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[インデックス 18994] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるhtml/templateパッケージ内のコメントに含まれる、古くなったW3C(World Wide Web Consortium)のHTML5およびCSS3仕様へのリンクを修正するものです。これにより、パッケージのコードが依拠する外部ドキュメントの参照が最新かつ正確に保たれ、開発者がセキュリティ関連のロジックや背景を理解する際の信頼性が向上します。

コミット

commit 16b95507a5424452423ca44c7396fe960c7a5bef
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date:   Tue Apr 1 02:57:51 2014 -0400

    html/template: fix broken links
    Fixes #7562.
    
    LGTM=nigeltao
    R=nigeltao
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/81190044
---
 src/pkg/html/template/attr.go    | 4 ++--
 src/pkg/html/template/content.go | 3 ++-\n src/pkg/html/template/context.go | 4 ++--
 src/pkg/html/template/escape.go  | 2 +-\n src/pkg/html/template/html.go    | 4 ++--
 5 files changed, 9 insertions(+), 8 deletions(-)

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/16b95507a5424452423ca44c7396fe960c7a5bef

元コミット内容

html/template: fix broken links

変更の背景

Web標準を策定するW3Cの仕様書は、時間の経過とともに内容が更新されたり、ドキュメントの構造やURLが変更されたりすることがあります。Go言語のhtml/templateパッケージは、HTML出力におけるセキュリティ(特にクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃の防止)を保証するために、これらのW3C仕様に厳密に準拠しています。

パッケージのソースコード内のコメントには、そのエスケープロジックやコンテキスト認識の根拠となるW3C仕様の特定のセクションへの参照リンクが含まれています。これらのリンクが古くなったり、参照先が移動したりすると、開発者がコードの意図やセキュリティ上の考慮事項を理解する際に混乱を招く可能性があります。また、最新の仕様との整合性を確認する作業も困難になります。

このコミットは、このような古くなったリンクを特定し、最新の正確なURLに更新することで、html/templateパッケージのドキュメントとしての品質と、開発者への情報提供の信頼性を維持することを目的としています。これは、コードの機能自体を変更するものではなく、主にメンテナンスとドキュメンテーションの改善に焦点を当てたものです。

前提知識の解説

  • Goのhtml/templateパッケージ: Go言語の標準ライブラリに含まれるhtml/templateパッケージは、WebアプリケーションでHTMLコンテンツを安全に生成するためのテンプレートエンジンです。このパッケージの最大の特徴は、出力されるコンテンツがHTMLのどのコンテキスト(例:属性値、テキストノード、URLなど)で使用されるかを自動的に認識し、それに応じて適切なエスケープ処理を適用することで、クロスサイトスクリプティング(XSS)などの一般的なWebセキュリティ脆弱性を防止する点にあります。これにより、開発者は手動でのエスケープ処理のミスによるセキュリティリスクを大幅に削減できます。

  • W3C (World Wide Web Consortium): W3Cは、World Wide Webで使用される主要な技術標準を開発し、推進する国際的なコミュニティです。HTML、CSS、XML、DOMなど、Webの基盤となる多くの技術仕様を策定しています。これらの仕様は、Webコンテンツの作成、表示、相互運用性を保証するためのガイドラインとして機能します。html/templateパッケージは、W3Cが定めるHTMLやCSSの構文、セマンティクス、およびセキュリティに関する仕様に厳密に準拠して設計されています。

  • HTML5/CSS3仕様: HTML5は、Webページの構造とコンテンツを定義するための最新のHTML標準です。マルチメディア要素、セマンティックな構造化要素、フォーム機能の強化など、Web開発に多くの新機能をもたらしました。CSS3は、Webページのスタイルとレイアウトを定義するための最新のCSS標準で、アニメーション、トランジション、フレキシブルボックスレイアウト(Flexbox)、グリッドレイアウトなど、高度なデザインとインタラクションを可能にする機能が追加されています。これらの仕様は非常に詳細であり、要素の動作、属性の解釈、イベントハンドラの挙動、そしてセキュリティ上の考慮事項(例:スクリプトの実行コンテキスト)について厳密なルールを定めています。html/templateは、これらのルールを理解し、適用することで安全なHTML出力を実現しています。

  • セキュリティとエスケープ: Webアプリケーションにおいて、ユーザーからの入力や外部から取得したデータをそのままWebページに表示すると、悪意のあるスクリプト(JavaScriptなど)が埋め込まれ、他のユーザーのブラウザで実行されてしまう「クロスサイトスクリプティング(XSS)」攻撃のリスクがあります。これを防ぐためには、出力するデータに対して適切な「エスケープ処理」を施す必要があります。エスケープとは、特定の文字(例:<>&"など)を、HTMLの構文として解釈されない安全な形式(例:&lt;&gt;&amp;&quot;など)に変換することです。html/templateは、W3Cの仕様に基づいて、データがHTMLのどの部分(例:タグ内の属性値、テキストコンテンツ、URLなど)に挿入されるかに応じて、最適なエスケープ処理を自動的に選択・適用することで、XSS攻撃を効果的に防御します。コメント内のリンクは、この自動エスケープ処理の根拠となるW3Cのセキュリティ関連仕様を参照しています。

技術的詳細

このコミットは、Goの標準ライブラリであるsrc/pkg/html/templateディレクトリ内の複数のGoソースファイル(attr.go, content.go, context.go, escape.go, html.go)にわたって、コメント内のURL文字列を更新しています。これらのURLは、html/templateパッケージがそのセキュリティ保証やHTMLパースロジックの根拠としているW3CのHTML5およびCSS3の公式仕様への参照です。

具体的な変更は以下の通りです。

  1. URLの変更: W3Cの仕様書は、その内容の更新や再編成に伴い、特定のセクションへのURLが変更されることがあります。このコミットでは、古くなったURLを、最新の仕様書における対応するセクションのURLに更新しています。例えば、HTML5のイベントハンドラやカスタムデータ属性、HTMLフラグメントのパース、RCDATA要素、属性値のエスケープルールなどに関する参照が修正されています。
  2. アーカイブリンクの追加: src/pkg/html/template/content.goのCSS3構文に関するコメントでは、新しいURLに加えて、web.archive.orgを介した古い仕様のアーカイブ版へのリンクも追加されています。これは、過去の仕様を参照する必要がある場合のために、参照の永続性を高める配慮です。
  3. コードロジックへの影響なし: このコミットによる変更は、すべてGoソースコード内のコメント文字列に対するものであり、html/templateパッケージの実際のロジックや動作には一切影響を与えません。パッケージの機能性、パフォーマンス、またはセキュリティ特性がこの変更によって変わることはありません。

この変更の技術的な意義は、html/templateパッケージの「自己文書化」の側面を強化し、開発者がコードを読み解く際に、その設計思想やセキュリティモデルの根拠となる外部ドキュメントに正確かつ容易にアクセスできるようにすることにあります。これにより、パッケージの保守性、理解しやすさ、そして最終的な信頼性が向上します。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、以下の5つのファイルにおいて、コメント内のURLが変更されています。

  • src/pkg/html/template/attr.go
  • src/pkg/html/template/content.go
  • src/pkg/html/template/context.go
  • src/pkg/html/template/escape.go
  • src/pkg/html/template/html.go

具体的な変更は、各ファイル内のhttp://www.w3.org/TR/html5/...http://www.w3.org/TR/css3-syntax/...といった形式のURL文字列が、新しいURLに置き換えられている点です。

コアとなるコードの解説

変更された各ファイルにおけるURLの修正は、以下のようなW3C仕様の特定のセクションへの参照を更新しています。

  • src/pkg/html/template/attr.go:

    • イベントハンドラに関するHTML5仕様の参照が、http://www.w3.org/TR/html5/Overview.html#event-handlers-on-elements-document-objects-and-window-objectsからhttp://www.w3.org/TR/html5/webappapis.html#event-handlers-on-elements,-document-objects,-and-window-objectsに更新されました。これは、HTML5仕様内でイベントハンドラの定義が移動したことを反映しています。
    • カスタムデータ属性に関するHTML5仕様の参照が、http://www.w3.org/TR/html5/elements.html#embedding-custom-non-visible-data-with-the-data-attributes:からhttp://www.w3.org/TR/html5/dom.html#embedding-custom-non-visible-data-with-the-data-*-attributesに更新されました。
  • src/pkg/html/template/content.go:

    • CSS3構文に関するコメント内のURLが、http://www.w3.org/TR/css3-syntax/#styleからhttp://www.w3.org/TR/css3-syntax/#parsinghttps://web.archive.org/web/20090211114933/http://w3.org/TR/css3-syntax#styleに更新されました。これにより、より正確な現在の仕様のセクションと、アーカイブされた古い仕様への参照が提供されます。
  • src/pkg/html/template/context.go:

    • HTMLフラグメントのパースに関するHTML5仕様の参照が、http://www.w3.org/TR/html5/the-end.html#parsing-html-fragmentsからhttp://www.w3.org/TR/html5/syntax.html#the-endに更新されました。
    • RCDATA要素に関するHTML5仕様の参照が、http://dev.w3.org/html5/spec/syntax.html#elements-0からhttp://www.w3.org/TR/html5/syntax.html#elements-0に更新されました。
  • src/pkg/html/template/escape.go:

    • 属性値のアンクォート状態に関するHTML5仕様の参照が、http://www.w3.org/TR/html5/tokenization.html#attribute-value-unquoted-stateからhttp://www.w3.org/TR/html5/syntax.html#attribute-value-(unquoted)-stateに更新されました。
  • src/pkg/html/template/html.go:

    • 属性値のアンクォート状態に関するHTML5仕様の参照が、http://www.w3.org/TR/html5/tokenization.html#attribute-value-unquoted-stateからhttp://www.w3.org/TR/html5/syntax.html#attribute-value-(unquoted)-stateに更新されました。
    • 属性値前の状態に関するHTML5仕様の参照が、http://www.w3.org/TR/html5/tokenization.html#before-attribute-value-stateからhttp://www.w3.org/TR/html5/syntax.html#before-attribute-value-stateに更新されました。

これらの変更は、html/templateパッケージがそのセキュリティ保証の根拠としているW3Cの公式ドキュメントへの参照が常に最新かつ正確であることを保証するための、重要なメンテナンス作業です。これにより、開発者がコードを理解し、そのセキュリティ特性を検証する際に、正しい情報源にアクセスできるようになります。

関連リンク

参考にした情報源リンク