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[インデックス 18205] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるtestingパッケージ内のResetTimer関数のドキュメントを更新するものです。具体的には、ResetTimerがベンチマークの経過時間だけでなく、メモリ割り当てカウンターもゼロにリセットすることを明確にするための変更です。

コミット

commit 9847c065f493be193231c0482dca200247732ca9
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date:   Thu Jan 9 15:21:24 2014 -0500

    testing: document that ResetTimer also zeros the allocation counters.
    Fixes #6998.
    
    R=golang-codereviews, gobot, r
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/44880044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/9847c065f493be193231c0482dca200247732ca9

元コミット内容

testing: document that ResetTimer also zeros the allocation counters. Fixes #6998.

このコミットは、testingパッケージのResetTimer関数が、ベンチマークの経過時間だけでなく、メモリ割り当てカウンターもリセットするという事実をドキュメントに追加することを目的としています。これは、GoのIssue #6998を修正するものです。

変更の背景

Go言語のtestingパッケージは、ユニットテストとベンチマークテストの両方を提供します。ベンチマークテストは、コードのパフォーマンスを測定するために使用され、testing.B型を通じて様々な機能が提供されます。その中の一つにResetTimer関数があります。

ResetTimerは、ベンチマークの計測時間をリセットするために使用されます。例えば、ベンチマークのセットアップに時間がかかる場合、セットアップが完了した後にResetTimerを呼び出すことで、実際のベンチマーク対象のコードの実行時間のみを正確に測定することができます。

しかし、この関数が時間の計測だけでなく、メモリ割り当てのカウンターもリセットするという点が、当時のドキュメントでは明確に記載されていませんでした。Goのベンチマーク機能は、実行時間だけでなく、ヒープ割り当てのバイト数や回数も測定する能力を持っています。ResetTimerがこれらの割り当てカウンターにも影響を与えることは、ベンチマークの正確な解釈において重要な情報です。

このコミットは、このドキュメントの不足を解消し、ResetTimerの完全な動作をユーザーに伝えることを目的としています。これにより、ベンチマーク結果の誤解を防ぎ、より正確なパフォーマンス分析を可能にします。

前提知識の解説

Go言語のtestingパッケージ

Go言語には、標準でtestingパッケージが用意されており、これを使ってユニットテストやベンチマークテストを記述できます。

  • ユニットテスト: func TestXxx(*testing.T)という形式の関数で記述され、コードの特定の単位が正しく動作するかを検証します。
  • ベンチマークテスト: func BenchmarkXxx(*testing.B)という形式の関数で記述され、コードのパフォーマンスを測定します。go test -bench=.コマンドで実行できます。

testing.B

ベンチマーク関数に渡される*testing.B型の引数は、ベンチマークの実行を制御するためのメソッドを提供します。

  • b.N: ベンチマーク対象のコードが実行される回数を示します。ベンチマーク関数はこの回数だけループを実行します。
  • b.ResetTimer(): ベンチマークの計測時間をリセットします。
  • b.StopTimer(): ベンチマークの計測を一時停止します。
  • b.StartTimer(): ベンチマークの計測を再開します。
  • b.ReportAllocs(): メモリ割り当ての統計を報告するように設定します。

メモリ割り当てカウンター

Goのベンチマークツールは、実行時間だけでなく、ベンチマーク対象のコードがどれだけのメモリをヒープに割り当てたか(バイト数と回数)も測定できます。これは、go test -benchmemコマンドでベンチマークを実行することで確認できます。これらのカウンターは、コードの効率性、特にガベージコレクションの負荷を評価する上で非常に重要です。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は非常にシンプルで、src/pkg/testing/benchmark.goファイルのResetTimer関数のコメントを修正するだけです。

元のコメント: // ResetTimer sets the elapsed benchmark time to zero. (ResetTimerは経過ベンチマーク時間をゼロに設定します。)

変更後のコメント: // ResetTimer zeros the elapsed benchmark time and memory allocation counters. (ResetTimerは経過ベンチマーク時間とメモリ割り当てカウンターをゼロに設定します。)

この変更は、コードの動作自体を変更するものではなく、その動作に関するドキュメントをより正確にするものです。しかし、このドキュメントの正確性は、ユーザーがベンチマーク結果を正しく解釈するために不可欠です。

ResetTimerの内部実装では、時間のカウンター(b.startなど)をリセットするだけでなく、メモリ割り当てに関する内部カウンター(b.bytesb.allocsなど)もリセットしています。このコミットは、その内部的な動作を外部に公開するドキュメントに反映させたものです。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/testing/benchmark.go
+++ b/src/pkg/testing/benchmark.go
@@ -74,7 +74,7 @@ func (b *B) StopTimer() {
 	}
 }
 
-// ResetTimer sets the elapsed benchmark time to zero.
+// ResetTimer zeros the elapsed benchmark time and memory allocation counters.
 // It does not affect whether the timer is running.
 func (b *B) ResetTimer() {
 	if b.timerOn {

コアとなるコードの解説

変更はsrc/pkg/testing/benchmark.goファイルのResetTimer関数のコメント行にあります。

元のコードでは、ResetTimerのコメントは「経過ベンチマーク時間をゼロに設定する」とだけ記述されていました。しかし、実際のResetTimer関数の実装は、時間の計測をリセットするだけでなく、ベンチマーク中に発生したメモリ割り当てのバイト数と回数を記録する内部カウンターもリセットします。

このコミットは、その事実をコメントに追記することで、ResetTimerの完全な機能をユーザーに明確に伝えています。これにより、ベンチマークのセットアップフェーズで発生したメモリ割り当てが、実際のベンチマーク対象のコードのメモリ割り当て統計に影響を与えないように、ユーザーがResetTimerを適切に使用できるようになります。

例えば、以下のようなベンチマークコードがあったとします。

func BenchmarkMyFunction(b *testing.B) {
    // セットアップ処理(ここでメモリ割り当てが発生する可能性あり)
    setupData := make([]byte, 1024)

    b.ResetTimer() // ここで時間とメモリ割り当てカウンターがリセットされる

    for i := 0; i < b.N; i++ {
        // ベンチマーク対象のコード
        _ = append(setupData, byte(i)) // ここでメモリ割り当てが発生する可能性あり
    }
}

b.ResetTimer()がメモリ割り当てカウンターもリセットするというドキュメントの追加により、ユーザーはセットアップ処理でのメモリ割り当てがベンチマーク結果に影響しないことを理解し、より正確なパフォーマンス測定が可能になります。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • Go言語のソースコード(src/pkg/testing/benchmark.go
  • Go言語のIssueトラッカー(#6998に関する情報があれば参照)
    • (注: 今回の検索ではIssue #6998の具体的な内容は特定できませんでしたが、コミットメッセージからその意図を推測しました。)
  • Go言語のベンチマークに関する一般的な知識