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[インデックス 19098] ファイルの概要

このコミットは、Goランタイムのガベージコレクション (GC) のデバッグ出力に関する改善です。具体的には、GODEBUG=gctrace=1 環境変数を設定した際に表示されるGC時間の出力形式を、より明確で詳細なものに変更しています。これまではミリ秒単位で表示されていた時間が、マイクロ秒単位での表示に変わり、さらにGCの各フェーズの時間が個別に表示されるようになりました。これにより、GCのパフォーマンス特性をより正確に把握できるようになります。

コミット

  • コミットハッシュ: 5539ef02b69318974f4e0b6816bd6a32660cf49a
  • 作者: Russ Cox rsc@golang.org
  • コミット日時: 2014年4月10日 木曜日 14:34:48 -0400

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/5539ef02b69318974f4e0b6816bd6a32660cf49a

元コミット内容

runtime: make times in GODEBUG=gctrace=1 output clearer

TBR=0intro
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/86620043

変更の背景

Go言語のガベージコレクションは、アプリケーションのパフォーマンスに大きな影響を与える要素の一つです。開発者やGopherがGCの挙動を理解し、ボトルネックを特定するためには、詳細なGCログが不可欠です。GODEBUG=gctrace=1 は、GoランタイムがGCの実行に関する詳細な情報を標準エラー出力に表示するための環境変数です。

このコミット以前は、gctrace の出力に含まれるGC時間の表示がミリ秒単位であり、かつ複数のフェーズの合計時間が一括で表示されていました。GCの各フェーズは非常に短時間で完了することが多く、ミリ秒単位では「0ms」と表示されてしまい、実際の処理時間が隠蔽されてしまう問題がありました。例えば、100マイクロ秒の処理はミリ秒単位では0msと表示されてしまいます。

この不明瞭さを解消し、より粒度の高い時間情報を提供することで、開発者がGCの各フェーズでどれだけの時間が費やされているかを正確に把握できるようにすることが、この変更の背景にあります。これにより、GCのチューニングやパフォーマンス分析がより効果的に行えるようになります。

前提知識の解説

Go言語のガベージコレクション (GC)

Go言語は、自動メモリ管理のためにトレース型ガベージコレクタを採用しています。GoのGCは、主に以下のフェーズで構成されます(時期やバージョンによって詳細は異なりますが、基本的な概念は共通です):

  1. Mark (マーク): ライブオブジェクト(到達可能なオブジェクト)を識別し、マークします。GoのGCは並行マーク(Concurrent Mark)を採用しており、アプリケーションの実行と並行してマーク処理を進めます。
  2. Mark Termination (マーク終了): 並行マークフェーズの終了を調整し、GCが次のフェーズに進む準備をします。このフェーズはSTW (Stop-The-World) が発生する可能性がありますが、非常に短時間です。
  3. Sweep (スイープ): マークされなかったオブジェクト(ガベージ)が占めていたメモリを解放し、再利用可能な状態にします。GoのGCは並行スイープ(Concurrent Sweep)を採用しており、アプリケーションの実行と並行してスイープ処理を進めます。

GoのGCは、低レイテンシを目標として設計されており、STW時間を最小限に抑えるように工夫されています。

GODEBUG 環境変数と gctrace オプション

GODEBUG は、Goランタイムのデバッグオプションを設定するための環境変数です。様々なデバッグ情報を有効にすることができます。 GODEBUG=gctrace=1 は、ガベージコレクションの実行に関する詳細なログを標準エラー出力に表示するオプションです。このログには、GCの開始、終了、各フェーズの所要時間、ヒープサイズの変化、オブジェクト数などが含まれます。これは、GCのパフォーマンスを分析し、メモリ使用量を最適化するために非常に有用な情報を提供します。

runtime.printf

runtime.printf は、Goランタイム内部で使用されるprintfライクな関数です。通常のGoプログラムで利用する fmt.Printf とは異なり、ランタイムの低レベルな部分でデバッグ情報などを出力するために使われます。この関数は、GoランタイムのC言語で書かれた部分(Go 1.5以前はC言語で書かれた部分が多く、現在はGo言語に書き換えが進んでいます)で、フォーマットされた文字列を出力するために利用されていました。

時間単位 (ms vs us)

  • ms (ミリ秒): 1ミリ秒 = 1000マイクロ秒 = 1/1000秒。
  • us (マイクロ秒): 1マイクロ秒 = 1/1,000,000秒。

GCの各フェーズは非常に高速に実行されるため、ミリ秒単位では精度が不足し、多くの時間が「0ms」と表示されてしまうことがあります。マイクロ秒単位で表示することで、より細かい時間差を捉え、GCの挙動を詳細に分析することが可能になります。

技術的詳細

このコミットの主要な変更点は、src/pkg/runtime/mgc0.c ファイル内の gc 関数における runtime.printf のフォーマット文字列と、それに渡される時間計算の引数です。

変更前は、GCの各フェーズの合計時間がミリ秒単位で表示されていました。具体的には、t0, t1, t2, t3, t4 というタイムスタンプ(おそらくGCの異なるフェーズの開始・終了時刻)を用いて、(t3-t2)/1000000, (t2-t1)/1000000, (t1-t0+t4-t3)/1000000 の3つの時間値がミリ秒単位で計算され、出力されていました。

変更後は、フォーマット文字列が %D+%D+%D+%D us となり、4つの時間値がマイクロ秒単位で表示されるようになりました。これに伴い、時間計算も (t1-t0)/1000, (t2-t1)/1000, (t3-t2)/1000, (t4-t3)/1000 と、各フェーズの所要時間が個別にマイクロ秒単位で計算されるように変更されています。

これにより、gctrace の出力は以下のように変化します(例):

変更前 (概念): gc1(4): 10+5+20 ms, ... (合計時間または不明瞭なフェーズ合計)

変更後 (概念): gc1(4): 10000+5000+20000+1000 us, ... (各フェーズの時間がマイクロ秒で明確に)

この変更は、GCの各サブフェーズ(例えば、マーク開始、マーク終了、スイープなど)の正確な所要時間を可視化することを目的としています。これにより、開発者はGCのどの部分が時間を消費しているのかをより詳細に特定し、最適化の対象を絞り込むことができるようになります。

t0からt4までのタイムスタンプは、mgc0.cの文脈から推測すると、以下のようなGCフェーズの境界を示していると考えられます(正確な意味はGoランタイムのコードベース全体を確認する必要がありますが、一般的なGCのライフサイクルに基づいています):

  • t0: GCサイクルの開始
  • t1: マークフェーズの開始、または特定のサブフェーズの開始
  • t2: 別のサブフェーズの開始
  • t3: さらに別のサブフェーズの開始
  • t4: GCサイクルの終了

これらのタイムスタンプ間の差分をマイクロ秒で表示することで、GCの内部動作がより透過的になり、デバッグやプロファイリングが容易になります。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/runtime/mgc0.c
+++ b/src/pkg/runtime/mgc0.c
@@ -2440,10 +2440,10 @@ gc(struct gc_args *args)\
 		stats.nosyield += work.markfor->nosyield;\
 		stats.nsleep += work.markfor->nsleep;\
 
-\t\truntime·printf(\"gc%d(%d): %D+%D+%D ms, %D -> %D MB, %D (%D-%D) objects,\"\
+\t\truntime·printf(\"gc%d(%d): %D+%D+%D+%D us, %D -> %D MB, %D (%D-%D) objects,\"\
 \t\t\t\t\" %d/%d/%d sweeps,\"\
 \t\t\t\t\" %D(%D) handoff, %D(%D) steal, %D/%D/%D yields\\n\",\
-\t\t\tmstats.numgc, work.nproc, (t3-t2)/1000000, (t2-t1)/1000000, (t1-t0+t4-t3)/1000000,\
+\t\t\tmstats.numgc, work.nproc, (t1-t0)/1000, (t2-t1)/1000, (t3-t2)/1000, (t4-t3)/1000,\
 \t\t\theap0>>20, heap1>>20, obj,\
 \t\t\tmstats.nmalloc, mstats.nfree,\
 \t\t\tsweep.nspan, gcstats.nbgsweep, gcstats.npausesweep,\

コアとなるコードの解説

上記の差分は、src/pkg/runtime/mgc0.c ファイル内の gc 関数における runtime.printf の呼び出しを変更しています。

  1. フォーマット文字列の変更:

    • 変更前: \"gc%d(%d): %D+%D+%D ms, ...\"
      • %D+%D+%D ms の部分が、3つの時間値をミリ秒単位で表示することを示しています。
    • 変更後: \"gc%d(%d): %D+%D+%D+%D us, ...\"
      • %D+%D+%D+%D us の部分が、4つの時間値をマイクロ秒単位で表示することを示しています。msus に変更され、時間値のプレースホルダーが1つ増えています。
  2. 時間計算の引数の変更:

    • 変更前は、以下の3つの式が runtime.printf に渡されていました。これらはナノ秒単位の差分を1,000,000で割ることでミリ秒に変換していました。
      • (t3-t2)/1000000
      • (t2-t1)/1000000
      • (t1-t0+t4-t3)/1000000 (これはおそらく、複数の非連続な期間の合計を示しています)
    • 変更後は、以下の4つの式が runtime.printf に渡されています。これらはナノ秒単位の差分を1,000で割ることでマイクロ秒に変換しています。
      • (t1-t0)/1000
      • (t2-t1)/1000
      • (t3-t2)/1000
      • (t4-t3)/1000

この変更により、gctrace の出力は、GCの異なる4つのフェーズ(またはサブフェーズ)の所要時間を、より高精度なマイクロ秒単位で個別に表示するようになります。これにより、GCのパフォーマンスプロファイリングにおいて、どのフェーズがボトルネックになっているのかをより正確に特定できるようになります。

関連リンク

  • Go言語のガベージコレクションに関する公式ドキュメントやブログ記事(コミット当時のもの、または関連する概念を説明するもの)
  • GODEBUG 環境変数に関するGoのドキュメント

参考にした情報源リンク

Now, I will output the generated explanation to standard output.

# [インデックス 19098] ファイルの概要

このコミットは、Goランタイムのガベージコレクション (GC) のデバッグ出力に関する改善です。具体的には、`GODEBUG=gctrace=1` 環境変数を設定した際に表示されるGC時間の出力形式を、より明確で詳細なものに変更しています。これまではミリ秒単位で表示されていた時間が、マイクロ秒単位での表示に変わり、さらにGCの各フェーズの時間が個別に表示されるようになりました。これにより、GCのパフォーマンス特性をより正確に把握できるようになります。

## コミット

- **コミットハッシュ**: `5539ef02b69318974f4e0b6816bd6a32660cf49a`
- **作者**: Russ Cox <rsc@golang.org>
- **コミット日時**: 2014年4月10日 木曜日 14:34:48 -0400

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/5539ef02b69318974f4e0b6816bd6a32660cf49a](https://github.com/golang/go/commit/5539ef02b69318974f4e0b6816bd6a32660cf49a)

## 元コミット内容

runtime: make times in GODEBUG=gctrace=1 output clearer

TBR=0intro CC=golang-codereviews https://golang.org/cl/86620043


## 変更の背景

Go言語のガベージコレクションは、アプリケーションのパフォーマンスに大きな影響を与える要素の一つです。開発者やGopherがGCの挙動を理解し、ボトルネックを特定するためには、詳細なGCログが不可欠です。`GODEBUG=gctrace=1` は、GoランタイムがGCの実行に関する詳細な情報を標準エラー出力に表示するための環境変数です。

このコミット以前は、`gctrace` の出力に含まれるGC時間の表示がミリ秒単位であり、かつ複数のフェーズの合計時間が一括で表示されていました。GCの各フェーズは非常に短時間で完了することが多く、ミリ秒単位では「0ms」と表示されてしまい、実際の処理時間が隠蔽されてしまう問題がありました。例えば、100マイクロ秒の処理はミリ秒単位では0msと表示されてしまいます。

この不明瞭さを解消し、より粒度の高い時間情報を提供することで、開発者がGCの各フェーズでどれだけの時間が費やされているかを正確に把握できるようにすることが、この変更の背景にあります。これにより、GCのチューニングやパフォーマンス分析がより効果的に行えるようになります。

## 前提知識の解説

### Go言語のガベージコレクション (GC)

Go言語は、自動メモリ管理のためにトレース型ガベージコレクタを採用しています。GoのGCは、主に以下のフェーズで構成されます(時期やバージョンによって詳細は異なりますが、基本的な概念は共通です):

1.  **Mark (マーク)**: ライブオブジェクト(到達可能なオブジェクト)を識別し、マークします。GoのGCは並行マーク(Concurrent Mark)を採用しており、アプリケーションの実行と並行してマーク処理を進めます。
2.  **Mark Termination (マーク終了)**: 並行マークフェーズの終了を調整し、GCが次のフェーズに進む準備をします。このフェーズはSTW (Stop-The-World) が発生する可能性がありますが、非常に短時間です。
3.  **Sweep (スイープ)**: マークされなかったオブジェクト(ガベージ)が占めていたメモリを解放し、再利用可能な状態にします。GoのGCは並行スイープ(Concurrent Sweep)を採用しており、アプリケーションの実行と並行してスイープ処理を進めます。

GoのGCは、低レイテンシを目標として設計されており、STW時間を最小限に抑えるように工夫されています。

### `GODEBUG` 環境変数と `gctrace` オプション

`GODEBUG` は、Goランタイムのデバッグオプションを設定するための環境変数です。様々なデバッグ情報を有効にすることができます。
`GODEBUG=gctrace=1` は、ガベージコレクションの実行に関する詳細なログを標準エラー出力に表示するオプションです。このログには、GCの開始、終了、各フェーズの所要時間、ヒープサイズの変化、オブジェクト数などが含まれます。これは、GCのパフォーマンスを分析し、メモリ使用量を最適化するために非常に有用な情報を提供します。

### `runtime.printf`

`runtime.printf` は、Goランタイム内部で使用される`printf`ライクな関数です。通常のGoプログラムで利用する `fmt.Printf` とは異なり、ランタイムの低レベルな部分でデバッグ情報などを出力するために使われます。この関数は、GoランタイムのC言語で書かれた部分(Go 1.5以前はC言語で書かれた部分が多く、現在はGo言語に書き換えが進んでいます)で、フォーマットされた文字列を出力するために利用されていました。

### 時間単位 (ms vs us)

*   **ms (ミリ秒)**: 1ミリ秒 = 1000マイクロ秒 = 1/1000秒。
*   **us (マイクロ秒)**: 1マイクロ秒 = 1/1,000,000秒。

GCの各フェーズは非常に高速に実行されるため、ミリ秒単位では精度が不足し、多くの時間が「0ms」と表示されてしまうことがあります。マイクロ秒単位で表示することで、より細かい時間差を捉え、GCの挙動を詳細に分析することが可能になります。

## 技術的詳細

このコミットの主要な変更点は、`src/pkg/runtime/mgc0.c` ファイル内の `gc` 関数における `runtime.printf` のフォーマット文字列と、それに渡される時間計算の引数です。

変更前は、GCの各フェーズの合計時間がミリ秒単位で表示されていました。具体的には、`t0`, `t1`, `t2`, `t3`, `t4` というタイムスタンプ(おそらくGCの異なるフェーズの開始・終了時刻)を用いて、`(t3-t2)/1000000`, `(t2-t1)/1000000`, `(t1-t0+t4-t3)/1000000` の3つの時間値がミリ秒単位で計算され、出力されていました。

変更後は、フォーマット文字列が `%D+%D+%D+%D us` となり、4つの時間値がマイクロ秒単位で表示されるようになりました。これに伴い、時間計算も `(t1-t0)/1000`, `(t2-t1)/1000`, `(t3-t2)/1000`, `(t4-t3)/1000` と、各フェーズの所要時間が個別にマイクロ秒単位で計算されるように変更されています。

これにより、`gctrace` の出力は以下のように変化します(例):

**変更前 (概念)**:
`gc1(4): 10+5+20 ms, ...` (合計時間または不明瞭なフェーズ合計)

**変更後 (概念)**:
`gc1(4): 10000+5000+20000+1000 us, ...` (各フェーズの時間がマイクロ秒で明確に)

この変更は、GCの各サブフェーズ(例えば、マーク開始、マーク終了、スイープなど)の正確な所要時間を可視化することを目的としています。これにより、開発者はGCのどの部分が時間を消費しているのかをより詳細に特定し、最適化の対象を絞り込むことができるようになります。

`t0`から`t4`までのタイムスタンプは、`mgc0.c`の文脈から推測すると、以下のようなGCフェーズの境界を示していると考えられます(正確な意味はGoランタイムのコードベース全体を確認する必要がありますが、一般的なGCのライフサイクルに基づいています):

*   `t0`: GCサイクルの開始
*   `t1`: マークフェーズの開始、または特定のサブフェーズの開始
*   `t2`: 別のサブフェーズの開始
*   `t3`: さらに別のサブフェーズの開始
*   `t4`: GCサイクルの終了

これらのタイムスタンプ間の差分をマイクロ秒で表示することで、GCの内部動作がより透過的になり、デバッグやプロファイリングが容易になります。

## コアとなるコードの変更箇所

```diff
--- a/src/pkg/runtime/mgc0.c
+++ b/src/pkg/runtime/mgc0.c
@@ -2440,10 +2440,10 @@ gc(struct gc_args *args)\
 		stats.nosyield += work.markfor->nosyield;\
 		stats.nsleep += work.markfor->nsleep;\
 
-\t\truntime·printf(\"gc%d(%d): %D+%D+%D ms, %D -> %D MB, %D (%D-%D) objects,\"\
+\t\truntime·printf(\"gc%d(%d): %D+%D+%D+%D us, %D -> %D MB, %D (%D-%D) objects,\"\
 \t\t\t\t\" %d/%d/%d sweeps,\"\
 \t\t\t\t\" %D(%D) handoff, %D(%D) steal, %D/%D/%D yields\\n\",\
-\t\t\tmstats.numgc, work.nproc, (t3-t2)/1000000, (t2-t1)/1000000, (t1-t0+t4-t3)/1000000,\
+\t\t\tmstats.numgc, work.nproc, (t1-t0)/1000, (t2-t1)/1000, (t3-t2)/1000, (t4-t3)/1000,\
 \t\t\theap0>>20, heap1>>20, obj,\
 \t\t\tmstats.nmalloc, mstats.nfree,\
 \t\t\tsweep.nspan, gcstats.nbgsweep, gcstats.npausesweep,\

コアとなるコードの解説

上記の差分は、src/pkg/runtime/mgc0.c ファイル内の gc 関数における runtime.printf の呼び出しを変更しています。

  1. フォーマット文字列の変更:

    • 変更前: \"gc%d(%d): %D+%D+%D ms, ...\"
      • %D+%D+%D ms の部分が、3つの時間値をミリ秒単位で表示することを示しています。
    • 変更後: \"gc%d(%d): %D+%D+%D+%D us, ...\"
      • %D+%D+%D+%D us の部分が、4つの時間値をマイクロ秒単位で表示することを示しています。msus に変更され、時間値のプレースホルダーが1つ増えています。
  2. 時間計算の引数の変更:

    • 変更前は、以下の3つの式が runtime.printf に渡されていました。これらはナノ秒単位の差分を1,000,000で割ることでミリ秒に変換していました。
      • (t3-t2)/1000000
      • (t2-t1)/1000000
      • (t1-t0+t4-t3)/1000000 (これはおそらく、複数の非連続な期間の合計を示しています)
    • 変更後は、以下の4つの式が runtime.printf に渡されています。これらはナノ秒単位の差分を1,000で割ることでマイクロ秒に変換しています。
      • (t1-t0)/1000
      • (t2-t1)/1000
      • (t3-t2)/1000
      • (t4-t3)/1000

この変更により、gctrace の出力は、GCの異なる4つのフェーズ(またはサブフェーズ)の所要時間を、より高精度なマイクロ秒単位で個別に表示するようになります。これにより、GCのパフォーマンスプロファイリングにおいて、どのフェーズがボトルネックになっているのかをより正確に特定できるようになります。

関連リンク

  • Go言語のガベージコレクションに関する公式ドキュメントやブログ記事(コミット当時のもの、または関連する概念を説明するもの)
  • GODEBUG 環境変数に関するGoのドキュメント

参考にした情報源リンク