Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

[インデックス 17962] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリである crypto/x509 パッケージ内のコメントのタイポを修正するものです。具体的には、CreateCertificate 関数のコメントにおける、秘密鍵の型に関する記述の誤りを訂正しています。

コミット

commit 2f43ce7fb0390f9d429cedf4f9f6701c1268411e
Author: Adam Langley <agl@golang.org>
Date:   Wed Dec 11 17:27:29 2013 -0500

    crypto/x509: fix typo in comment.
    
    Fixes #6633.
    
    R=golang-dev, r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/40720046

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/2f43ce7fb0390f9d429cedf4f9f6701c1268411e

元コミット内容

crypto/x509 パッケージ内のコメントのタイポを修正しました。Issue #6633 を修正します。

変更の背景

この変更は、Go言語の crypto/x509 パッケージ内の CreateCertificate 関数のコメントに存在する単純なタイポを修正するために行われました。コメントはコードの動作には直接影響しませんが、正確なドキュメントはコードの理解と利用において非常に重要です。特に、暗号化ライブラリのようなセキュリティに直結する部分では、誤解を招く記述は避けるべきです。このタイポは、秘密鍵の型に関する記述の誤りであり、開発者が関数を使用する際に混乱を招く可能性がありました。

前提知識の解説

crypto/x509 パッケージ

Go言語の crypto/x509 パッケージは、X.509証明書とPKIX (Public Key Infrastructure X.509) の実装を提供します。X.509証明書は、公開鍵暗号における公開鍵の所有者を検証するための標準的な形式であり、TLS/SSL通信、コード署名、電子メールのセキュリティなど、様々なセキュリティプロトコルで広く使用されています。このパッケージは、証明書のパース、検証、生成などの機能を提供します。

X.509 証明書

X.509証明書は、公開鍵と、その公開鍵が特定のエンティティ(人、サーバー、組織など)に属していることを証明するデジタル署名を含む標準的なデータ構造です。証明書には、公開鍵、所有者の識別情報(Subject)、発行者の識別情報(Issuer)、有効期間、署名アルゴリズム、および発行者のデジタル署名などが含まれます。

公開鍵と秘密鍵

公開鍵暗号方式では、公開鍵と秘密鍵のペアが使用されます。

  • 公開鍵 (Public Key): 誰でも利用できる鍵で、データの暗号化やデジタル署名の検証に使用されます。
  • 秘密鍵 (Private Key): 所有者のみが保持する鍵で、データの復号化やデジタル署名の生成に使用されます。

これらの鍵は数学的に関連付けられており、公開鍵で暗号化されたデータは対応する秘密鍵でのみ復号でき、秘密鍵で署名されたデータは対応する公開鍵でのみ検証できます。

RSA と ECDSA

これらは公開鍵暗号方式のアルゴリズムです。

  • RSA (Rivest–Shamir–Adleman): 最も広く使用されている公開鍵暗号アルゴリズムの一つです。大きな素数の積を因数分解することの困難性に基づいています。
  • ECDSA (Elliptic Curve Digital Signature Algorithm): 楕円曲線暗号に基づくデジタル署名アルゴリズムです。RSAよりも短い鍵長で同等のセキュリティ強度を提供できるため、モバイルデバイスやリソースが限られた環境で有利です。

io.Reader インターフェース

Go言語の io.Reader インターフェースは、データを読み込むための基本的なインターフェースです。Read メソッドを持ち、バイトスライスにデータを読み込み、読み込んだバイト数とエラーを返します。CreateCertificate 関数では、乱数ジェネレータとして io.Reader を受け取ります。

pkix.AlgorithmIdentifier

pkix パッケージは、X.509証明書とPKIX関連のデータ構造を定義します。pkix.AlgorithmIdentifier は、暗号アルゴリズムとそのパラメータを識別するための構造体です。

CreateCertificate 関数

crypto/x509 パッケージの CreateCertificate 関数は、新しいX.509証明書を生成するために使用されます。この関数は、乱数ジェネレータ、証明書のテンプレート、親証明書(自己署名証明書の場合は自身)、公開鍵、および秘密鍵を引数として受け取ります。戻り値はDERエンコーディングされた証明書のバイトスライスとエラーです。

関数のシグネチャは以下の通りです:

func CreateCertificate(rand io.Reader, template, parent *Certificate, pub interface{}, priv interface{}) (cert []byte, err error)

ここで、pubpriv はそれぞれ公開鍵と秘密鍵を表し、interface{} 型で渡されます。これは、様々な種類の鍵(RSA、ECDSAなど)を受け入れるためです。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/crypto/x509/x509.go ファイル内の CreateCertificate 関数のコメント行を修正しています。

元のコメントは以下のようでした:

// *ecdsa.PublicKey for pub, *rsa.PrivateKey or *ecdsa.PublicKey for priv)

このコメントは、priv (秘密鍵) の型として *ecdsa.PublicKey を誤って記述していました。しかし、*ecdsa.PublicKey は公開鍵の型であり、秘密鍵の型ではありません。ECDSAの秘密鍵は *ecdsa.PrivateKey です。

修正後のコメントは以下の通りです:

// *ecdsa.PublicKey for pub, *rsa.PrivateKey or *ecdsa.PrivateKey for priv)

この修正により、priv の型が *ecdsa.PrivateKey と正しく記述され、コメントがコードの意図と一致するようになりました。これはコードの動作に影響を与えるものではなく、純粋にドキュメントの正確性を向上させるための修正です。しかし、このような小さな修正でも、ライブラリの利用者にとっては混乱を避け、正しいAPIの使用を促す上で重要です。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/pkg/crypto/x509/x509.go b/src/pkg/crypto/x509/x509.go
index 57f68ba7ed..4a5e7e86e5 100644
--- a/src/pkg/crypto/x509/x509.go
+++ b/src/pkg/crypto/x509/x509.go
@@ -1355,7 +1355,7 @@ func subjectBytes(cert *Certificate) ([]byte, error) {
 // The returned slice is the certificate in DER encoding.
 //
 // The only supported key types are RSA and ECDSA (*rsa.PublicKey or
-// *ecdsa.PublicKey for pub, *rsa.PrivateKey or *ecdsa.PublicKey for priv).
+// *ecdsa.PublicKey for pub, *rsa.PrivateKey or *ecdsa.PrivateKey for priv).
 func CreateCertificate(rand io.Reader, template, parent *Certificate, pub interface{}, priv interface{}) (cert []byte, err error) {
  	var publicKeyBytes []byte
  	var publicKeyAlgorithm pkix.AlgorithmIdentifier

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/crypto/x509/x509.go ファイルの1357行目にあるコメントに限定されています。

元の行: // *ecdsa.PublicKey for pub, *rsa.PrivateKey or *ecdsa.PublicKey for priv).

修正後の行: // *ecdsa.PublicKey for pub, *rsa.PrivateKey or *ecdsa.PrivateKey for priv).

この変更は、CreateCertificate 関数の priv 引数(秘密鍵)に渡すことができる型に関する説明を修正しています。元のコメントでは、ECDSAの秘密鍵として誤って *ecdsa.PublicKey が記載されていましたが、これは公開鍵の型です。正しい秘密鍵の型は *ecdsa.PrivateKey であり、この修正によってコメントが正確になりました。

この修正は、コードの実行ロジックや機能には一切影響を与えません。純粋にドキュメントの正確性を高めるための変更であり、Go言語の標準ライブラリにおけるコード品質とドキュメンテーションの重要性を示しています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • X.509証明書に関する一般的な情報源 (RFCなど)
  • RSAおよびECDSAアルゴリズムに関する一般的な情報源