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[インデックス 1865] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のテストスイート内の特定のバグテストファイルと、テストの期待される出力を記録するファイルに対する変更を扱っています。

  • test/bugs/bug141.go: これは、Go言語のコンパイラやランタイムにおける既知のバグを再現するために書かれたテストファイルでした。bugs ディレクトリは、まだ修正されていない、または修正が検証中のバグに関連するテストを格納するために使用されていました。
  • test/fixedbugs/bug141.go: fixedbugs ディレクトリは、Go言語のコンパイラやランタイムにおいて既に修正され、その修正が検証されたバグに関連するテストを格納するために使用されます。このファイルへのリネームは、bug141 が修正されたことを示唆しています。
  • test/golden.out: このファイルは、Go言語のテストスイートが実行された際の、特定のテストの期待される出力を記録する「ゴールデンファイル」として機能します。テストの出力がこのファイルの内容と一致するかどうかを比較することで、テストの合否が判断されます。

コミット

commit 7525e085d26d85a3f104f9abdcf3a47e937aa0ff
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Sun Mar 22 21:02:17 2009 -0700

    bug141 is fixed
    
    R=ken
    DELTA=56  (26 added, 30 deleted, 0 changed)
    OCL=26628
    CL=26628
--
 test/{bugs => fixedbugs}/bug141.go | 0
 test/golden.out                    | 4 ----
 2 files changed, 4 deletions(-)

diff --git a/test/bugs/bug141.go b/test/fixedbugs/bug141.go
similarity index 100%
rename from test/bugs/bug141.go
rename to test/fixedbugs/bug141.go
diff --git a/test/golden.out b/test/golden.out
index 35a6aec8c6..c41d2d9e17 100644
--- a/test/golden.out
+++ b/test/golden.out
@@ -141,10 +141,6 @@ bugs/bug140.go:6: syntax error near L1
 bugs/bug140.go:7: syntax error near L2
 BUG should compile
 
-=========== bugs/bug141.go
-failed to match interface
-BUG: should run
-
 =========== fixedbugs/bug016.go
 fixedbugs/bug016.go:7: constant -3 overflows uint

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/7525e085d26d85a3f104f9abdcf3a47e937aa0ff

元コミット内容

bug141 is fixed

R=ken
DELTA=56  (26 added, 30 deleted, 0 changed)
OCL=26628
CL=26628

変更の背景

このコミットは、Go言語の初期開発段階におけるバグ修正の一環として行われました。コミットメッセージ「bug141 is fixed」が示すように、内部的に「bug141」として追跡されていた特定のバグが修正されたことを反映しています。

Go言語のような新しいプログラミング言語の開発初期においては、多くのバグが発見され、それらを効率的に追跡し、修正し、そして修正が正しく行われたことを検証するための堅牢なテストインフラストラクチャが不可欠です。test/bugs ディレクトリは、発見されたバグに対するテストケースを一時的に保持し、そのバグが修正されると、関連するテストケースは test/fixedbugs ディレクトリに移動されるという運用がなされていたと考えられます。

test/golden.out からの関連行の削除は、bug141.go テストが以前は失敗していた(または特定の失敗出力を生成していた)が、バグ修正によってそのテストが期待通りに成功するようになったため、もはやその失敗出力を golden.out に含める必要がなくなったことを意味します。これは、テストが「合格」状態になったことを示す典型的なパターンです。

前提知識の解説

Go言語のテストフレームワークの基本

Go言語には、標準ライブラリとしてtestingパッケージが提供されており、これを用いてユニットテストやベンチマークテストを記述します。テストファイルは通常、テスト対象のソースファイルと同じディレクトリに配置され、ファイル名の末尾に_test.goを付けます。

test/bugstest/fixedbugs ディレクトリ

Go言語のソースコードリポジトリ、特に初期の段階では、テストケースを整理するために特定のディレクトリ構造が用いられていました。

  • test/bugs: このディレクトリは、Goコンパイラ、ランタイム、または標準ライブラリにおける既知のバグを再現するためのテストケースを格納していました。これらのテストは、バグが修正されるまでは失敗することが期待されていました。これは、バグが存在することを確認し、修正が正しく行われたことを検証するための重要なステップです。
  • test/fixedbugs: バグが修正され、その修正が検証された後、関連するテストケースは test/bugs から test/fixedbugs ディレクトリに移動されました。これにより、修正されたバグが将来的に再発しないことを保証するための回帰テストとして機能します。

このディレクトリ構造は、Go開発チームがバグのライフサイクルを管理し、修正の進捗を追跡するための効果的な方法でした。

golden.out ファイル

golden.out のような「ゴールデンファイル」は、テストにおいて非常に一般的なパターンです。これは、特定のテストケースが生成する「正しい」または「期待される」出力を事前に記録しておくファイルです。テスト実行時には、実際の出力がこのゴールデンファイルの内容と比較されます。

  • 目的:
    • 回帰テスト: コード変更が意図しない出力の変更を引き起こしていないことを確認します。
    • 出力の安定性: テスト対象のコンポーネントが常に同じ、予測可能な出力を生成することを保証します。
    • テストの簡素化: 複雑な出力をプログラム的に検証する代わりに、ファイル比較というシンプルな方法でテストを記述できます。

test/golden.out の場合、Go言語のテストスイート全体、またはその一部が生成するコンソール出力やエラーメッセージなどが記録されていたと考えられます。テストが失敗した場合、その失敗メッセージやスタックトレースなどが golden.out に記録され、将来のテスト実行で同じ失敗が検出されることを期待していました。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、Go言語のテストインフラストラクチャにおけるバグ修正のワークフローを明確に示しています。

  1. テストファイルのリネーム: test/bugs/bug141.go から test/fixedbugs/bug141.go へのリネームは、単なるファイル名の変更以上の意味を持ちます。これは、bug141 がもはや「未修正のバグ」ではなく、「修正済みのバグ」として分類されたことを意味します。このテストは、Goコンパイラまたはランタイムの特定の動作が修正されたことを検証するための回帰テストとして、今後もテストスイートの一部として実行され続けます。これにより、将来の変更がこのバグを再発させないことが保証されます。

  2. test/golden.out からの行削除: test/golden.out から以下の4行が削除されました。

    =========== bugs/bug141.go
    failed to match interface
    BUG: should run
    

    これらの行は、以前は bug141.go テストが失敗した際に golden.out に記録されることが期待されていた出力です。

    • =========== bugs/bug141.go: これは、どのテストに関連する出力であるかを示す区切り行です。
    • failed to match interface: これは、bug141.go が失敗した具体的な理由、おそらくインターフェースのマッチングに関する問題を示しています。
    • BUG: should run: これは、このテストが最終的には成功するべきであるという開発者の意図を示すコメントまたはマーカーです。

    これらの行が削除されたということは、bug141 のバグが修正された結果、bug141.go テストがもはやこれらの失敗出力を生成しなくなったことを意味します。代わりに、テストは成功し、クリーンな出力を生成するか、または全く出力を生成しないため、golden.out にその失敗の痕跡を残す必要がなくなったのです。これは、テストが「合格」状態に移行したことの直接的な証拠となります。

この一連の変更は、Go言語の初期開発における厳格なテスト駆動開発とバグ追跡のプロセスを反映しており、コードベースの品質と安定性を確保するための重要なステップでした。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットにおけるコアとなるコードの変更は、以下の2点です。

  1. ファイルのリネーム: test/bugs/bug141.gotest/fixedbugs/bug141.go にリネームされました。

    diff --git a/test/bugs/bug141.go b/test/fixedbugs/bug141.go
    similarity index 100%
    rename from test/bugs/bug141.go
    rename to test/fixedbugs/bug141.go
    
  2. test/golden.out からの行削除: test/golden.out ファイルから以下の4行が削除されました。

    --- a/test/golden.out
    +++ b/test/golden.out
    @@ -141,10 +141,6 @@ bugs/bug140.go:6: syntax error near L1
     bugs/bug140.go:7: syntax error near L2
     BUG should compile
     
    -=========== bugs/bug141.go
    -failed to match interface
    -BUG: should run
    -
     =========== fixedbugs/bug016.go
     fixedbugs/bug016.go:7: constant -3 overflows uint
    

コアとなるコードの解説

ファイルのリネーム

test/bugs/bug141.go から test/fixedbugs/bug141.go へのリネームは、bug141 として識別されていた問題が解決されたことを意味します。Go言語のテストスイートの慣習として、bugs ディレクトリは未解決のバグに関連するテストを保持し、fixedbugs ディレクトリは修正済みのバグに対する回帰テストを保持します。この移動は、バグ修正が成功し、そのテストがもはや失敗するべきではないことを示しています。これにより、将来のコード変更がこの特定のバグを再発させないことを保証するための回帰テストとして、このテストが機能し続けることになります。

test/golden.out からの行削除

test/golden.out は、Go言語のテストスイートが生成する期待される出力を記録する「ゴールデンファイル」です。このファイルから削除された以下の行は、以前は bug141.go テストが失敗した際に生成されると期待されていた出力でした。

=========== bugs/bug141.go
failed to match interface
BUG: should run

これらの行が削除されたということは、bug141 のバグが修正された結果、bug141.go テストがもはやこれらの失敗出力を生成しなくなったことを意味します。テストが成功するようになったため、golden.out にその失敗の痕跡を残す必要がなくなったのです。これは、テストが「合格」状態に移行したことの直接的な証拠であり、バグ修正が期待通りに機能したことを示しています。

このコミットは、Go言語の初期開発におけるバグ修正とテストのライフサイクルを明確に示しており、堅牢なソフトウェア開発プロセスの一部として、テスト駆動開発と回帰テストがどのように実践されていたかを理解する上で重要です。

関連リンク

参考にした情報源リンク