[インデックス 18709] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のバージョン管理システムにおけるタグ付けに関連するものです。具体的には、Go 1.2.1のリリースを示すタグが追加され、同時にrelease
タグがこの新しいバージョンを指すように更新されています。これは、GoプロジェクトがかつてMercurial(Hg)を使用していた時期のコミットであり、.hgtags
ファイルというMercurial特有のタグ管理ファイルが変更されています。
コミット
- コミットハッシュ:
92d5483391c0ac381d2c997deddcef250e596fd7
- 作者: Andrew Gerrand adg@golang.org
- 日付: Mon Mar 3 13:22:13 2014 +1100
- コミットメッセージ:
tag go1.2.1 LGTM=r R=minux.ma, r CC=golang-codereviews https://golang.org/cl/70660043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/92d5483391c0ac381d2c997deddcef250e596fd7
元コミット内容
commit 92d5483391c0ac381d2c997deddcef250e596fd7
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Mon Mar 3 13:22:13 2014 +1100
tag go1.2.1
LGTM=r
R=minux.ma, r
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/70660043
---
.hgtags | 3 ++-
1 file changed, 2 insertions(+), 1 deletion(-)
diff --git a/.hgtags b/.hgtags
index cddb423933..51481e1d8a 100644
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -124,4 +124,5 @@ a7bd9a33067b3537351276e0178a045748ad046a go1.1.1
94af58f9fd71feda5c316d791ed11aaf015f9e82 go1.2rc4
b3d5a20b070a92da2458c5788694d1359b353f4a go1.2rc5
87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c go1.2
-87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c release
+0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026 go1.2.1
+0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026 release
変更の背景
このコミットは、Go言語のバージョン1.2.1のリリースに伴う公式なタグ付け作業の一環です。ソフトウェア開発において、特定の安定版や重要な時点をマークするために「タグ」が使用されます。Go言語のプロジェクトでは、リリースごとに対応するタグが作成され、開発者が特定のバージョンのソースコードを容易に取得できるようにしています。
go1.2.1
というバージョン番号は、Go 1.2のパッチリリースであることを示しています。パッチリリースは通常、既存の安定版ブランチで見つかったバグの修正や、セキュリティの脆弱性への対応など、後方互換性を維持しつつ軽微な改善を行うために行われます。このコミットは、Go 1.2.1のリリースが完了し、その時点のコードベースに公式なマークを付けるために行われました。
また、release
タグを更新することで、常に最新の安定版リリースを指し示すようにしています。これにより、開発者はrelease
タグをチェックアウトするだけで、Goの最新の安定版ソースコードにアクセスできるようになります。
前提知識の解説
Goのバージョン管理
Go言語は、セマンティックバージョニング(Semantic Versioning)に準拠したバージョン管理を行っています。これは、MAJOR.MINOR.PATCH
という形式でバージョン番号を付けるものです。
- MAJOR (メジャー): 後方互換性のないAPI変更があった場合にインクリメントされます(例: Go 1からGo 2)。Go 1.x系では、メジャーバージョンは常に1であり、後方互換性が厳密に維持されます。
- MINOR (マイナー): 後方互換性のある新機能の追加やAPIの変更があった場合にインクリメントされます(例: Go 1.1からGo 1.2)。
- PATCH (パッチ): 後方互換性を維持したバグ修正やパフォーマンス改善があった場合にインクリメントされます(例: Go 1.2からGo 1.2.1)。
このコミットでタグ付けされているgo1.2.1
は、Go 1.2のパッチリリースであり、主にバグ修正が含まれていることを示唆しています。
Mercurial (Hg) と .hgtags
ファイル
Goプロジェクトは、2019年にGitに移行するまで、分散型バージョン管理システムであるMercurial(略称Hg)を使用していました。MercurialはGitと同様に、リポジトリの履歴を管理し、ブランチやタグを作成する機能を提供します。
Mercurialでは、リポジトリ内の特定のコミットに名前を付けるために「タグ」を使用します。Gitではタグ情報は.git/refs/tags/
以下に直接保存されますが、Mercurialではタグ情報を管理するために.hgtags
という特殊なファイルを使用する慣習がありました。
.hgtags
ファイルは、リポジトリのルートディレクトリに配置されるテキストファイルで、各行が[コミットハッシュ] [タグ名]
の形式で記述されます。このファイル自体もリポジトリの履歴の一部としてコミットされ、バージョン管理されます。これにより、タグの追加や変更もリポジトリの履歴として追跡可能になります。
このコミットは、GoプロジェクトがMercurialを使用していた時期のものであるため、.hgtags
ファイルが変更されているのが確認できます。
技術的詳細
このコミットの技術的な詳細は、.hgtags
ファイルの内容変更に集約されます。
-
新しいバージョンのタグ付け:
0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026 go1.2.1
この行の追加は、コミットハッシュ0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026
にgo1.2.1
というタグを関連付けています。これは、このハッシュがGo 1.2.1のリリース時点のソースコードであることを公式に宣言するものです。 -
release
タグの更新:-87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c release
(削除)+0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026 release
(追加) 以前のrelease
タグは、コミットハッシュ87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c
(これはGo 1.2のタグ87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c go1.2
と同じハッシュです)を指していました。この変更により、release
タグが新しいgo1.2.1
のコミットハッシュ0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026
を指すように更新されました。これは、release
タグが常にGoの最新の安定版リリースを指すという慣習に従ったものです。
この一連の変更は、Goの公式リリースプロセスの一部であり、開発者が特定のバージョンのGoソースコードを正確に参照できるようにするために不可欠です。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/.hgtags b/.hgtags
index cddb423933..51481e1d8a 100644
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -124,4 +124,5 @@ a7bd9a33067b3537351276e0178a045748ad046a go1.1.1
94af58f9fd71feda5c316d791ed11aaf015f9e82 go1.2rc4
b3d5a20b070a92da2458c5788694d1359b353f4a go1.2rc5
87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c go1.2
-87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c release
+0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026 go1.2.1
+0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026 release
コアとなるコードの解説
上記の差分は、.hgtags
ファイルに対する変更を示しています。
-87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c release
: この行は削除されました。これは、以前のrelease
タグが指していたコミットハッシュ87dea3f5ebe7510998c84dbeeec89382b7d42f9c
(Go 1.2のハッシュ)との関連付けが解除されたことを意味します。+0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026 go1.2.1
: この行が追加されました。これは、新しいコミットハッシュ0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026
にgo1.2.1
というタグが付けられたことを意味します。このハッシュがGo 1.2.1の正式なリリースポイントです。+0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026 release
: この行も追加されました。これにより、release
タグが最新のgo1.2.1
のコミットハッシュ0ddbdc3c7ce27e66508fe58ab81ff29324786026
を指すように更新されました。
これらの変更により、Goリポジトリのタグ履歴が正確に更新され、go1.2.1
という特定のバージョンと、常に最新の安定版を指すrelease
タグが適切に設定されました。
関連リンク
- Go CL 70660043: https://golang.org/cl/70660043 (このコミットに関連するGoのコードレビューシステム上の変更リスト)
参考にした情報源リンク
- Go 1.2.1 Release Notes: https://go.dev/doc/devel/release#go1.2.1
- Mercurial Book - Tags: https://www.mercurial-scm.org/wiki/Tags
- Go Blog - Go and Versioning: https://go.dev/blog/versioning-go (Goのバージョン管理に関する公式ブログ記事)
- Go Blog - Go's move to Git: https://go.dev/blog/git (GoがMercurialからGitへ移行したことに関する公式ブログ記事)