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[インデックス 19039] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリnetパッケージのWindows固有のテストファイルnet_windows_test.goにおけるフォーマット文字列の誤りを修正するものです。具体的には、TestAcceptIgnoreSomeErrors関数内でcmd.Start()が失敗した際に呼び出されるt.Fatalfのフォーマット文字列が、引数の数と合致していなかった問題を解決しています。

コミット

commit e25d73d7f90870aeae04d2a788479664adb0a56f
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date:   Fri Apr 4 17:36:01 2014 +1100

    net: fix format string in TestAcceptIgnoreSomeErrors
    
    LGTM=mikioh.mikioh
    R=golang-codereviews, mikioh.mikioh
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/84340043
---
 src/pkg/net/net_windows_test.go | 2 +-\
 1 file changed, 1 insertion(+), 1 deletion(-)\

diff --git a/src/pkg/net/net_windows_test.go b/src/pkg/net/net_windows_test.go
index 894f517745..2f57745e3c 100644
--- a/src/pkg/net/net_windows_test.go
+++ b/src/pkg/net/net_windows_test.go
@@ -84,7 +84,7 @@ func TestAcceptIgnoreSomeErrors(t *testing.T) {
 	}\n \terr = cmd.Start()\n \tif err != nil {\
-\t\tt.Fatalf(\"cmd.Start failed: %v\\n%s\\n\", err)\n+\t\tt.Fatalf(\"cmd.Start failed: %v\\n\", err)\
 \t}\n \toutReader := bufio.NewReader(stdout)\n \tfor {\

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/e25d73d7f90870aeae04d2a788479664adb0a56f

元コミット内容

net: fix format string in TestAcceptIgnoreSomeErrors

LGTM=mikioh.mikioh
R=golang-codereviews, mikioh.mikioh
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/84340043

変更の背景

この変更は、Go言語のnetパッケージにおけるWindows環境でのテストコードnet_windows_test.goに存在していたバグを修正するために行われました。具体的には、TestAcceptIgnoreSomeErrorsというテスト関数内で、外部コマンドの起動に失敗した場合のエラーメッセージを出力するt.Fatalf呼び出しにおいて、フォーマット文字列と引数の数が一致していないという問題がありました。

元のコードでは、t.Fatalf("cmd.Start failed: %v\\n%s\\n", err)という記述がありましたが、これは2つのフォーマット動詞(%v%s)があるにもかかわらず、引数として渡されているのはerrという1つの変数のみでした。このような不一致は、Goのfmtパッケージ(t.Fatalfの内部で使用される)の動作により、予期せぬ出力や、場合によってはランタイムパニックを引き起こす可能性がありました。テストの失敗時に正確なエラー情報を出力し、テストの信頼性を確保するためにこの修正が必要とされました。

前提知識の解説

Go言語のtestingパッケージ

Go言語には、テストを記述するための標準パッケージtestingが用意されています。

  • *testing.T: テスト関数に渡される型で、テストの状態管理、エラー報告、ログ出力など、テスト実行に関する様々な機能を提供します。
  • t.Fatalf(format string, args ...interface{}): テストを失敗としてマークし、指定されたフォーマット文字列と引数を使ってエラーメッセージを出力し、現在のテスト関数を即座に終了させます。これは、致命的なエラーが発生し、それ以上テストを続行しても意味がない場合に用いられます。

Go言語のフォーマット文字列(fmtパッケージ)

Go言語では、fmtパッケージが提供する関数(例: fmt.Sprintf, fmt.Printfなど)を用いて、様々な型の値を整形して文字列に出力することができます。これらの関数は、C言語のprintfに似たフォーマット動詞を使用します。

  • %v: 値をデフォルトのフォーマットで出力します。構造体やインターフェースなど、任意の型に対して汎用的に使用できます。エラー型(errorインターフェースを実装する型)の値を表示する際にもよく使われます。
  • %s: 文字列型の値を出力します。
  • \n: 改行文字です。

フォーマット文字列を使用する際の重要なルールは、フォーマット動詞の数と、それに続く引数の数が一致していなければならないということです。一致しない場合、Goランタイムは不足している引数に対してゼロ値や<nil>を出力したり、余分な引数を無視したり、あるいはパニックを引き起こすことがあります。

os/execパッケージとcmd.Start()

Go言語で外部コマンドを実行するには、標準ライブラリのos/execパッケージを使用します。

  • exec.Command(name string, arg ...string): 実行するコマンドと引数を指定してCmd構造体を作成します。
  • cmd.Start(): Cmd構造体で定義されたコマンドを新しいプロセスとして非同期に起動します。コマンドが正常に起動された場合はnilを返しますが、コマンドが見つからない、実行権限がないなどの理由で起動に失敗した場合はerrorを返します。

net_windows_test.goの文脈

このファイルは、GoのnetパッケージがWindowsオペレーティングシステム上で正しく動作するかを検証するためのテストコードです。ネットワーク関連のテストでは、特定のポートを開いたり、外部プロセスを起動して通信をシミュレートしたりすることがよくあります。TestAcceptIgnoreSomeErrorsという名前から、このテストはネットワーク接続の受け入れ(Accept)に関するものであり、特定の(無視できる)エラーを許容するロジックを含んでいることが推測されます。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、Goのフォーマット文字列の厳密なマッチング要件に集約されます。

元のコード行は以下の通りでした。

t.Fatalf("cmd.Start failed: %v\n%s\n", err)

ここで、t.Fatalfの第一引数はフォーマット文字列、第二引数以降はフォーマット動詞に対応する値です。

  • フォーマット文字列: "cmd.Start failed: %v\n%s\n"
    • %v: 最初のフォーマット動詞。
    • %s: 2番目のフォーマット動詞。
  • 引数: err
    • 渡されている引数はerrのみで、これは1つです。

この状況では、フォーマット動詞が2つあるにもかかわらず、引数が1つしかありません。Goのfmtパッケージのルールでは、このような場合、2番目のフォーマット動詞%sに対応する引数が不足していると判断されます。結果として、%sの部分には、対応する引数がないため、Goの内部的なデフォルト値(例えば、文字列のゼロ値である空文字列や、<nil>のような表現)が挿入されるか、あるいはより厳密な環境ではランタイムパニックを引き起こす可能性がありました。

err変数はerrorインターフェース型であり、その値を文字列として表現するには通常%vを使用するのが適切です。%sは文字列型(string)の値を期待します。error型を%sでフォーマットしようとすると、String()メソッドが定義されていない限り、期待通りの結果は得られません。

修正後のコードは以下の通りです。

t.Fatalf("cmd.Start failed: %v\n", err)
  • フォーマット文字列: "cmd.Start failed: %v\n"
    • %v: 唯一のフォーマット動詞。
  • 引数: err
    • 渡されている引数はerrのみで、これは1つです。

これにより、フォーマット動詞の数(1つ)と引数の数(1つ)が完全に一致し、err変数の内容が%vによって適切にフォーマットされて出力されるようになります。この修正によって、テストが失敗した際に、cmd.Start()が返した正確なエラーメッセージのみが報告されるようになり、デバッグが容易になります。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/net/net_windows_test.goファイルの一箇所のみです。

--- a/src/pkg/net/net_windows_test.go
+++ b/src/pkg/net/net_windows_test.go
@@ -84,7 +84,7 @@ func TestAcceptIgnoreSomeErrors(t *testing.T) {
 	}\n \terr = cmd.Start()\n \tif err != nil {\
-\t\tt.Fatalf(\"cmd.Start failed: %v\\n%s\\n\", err)\n+\t\tt.Fatalf(\"cmd.Start failed: %v\\n\", err)\
 \t}\n \toutReader := bufio.NewReader(stdout)\n \tfor {\

具体的には、86行目のt.Fatalfの呼び出しが変更されています。

コアとなるコードの解説

変更された行は、TestAcceptIgnoreSomeErrors関数内でcmd.Start()の呼び出しがエラーを返した場合の処理です。

元のコード:

t.Fatalf("cmd.Start failed: %v\n%s\n", err)

この行は、cmd.Start()がエラーを返した場合に、テストを失敗させ、エラーメッセージを出力しようとしていました。しかし、前述の通り、フォーマット文字列"%v\n%s\n"は2つのフォーマット動詞(%v%s)を含んでいますが、引数として渡されているのはerrという1つの変数のみでした。これにより、%sに対応する引数が不足し、意図しない動作を引き起こす可能性がありました。

修正後のコード:

t.Fatalf("cmd.Start failed: %v\n", err)

この修正では、フォーマット文字列から余分な%s\nが削除されました。これにより、フォーマット文字列は"%v\n"となり、errという1つの引数と完全に一致します。%vはGoのerrorインターフェースを実装する型を適切にフォーマットするために使用されるため、この変更によって、cmd.Start()が失敗した際に、err変数が持つ正確なエラー情報がテストログに適切に出力されるようになります。これは、テストのデバッグ可能性と信頼性を向上させるための重要な修正です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語 fmt パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/fmt
  • Go言語 testing パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/testing
  • Go言語 os/exec パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/os/exec
  • Go言語におけるエラーハンドリングの基本 (Go公式ブログなど): https://go.dev/blog/error-handling-and-go (一般的なエラーハンドリングの概念理解のため)
  • Go言語のテストの書き方 (Go公式ドキュメントなど): https://go.dev/doc/tutorial/add-a-test (一般的なテストの概念理解のため)
  • Go言語のフォーマット文字列に関する一般的な情報 (Stack Overflow, Go by Exampleなど): (特定のURLは挙げませんが、Go format string %v %sなどで検索すると多数の情報が見つかります)