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[インデックス 18002] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリstringsパッケージ内のexample_test.goファイルに、IndexFunc関数の使用例を追加するものです。example_test.goは、Goのテストフレームワークの一部として、関数の使用方法を示す実行可能なサンプルコードを提供するために使用されます。これにより、開発者は関数の挙動をより簡単に理解し、自身のコードで利用する際の参考にすることができます。

コミット

commit ab9b2ae38cced9938bb5d8dfdc671fcd2be9b204
Author: Robin Eklind <r.eklind.87@gmail.com>
Date:   Mon Dec 16 10:44:23 2013 -0800

    strings: Add IndexFunc example
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/42370043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/ab9b2ae38cced9938bb5d8dfdc671fcd2be9b204

元コミット内容

strings: Add IndexFunc example

R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/42370043

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語の標準ライブラリのドキュメントと使いやすさの向上という目的があります。strings.IndexFunc関数は、文字列内で特定の条件を満たす最初のUnicode文字のインデックスを検索するための強力なツールですが、その使用方法が明確でない場合がありました。公式のexample_test.goファイルに具体的な使用例を追加することで、開発者がこの関数をどのように利用できるかを視覚的に示し、理解を深める手助けとなります。特に、IndexFuncruneunicodeパッケージの関数と組み合わせて使用されることが多い点を考慮すると、このような実践的な例は非常に価値があります。

前提知識の解説

このコミットの変更内容を理解するためには、以下のGo言語の概念と関数についての知識が必要です。

  • strings.IndexFunc関数: func IndexFunc(s string, f func(rune) bool) int この関数は、文字列s内で、指定された関数ftrueを返す最初のUnicode文字(rune)のインデックスを返します。もし条件を満たす文字が見つからない場合は-1を返します。IndexFuncは、単一の文字や部分文字列ではなく、特定の条件(例えば、数字であるか、特定のスクリプトに属するかなど)に基づいて文字を検索する際に非常に有用です。

  • rune: Go言語において、runeはUnicodeコードポイントを表す組み込み型であり、実体はint32のエイリアスです。Goの文字列はUTF-8でエンコードされたバイトのシーケンスですが、runeを使用することで、個々のUnicode文字を正確に扱うことができます。これにより、多言語対応や絵文字の処理が容易になります。

  • unicodeパッケージ: unicodeパッケージは、Unicode標準に関する様々な機能を提供します。これには、文字のカテゴリ判定(例: 数字、文字、句読点)、スクリプト判定(例: ラテン文字、漢字、キリル文字)、大文字・小文字変換などが含まれます。

  • unicode.Is関数: func Is(rangeTab *RangeTable, r rune) bool unicode.Is関数は、指定されたrune rが、rangeTabで定義されたUnicode文字の範囲に含まれるかどうかを判定します。rangeTabunicodeパッケージで定義されている定数で、特定の文字カテゴリやスクリプトを表します。

  • unicode.Han定数: unicode.Hanは、unicodeパッケージで定義されている*RangeTable型の定数で、Unicodeの「Han(漢字)」スクリプトに属する文字の範囲を表します。この定数とunicode.Is関数を組み合わせることで、与えられたruneが漢字であるかどうかを効率的に判定できます。

技術的詳細

このコミットは、strings.IndexFunc関数の具体的な使用例をsrc/pkg/strings/example_test.goに追加することで、その機能と利用シナリオを明確に示しています。追加された例では、IndexFuncがどのようにカスタムの述語関数(predicate function)を受け入れ、文字列内の特定の条件を満たす最初の文字を特定するかを実演しています。

例では、以下の述語関数fが定義されています。

f := func(c rune) bool {
    return unicode.Is(unicode.Han, c)
}

この関数fは、入力されたrune cがUnicodeの漢字(Hanスクリプト)である場合にtrueを返します。

そして、このf関数をstrings.IndexFuncに渡して、2つの異なる文字列に対して検索を実行しています。

  1. fmt.Println(strings.IndexFunc("Hello, 世界", f)) このケースでは、文字列 "Hello, 世界" の中に漢字が含まれています。"世"と"界"が漢字です。IndexFuncは、文字列の先頭から順に文字をチェックし、最初にftrueを返す文字(この場合は"世")のインデックスを返します。UTF-8エンコーディングでは、ASCII文字は1バイト、漢字は通常3バイトを占めるため、"Hello, " (6バイト) + "世" (3バイト) で、"世"の開始インデックスは7となります。

  2. fmt.Println(strings.IndexFunc("Hello, world", f)) このケースでは、文字列 "Hello, world" の中には漢字が含まれていません。したがって、IndexFuncは条件を満たす文字を見つけることができず、-1を返します。

この例は、strings.IndexFuncが単なる文字の検索だけでなく、unicodeパッケージと連携して複雑な文字特性に基づいた検索を行うことができるという、その柔軟性と強力さを示しています。これにより、国際化されたアプリケーションで特定のスクリプトの文字を処理する際に、開発者がこの関数をどのように活用できるかの具体的な指針を提供します。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/strings/example_test.goファイルに集中しており、以下のコードブロックが追加されました。

--- a/src/pkg/strings/example_test.go
+++ b/src/pkg/strings/example_test.go
@@ -68,6 +68,17 @@ func ExampleIndex() {
 	// -1
 }
 
+func ExampleIndexFunc() {
+	f := func(c rune) bool {
+		return unicode.Is(unicode.Han, c)
+	}
+	fmt.Println(strings.IndexFunc("Hello, 世界", f))
+	fmt.Println(strings.IndexFunc("Hello, world", f))
+	// Output:
+	// 7
+	// -1
+}
+
 func ExampleIndexRune() {
 	fmt.Println(strings.IndexRune("chicken", 'k'))
 	fmt.Println(strings.IndexRune("chicken", 'd'))

コアとなるコードの解説

追加されたExampleIndexFunc関数は、Goのテストパッケージが提供する特別な機能を利用しています。Exampleプレフィックスを持つ関数は、go testコマンドを実行した際に、その出力がコメントアウトされた// Output:行と一致するかどうかを検証します。これにより、ドキュメントとしての役割と、コードが期待通りに動作することを確認するテストとしての役割の両方を果たします。

この例では、以下のステップでstrings.IndexFuncの使用方法を示しています。

  1. 述語関数の定義: f := func(c rune) bool { return unicode.Is(unicode.Han, c) } ここでは、rune型の引数cを受け取り、それが漢字である場合にtrueを返す匿名関数fを定義しています。unicode.Is関数とunicode.Han定数の組み合わせが、この判定ロジックの核心です。

  2. strings.IndexFuncの呼び出し(漢字を含む文字列): fmt.Println(strings.IndexFunc("Hello, 世界", f)) 文字列 "Hello, 世界" に対してf関数を適用し、最初の漢字のインデックスを検索します。"Hello, " は6バイトを占め、その後に続く "世" はUTF-8で3バイトを占めるため、"世" の開始インデックスは7となります。

  3. strings.IndexFuncの呼び出し(漢字を含まない文字列): fmt.Println(strings.IndexFunc("Hello, world", f)) 文字列 "Hello, world" には漢字が含まれていないため、IndexFunc-1を返します。

  4. 期待される出力の指定: // Output: // 7 // -1 これらのコメント行は、上記のfmt.Printlnステートメントが生成する期待される出力を示しています。go testは、この出力と実際のプログラムの出力を比較し、一致すればテストが成功したと判断します。

このコードは、strings.IndexFuncがどのようにカスタムロジック(この場合は漢字の検出)を文字列検索に組み込むことができるかを示す、簡潔かつ効果的な例となっています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語公式ドキュメント (pkg.go.dev)
  • GitHub Go言語リポジトリ (golang/go)
  • Go言語のruneに関する解説記事 (例: A Tour of Go, Go by Exampleなど)
  • Unicode標準に関する一般的な情報源 (例: Unicode Consortiumのウェブサイト)
  • Go言語のexample_test.goの慣習に関する情報源 (例: Goのテストに関する公式ブログ記事やドキュメント)