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[インデックス 18957] ファイルの概要

このドキュメントは、Go言語の公式ドキュメントにおけるDragonFly BSDサポートの記述に関するコミット(インデックス18957、ハッシュ34767046d723538d895f2be47a4ece16cc680b6f)について、その背景、技術的詳細、および関連する前提知識を包括的に解説します。このコミットは、GoコンパイラがサポートするオペレーティングシステムとしてDragonFly BSDが公式に文書化されたことを示しています。

コミット

commit 34767046d723538d895f2be47a4ece16cc680b6f
Author: Mikio Hara <mikioh.mikioh@gmail.com>
Date:   Wed Mar 26 14:06:18 2014 +0900

    doc: document DragonFly BSD port

    LGTM=r
    R=golang-codereviews, r
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/80120044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/34767046d723538d895f2be47a4ece16cc680b6f

元コミット内容

diff --git a/doc/install-source.html b/doc/install-source.html
index e7ebf1027b..c1ef4e7199 100644
--- a/doc/install-source.html
+++ b/doc/install-source.html
@@ -69,8 +69,8 @@ goroutines, such as stacks that grow and shrink on demand.
 </p>
 
 <p>
-The compilers can target the FreeBSD, Linux, NetBSD, OpenBSD, OS X (Darwin), Plan 9,
-Solaris and Windows operating systems.
+The compilers can target the DragonFly BSD, FreeBSD, Linux, NetBSD, OpenBSD,
+OS X (Darwin), Plan 9, Solaris and Windows operating systems.
 The full set of supported combinations is listed in the discussion of
 <a href="#environment">environment variables</a> below.
 </p>
@@ -358,7 +358,7 @@ These default to the values of <code>$GOHOSTOS</code> and
 
 <p>
 Choices for <code>$GOOS</code> are
-<code>darwin</code> (Mac OS X 10.6 and above), <code>freebsd</code>,
+<code>darwin</code> (Mac OS X 10.6 and above), <code>dragonfly</code>, <code>freebsd</code>,
 <code>linux</code>, <code>netbsd</code>, <code>openbsd</code>, 
 <code>plan9</code>, <code>solaris</code> and <code>windows</code>.
 Choices for <code>$GOARCH</code> are
@@ -376,6 +376,12 @@ The valid combinations of <code>$GOOS</code> and <code>$GOARCH</code> are:\n <td></td><td><code>darwin</code></td> <td><code>amd64</code></td>\n </tr>\n <tr>\n+<td></td><td><code>dragonfly</code></td> <td><code>386</code></td>\n+</tr>\n+<tr>\n+<td></td><td><td><code>dragonfly</code></td> <td><code>amd64</code></td>\n+</tr>\n+<tr>\n <td></td><td><code>freebsd</code></td> <td><code>386</code></td>\n </tr>\n <tr>\n```

## 変更の背景

このコミットは、Go言語が既にDragonFly BSDをサポートしていたにもかかわらず、その事実が公式ドキュメントに明記されていなかった状況を是正するために行われました。Goプロジェクトでは、特定のオペレーティングシステムやアーキテクチャへのポーティング(移植)が行われると、そのサポート状況をユーザーに明確に伝えるために公式ドキュメントを更新することが重要視されます。

コミットが行われた2014年3月頃には、Goコミュニティ内でDragonFly BSDのサポートを継続するかどうかについての議論がありました。これは、専用のポートメンテナーや継続的なビルドボットの不在、および当時のコードが破損していたという報告が主な理由でした。しかし、最終的にはDragonFly BSDのサポートを継続する方針が採られ、その結果として、このコミットによって公式ドキュメントにそのサポートが明記されることになりました。これにより、DragonFly BSDユーザーはGoが彼らのプラットフォームで動作することを公式に確認できるようになり、Go開発者はDragonFly BSDをターゲットとしたアプリケーションを安心して開発できるようになりました。

## 前提知識の解説

### Go言語 (Golang)

Goは、Googleによって開発されたオープンソースのプログラミング言語です。静的型付け、コンパイル型言語でありながら、動的型付け言語のような簡潔さと生産性を提供します。並行処理を言語レベルでサポートする`goroutine`や`channel`、高速なコンパイル、強力な標準ライブラリなどが特徴です。システムプログラミング、Webサービス、ネットワークツールなど、幅広い分野で利用されています。

### DragonFly BSD

DragonFly BSDは、FreeBSD 4.8からフォーク(分岐)して開発されたオープンソースのUnix系オペレーティングシステムです。2003年にMatthew Dillonによってプロジェクトが開始されました。FreeBSDとは異なる設計思想を持ち、特に大規模なマルチプロセッサシステムでのパフォーマンスとスケーラビリティの向上を目指しています。特徴的な技術として、分散トランザクションファイルシステムであるHAMMERファイルシステムや、軽量カーネルスレッド(LWP: Lightweight Processes)の採用などが挙げられます。

### Goのクロスコンパイルと環境変数 (`GOOS`, `GOARCH`)

Go言語の大きな特徴の一つに、強力なクロスコンパイル機能があります。これは、あるオペレーティングシステム(OS)とアーキテクチャの組み合わせ(例: Linux/amd64)上で、別のOSとアーキテクチャの組み合わせ(例: Windows/386)向けの実行ファイルを生成できる機能です。

このクロスコンパイルを制御するために、Goは以下の2つの環境変数を使用します。

*   **`GOOS` (Go Operating System)**: コンパイル対象のオペレーティングシステムを指定します。例えば、`linux`、`windows`、`darwin`(macOS)、`freebsd`などがあります。このコミットでは、新たに`dragonfly`が追加されました。
*   **`GOARCH` (Go Architecture)**: コンパイル対象のCPUアーキテクチャを指定します。例えば、`amd64`(64ビットIntel/AMD)、`386`(32ビットIntel)、`arm64`(64ビットARM)などがあります。

これらの環境変数を設定することで、開発者は異なるプラットフォーム向けのバイナリを簡単にビルドでき、Goアプリケーションの移植性を高めています。

### `doc/install-source.html`

`doc/install-source.html`は、Go言語の公式ドキュメントの一部であり、Goをソースコードからビルドしてインストールする方法を説明するHTMLファイルです。このドキュメントは、Goの開発に貢献したい開発者や、公式に提供されているバイナリディストリビューションが存在しない特定のOS/アーキテクチャの組み合わせでGoを使用したいユーザーにとって特に重要です。このファイルには、GoコンパイラがサポートするOSとアーキテクチャの組み合わせに関する情報や、`GOOS`および`GOARCH`環境変数の設定に関する詳細が含まれています。

## 技術的詳細

このコミットの技術的な本質は、Goコンパイラが既にDragonFly BSDをサポートしているという事実を、公式のインストールガイドである`doc/install-source.html`に反映させることです。これは、単なるドキュメントの更新以上の意味を持ちます。

1.  **公式サポートの明示**: `install-source.html`にDragonFly BSDが明記されることで、GoがこのOSを公式にサポートしていることが明確になります。これにより、DragonFly BSD上でGoアプリケーションを開発・実行しようとするユーザーは、Goプロジェクトからの公式な承認とサポートがあることを確認できます。
2.  **`GOOS`値の追加**: `GOOS`環境変数の選択肢に`dragonfly`が追加されたことは、Goのビルドシステムがこの値を認識し、DragonFly BSD向けのバイナリを生成できることを示唆しています。これは、クロスコンパイルの文脈で非常に重要です。ユーザーは`GOOS=dragonfly`を設定することで、DragonFly BSDをターゲットとしたGoプログラムをビルドできることを理解できます。
3.  **サポートアーキテクチャの明示**: `dragonfly`に対して`386`と`amd64`のアーキテクチャがサポートされていることが明記されたことで、ユーザーはどのCPUアーキテクチャでGoがDragonFly BSD上で動作するかを具体的に知ることができます。これは、特に古いハードウェアや特定のサーバー環境でGoを使用する際に役立つ情報です。
4.  **ユーザーエクスペリエンスの向上**: ドキュメントが最新の状態に保たれることで、ユーザーはGoのサポート状況について正確な情報を得ることができ、不必要な試行錯誤を避けることができます。これは、Goコミュニティ全体のユーザーエクスペリエンス向上に貢献します。

このコミットは、Goのクロスプラットフォーム戦略の一環として、サポート対象プラットフォームの透明性を高める重要なステップと言えます。コードベース自体に機能的な変更を加えるものではありませんが、Goの利用可能性とアクセシビリティを向上させる上で不可欠なドキュメント更新です。

## コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、`doc/install-source.html`ファイルのみが変更されています。具体的な変更箇所は以下の通りです。

1.  **サポートOSリストへの追加**:
    Goコンパイラがターゲットとするオペレーティングシステムのリストに`DragonFly BSD`が追加されました。

    ```diff
    -The compilers can target the FreeBSD, Linux, NetBSD, OpenBSD, OS X (Darwin), Plan 9,
    -Solaris and Windows operating systems.
    +The compilers can target the DragonFly BSD, FreeBSD, Linux, NetBSD, OpenBSD,
    +OS X (Darwin), Plan 9, Solaris and Windows operating systems.
    ```

2.  **`GOOS`の選択肢への追加**:
    `GOOS`環境変数の有効な選択肢のリストに`dragonfly`が追加されました。

    ```diff
    -<code>darwin</code> (Mac OS X 10.6 and above), <code>freebsd</code>,
    +<code>darwin</code> (Mac OS X 10.6 and above), <code>dragonfly</code>, <code>freebsd</code>,
    ```

3.  **`GOOS`と`GOARCH`の有効な組み合わせの表への追加**:
    `GOOS`と`GOARCH`の有効な組み合わせを示す表に、`dragonfly`と`386`、および`dragonfly`と`amd64`の組み合わせが追加されました。

    ```diff
    +<td></td><td><code>dragonfly</code></td> <td><code>386</code></td>
    +</tr>
    +<tr>
    +<td></td><td><code>dragonfly</code></td> <td><code>amd64</code></td>
    +</tr>
    ```

## コアとなるコードの解説

これらの変更は、Goの公式インストールガイドである`doc/install-source.html`を更新し、GoコンパイラがDragonFly BSDをサポートしていることを明示することを目的としています。

*   最初の変更は、GoコンパイラがサポートするOSの一般的な説明文に`DragonFly BSD`を追加することで、読者がGoがこのプラットフォームで動作することを一目で理解できるようにします。
*   二番目の変更は、`GOOS`環境変数の具体的な選択肢のリストに`dragonfly`を追加することで、Goのビルドシステムがこの値を認識し、クロスコンパイルのターゲットとして指定できることを示します。
*   三番目の変更は、`GOOS`と`GOARCH`の有効な組み合わせの表に`dragonfly/386`と`dragonfly/amd64`を追加することで、DragonFly BSD上でGoがサポートする具体的なCPUアーキテクチャを明確にします。これにより、ユーザーは自身のDragonFly BSD環境がGoの要件を満たしているかを確認できます。

これらの変更は、Goのドキュメントの正確性と完全性を高め、DragonFly BSDユーザーがGoをより容易に利用できるようにするための重要なステップです。

## 関連リンク

*   **Go言語公式サイト**: [https://go.dev/](https://go.dev/)
*   **DragonFly BSD公式サイト**: [https://www.dragonflybsd.org/](https://www.dragonflybsd.org/)
*   **Goのクロスコンパイルに関する公式ドキュメント (Go 1.5以降の一般的な情報)**: [https://go.dev/doc/install/source](https://go.dev/doc/install/source) (このコミットで変更されたファイルの現在のバージョン)

## 参考にした情報源リンク

*   Go言語の公式ドキュメント (`doc/install-source.html`のコミット履歴と内容)
*   GoプロジェクトのIssueトラッカーやメーリングリストでのDragonFly BSDサポートに関する議論 (特に2014年頃の議論)
*   Go言語のクロスコンパイルに関する一般的な情報源 (DigitalOcean, Medium, OpenSource.comなどの技術ブログ)
*   DragonFly BSDに関する情報源 (公式サイト、Wikipediaなど)
*   Google検索: "Go DragonFly BSD port history", "Go install-source.html purpose GOOS GOARCH"