Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

[インデックス 1910] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の仕様書ドキュメント doc/go_spec.html における記述の修正に関するものです。具体的には、「type guards」という用語の最後の3つの参照を修正し、より正確な「type assertions」という用語に置き換えるとともに、チャネルの初期化に関する記述を new(chan int) から make(chan int) へと変更しています。

コミット

commit f538760552275788a65474156adb9483f7a3aa2b
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Mon Mar 30 16:08:41 2009 -0700

    fix last 3 references to 'type guards'
    
    R=gri
    DELTA=3  (0 added, 0 deleted, 3 changed)
    OCL=26908
    CL=26908

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/f538760552275788a654744156adb9483f7a3aa2b

元コミット内容

diff --git a/doc/go_spec.html b/doc/go_spec.html
index e90f605605..438a764333 100644
--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1658,7 +1658,7 @@ and is shorthand for the declaration syntax
 <pre>
 i, j := 0, 10;
 f := func() int { return 7; }
-ch := new(chan int);\n+ch := make(chan int);\n </pre>
 \n <p>\n@@ -3291,10 +3291,10 @@ case x == 4: f3();\n A type switch compares types rather than values. It is otherwise similar\n to an expression switch. It is introduced by special\n notation in the form of a simple declaration whose right hand side\n-has the form of a type guard (§Type guards)\n+has the form of a type assertion (§Type assertions)\n using the reserved word <code>type</code> rather than an actual type.\n Cases then match literal types against the dynamic type of the expression\n-in the type guard.\n+in the type assertion.\n </p>\n \n <pre class=\"grammar\">\n```

## 変更の背景

このコミットは、Go言語の初期段階における仕様書ドキュメントの用語統一と正確性の向上を目的としています。

主な変更点は以下の2つです。

1.  **「type guards」から「type assertions」への用語変更**: Go言語の型システムにおいて、インターフェース値の基底型を動的に検査・変換する操作は「型アサーション (type assertion)」として知られています。しかし、初期の仕様書では「type guards」という用語が誤って使用されていた箇所がありました。このコミットは、その誤用を修正し、Go言語コミュニティ全体で一貫した用語を使用するためのものです。これは、言語設計の初期段階で用語が固まっていく過程で生じる典型的な修正と言えます。

2.  **`new(chan int)` から `make(chan int)` への修正**: Go言語において、チャネル、マップ、スライスといった組み込みの参照型は、`new` ではなく `make` 関数を用いて初期化・作成するのが正しい方法です。`new` はゼロ値に初期化されたメモリを割り当て、そのポインタを返しますが、チャネル、マップ、スライスは内部構造が複雑であり、`make` によって適切に初期化される必要があります。初期の仕様書に誤った例が記載されていたため、それを修正し、正しいチャネルの作成方法を示すように変更されました。

これらの変更は、Go言語の仕様が成熟し、より正確で分かりやすいドキュメントを提供するための継続的な取り組みの一環です。

## 前提知識の解説

### Go言語の仕様書 (`doc/go_spec.html`)

Go言語の仕様書は、Go言語の構文、セマンティクス、および標準ライブラリの動作を定義する公式ドキュメントです。Go言語の設計思想や機能の詳細を理解するための最も権威ある情報源であり、言語の進化に合わせて更新されます。このコミットで修正されている `doc/go_spec.html` は、そのHTML版にあたります。

### 型アサーション (Type Assertions)

Go言語における型アサーションは、インターフェース値が特定の具象型を保持しているかどうかを検査し、もしそうであればその具象型の値を取り出すためのメカニズムです。

構文は以下の通りです。

```go
value, ok := interfaceValue.(Type)
  • interfaceValue はインターフェース型の値です。
  • Type は検査したい具象型です。
  • value は、interfaceValueType を保持していた場合に、その具象型の値が代入されます。
  • ok はブール値で、アサーションが成功したかどうかを示します。

型アサーションは、インターフェースの動的な性質を利用して、実行時に値の型を判断し、それに応じた処理を行う際に不可欠な機能です。

型スイッチ (Type Switch)

型スイッチは、複数の型アサーションを簡潔に記述するための制御構造です。インターフェース値の動的な型に基づいて異なるコードブロックを実行できます。

構文は以下の通りです。

switch v := interfaceValue.(type) {
case Type1:
    // v は Type1 型
case Type2:
    // v は Type2 型
default:
    // v は他の型
}

このコミットの修正箇所は、型スイッチの導入部分で「type guards」という誤った用語が使われていた点を修正しています。

newmake の違い

Go言語には、メモリを割り当てるための2つの組み込み関数 newmake があります。

  • new(Type):

    • Type 型のゼロ値に初期化されたメモリを割り当て、その型へのポインタ (*Type) を返します。
    • すべての型に対して使用できます。
    • 例: p := new(int)*int 型のポインタを返し、その指す値は 0 に初期化されます。
  • make(Type, size, capacity):

    • スライス、マップ、チャネルといった組み込みの参照型(これらは内部的に複雑なデータ構造を持つ)のために特別に設計されています。
    • これらの型を適切に初期化し、使用可能な状態にします。
    • new とは異なり、ポインタではなく、初期化された型の値を返します。
    • 例:
      • s := make([]int, 5, 10): 長さ5、容量10のint型スライスを作成。
      • m := make(map[string]int): 空のstringからintへのマップを作成。
      • ch := make(chan int, 5): バッファサイズ5のint型チャネルを作成。

このコミットでは、チャネルの作成に new が誤って使われていた例を make に修正しています。これは、Go言語の基本的なメモリ管理とデータ構造の初期化に関する重要な概念の修正です。

技術的詳細

このコミットは、Go言語の仕様書 doc/go_spec.html 内の特定の記述を修正することで、言語の正確性と一貫性を向上させています。

1. new(chan int) から make(chan int) への修正

Go言語のチャネルは、ゴルーチン間の通信を可能にするための強力なプリミティブです。チャネルは参照型であり、使用する前に適切に初期化される必要があります。new 関数は任意の型のメモリを割り当ててゼロ値を返しますが、チャネルの場合、単にメモリを割り当てるだけでは不十分です。チャネルは内部的にキューやロックなどの複雑な構造を持っており、これらが make 関数によって適切に設定される必要があります。

初期の仕様書では、チャネルの作成例として ch := new(chan int); が誤って記載されていました。これは、コンパイルは通るものの、実行時にパニックを引き起こす可能性のある不適切なコードです(new で作成されたチャネルはゼロ値であり、通信操作を行うとデッドロックやパニックが発生します)。このコミットは、この誤りを ch := make(chan int); に修正し、チャネルの正しい初期化方法を明示しています。make(chan int) は、バッファなしのチャネルを作成し、すぐに使用可能な状態にします。

2. 「type guards」から「type assertions」への用語変更

Go言語の型システムにおいて、インターフェース値の基底型を動的に検査・変換する操作は「型アサーション (type assertion)」と正式に呼ばれています。これは、特定のインターフェース値が特定の具象型を保持していることを「アサート(主張)」する操作であるため、この名称が適切です。

しかし、初期の仕様書では、型スイッチの文脈で「type guard」という用語が使用されていました。これは、JavaScriptなどの他の言語における「型ガード (type guard)」という概念(主にTypeScriptで、特定の条件が満たされた場合に変数の型を絞り込む機能)と混同される可能性があり、Go言語の文脈では不正確でした。

このコミットでは、以下の2箇所で「type guard」という記述を「type assertion」に修正しています。

  • has the form of a type guard (§Type guards)has the form of a type assertion (§Type assertions) に変更。
  • in the type guard.in the type assertion. に変更。

これにより、Go言語の公式ドキュメント全体で用語の統一が図られ、読者が混乱することなく正確な概念を理解できるようになりました。これは、言語の安定性と成熟度を示す重要なステップです。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1658,7 +1658,7 @@ and is shorthand for the declaration syntax
 <pre>
 i, j := 0, 10;
 f := func() int { return 7; }
-ch := new(chan int);\n+ch := make(chan int);\n </pre>
 \n <p>\n@@ -3291,10 +3291,10 @@ case x == 4: f3();\n A type switch compares types rather than values. It is otherwise similar\n to an expression switch. It is introduced by special\n notation in the form of a simple declaration whose right hand side\n-has the form of a type guard (§Type guards)\n+has the form of a type assertion (§Type assertions)\n using the reserved word <code>type</code> rather than an actual type.\n Cases then match literal types against the dynamic type of the expression\n-in the type guard.\n+in the type assertion.\n </p>\n \n <pre class=\"grammar\">\n```

## コアとなるコードの解説

上記のdiffは、Go言語の仕様書 `doc/go_spec.html` における3つの具体的な変更を示しています。

1.  **チャネル初期化の修正**:
    ```diff
    -ch := new(chan int);
    +ch := make(chan int);
    ```
    この変更は、Go言語におけるチャネルの正しい初期化方法を反映しています。`new(chan int)` は `*chan int` 型のポインタを返し、その指すチャネルはゼロ値(nilチャネルと同様に機能しない)です。一方、`make(chan int)` は、`chan int` 型の値を返し、適切に初期化された使用可能なチャネルを作成します。これは、Go言語の基本的なデータ構造の取り扱いに関する重要な修正です。

2.  **「type guard」から「type assertion」への用語変更(1回目)**:
    ```diff
    -has the form of a type guard (§Type guards)
    +has the form of a type assertion (§Type assertions)
    ```
    この変更は、型スイッチの導入部分における記述を修正しています。Go言語の文脈では、インターフェース値の基底型を検査する操作は「型アサーション (type assertion)」と呼ばれます。初期の仕様書で誤って使用されていた「type guard」という用語を、正確な「type assertion」に置き換えることで、言語仕様の厳密性と一貫性を高めています。また、参照先のセクション名も `§Type guards` から `§Type assertions` に変更されています。

3.  **「type guard」から「type assertion」への用語変更(2回目)**:
    ```diff
    -in the type guard.
    +in the type assertion.
    ```
    これも上記と同様に、型スイッチの動作を説明する文脈で「type guard」という用語が使われていた箇所を「type assertion」に修正しています。これにより、型スイッチが型アサーションのメカニズムを利用していることが明確に示され、読者の理解を助けます。

これらの変更は、Go言語の仕様書がより正確で、Go言語の設計思想と用語に忠実であることを保証するための、細かではあるが重要な修正です。

## 関連リンク

*   Go言語の仕様書: [https://go.dev/ref/spec](https://go.dev/ref/spec)
*   Go言語のブログ: [https://go.dev/blog/](https://go.dev/blog/)
*   Go言語における `make` と `new` の違いに関する議論(Stack Overflowなど)

## 参考にした情報源リンク

*   Go言語の公式ドキュメント
*   Go言語のGitHubリポジトリのコミット履歴
*   Go言語に関する技術ブログやフォーラムでの議論(`make` vs `new`、型アサーションなど)
*   Stack Overflow: "What is the difference between make and new in Go?"
    *   [https://stackoverflow.com/questions/10030327/what-is-the-difference-between-make-and-new-in-go](https://stackoverflow.com/questions/10030327/what-is-the-difference-between-make-and-new-in-go)
*   Go by Example: Type Assertions
    *   [https://gobyexample.com/type-assertions](https://gobyexample.com/type-assertions)
*   Go by Example: Type Switches
    *   [https://gobyexample.com/type-switches](https://gobyexample.com/type-switches)
*   Go言語の初期の設計に関する議論(Goのメーリングリストなど、一般には公開されていない可能性あり)

---
I have generated the detailed technical explanation in Markdown format, following all the specified instructions and chapter structure. The output is in Japanese and covers the background, prerequisite knowledge, technical details, core code changes, and their explanations. I have also included relevant and reference links.
The response is now ready to be outputted.
```markdown
# [インデックス 1910] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の仕様書ドキュメント `doc/go_spec.html` における記述の修正に関するものです。具体的には、「type guards」という用語の最後の3つの参照を修正し、より正確な「type assertions」という用語に置き換えるとともに、チャネルの初期化に関する記述を `new(chan int)` から `make(chan int)` へと変更しています。

## コミット

commit f538760552275788a65474156adb9483f7a3aa2b Author: Rob Pike r@golang.org Date: Mon Mar 30 16:08:41 2009 -0700

fix last 3 references to 'type guards'

R=gri
DELTA=3  (0 added, 0 deleted, 3 changed)
OCL=26908
CL=26908

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/f538760552275788a65474156adb9483f7a3aa2b](https://github.com/golang/go/commit/f538760552275788a65474156adb9483f7a3aa2b)

## 元コミット内容

```diff
diff --git a/doc/go_spec.html b/doc/go_spec.html
index e90f605605..438a764333 100644
--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1658,7 +1658,7 @@ and is shorthand for the declaration syntax
 <pre>
 i, j := 0, 10;
 f := func() int { return 7; }
-ch := new(chan int);\n+ch := make(chan int);\n </pre>
 \n <p>\n@@ -3291,10 +3291,10 @@ case x == 4: f3();\n A type switch compares types rather than values. It is otherwise similar\n to an expression switch. It is introduced by special\n notation in the form of a simple declaration whose right hand side\n-has the form of a type guard (§Type guards)\n+has the form of a type assertion (§Type assertions)\n using the reserved word <code>type</code> rather than an actual type.\n Cases then match literal types against the dynamic type of the expression\n-in the type guard.\n+in the type assertion.\n </p>\n \n <pre class=\"grammar\">\n```

## 変更の背景

このコミットは、Go言語の初期段階における仕様書ドキュメントの用語統一と正確性の向上を目的としています。

主な変更点は以下の2つです。

1.  **「type guards」から「type assertions」への用語変更**: Go言語の型システムにおいて、インターフェース値の基底型を動的に検査・変換する操作は「型アサーション (type assertion)」として知られています。しかし、初期の仕様書では「type guards」という用語が誤って使用されていた箇所がありました。このコミットは、その誤用を修正し、Go言語コミュニティ全体で一貫した用語を使用するためのものです。これは、言語設計の初期段階で用語が固まっていく過程で生じる典型的な修正と言えます。

2.  **`new(chan int)` から `make(chan int)` への修正**: Go言語において、チャネル、マップ、スライスといった組み込みの参照型は、`new` ではなく `make` 関数を用いて初期化・作成するのが正しい方法です。`new` はゼロ値に初期化されたメモリを割り当て、そのポインタを返しますが、チャネル、マップ、スライスは内部構造が複雑であり、`make` によって適切に初期化される必要があります。初期の仕様書に誤った例が記載されていたため、それを修正し、正しいチャネルの作成方法を示すように変更されました。

これらの変更は、Go言語の仕様が成熟し、より正確で分かりやすいドキュメントを提供するための継続的な取り組みの一環です。

## 前提知識の解説

### Go言語の仕様書 (`doc/go_spec.html`)

Go言語の仕様書は、Go言語の構文、セマンティクス、および標準ライブラリの動作を定義する公式ドキュメントです。Go言語の設計思想や機能の詳細を理解するための最も権威ある情報源であり、言語の進化に合わせて更新されます。このコミットで修正されている `doc/go_spec.html` は、そのHTML版にあたります。

### 型アサーション (Type Assertions)

Go言語における型アサーションは、インターフェース値が特定の具象型を保持しているかどうかを検査し、もしそうであればその具象型の値を取り出すためのメカニズムです。

構文は以下の通りです。

```go
value, ok := interfaceValue.(Type)
  • interfaceValue はインターフェース型の値です。
  • Type は検査したい具象型です。
  • value は、interfaceValueType を保持していた場合に、その具象型の値が代入されます。
  • ok はブール値で、アサーションが成功したかどうかを示します。

型アサーションは、インターフェースの動的な性質を利用して、実行時に値の型を判断し、それに応じた処理を行う際に不可欠な機能です。

型スイッチ (Type Switch)

型スイッチは、複数の型アサーションを簡潔に記述するための制御構造です。インターフェース値の動的な型に基づいて異なるコードブロックを実行できます。

構文は以下の通りです。

switch v := interfaceValue.(type) {
case Type1:
    // v は Type1 型
case Type2:
    // v は Type2 型
default:
    // v は他の型
}

このコミットの修正箇所は、型スイッチの導入部分で「type guards」という誤った用語が使われていた点を修正しています。

newmake の違い

Go言語には、メモリを割り当てるための2つの組み込み関数 newmake があります。

  • new(Type):

    • Type 型のゼロ値に初期化されたメモリを割り当て、その型へのポインタ (*Type) を返します。
    • すべての型に対して使用できます。
    • 例: p := new(int)*int 型のポインタを返し、その指す値は 0 に初期化されます。
  • make(Type, size, capacity):

    • スライス、マップ、チャネルといった組み込みの参照型(これらは内部的に複雑なデータ構造を持つ)のために特別に設計されています。
    • これらの型を適切に初期化し、使用可能な状態にします。
    • new とは異なり、ポインタではなく、初期化された型の値を返します。
    • 例:
      • s := make([]int, 5, 10): 長さ5、容量10のint型スライスを作成。
      • m := make(map[string]int): 空のstringからintへのマップを作成。
      • ch := make(chan int, 5): バッファサイズ5のint型チャネルを作成。

このコミットでは、チャネルの作成に new が誤って使われていた例を make に修正しています。これは、Go言語の基本的なメモリ管理とデータ構造の初期化に関する重要な概念の修正です。

技術的詳細

このコミットは、Go言語の仕様書 doc/go_spec.html 内の特定の記述を修正することで、言語の正確性と一貫性を向上させています。

1. new(chan int) から make(chan int) への修正

Go言語のチャネルは、ゴルーチン間の通信を可能にするための強力なプリミティブです。チャネルは参照型であり、使用する前に適切に初期化される必要があります。new 関数は任意の型のメモリを割り当ててゼロ値を返しますが、チャネルの場合、単にメモリを割り当てるだけでは不十分です。チャネルは内部的にキューやロックなどの複雑な構造を持っており、これらが make 関数によって適切に設定される必要があります。

初期の仕様書では、チャネルの作成例として ch := new(chan int); が誤って記載されていました。これは、コンパイルは通るものの、実行時にパニックを引き起こす可能性のある不適切なコードです(new で作成されたチャネルはゼロ値であり、通信操作を行うとデッドロックやパニックが発生します)。このコミットは、この誤りを ch := make(chan int); に修正し、チャネルの正しい初期化方法を明示しています。make(chan int) は、バッファなしのチャネルを作成し、すぐに使用可能な状態にします。

2. 「type guards」から「type assertions」への用語変更

Go言語の型システムにおいて、インターフェース値の基底型を動的に検査・変換する操作は「型アサーション (type assertion)」と正式に呼ばれています。これは、特定のインターフェース値が特定の具象型を保持していることを「アサート(主張)」する操作であるため、この名称が適切です。

しかし、初期の仕様書では、型スイッチの文脈で「type guard」という用語が使用されていました。これは、JavaScriptなどの他の言語における「型ガード (type guard)」という概念(主にTypeScriptで、特定の条件が満たされた場合に変数の型を絞り込む機能)と混同される可能性があり、Go言語の文脈では不正確でした。

このコミットでは、以下の2箇所で「type guard」という記述を「type assertion」に修正しています。

  • has the form of a type guard (§Type guards)has the form of a type assertion (§Type assertions) に変更。
  • in the type guard.in the type assertion. に変更。

これにより、Go言語の公式ドキュメント全体で用語の統一が図られ、読者が混乱することなく正確な概念を理解できるようになりました。これは、言語の安定性と成熟度を示す重要なステップです。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1658,7 +1658,7 @@ and is shorthand for the declaration syntax
 <pre>
 i, j := 0, 10;
 f := func() int { return 7; }
-ch := new(chan int);\n+ch := make(chan int);\n </pre>
 \n <p>\n@@ -3291,10 +3291,10 @@ case x == 4: f3();\n A type switch compares types rather than values. It is otherwise similar\n to an expression switch. It is introduced by special\n notation in the form of a simple declaration whose right hand side\n-has the form of a type guard (§Type guards)\n+has the form of a type assertion (§Type assertions)\n using the reserved word <code>type</code> rather than an actual type.\n Cases then match literal types against the dynamic type of the expression\n-in the type guard.\n+in the type assertion.\n </p>\n \n <pre class=\"grammar\">\n```

## コアとなるコードの解説

上記のdiffは、Go言語の仕様書 `doc/go_spec.html` における3つの具体的な変更を示しています。

1.  **チャネル初期化の修正**:
    ```diff
    -ch := new(chan int);
    +ch := make(chan int);
    ```
    この変更は、Go言語におけるチャネルの正しい初期化方法を反映しています。`new(chan int)` は `*chan int` 型のポインタを返し、その指すチャネルはゼロ値(nilチャネルと同様に機能しない)です。一方、`make(chan int)` は、`chan int` 型の値を返し、適切に初期化された使用可能なチャネルを作成します。これは、Go言語の基本的なデータ構造の取り扱いに関する重要な修正です。

2.  **「type guard」から「type assertion」への用語変更(1回目)**:
    ```diff
    -has the form of a type guard (§Type guards)
    +has the form of a type assertion (§Type assertions)
    ```
    この変更は、型スイッチの導入部分における記述を修正しています。Go言語の文脈では、インターフェース値の基底型を検査する操作は「型アサーション (type assertion)」と呼ばれます。初期の仕様書で誤って使用されていた「type guard」という用語を、正確な「type assertion」に置き換えることで、言語仕様の厳密性と一貫性を高めています。また、参照先のセクション名も `§Type guards` から `§Type assertions` に変更されています。

3.  **「type guard」から「type assertion」への用語変更(2回目)**:
    ```diff
    -in the type guard.
    +in the type assertion.
    ```
    これも上記と同様に、型スイッチの動作を説明する文脈で「type guard」という用語が使われていた箇所を「type assertion」に修正しています。これにより、型スイッチが型アサーションのメカニズムを利用していることが明確に示され、読者の理解を助けます。

これらの変更は、Go言語の仕様書がより正確で、Go言語の設計思想と用語に忠実であることを保証するための、細かではあるが重要な修正です。

## 関連リンク

*   Go言語の仕様書: [https://go.dev/ref/spec](https://go.dev/ref/spec)
*   Go言語のブログ: [https://go.dev/blog/](https://go.dev/blog/)
*   Go言語における `make` と `new` の違いに関する議論(Stack Overflowなど)

## 参考にした情報源リンク

*   Go言語の公式ドキュメント
*   Go言語のGitHubリポジトリのコミット履歴
*   Go言語に関する技術ブログやフォーラムでの議論(`make` vs `new`、型アサーションなど)
*   Stack Overflow: "What is the difference between make and new in Go?"
    *   [https://stackoverflow.com/questions/10030327/what-is-the-difference-between-make-and-new-in-go](https://stackoverflow.com/questions/10030327/what-is-the-difference-between-make-and-new-in-go)
*   Go by Example: Type Assertions
    *   [https://gobyexample.com/type-assertions](https://gobyexample.com/type-assertions)
*   Go by Example: Type Switches
    *   [https://gobyexample.com/type-switches](https://gobyexample.com/type-switches)
*   Go言語の初期の設計に関する議論(Goのメーリングリストなど、一般には公開されていない可能性あり)