[インデックス 18417] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部である doc/install.html
ファイルに対する変更です。具体的には、Goのインストール手順を示す部分において、ハードコードされていたGoのバージョン番号(例: go1.1.linux-amd64.tar.gz
)を、go$VERSION.$OS-$ARCH.tar.gz
のような汎用的なプレースホルダー形式に置き換えることを目的としています。これにより、新しいGoのバージョンがリリースされるたびにドキュメントを手動で更新する必要がなくなり、メンテナンスの負担が軽減されます。
コミット
commit 2b6eb111e2c1f610a2acfa82dcbf4d43acc6dd8e
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date: Thu Feb 6 16:09:01 2014 -0500
doc/install.html: get rid of explicit version number in docs.
So that we don't need to update the file each time a new version is released.
LGTM=dave, r, adg
R=golang-codereviews, dave, josharian, gobot, adg, r
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/48730043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/2b6eb111e2c1f610a2acfa82dcbf4d43acc6dd8e
元コミット内容
doc/install.html: get rid of explicit version number in docs. So that we don't need to update the file each time a new version is released.
このコミットメッセージは、「doc/install.html
から明示的なバージョン番号を削除する。これにより、新しいバージョンがリリースされるたびにファイルを更新する必要がなくなる。」という意図を明確に示しています。
変更の背景
Go言語は継続的に開発されており、定期的に新しいバージョンがリリースされます。Goのインストール手順を説明するドキュメント doc/install.html
に、特定のGoのバージョン番号(例: go1.1.linux-amd64.tar.gz
)がハードコードされていると、新しいバージョンがリリースされるたびに、そのドキュメント内のバージョン番号も手動で更新する必要がありました。これは、ドキュメントのメンテナンスコストを増大させ、更新忘れによる情報の陳腐化のリスクも伴います。
このコミットは、このような手動更新の必要性を排除し、ドキュメントのメンテナンスを簡素化することを目的としています。バージョン番号を汎用的なプレースホルダーに置き換えることで、ドキュメント自体はGoのバージョンアップに影響されなくなり、常に最新のインストール手順を抽象的に示すことができるようになります。
前提知識の解説
doc/install.html
: これはGo言語の公式ドキュメントの一部であり、Goのインストール方法について説明しているHTMLファイルです。ユーザーがGoを自分のシステムにセットアップする際に参照する重要な情報源となります。tar
コマンド: Unix系OSで広く使われているアーカイブ(書庫)ファイルを作成・展開するためのコマンドです。tar -C /usr/local -xzf go1.1.linux-amd64.tar.gz
のようなコマンドは、go1.1.linux-amd64.tar.gz
という圧縮されたアーカイブファイルを/usr/local
ディレクトリに展開する操作を示しています。-C /usr/local
: 指定されたディレクトリ (/usr/local
) に移動してから操作を実行します。-x
: アーカイブからファイルを展開します。-z
: gzip形式で圧縮されたアーカイブを扱います。-f
: アーカイブファイル名を指定します。
- バージョン番号のハードコーディング: プログラムやドキュメント内で、特定のバージョン番号を直接記述することです。これは、そのバージョンが変更された場合に、記述箇所すべてを手動で更新する必要があるという問題を引き起こします。
- プレースホルダー/変数: 特定の値が後で埋め込まれることを示す記号や文字列です。このコミットでは、
$VERSION
,$OS
,$ARCH
がプレースホルダーとして機能し、実際のインストール時には適切な値に置き換えられることを示唆しています。
技術的詳細
この変更の技術的な核心は、ドキュメント内の具体的なファイル名記述を抽象化することにあります。
変更前は、以下のように特定のGoバージョン(例: go1.1
)とアーキテクチャ(例: linux-amd64
)が明示的に記載されていました。
<pre>
tar -C /usr/local -xzf go1.1.linux-amd64.tar.gz
</pre>
これが、以下のように汎用的な形式に置き換えられました。
<pre>
tar -C /usr/local -xzf go$VERSION.$OS-$ARCH.tar.gz
</pre>
ここで、$VERSION
はGoのバージョン(例: 1.2
)、$OS
はオペレーティングシステム(例: linux
)、$ARCH
はプロセッサアーキテクチャ(例: amd64
)のプレースホルダーとして機能します。これにより、ユーザーは自分の環境とインストールしたいGoのバージョンに合わせて、適切なファイル名を推測できるようになります。
また、関連する説明文も変更され、具体的なファイル名の例を挙げることで、ユーザーがプレースホルダーの意味を理解しやすくなっています。
変更前:
The name of the archive may differ, depending on the version of Go you are installing and your system's operating system and processor architecture.
(アーカイブの名前は、インストールするGoのバージョンとシステムのオペレーティングシステムおよびプロセッサアーキテクチャによって異なる場合があります。)
変更後:
Choose the archive file appropriate for your installation. For instance, if you are installing Go version 1.2 for 64-bit x86 on Linux, the archive you want is called <code>go1.2.linux-amd64.tar.gz</code>.
(インストールに適したアーカイブファイルを選択してください。例えば、Linux上の64ビットx86でGoバージョン1.2をインストールする場合、必要なアーカイブは go1.2.linux-amd64.tar.gz
と呼ばれます。)
この変更により、ドキュメント自体は静的なままで、Goの新しいバージョンがリリースされても更新の必要がなくなります。ユーザーは、最新のGoのダウンロードページで提供される実際のファイル名を確認し、この汎用的なコマンドに適用することで、常に正しいインストール手順を実行できるようになります。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/doc/install.html b/doc/install.html
index f08c7665f3..b02324bdd3 100644
--- a/doc/install.html
+++ b/doc/install.html
@@ -76,12 +76,13 @@ and extract it into <code>/usr/local</code>, creating a Go tree in
</p>
<pre>
-tar -C /usr/local -xzf go1.1.linux-amd64.tar.gz
+tar -C /usr/local -xzf go$VERSION.$OS-$ARCH.tar.gz
</pre>
<p>
-The name of the archive may differ, depending on the version of Go you are
-installing and your system's operating system and processor architecture.
+Choose the archive file appropriate for your installation.
+For instance, if you are installing Go version 1.2 for 64-bit x86 on Linux,
+the archive you want is called <code>go1.2.linux-amd64.tar.gz</code>.
</p>
<p>
コアとなるコードの解説
上記の差分は、doc/install.html
ファイル内の2つの主要な変更点を示しています。
-
tar
コマンドのファイル名変更:- tar -C /usr/local -xzf go1.1.linux-amd64.tar.gz
(削除された行)+ tar -C /usr/local -xzf go$VERSION.$OS-$ARCH.tar.gz
(追加された行) この変更は、Goのアーカイブファイル名を具体的なバージョン (go1.1
) から、$VERSION.$OS-$ARCH
という汎用的なプレースホルダー形式に置き換えています。これにより、ドキュメントは特定のGoバージョンに依存しなくなり、将来のバージョンアップ時にこの行を更新する必要がなくなります。ユーザーは、Goのダウンロードページで提供される実際のファイル名(例:go1.2.linux-amd64.tar.gz
)をこのプレースホルダーに当てはめてコマンドを実行することになります。
-
説明文の変更:
- The name of the archive may differ, depending on the version of Go you are installing and your system's operating system and processor architecture.
(削除された行)+ Choose the archive file appropriate for your installation.
(追加された行)+ For instance, if you are installing Go version 1.2 for 64-bit x86 on Linux,
(追加された行)+ the archive you want is called <code>go1.2.linux-amd64.tar.gz</code>.
(追加された行) この変更は、アーカイブファイル名の変動性に関する一般的な説明を削除し、より具体的で分かりやすい指示と例に置き換えています。新しい説明では、「インストールに適したアーカイブファイルを選択してください」と指示し、具体的な例として「Goバージョン1.2をLinux上の64ビットx86にインストールする場合、必要なアーカイブはgo1.2.linux-amd64.tar.gz
です」と示しています。これにより、ユーザーはプレースホルダー形式のコマンドをどのように解釈し、実際のファイル名に置き換えるべきかをより明確に理解できます。
これらの変更は、ドキュメントのメンテナンス性を向上させると同時に、ユーザーがGoをインストールする際の利便性と理解度を高めることを目的としています。
関連リンク
- Go Code Review 48730043: https://golang.org/cl/48730043 このリンクは、このコミットがGoのコードレビューシステム(Gerrit)上でどのようにレビューされ、承認されたかを示すものです。通常、ここにはコミットに関する議論や追加のコンテキストが含まれています。
参考にした情報源リンク
- Go言語公式ドキュメント (インストールガイド): https://go.dev/doc/install (現在の最新版のインストールガイド)
tar
コマンドのmanページやドキュメント (一般的な情報源)- Go言語のバージョン管理とリリースプロセスに関する情報 (一般的な情報源)
- GitHubのコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/2b6eb111e2c1f610a2acfa82dcbf4d43acc6dd8e
- Go Code Review: https://golang.org/cl/48730043 (これらのリンクは、この解説を生成する上で参照した、または参照されうる情報源です。)