[インデックス 18282] ファイルの概要
コミット
regexp: remove unnecessary sentence in doc comment.
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/23e72645ddf1eefbf56df7a0f3cb0a994c6f1072
元コミット内容
regexp: remove unnecessary sentence in doc comment.
R=rsc, iant
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/53190046
変更の背景
このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるregexp
パッケージ内のRegexp
構造体のドキュメントコメントから、不要な一文を削除することを目的としています。具体的には、「The public interface is entirely through methods.」という記述が削除されました。
このような変更の背景には、ドキュメントの正確性と簡潔性を保つという意図があります。コードベースが進化するにつれて、過去の記述が現状と合わなくなったり、冗長になったりすることがあります。この場合、Regexp
構造体のパブリックインターフェースが常にメソッドのみを通じて提供されるとは限らない、あるいはその記述が自明であるため不要と判断された可能性があります。ドキュメントは、ユーザーがコードを理解し、正しく利用するための重要なリソースであるため、常に最新かつ正確な情報を提供することが求められます。
前提知識の解説
Go言語のregexp
パッケージ
Go言語のregexp
パッケージは、正規表現を扱うための標準ライブラリです。Perlのような正規表現構文をサポートしており、文字列の検索、置換、分割などの操作を行うことができます。このパッケージは、コンパイルされた正規表現を表すRegexp
型を提供し、この型を通じて正規表現の操作を行います。
ドキュメントコメント
Go言語では、エクスポートされた(大文字で始まる)型、関数、変数、定数などには、その目的や使い方を説明するドキュメントコメントを記述することが慣習となっています。これらのコメントはgodoc
ツールによって自動的にドキュメントとして生成され、開発者がライブラリのAPIを理解する上で非常に重要な役割を果たします。良いドキュメントコメントは、簡潔で正確であり、読者が混乱しないように配慮されています。
Regexp
構造体
regexp
パッケージにおけるRegexp
構造体は、コンパイルされた正規表現の内部表現を保持します。正規表現のパターンは、この構造体のインスタンスとしてメモリにロードされ、その後のマッチング操作などで再利用されます。Regexp
構造体は、複数のゴルーチンによる並行利用に対して安全であるとドキュメントされています。これは、正規表現のコンパイル結果が不変であり、状態を持たない操作が提供されているためです。
技術的詳細
このコミットは、src/pkg/regexp/regexp.go
ファイル内のRegexp
構造体の定義に付随するドキュメントコメントの変更です。
変更前:
// Regexp is the representation of a compiled regular expression.
// The public interface is entirely through methods.
// A Regexp is safe for concurrent use by multiple goroutines.
type Regexp struct {
// read-only after Compile
}
変更後:
// Regexp is the representation of a compiled regular expression.
// A Regexp is safe for concurrent use by multiple goroutines.
type Regexp struct {
// read-only after Compile
}
削除された行「// The public interface is entirely through methods.
」は、Regexp
型のパブリックインターフェースが完全にメソッドを通じて提供されることを示していました。しかし、Go言語の設計原則として、構造体のフィールドがエクスポートされていれば、それもパブリックインターフェースの一部となり得ます。Regexp
構造体自体にはエクスポートされたフィールドはありませんが、将来的に追加される可能性や、一般論として「インターフェースはメソッドのみ」という記述が誤解を招く可能性があるため、この一文が不要と判断されたと考えられます。
また、Go言語のドキュメントコメントは、その対象となるエンティティ(この場合はRegexp
型)の最も重要な側面を簡潔に説明することが推奨されます。冗長な情報や自明な情報は削除することで、ドキュメントの可読性と保守性が向上します。この変更は、まさにその原則に従ったものです。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/regexp/regexp.go
+++ b/src/pkg/regexp/regexp.go
@@ -70,7 +70,6 @@ import (
var debug = false
// Regexp is the representation of a compiled regular expression.
-// The public interface is entirely through methods.
// A Regexp is safe for concurrent use by multiple goroutines.
type Regexp struct {
// read-only after Compile
コアとなるコードの解説
このコミットにおける「コアとなるコードの変更箇所」は、src/pkg/regexp/regexp.go
ファイル内のRegexp
構造体のドキュメントコメントから、以下の1行が削除された点です。
- // The public interface is entirely through methods.
この行は、Regexp
型の外部からアクセス可能な部分(パブリックインターフェース)が、その型に定義されたメソッドのみであることを示唆していました。しかし、Go言語では、構造体のフィールドもエクスポートされていればパブリックインターフェースの一部となります。Regexp
構造体自体にはエクスポートされたフィールドはありませんが、この記述が将来的に誤解を招く可能性や、Goの型システムにおける「インターフェース」の概念と混同される可能性を排除するために削除されたと考えられます。
この変更は、コードの動作には一切影響を与えません。純粋にドキュメントの正確性と簡潔性を向上させるための修正であり、Go言語のコードベース全体でドキュメントの品質を維持しようとする継続的な努力の一環です。
関連リンク
- Go言語の
regexp
パッケージの公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/regexp - Go言語のドキュメンテーションに関するガイドライン (godoc): https://go.dev/blog/godoc
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメント
- Go言語のソースコード
- Go言語のコミット履歴