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[インデックス 18352] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のプロファイリングツールであるpprofパッケージ内のテストファイルsrc/pkg/runtime/pprof/pprof_test.goに対する変更です。具体的には、TestGoroutineSwitchというテストがPlan 9オペレーティングシステム上で失敗するため、一時的にこのテストをスキップするよう修正が加えられています。

コミット

commit 03e4f25849b9a532bf15d56395203d84f92630de
Author: Jeff Sickel <jas@corpus-callosum.com>
Date:   Sat Jan 25 10:09:08 2014 -0800

    runtime/pprof: plan9 fails the TestGoroutineSwitch, skip for now.
    
    LGTM=r
    R=golang-codereviews, 0intro, r
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/55430043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/03e4f25849b9a532bf15d56395203d84f92630de

元コミット内容

runtime/pprof: plan9 fails the TestGoroutineSwitch, skip for now.

このコミットメッセージは、「runtime/pprofパッケージにおいて、TestGoroutineSwitchテストがPlan 9上で失敗するため、当面の間スキップする」という内容を簡潔に示しています。

変更の背景

この変更の背景には、Go言語のテストスイートが異なるオペレーティングシステム(OS)上で実行される際に発生する互換性の問題があります。TestGoroutineSwitchという特定のテストが、Plan 9というOS環境下で期待通りに動作せず、失敗していました。テストの失敗は、CI/CDパイプラインや開発者のワークフローを阻害するため、一時的な措置として、Plan 9上でのこのテストの実行をスキップする決定がなされました。

このような問題は、OS固有のシステムコール、スケジューリングの挙動、または低レベルのランタイム実装の違いに起因することがよくあります。テストが失敗する根本原因を特定し修正するには時間がかかる場合があるため、開発の継続性を保つために、一時的に問題のあるテストを特定の環境でスキップすることは一般的なプラクティスです。このコミットは、「for now」(当面の間)という表現から、将来的に根本的な解決が図られる可能性を示唆しています。

前提知識の解説

Go言語のpprofパッケージ

pprofはGo言語に標準で備わっているプロファイリングツールです。CPU使用率、メモリ割り当て、ゴルーチン(goroutine)のスタックトレース、ブロックされた操作など、プログラムの実行時のパフォーマンス特性を詳細に分析するための機能を提供します。開発者はpprofを利用することで、アプリケーションのボトルネックを特定し、パフォーマンスを最適化することができます。

ゴルーチン(Goroutine)

ゴルーチンはGo言語における軽量な並行処理の単位です。OSのスレッドよりもはるかに軽量であり、数千、数万のゴルーチンを同時に実行することが可能です。Goランタイムがゴルーチンのスケジューリングと管理を行います。TestGoroutineSwitchというテスト名から、このテストがゴルーチンの切り替え(コンテキストスイッチ)に関連する挙動を検証していることが推測されます。

Plan 9 from Bell Labs

Plan 9は、ベル研究所で開発された分散オペレーティングシステムです。Unixの概念をさらに推し進め、すべてのリソース(ファイル、デバイス、ネットワーク接続など)をファイルシステムとして表現するというユニークな設計思想を持っています。Go言語は、その設計思想の一部をPlan 9から継承しており、初期のGo開発環境ではPlan 9が重要な役割を果たしていました。しかし、そのアーキテクチャは一般的なUnix系OS(Linux, macOS, BSDなど)とは異なる部分が多く、低レベルのシステムプログラミングやランタイムの挙動において、互換性の問題が生じることがあります。

Go言語のテストフレームワーク

Go言語には、標準ライブラリにtestingパッケージが用意されており、これを用いてユニットテストやベンチマークテストを記述します。テスト関数はTestで始まる名前を持ち、go testコマンドで実行されます。テストコード内でt.Skip()t.Skipf()のようなメソッドを呼び出すことで、特定の条件に基づいてテストの実行をスキップすることができます。これは、特定のOSやアーキテクチャでのみ発生する問題、またはまだ実装されていない機能に対するテストなど、一時的にテストを無効化したい場合に利用されます。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、Go言語のテストフレームワークにおける条件付きテストスキップのメカニズムに焦点を当てています。

src/pkg/runtime/pprof/pprof_test.goファイルには、badOSという名前のmap[string]bool型の変数が定義されています。このマップは、特定のテスト(この場合はTestBlockProfile関数内で利用されている)をスキップすべきOSの名前をキーとして保持しています。

元のコードでは、darwin(macOS)とnetbsdがこのマップに含まれていました。これは、これらのOS上でTestBlockProfileが正しく動作しない、あるいは関連するプロファイリング機能が利用できないなどの理由で、テストをスキップする必要があったことを示唆しています。

このコミットでは、badOSマップに新たに"plan9": trueというエントリが追加されています。これにより、TestBlockProfile(そして、このbadOSマップを参照している他のテスト、例えばTestGoroutineSwitch)が実行される際に、現在のOSがPlan 9であると判断された場合、テストがスキップされるようになります。

テストのスキップは、通常、テスト関数の冒頭でif badOS[runtime.GOOS]のような条件文とt.Skip()を組み合わせて実装されます。runtime.GOOSは、Goプログラムが実行されているオペレーティングシステムの名前(例: "linux", "darwin", "windows", "plan9"など)を文字列で返します。このチェックにより、Plan 9環境でのみTestGoroutineSwitchが実行されなくなり、テストスイート全体の成功率が向上します。

このアプローチは、テストの失敗がOS固有の挙動に起因し、かつその問題をすぐに修正できない場合に有効な一時的な回避策です。しかし、テストがスキップされることで、その環境での潜在的なバグが見過ごされるリスクも伴います。そのため、「for now」という表現が重要であり、将来的にはPlan 9上でのTestGoroutineSwitchの根本的な問題を解決し、テストを再度有効にすることが望ましいとされています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/runtime/pprof/pprof_test.go
+++ b/src/pkg/runtime/pprof/pprof_test.go
@@ -267,6 +267,7 @@ func TestMathBigDivide(t *testing.T) {
 var badOS = map[string]bool{\n \t\"darwin\": true,\n \t\"netbsd\": true,\n+\t\"plan9\":  true,\n }\n \n func TestBlockProfile(t *testing.T) {\n```

## コアとなるコードの解説

変更は`src/pkg/runtime/pprof/pprof_test.go`ファイル内の`badOS`というグローバル変数(マップ)に対して行われています。

-   **`var badOS = map[string]bool{...}`**: これは、特定のテストをスキップすべきオペレーティングシステムをリストアップするためのマップです。キーはOSの名前(文字列)、値はダミーの`true`(そのOSが「悪い」OSリストに含まれることを示す)です。
-   **`"darwin": true,`**: macOS上でテストをスキップすることを示します。
-   **`"netbsd": true,`**: NetBSD上でテストをスキップすることを示します。
-   **`+"plan9": true,`**: この行が今回のコミットで追加された変更点です。これにより、Plan 9オペレーティングシステム上でこの`badOS`マップを参照するテスト(この場合は`TestGoroutineSwitch`が`TestBlockProfile`内で間接的に参照しているか、あるいは`TestBlockProfile`自体が`TestGoroutineSwitch`の前提条件となっている可能性が高い)がスキップされるようになります。

この`badOS`マップは、テスト関数内で`runtime.GOOS`(現在のOS名)と照合され、もし現在のOSがマップに含まれていれば、`t.Skip()`が呼び出されてテストがスキップされるというロジックで利用されます。

## 関連リンク

*   Go言語の`pprof`パッケージに関する公式ドキュメント: [https://pkg.go.dev/runtime/pprof](https://pkg.go.dev/runtime/pprof)
*   Go言語の`testing`パッケージに関する公式ドキュメント: [https://pkg.go.dev/testing](https://pkg.go.dev/testing)
*   Go言語の`runtime`パッケージに関する公式ドキュメント(`runtime.GOOS`について): [https://pkg.go.dev/runtime](https://pkg.go.dev/runtime)
*   Plan 9 from Bell Labs 公式サイト: [https://9p.io/plan9/](https://9p.io/plan9/)

## 参考にした情報源リンク

*   Go言語の公式ドキュメント (pkg.go.dev)
*   GitHubのgolang/goリポジトリのコミット履歴
*   Plan 9に関する一般的な情報源 (Wikipediaなど)
*   Go言語のテストに関する一般的な知識