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[インデックス 18597] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ os/exec パッケージにおける Cmd.Start() および Cmd.Wait() メソッドのドキュメンテーションを改善するものです。特に、Cmd.Wait() がプロセスの終了を待機するだけでなく、関連するシステムリソースを解放する役割を持つことを明示的に記述することで、ユーザーがリソースリークを避けるための重要な情報を提供しています。

コミット

commit d4b6a198b3b44c8c9617c72ceca9c32ba089b5a8
Author: Patrick Mézard <patrick@mezard.eu>
Date:   Sun Feb 23 12:53:02 2014 -0800

    os/exec: explicitly mention Cmd.Wait() has to be called eventually
    
    LGTM=minux.ma, r
    R=golang-codereviews, minux.ma, r
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/67280043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/d4b6a198b3b44c8c9617c72ceca9c32ba089b5a8

元コミット内容

os/exec: explicitly mention Cmd.Wait() has to be called eventually

このコミットの目的は、os/exec パッケージの Cmd.Wait() メソッドが最終的に呼び出される必要があることを明示的にドキュメントに記載することです。

変更の背景

Go言語の os/exec パッケージは、外部コマンドを実行するための機能を提供します。Cmd.Start() メソッドはコマンドを非同期で開始し、Cmd.Wait() メソッドは開始されたコマンドの完了を待機し、その終了ステータスを返します。

しかし、Cmd.Wait() の主要な役割の一つに、実行された子プロセスに関連するシステムリソース(例えば、プロセスID、ファイルディスクリプタ、メモリなど)を解放するという側面があります。このリソース解放の重要性がドキュメントで十分に強調されていなかったため、開発者が Cmd.Wait() を呼び出さない場合に、意図しないリソースリークが発生する可能性がありました。

このコミットは、このような潜在的な問題を回避し、os/exec パッケージをより安全かつ効率的に使用できるようにするために、ドキュメンテーションを明確化することを目的としています。特に、Cmd.Start() を呼び出した後には、最終的に Cmd.Wait() を呼び出すことが推奨されるという点を強調しています。

前提知識の解説

プロセス管理とゾンビプロセス

オペレーティングシステムにおいて、プロセスが終了すると、そのプロセスが使用していたリソース(メモリ、ファイルディスクリプタなど)は解放されます。しかし、子プロセスが終了しても、その終了ステータス(終了コードなど)は親プロセスが読み取るまでカーネル内に保持されます。親プロセスが wait() システムコール(またはそれに相当するAPI)を呼び出して子プロセスの終了ステータスを読み取らない限り、子プロセスは「ゾンビプロセス」(defunct process)としてシステムに残ります。

ゾンビプロセスは、実行中のプロセスではないためCPU時間やメモリを消費しませんが、プロセスID(PID)やカーネル内のエントリを占有し続けます。ゾンビプロセスが大量に発生すると、システムのリソースが枯渇し、新しいプロセスを開始できなくなるなどの問題を引き起こす可能性があります。

Go言語の os/exec パッケージ

Go言語の os/exec パッケージは、外部コマンドを実行するためのインターフェースを提供します。

  • exec.Command(name string, arg ...string) *Cmd: 実行するコマンドと引数を指定して Cmd オブジェクトを作成します。
  • (*Cmd) Start() error: コマンドを非同期で開始します。このメソッドはコマンドが正常に開始された場合に nil を返します。コマンドの実行自体はバックグラウンドで行われます。
  • (*Cmd) Wait() error: Start() で開始されたコマンドの完了を待機します。コマンドが正常に終了した場合、nil を返します。コマンドがエラーで終了した場合(ゼロ以外の終了コードを返した場合など)は、*exec.ExitError 型のエラーを返します。
    • 重要な点: Wait() メソッドは、単にコマンドの終了を待つだけでなく、子プロセスに関連するシステムリソースを解放する役割も担っています。これにより、ゾンビプロセスの発生を防ぎ、システムリソースを適切に管理します。
  • (*Cmd) Run() error: Start()Wait() を連続して呼び出すのと同等です。コマンドを開始し、その完了を待機します。

リソースリーク

プログラミングにおいて、リソースリークとは、プログラムが獲得したシステムリソース(メモリ、ファイルディスクリプタ、ネットワークソケット、プロセスIDなど)を、そのリソースが不要になった後も解放せずに保持し続ける状態を指します。リソースリークが発生すると、システムのリソースが徐々に消費され、最終的にはシステムのパフォーマンス低下やクラッシュにつながる可能性があります。

os/exec の文脈では、Cmd.Start() で開始した子プロセスに対して Cmd.Wait() を呼び出さないと、子プロセスが終了してもそのリソースが解放されず、ゾンビプロセスとして残り、プロセスIDなどのシステムリソースをリークする可能性があります。

技術的詳細

このコミットは、os/exec パッケージの exec.go ファイル内の Cmd.Start()Cmd.Wait() メソッドのコメントに、以下の重要な情報を追加しています。

  1. Cmd.Start() メソッドのコメントへの追加: Start メソッドは指定されたコマンドを開始しますが、その完了を待ちません。 新たに以下の行が追加されました:

    // The Wait method will return the exit code and release associated resources
    // once the command exits.
    

    これにより、Start() を呼び出した後に Wait() を呼び出すことの重要性が示唆されています。Wait() が単に終了コードを返すだけでなく、「関連するリソースを解放する」という役割を持つことが明示されています。

  2. Cmd.Wait() メソッドのコメントへの追加: WaitCmd に関連付けられたリソースを解放します。 新たに以下の行が追加されました:

    // Wait releases any resources associated with the Cmd.
    

    この変更は、Wait() の主要な機能の一つがリソース解放であることを直接的に述べています。これは、Wait() を呼び出すことが、ゾンビプロセスの発生を防ぎ、システムリソースを適切に管理するために不可欠であることを強調しています。

これらのドキュメンテーションの追加は、os/exec パッケージのユーザーが、外部コマンドを非同期で実行する際に Cmd.Wait() を呼び出すことの重要性をより深く理解し、リソースリークを未然に防ぐためのベストプラクティスを促進することを目的としています。特に、長期実行されるアプリケーションや、多数の外部コマンドを起動するシステムにおいて、この情報は非常に重要です。

コアとなるコードの変更箇所

変更は src/pkg/os/exec/exec.go ファイルに対して行われました。

--- a/src/pkg/os/exec/exec.go
+++ b/src/pkg/os/exec/exec.go
@@ -238,6 +238,9 @@ func (c *Cmd) Run() error {
 }
 
 // Start starts the specified command but does not wait for it to complete.
+//
+// The Wait method will return the exit code and release associated resources
+// once the command exits.
 func (c *Cmd) Start() error {
 	if c.lookPathErr != nil {
 		c.closeDescriptors(c.closeAfterStart)
@@ -304,6 +307,8 @@ func (e *ExitError) Error() string {
 // If the command fails to run or doesn't complete successfully, the
 // error is of type *ExitError. Other error types may be
 // returned for I/O problems.
+//
+// Wait releases any resources associated with the Cmd.
 func (c *Cmd) Wait() error {
 	if c.Process == nil {
 		return errors.New("exec: not started")

コアとなるコードの解説

このコミットは、既存のコードの動作を変更するものではなく、そのドキュメンテーションを改善するものです。

  1. func (c *Cmd) Start() error のコメント追加: Start メソッドの既存のコメントの下に、Wait メソッドの役割に関する説明が追加されました。 // The Wait method will return the exit code and release associated resources // once the command exits. この追加により、Start を呼び出した後に Wait を呼び出すことが、単に終了コードを取得するためだけでなく、プロセスに関連するリソースを解放するために必要であることが明確に示されています。これは、Start を呼び出しただけではリソースが解放されないことを暗に示唆しています。

  2. func (c *Cmd) Wait() error のコメント追加: Wait メソッドの既存のコメントの最後に、その主要な機能の一つであるリソース解放について明示的に言及する行が追加されました。 // Wait releases any resources associated with the Cmd. この一文は非常に重要です。Wait が単なる待機関数ではなく、システムリソースのクリーンアップを行う責任があることを明確に伝えています。これにより、開発者は Wait を呼び出さないことの潜在的な影響(リソースリーク、ゾンビプロセス)をより意識するようになります。

これらの変更は、Goの os/exec パッケージの堅牢性と安全な使用を促進するための、小さくも重要な改善です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • Go言語のソースコード
  • オペレーティングシステムのプロセス管理に関する一般的な知識 (ゾンビプロセスなど)
  • Go言語のコードレビューシステム (Gerrit) の変更リスト: https://golang.org/cl/67280043

[インデックス 18597] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ os/exec パッケージにおける Cmd.Start() および Cmd.Wait() メソッドのドキュメンテーションを改善するものです。特に、Cmd.Wait() がプロセスの終了を待機するだけでなく、関連するシステムリソースを解放する役割を持つことを明示的に記述することで、ユーザーがリソースリークを避けるための重要な情報を提供しています。

コミット

commit d4b6a198b3b44c8c9617c72ceca9c32ba089b5a8
Author: Patrick Mézard <patrick@mezard.eu>
Date:   Sun Feb 23 12:53:02 2014 -0800

    os/exec: explicitly mention Cmd.Wait() has to be called eventually
    
    LGTM=minux.ma, r
    R=golang-codereviews, minux.ma, r
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/67280043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/d4b6a198b3b44c8c9617c72ceca9c32ba089b5a8

元コミット内容

os/exec: explicitly mention Cmd.Wait() has to be called eventually

このコミットの目的は、os/exec パッケージの Cmd.Wait() メソッドが最終的に呼び出される必要があることを明示的にドキュメントに記載することです。

変更の背景

Go言語の os/exec パッケージは、外部コマンドを実行するための機能を提供します。Cmd.Start() メソッドはコマンドを非同期で開始し、Cmd.Wait() メソッドは開始されたコマンドの完了を待機し、その終了ステータスを返します。

しかし、Cmd.Wait() の主要な役割の一つに、実行された子プロセスに関連するシステムリソース(例えば、プロセスID、ファイルディスクリプタ、メモリなど)を解放するという側面があります。このリソース解放の重要性がドキュメントで十分に強調されていなかったため、開発者が Cmd.Wait() を呼び出さない場合に、意図しないリソースリークが発生する可能性がありました。具体的には、子プロセスが終了してもその終了ステータスが親プロセスによって回収されないため、「ゾンビプロセス」としてシステムに残存し、プロセスIDなどのシステムリソースを占有し続ける問題が発生する可能性があります。

このコミットは、このような潜在的な問題を回避し、os/exec パッケージをより安全かつ効率的に使用できるようにするために、ドキュメンテーションを明確化することを目的としています。特に、Cmd.Start() を呼び出した後には、最終的に Cmd.Wait() を呼び出すことが推奨されるという点を強調しています。

前提知識の解説

プロセス管理とゾンビプロセス

オペレーティングシステムにおいて、プロセスが終了すると、そのプロセスが使用していたリソース(メモリ、ファイルディスクリプタなど)は解放されます。しかし、子プロセスが終了しても、その終了ステータス(終了コードなど)は親プロセスが読み取るまでカーネル内に保持されます。親プロセスが wait() システムコール(またはそれに相当するAPI)を呼び出して子プロセスの終了ステータスを読み取らない限り、子プロセスは「ゾンビプロセス」(defunct process)としてシステムに残ります。

ゾンビプロセスは、実行中のプロセスではないためCPU時間やメモリを消費しませんが、プロセスID(PID)やカーネル内のエントリを占有し続けます。ゾンビプロセスが大量に発生すると、システムのリソースが枯渇し、新しいプロセスを開始できなくなるなどの問題を引き起こす可能性があります。

Go言語の os/exec パッケージ

Go言語の os/exec パッケージは、外部コマンドを実行するためのインターフェースを提供します。

  • exec.Command(name string, arg ...string) *Cmd: 実行するコマンドと引数を指定して Cmd オブジェクトを作成します。
  • (*Cmd) Start() error: コマンドを非同期で開始します。このメソッドはコマンドが正常に開始された場合に nil を返します。コマンドの実行自体はバックグラウンドで行われます。
  • (*Cmd) Wait() error: Start() で開始されたコマンドの完了を待機します。コマンドが正常に終了した場合、nil を返します。コマンドがエラーで終了した場合(ゼロ以外の終了コードを返した場合など)は、*exec.ExitError 型のエラーを返します。
    • 重要な点: Wait() メソッドは、単にコマンドの終了を待つだけでなく、子プロセスに関連するシステムリソースを解放する役割も担っています。具体的には、Wait() が呼び出されると、必要なシステムコールが実行され、子プロセスが「reap」(回収)され、プロセステーブルからのエントリが削除されます。これにより、ゾンビプロセスの発生を防ぎ、システムリソースを適切に管理します。また、コマンドの標準入出力やエラー出力に接続されたパイプ(*os.File 型でない場合)も適切に閉じられ、その基盤となるリソースが解放されます。
  • (*Cmd) Run() error: Start()Wait() を連続して呼び出すのと同等です。コマンドを開始し、その完了を待機します。Cmd.Run() を使用する場合、内部で Wait() が呼び出されるため、明示的に Wait() を呼び出す必要はありません。

リソースリーク

プログラミングにおいて、リソースリークとは、プログラムが獲得したシステムリソース(メモリ、ファイルディスクリプタ、ネットワークソケット、プロセスIDなど)を、そのリソースが不要になった後も解放せずに保持し続ける状態を指します。リソースリークが発生すると、システムのリソースが徐々に消費され、最終的にはシステムのパフォーマンス低下やクラッシュにつながる可能性があります。

os/exec の文脈では、Cmd.Start() で開始した子プロセスに対して Cmd.Wait() を呼び出さないと、子プロセスが終了してもそのリソースが解放されず、ゾンビプロセスとして残り、プロセスIDなどのシステムリソースをリークする可能性があります。

技術的詳細

このコミットは、os/exec パッケージの exec.go ファイル内の Cmd.Start()Cmd.Wait() メソッドのコメントに、以下の重要な情報を追加しています。

  1. Cmd.Start() メソッドのコメントへの追加: Start メソッドは指定されたコマンドを開始しますが、その完了を待ちません。 新たに以下の行が追加されました:

    // The Wait method will return the exit code and release associated resources
    // once the command exits.
    

    この追加により、Start() を呼び出した後に Wait() を呼び出すことの重要性が示唆されています。Wait() が単に終了コードを返すだけでなく、「関連するリソースを解放する」という役割を持つことが明示されています。これは、Start() を呼び出しただけではリソースが解放されないことを暗に示唆し、開発者に Wait() の呼び出しを促します。

  2. Cmd.Wait() メソッドのコメントへの追加: WaitCmd に関連付けられたリソースを解放します。 新たに以下の行が追加されました:

    // Wait releases any resources associated with the Cmd.
    

    この一文は非常に重要です。Wait() の主要な機能の一つがリソース解放であることを直接的に述べています。これにより、Wait() を呼び出すことが、ゾンビプロセスの発生を防ぎ、システムリソースを適切に管理するために不可欠であることを強調しています。特に、長期実行されるアプリケーションや、多数の外部コマンドを起動するシステムにおいて、この情報は非常に重要です。Cmd.Wait() は、子プロセスが終了した際に、そのプロセスが占有していたプロセスIDやその他のカーネルリソースをシステムに返却する役割を担います。

これらのドキュメンテーションの追加は、os/exec パッケージのユーザーが、外部コマンドを非同期で実行する際に Cmd.Wait() を呼び出すことの重要性をより深く理解し、リソースリークを未然に防ぐためのベストプラクティスを促進することを目的としています。

コアとなるコードの変更箇所

変更は src/pkg/os/exec/exec.go ファイルに対して行われました。

--- a/src/pkg/os/exec/exec.go
+++ b/src/pkg/os/exec/exec.go
@@ -238,6 +238,9 @@ func (c *Cmd) Run() error {
 }
 
 // Start starts the specified command but does not wait for it to complete.
+//
+// The Wait method will return the exit code and release associated resources
+// once the command exits.
 func (c *Cmd) Start() error {
 	if c.lookPathErr != nil {
 		c.closeDescriptors(c.closeAfterStart)
@@ -304,6 +307,8 @@ func (e *ExitError) Error() string {
 // If the command fails to run or doesn't complete successfully, the
 // error is of type *ExitError. Other error types may be
 // returned for I/O problems.
+//
+// Wait releases any resources associated with the Cmd.
 func (c *Cmd) Wait() error {
 	if c.Process == nil {
 		return errors.New("exec: not started")

コアとなるコードの解説

このコミットは、既存のコードの動作を変更するものではなく、そのドキュメンテーションを改善するものです。

  1. func (c *Cmd) Start() error のコメント追加: Start メソッドの既存のコメントの下に、Wait メソッドの役割に関する説明が追加されました。 // The Wait method will return the exit code and release associated resources // once the command exits. この追加により、Start を呼び出した後に Wait を呼び出すことが、単に終了コードを取得するためだけでなく、プロセスに関連するリソースを解放するために必要であることが明確に示されています。これは、Start を呼び出しただけではリソースが解放されないことを暗に示唆しています。

  2. func (c *Cmd) Wait() error のコメント追加: Wait メソッドの既存のコメントの最後に、その主要な機能の一つであるリソース解放について明示的に言及する行が追加されました。 // Wait releases any resources associated with the Cmd. この一文は非常に重要です。Wait が単なる待機関数ではなく、システムリソースのクリーンアップを行う責任があることを明確に伝えています。これにより、開発者は Wait を呼び出さないことの潜在的な影響(リソースリーク、ゾンビプロセス)をより意識するようになります。

これらの変更は、Goの os/exec パッケージの堅牢性と安全な使用を促進するための、小さくも重要な改善です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • Go言語のソースコード
  • オペレーティングシステムのプロセス管理に関する一般的な知識 (ゾンビプロセスなど)
  • Go言語のコードレビューシステム (Gerrit) の変更リスト: https://golang.org/cl/67280043
  • Web検索結果: "Go os/exec Cmd.Wait() resource release zombie process"