・小文字、またはシンボリックリンクなどの問題を迅速に特定できます。
  4. %Zの再利用: yyerrorが複数の%Zフォーマット指定子をサポートしているため、既存のメカニズムをそのまま利用して、追加の文字列引数(path)を渡すことが可能です。これにより、コンパイラのコードベースに大きな変更を加えることなく、エラーメッセージの改善が実現されています。

この変更は、コンパイラのロジック自体には影響を与えず、あくまでエラー報告の品質を向上させるためのものです。しかし、開発者体験(Developer Experience)の観点からは非常に価値のある改善と言えます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/gc/lex.c
+++ b/src/cmd/gc/lex.c
@@ -707,7 +707,7 @@ importfile(Val *f, int line)
 	}
 
 	if(!findpkg(path)) {
-		yyerror("can't find import: \"%Z\"", f->u.sval);
+		yyerror("can't find import: \"%Z\" [path=%Z]", f->u.sval, path);
 		errorexit();
 	}
 	importpkg = mkpkg(path);

コアとなるコードの解説

変更が行われたのは、src/cmd/gc/lex.cファイル内のimportfile関数です。

importfile関数は、Goのソースコード内でimport文が検出された際に呼び出されます。この関数は、インポートされるパッケージのパスを解決し、そのパッケージがシステム上で利用可能かどうかを確認する役割を担っています。

変更箇所の周辺のコードは以下のようになっています。

// ... (importfile関数の他の部分) ...

// パッケージが見つからない場合の処理
if(!findpkg(path)) {
    // パッケージが見つからなかった場合にエラーを報告
    yyerror("can't find import: \"%Z\" [path=%Z]", f->u.sval, path);
    // エラー発生によりコンパイラを終了
    errorexit();
}

// パッケージが見つかった場合の処理
importpkg = mkpkg(path);

// ... (importfile関数の残りの部分) ...
  1. if(!findpkg(path)):

    • findpkg(path)は、pathで指定されたパッケージがGoの探索パス(GOPATH, GOROOTなど)内に存在するかどうかをチェックする関数です。
    • !演算子により、findpkgfalse(パッケージが見つからなかった)を返した場合に、このifブロック内のコードが実行されます。
  2. yyerror("can't find import: \"%Z\" [path=%Z]", f->u.sval, path);:

    • これがこのコミットの核心的な変更です。
    • yyerrorはコンパイラのエラー報告関数です。
    • 第一引数はエラーメッセージのフォーマット文字列です。変更前は"can't find import: \"%Z\""でしたが、変更後は"can't find import: \"%Z\" [path=%Z]"となりました。
    • %Zは、Goコンパイラ内部で文字列を出力するためのカスタムフォーマット指定子です。
    • 第二引数f->u.svalは、ユーザーがソースコードに記述した元のインポートパス(例: "fmt""github.com/foo/bar")です。
    • 第三引数pathは、findpkg関数に渡された、コンパイラが実際に探索したファイルシステム上のパスです。このpathは、GOPATHGOROOTのパスと結合された、具体的なディレクトリパスやファイルパスの可能性があります。
    • この変更により、エラーメッセージには「インポートしようとしたパッケージ名」と「実際に探索されたパス」の両方が含まれるようになり、デバッグ情報が大幅に強化されました。
  3. errorexit();:

    • yyerrorが呼び出された後、errorexit()が呼び出され、コンパイルプロセスが直ちに終了します。これは、インポートエラーが致命的な問題であり、それ以上コンパイルを続行できないためです。

このコード変更は、Goコンパイラの堅牢性や機能性には直接影響を与えませんが、エラーメッセージの質を向上させることで、開発者がコンパイルエラーの原因を特定し、問題を解決するまでの時間を大幅に短縮する効果があります。特に、環境設定やファイルパスの不一致が原因で発生するインポートエラーのデバッグにおいて、その効果は顕著です。

関連リンク

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