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[インデックス 18123] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のソースコードコメントにおけるスペルミスを修正するものです。コードの機能的な変更ではなく、ドキュメントやコメントの品質向上を目的としています。

コミット

commit 5499034a7143d631e31b108b0c14c86c2345d458
Author: Martin Olsson <martin@minimum.se>
Date:   Fri Dec 27 08:59:02 2013 -0800

    all: fix a few spelling errors in source comments
    
    R=golang-codereviews, dave, iant
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/45750044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/5499034a7143d631e31b108b0c14c86c2345d458

元コミット内容

all: fix a few spelling errors in source comments

変更の背景

ソフトウェア開発において、コードのコメントは非常に重要です。コメントはコードの意図、設計上の決定、複雑なロジックの説明などを開発者に伝達する役割を担います。スペルミスや文法的な誤りを含むコメントは、その可読性を損ない、誤解を招く可能性があり、プロフェッショナルな印象を低下させます。

このコミットは、Go言語の標準ライブラリおよびツールチェイン内の複数のファイルにわたるコメントのスペルミスを修正することで、コードベース全体の品質と可読性を向上させることを目的としています。これは、継続的なコードベースの保守と改善の一環であり、小さな変更であっても、長期的なプロジェクトの健全性に寄与します。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下の概念に関する基本的な知識が役立ちます。

  • Go言語のソースコード構造: Go言語のプロジェクトは通常、srcディレクトリ以下に標準ライブラリやツールチェインのソースコードが配置されています。cmdディレクトリにはコンパイラ(gc)、リンカ(liblink)、その他のコマンドラインツール(nmなど)のソースが含まれます。pkgディレクトリには標準パッケージのソースが含まれ、testディレクトリにはテストコードが含まれます。
  • コメントの重要性: プログラミングにおけるコメントは、コードの動作を説明し、将来の読者(自分自身を含む)がコードを理解しやすくするために不可欠です。特に、複雑なアルゴリズム、非自明な設計、または特定の制約がある場合には、詳細なコメントが求められます。
  • スペルチェック: ソフトウェア開発プロセスにおいて、コードだけでなくコメントやドキュメントのスペルチェックも重要です。これにより、プロフェッショナルな品質を維持し、誤解を防ぎます。多くのIDEやCI/CDパイプラインには、スペルチェックツールが統合されています。
  • Goのツールチェイン:
    • gc: Goコンパイラ。Goソースコードを機械語に変換します。
    • nm: Goのオブジェクトファイルやアーカイブファイル内のシンボル(関数名、変数名など)をリスト表示するツール。Unix系のnmコマンドに似ています。
    • liblink: Goリンカのライブラリ部分。オブジェクトファイルを結合して実行可能ファイルを生成します。
  • Goの標準パッケージ:
    • database/sql: Goの標準ライブラリに含まれる、SQLデータベースとの一般的なインターフェースを提供するパッケージ。特定のデータベースドライバに依存しない抽象化レイヤーを提供します。
    • sort: スライスやユーザー定義コレクションをソートするための関数を提供するパッケージ。安定ソート(Stable Sort)などのアルゴリズムが含まれます。
  • go.h: Goコンパイラ(gc)の内部で使用されるヘッダーファイルで、Go言語の内部データ構造、定数、列挙型などが定義されています。OMAKE, OSLICE などの内部的なノードタイプが定義されています。

技術的詳細

このコミットは、Go言語のソースコードコメント内の特定のスペルミスを修正しています。修正された単語は以下の通りです。

  • supress -> suppress: 「抑制する」という意味の単語。
  • specfic -> specific: 「特定の」という意味の単語。
  • compatiblity -> compatibility: 「互換性」という意味の単語。
  • guranteed -> guaranteed: 「保証された」という意味の単語。
  • seperate -> separate: 「分離した」という意味の単語。
  • algoritms -> algorithms: 「アルゴリズム」という意味の単語。
  • experimentaly -> experimentally: 「実験的に」という意味の単語。
  • wich -> which: 関係代名詞。
  • argumentation -> argumentation: 「論証」という意味の単語。
  • divison -> division: 「除算」という意味の単語。
  • convertion -> conversion: 「変換」という意味の単語。
  • seperated -> separated: 「分離された」という意味の単語。

これらの修正は、主にコメント内の誤字を訂正するものであり、コードの動作には一切影響を与えません。しかし、コメントの正確性を高め、将来の読者がコードをより正確に理解できるようにするという点で重要です。

修正箇所は、Goコンパイラの内部コード (src/cmd/gc/fmt.c, src/cmd/gc/go.h, src/cmd/gc/subr.c)、nmコマンドのドキュメント (src/cmd/nm/doc.go)、リンカのARMアセンブリコード (src/liblink/asm5.c)、database/sqlパッケージ (src/pkg/database/sql/sql.go)、sortパッケージ (src/pkg/sort/sort.go)、およびテストファイル (test/divmod.go, test/fixedbugs/bug476.go, test/run.go) にわたっています。これは、Goプロジェクト全体でコード品質に対する意識が高いことを示しています。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットは、複数のファイルのコメント行にわたるスペル修正が主な変更点です。以下にその一部を抜粋して示します。

src/cmd/gc/fmt.c

--- a/src/cmd/gc/fmt.c
+++ b/src/cmd/gc/fmt.c
@@ -17,7 +17,7 @@
 //		Flags: "%#O": print go syntax. (automatic unless fmtmode == FDbg)
 //
 //	%J Node*	Node details
-//		Flags: "%hJ" supresses things not relevant until walk.
+//		Flags: "%hJ" suppresses things not relevant until walk.
 //
 //	%V Val*		Constant values
 //

src/cmd/gc/go.h

--- a/src/cmd/gc/go.h
+++ b/src/cmd/gc/go.h
@@ -503,7 +503,7 @@ enum
 	OKEY,	// The x:3 in t{x:3, y:4}, the 1:2 in a[1:2], the 2:20 in [3]int{2:20}, etc.
 	OPARAM,	// The on-stack copy of a parameter or return value that escapes.
 	OLEN,	// len
-	OMAKE,	// make, typechecking may convert to a more specfic OMAKEXXX.
+	OMAKE,	// make, typechecking may convert to a more specific OMAKEXXX.
 	OMAKECHAN,	// make(chan int)
 	OMAKEMAP,	// make(map[string]int)
 	OMAKESLICE,	// make([]int, 0)
@@ -525,7 +525,7 @@ enum
 	OPRINTN,	// println
 	OPAREN,	// (x)
 	OSEND,	// c <- x
-	OSLICE,	// v[1:2], typechecking may convert to a more specfic OSLICEXXX.
+	OSLICE,	// v[1:2], typechecking may convert to a more specific OSLICEXXX.
 	OSLICEARR,	// a[1:2]
 	OSLICESTR,	// s[1:2]
 	OSLICE3,	// v[1:2:3], typechecking may convert to OSLICE3ARR.

src/pkg/database/sql/sql.go

--- a/src/pkg/database/sql/sql.go
+++ b/src/pkg/database/sql/sql.go
@@ -569,7 +569,7 @@ func (db *DB) maybeOpenNewConnections() {
 	}
 }
 
-// Runs in a seperate goroutine, opens new connections when requested.
+// Runs in a separate goroutine, opens new connections when requested.
 func (db *DB) connectionOpener() {
 	for _ = range db.openerCh {
 		db.openNewConnection()

コアとなるコードの解説

このコミットにおける「コアとなるコードの変更箇所」は、Go言語のソースコード内のコメント行におけるスペルミスを修正した点です。具体的なコードのロジックや機能には一切変更が加えられていません。

例えば、src/cmd/gc/fmt.c の変更では、"%hJ" supresses things not relevant until walk. というコメントが "%hJ" suppresses things not relevant until walk. に修正されています。これは、supresses のスペルが suppresses であるべきという単純な訂正です。

同様に、src/cmd/gc/go.h では、OMAKEOSLICE といった内部的なノードタイプに関するコメントで、specficspecific に修正されています。これは、型チェックがより「特定の」OMAKEXXXOSLICEXXX に変換される可能性があることを示唆するコメントです。

src/pkg/database/sql/sql.go の変更では、connectionOpener メソッドに関するコメントで、seperateseparate に修正されています。これは、このメソッドが「別の」ゴルーチンで実行されることを説明するものです。

これらの変更は、コードの動作に影響を与えないため、技術的な複雑さはありません。しかし、コメントの正確性と可読性を向上させることで、将来のコードの理解とメンテナンスを容易にするという点で、重要な品質改善です。このような細かな修正が積み重なることで、大規模なオープンソースプロジェクトのコードベース全体の品質が維持されます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • コミットハッシュ: 5499034a7143d631e31b108b0c14c86c2345d458
  • Go Gerrit Change-Id: 45750044 (Goプロジェクトの変更はGerritというコードレビューシステムを通じて行われます。このIDはそのGerrit上の変更を指します。)