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[インデックス 18660] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のツールチェインの一部である include/link.h ファイル内のコメントの修正に関するものです。具体的には、Prog 構造体の mode フィールドに関する説明文の誤記を訂正しています。

コミット

commit e6c66a90791cf6f599cf94749c94b0e3e68dfd8a
Author: Ian Lance Taylor <iant@golang.org>
Date:   Wed Feb 26 07:38:13 2014 -0800

    include: fix comment in link.h
    
    LGTM=dave, rsc
    R=rsc, dave
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/68960044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/e6c66a90791cf6f599cf94749c94b0e3e68dfd8a

元コミット内容

include: fix comment in link.h

このコミットは、include/link.h ファイル内のコメントの誤りを修正することを目的としています。

変更の背景

Go言語のコンパイラおよびリンカの内部で使用されるヘッダファイル include/link.h には、Prog 構造体の一部である mode フィールドに関するコメントが含まれていました。このコメントは、mode フィールドがどのリンカ(5l, 6l, 8l など)でどのように使用されるかを説明していましたが、その記述に誤りがありました。具体的には、8l が二度記述されており、6l が欠落していました。

この変更の背景は、コードの正確なドキュメント化と、将来の読者や開発者がコードを理解する上での混乱を避けることにあります。コメントはコードの意図を明確にし、その動作を説明するために不可欠です。誤ったコメントは、誤解を招き、デバッグや機能追加の際に問題を引き起こす可能性があります。したがって、このコミットは、単なるタイポ修正ではなく、Goツールチェインの内部構造に関するドキュメントの正確性を向上させるための重要な修正です。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下の前提知識が役立ちます。

  • Go言語のツールチェイン: Go言語は、ソースコードをコンパイルして実行可能ファイルを生成するための一連のツール(コンパイラ、リンカ、アセンブラなど)を提供します。これらはまとめて「ツールチェイン」と呼ばれます。
  • リンカ (Linker): リンカは、コンパイラによって生成されたオブジェクトファイル(機械語コード)を結合し、必要なライブラリとリンクして、最終的な実行可能ファイルを生成するプログラムです。
  • Go言語におけるリンカの命名規則: Go言語の初期のツールチェインでは、異なるアーキテクチャ(CPUの種類)に対応するコンパイラやリンカに特定の命名規則が用いられていました。
    • 5l: ARMアーキテクチャ向けのリンカ。
    • 6l: x86-64 (AMD64) アーキテクチャ向けのリンカ。
    • 8l: x86 (32-bit Intel) アーキテクチャ向けのリンカ。 同様に、コンパイラは 5g, 6g, 8g と命名されていました。
  • include/link.h: このファイルは、Go言語のリンカが内部的に使用するデータ構造や定数を定義するヘッダファイルです。C言語で書かれており、Go言語のランタイムやツールチェインの低レベルな部分で利用されます。
  • Prog 構造体: link.h 内で定義されている Prog 構造体は、Go言語のリンカが処理する個々のアセンブリ命令やデータ項目を表すために使用されます。この構造体には、命令の種類、オペランド、アドレスなどの情報が含まれます。
  • mode フィールド: Prog 構造体内の mode フィールドは、特定の命令やデータが扱う値のビット幅(16ビット、32ビット、64ビットなど)を示すために使用されます。これは、異なるアーキテクチャや命令セットにおいて、データの表現方法が異なるため、リンカが正確なコードを生成するために必要な情報です。
  • コメントの重要性: ソースコード内のコメントは、コードの意図、設計上の決定、特定のロジックの理由などを説明するために不可欠です。特に低レベルなシステムプログラミングにおいては、コメントがコードの理解を深め、メンテナンス性を向上させる上で極めて重要な役割を果たします。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、include/link.h ファイル内の Prog 構造体の mode フィールドに関するコメントの修正に集約されます。

元のコメントは以下のようになっていました。 char mode; /* 16, 32, or 64 in 8l, 8l; internal use in 5g, 6g, 8g */

このコメントは、mode フィールドがリンカ 8l で16、32、または64ビットの幅を示すために使用されることを示唆しています。しかし、8l が二度繰り返されており、x86-64アーキテクチャ向けのリンカである 6l が言及されていませんでした。

修正後のコメントは以下の通りです。 char mode; /* 16, 32, or 64 in 6l, 8l; internal use in 5g, 6g, 8g */

この変更により、コメントは mode フィールドが 6l (x86-64リンカ) と 8l (x86リンカ) の両方で16、32、または64ビットの幅を示すために使用されることを正確に記述しています。また、5g, 6g, 8g (それぞれARM, x86-64, x86コンパイラ) においては内部的に使用されるという記述は変更されていません。

この修正は、Goツールチェインの内部動作に関するドキュメントの正確性を高めるものです。mode フィールドは、リンカが異なるアーキテクチャの命令やデータを適切に処理するために重要な役割を果たします。例えば、ある命令が32ビットのオペランドを期待している場合、リンカはこの mode フィールドの情報を利用して、正しい機械語コードを生成します。コメントの修正は、この重要なフィールドの役割と、それがどのリンカによってどのように解釈されるかについての誤解を解消します。

このようなコメントの修正は、一見すると些細な変更に見えるかもしれませんが、大規模なプロジェクト、特に低レベルのシステムコードにおいては非常に重要です。正確なコメントは、新しい開発者がコードベースを理解するのを助け、既存の開発者が特定の機能の動作を再確認する際の信頼できる情報源となります。また、将来のコード変更やデバッグの際に、誤ったコメントが原因で誤った仮定を立てることを防ぎます。

コアとなるコードの変更箇所

変更は include/link.h ファイルの1行のみです。

--- a/include/link.h
+++ b/include/link.h
@@ -110,7 +110,7 @@ struct	Prog
 	uchar	optab;	// 5l
 
 	char	width;	/* fake for DATA */
-	char	mode;\t/* 16, 32, or 64 in 8l, 8l; internal use in 5g, 6g, 8g */
+char	mode;\t/* 16, 32, or 64 in 6l, 8l; internal use in 5g, 6g, 8g */
 };
 
 // prevent incompatible type signatures between liblink and 8l on Plan 9

コアとなるコードの解説

変更された行は、Prog 構造体内の mode フィールドの定義と、その横に記述されたコメントです。

char mode; は、mode という名前の1バイトの文字型変数を定義しています。この変数は、前述の通り、リンカが処理する命令やデータのビット幅を示すために使用されます。

コメント /* 16, 32, or 64 in 6l, 8l; internal use in 5g, 6g, 8g */ は、この mode フィールドの役割を説明しています。

  • 16, 32, or 64: mode フィールドが取りうる値の例であり、それぞれ16ビット、32ビット、64ビットのデータ幅を示します。
  • in 6l, 8l: この部分が修正された箇所です。以前は 8l, 8l となっていましたが、6l, 8l に変更されました。これは、mode フィールドが x86-64アーキテクチャ向けのリンカ (6l) と x86アーキテクチャ向けのリンカ (8l) の両方で、データの幅を示すために使用されることを意味します。
  • internal use in 5g, 6g, 8g: この部分は変更されていません。これは、ARM (5g), x86-64 (6g), x86 (8g) の各コンパイラにおいては、mode フィールドが内部的な目的で使用されることを示しています。コンパイラは中間表現を生成する際にこのフィールドを利用し、リンカが最終的な機械語コードを生成する際にその情報を利用します。

この修正は、Goツールチェインの異なるコンポーネント(コンパイラとリンカ)が mode フィールドをどのように利用するかについて、より正確な情報を提供します。これにより、Goツールチェインの内部構造を理解しようとする開発者にとって、より信頼性の高いドキュメントが提供されることになります。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (Goツールチェインに関する一般的な情報)
  • Go言語のソースコード (特に src/cmd/link および src/cmd/compile ディレクトリ内のファイル)
  • Go言語のリンカおよびコンパイラの内部構造に関する技術記事や議論 (一般的な知識として)