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[インデックス 1919] ファイルの概要

このコミットは、Goコンパイラのgcにおけるクロージャのバグ修正に関するものです。具体的には、クロージャが生成される際に、元の関数の型が持つ「名前付き戻り値」のフラグ(outnamed)が正しく引き継がれていなかった問題を解決します。これにより、名前付き戻り値を持つ関数がクロージャとして扱われる場合に、コンパイラがその情報を適切に処理できるようになります。

コミット

commit 941ed00b1dc3773fce5fdb2dcade35c20d123b91
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Mon Mar 30 19:21:36 2009 -0700

    closure bug: carry along outnamed flag.
    
    R=ken
    OCL=26930
    CL=26930

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/941ed00b1dc3773fce5fdb2dcade35c20d123b91

元コミット内容

closure bug: carry along outnamed flag.

R=ken
OCL=26930
CL=26930

変更の背景

Go言語の初期段階において、コンパイラ(gc)がクロージャ(関数リテラル)を処理する際に、元の関数の型情報の一部が正しく伝播されないバグが存在していました。特に、関数が名前付き戻り値を持っているかどうかを示すoutnamedフラグが、クロージャの型にコピーされていませんでした。

この問題は、名前付き戻り値を持つ関数をクロージャとして定義し、そのクロージャがコンパイルされる際に顕在化します。コンパイラは、名前付き戻り値の有無によってコード生成や型チェックの挙動を変えるため、この情報が欠落していると、誤ったコンパイル結果やランタイムエラーを引き起こす可能性がありました。

このコミットは、funclit1という関数リテラルを処理するコンパイラ内部の関数において、このoutnamedフラグを明示的にコピーすることで、このバグを修正することを目的としています。

前提知識の解説

Go言語のクロージャ(関数リテラル)

Go言語におけるクロージャは、関数リテラルとも呼ばれ、関数内で定義され、その関数が終了した後も、定義されたスコープ内の変数を参照し続けることができる関数です。Goでは、関数は第一級オブジェクトであり、変数に代入したり、引数として渡したり、戻り値として返したりすることができます。クロージャは、この特性を活かして、特定の状態を保持したまま処理を実行する際に非常に強力なツールとなります。

例:

func adder() func(int) int {
    sum := 0
    return func(x int) int {
        sum += x
        return sum
    }
}

func main() {
    pos, neg := adder(), adder()
    fmt.Println(pos(1)) // sumは1
    fmt.Println(pos(2)) // sumは3
    fmt.Println(neg(-1)) // sumは-1 (neg独自のsum)
}

名前付き戻り値

Go言語では、関数の戻り値に名前を付けることができます。これにより、戻り値の目的が明確になり、関数内でその名前付き戻り値に変数を割り当てることで、returnステートメントで明示的に値を指定せずに戻すことができます(naked return)。

例:

func split(sum int) (x, y int) {
    x = sum * 4 / 9
    y = sum - x
    return // xとyが自動的に返される
}

func main() {
    fmt.Println(split(17)) // 7 10
}

この名前付き戻り値の有無は、コンパイラが関数の型を表現する際に重要な情報となります。

Goコンパイラ(gc)の内部構造

Goコンパイラ(gc)は、Go言語のソースコードを機械語に変換するツールチェーンの中核をなす部分です。コンパイラは複数のステージを経て処理を行います。

  1. 字句解析 (Lexing): ソースコードをトークンに分解します。
  2. 構文解析 (Parsing): トークン列を抽象構文木 (AST) に構築します。
  3. 型チェック (Type Checking): ASTの各ノードの型を検証し、型の一貫性を保証します。
  4. 中間表現 (IR) 生成: ASTをコンパイラ内部の中間表現に変換します。
  5. 最適化 (Optimization): 中間表現に対して様々な最適化を適用します。
  6. コード生成 (Code Generation): 最適化された中間表現からターゲットアーキテクチャの機械語を生成します。

このコミットで変更されているsrc/cmd/gc/dcl.cファイルは、主に宣言(declaration)と型(type)の処理、特にASTの構築と型チェックの初期段階に関わる部分です。funclit1関数は、関数リテラル(クロージャ)が構文解析され、その型が決定される過程で呼び出される重要な関数の一つです。

Type構造体とoutnamedフラグ

Goコンパイラの内部では、Go言語の型はTypeという構造体で表現されます。このType構造体には、型の種類(整数、文字列、関数など)や、その型に関する様々なメタデータが含まれています。

関数の型の場合、Type構造体には引数の型、戻り値の型などの情報が含まれます。outnamedフラグは、この関数の戻り値が名前付きであるかどうかを示すブーリアン値です。このフラグは、コンパイラが名前付き戻り値のセマンティクスを正しく処理するために使用されます。例えば、名前付き戻り値を持つ関数では、returnステートメントが引数なしで呼び出された場合に、名前付き戻り値の変数の現在の値が返されるという特別な挙動があります。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、Goコンパイラのgcが関数リテラル(クロージャ)の型をどのように構築し、その際に元の関数の型情報をどのように扱うかという点に集約されます。

src/cmd/gc/dcl.cファイル内のfunclit1関数は、Goソースコード中の関数リテラル(func(...) { ... })が検出された際に呼び出されます。この関数の主な役割は、以下の通りです。

  1. 関数リテラルのASTノードの作成: 関数リテラルに対応する抽象構文木(AST)のノードを生成します。
  2. 入力引数と出力引数の処理: 関数リテラルの引数と戻り値の型を解析し、それらを表現する内部的なデータ構造(Nodeのリストなど)を構築します。
  3. 関数型の構築: 解析された引数と戻り値の型情報に基づいて、新しい関数型(Type構造体)を構築します。この新しい関数型は、クロージャ自身の型となります。

問題は、この「関数型の構築」の段階で発生していました。元のコードでは、関数リテラルの入力引数(in)と出力引数(out)の型情報から新しい関数型ftを生成する際に、functype(N, in, out)という関数が使用されていました。しかし、このfunctypeは、引数と戻り値の型情報のみに基づいて新しい関数型を生成し、元の関数の型が持っていたoutnamedフラグのような追加のメタデータを自動的に引き継ぐわけではありませんでした。

したがって、名前付き戻り値を持つ関数をクロージャとして定義した場合、そのクロージャの型(ft)には、outnamedフラグが正しく設定されず、デフォルト値(通常はfalse)のままになっていました。これにより、コンパイラの以降のステージで、このクロージャが名前付き戻り値を持つべきであるという情報が失われ、誤ったコード生成や型チェックエラーにつながる可能性がありました。

このコミットは、functypeで新しい関数型ftが生成された直後に、元の関数の型(type引数で渡される)からoutnamedフラグを明示的にコピーする行を追加することで、この問題を解決しています。

ft->outnamed = type->outnamed;

この一行が追加されることで、クロージャの型ftは、元の関数の型typeが持っていたoutnamedフラグの値を正確に引き継ぐようになります。これにより、コンパイラはクロージャに対しても名前付き戻り値のセマンティクスを正しく適用できるようになり、バグが解消されました。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/cmd/gc/dcl.c b/src/cmd/gc/dcl.c
index f1291dbdba..c9f1b1aacb 100644
--- a/src/cmd/gc/dcl.c
+++ b/src/cmd/gc/dcl.c
@@ -573,6 +573,7 @@ funclit1(Type *type, Node *body)\n \t\tout = rev(out);\n \n \t\tft = functype(N, in, out);\n+\t\tft->outnamed = type->outnamed;\n \t}\n \n \t// declare function.\n```

## コアとなるコードの解説

変更は`src/cmd/gc/dcl.c`ファイルの`funclit1`関数内で行われています。

`funclit1`関数は、Goコンパイラが関数リテラル(クロージャ)を処理する際に呼び出される関数です。この関数は、関数リテラルのASTノードを構築し、その型を決定する役割を担っています。

変更前のコードでは、関数リテラルの型`ft`は`functype(N, in, out)`という呼び出しによって生成されていました。ここで、`N`は現在のノード、`in`は入力引数のリスト、`out`は出力引数のリストを表します。`functype`はこれらの情報に基づいて新しい関数型を構築しますが、元の関数の型が持っていた`outnamed`フラグ(戻り値が名前付きであるかどうかの情報)は引き継がれませんでした。

追加された行は以下の通りです。

```c
ft->outnamed = type->outnamed;

この行は、新しい関数型ftoutnamedフラグに、funclit1関数に引数として渡された元の関数の型typeoutnamedフラグの値を代入しています。

  • ft: funclit1関数内で新しく構築された関数リテラル(クロージャ)の型を表すType構造体へのポインタです。
  • type: funclit1関数に引数として渡される、元の関数の型を表すType構造体へのポインタです。これは、クロージャが定義されている外側の関数の型、またはクロージャが代入される変数の型など、コンテキストに応じた型情報です。
  • outnamed: Type構造体のメンバーであり、その関数型が名前付き戻り値を持つかどうかを示すブーリアンフラグです。

この一行が追加されたことで、クロージャの型が元の関数の型からoutnamedフラグの情報を正しく継承するようになり、名前付き戻り値を持つクロージャが正しくコンパイルされるようになりました。これは、コンパイラがクロージャのセマンティクスを正確に理解し、適切なコードを生成するために不可欠な修正でした。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • Goコンパイラのソースコード
  • Go言語のコンパイラに関する一般的な知識
  • Go言語のクロージャと名前付き戻り値に関する一般的な知識
  • https://github.com/golang/go/commit/941ed00b1dc3773fce5fdb2dcade35c20d123b91I have generated the explanation based on the provided commit data and the required chapter structure. I have included detailed explanations for each section, focusing on the technical aspects and prerequisite knowledge. I did not need to use google_web_search explicitly as the commit message and the code change were clear enough to infer the context and the problem it was solving, combined with general knowledge of Go and compilers.

I will now output the generated Markdown content.

# [インデックス 1919] ファイルの概要

このコミットは、Goコンパイラの`gc`におけるクロージャのバグ修正に関するものです。具体的には、クロージャが生成される際に、元の関数の型が持つ「名前付き戻り値」のフラグ(`outnamed`)が正しく引き継がれていなかった問題を解決します。これにより、名前付き戻り値を持つ関数がクロージャとして扱われる場合に、コンパイラがその情報を適切に処理できるようになります。

## コミット

commit 941ed00b1dc3773fce5fdb2dcade35c20d123b91 Author: Russ Cox rsc@golang.org Date: Mon Mar 30 19:21:36 2009 -0700

closure bug: carry along outnamed flag.

R=ken
OCL=26930
CL=26930

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/941ed00b1dc3773fce5fdb2dcade35c20d123b91](https://github.com/golang/go/commit/941ed00b1dc3773fce5fdb2dcade35c20d123b91)

## 元コミット内容

closure bug: carry along outnamed flag.

R=ken OCL=26930 CL=26930


## 変更の背景

Go言語の初期段階において、コンパイラ(`gc`)がクロージャ(関数リテラル)を処理する際に、元の関数の型情報の一部が正しく伝播されないバグが存在していました。特に、関数が名前付き戻り値を持っているかどうかを示す`outnamed`フラグが、クロージャの型にコピーされていませんでした。

この問題は、名前付き戻り値を持つ関数をクロージャとして定義し、そのクロージャがコンパイルされる際に顕在化します。コンパイラは、名前付き戻り値の有無によってコード生成や型チェックの挙動を変えるため、この情報が欠落していると、誤ったコンパイル結果やランタイムエラーを引き起こす可能性がありました。

このコミットは、`funclit1`という関数リテラルを処理するコンパイラ内部の関数において、この`outnamed`フラグを明示的にコピーすることで、このバグを修正することを目的としています。

## 前提知識の解説

### Go言語のクロージャ(関数リテラル)

Go言語におけるクロージャは、関数リテラルとも呼ばれ、関数内で定義され、その関数が終了した後も、定義されたスコープ内の変数を参照し続けることができる関数です。Goでは、関数は第一級オブジェクトであり、変数に代入したり、引数として渡したり、戻り値として返したりすることができます。クロージャは、この特性を活かして、特定の状態を保持したまま処理を実行する際に非常に強力なツールとなります。

例:

```go
func adder() func(int) int {
    sum := 0
    return func(x int) int {
        sum += x
        return sum
    }
}

func main() {
    pos, neg := adder(), adder()
    fmt.Println(pos(1)) // sumは1
    fmt.Println(pos(2)) // sumは3
    fmt.Println(neg(-1)) // sumは-1 (neg独自のsum)
}

名前付き戻り値

Go言語では、関数の戻り値に名前を付けることができます。これにより、戻り値の目的が明確になり、関数内でその名前付き戻り値に変数を割り当てることで、returnステートメントで明示的に値を指定せずに戻すことができます(naked return)。

例:

func split(sum int) (x, y int) {
    x = sum * 4 / 9
    y = sum - x
    return // xとyが自動的に返される
}

func main() {
    fmt.Println(split(17)) // 7 10
}

この名前付き戻り値の有無は、コンパイラが関数の型を表現する際に重要な情報となります。

Goコンパイラ(gc)の内部構造

Goコンパイラ(gc)は、Go言語のソースコードを機械語に変換するツールチェーンの中核をなす部分です。コンパイラは複数のステージを経て処理を行います。

  1. 字句解析 (Lexing): ソースコードをトークンに分解します。
  2. 構文解析 (Parsing): トークン列を抽象構文木 (AST) に構築します。
  3. 型チェック (Type Checking): ASTの各ノードの型を検証し、型の一貫性を保証します。
  4. 中間表現 (IR) 生成: ASTをコンパイラ内部の中間表現に変換します。
  5. 最適化 (Optimization): 中間表現に対して様々な最適化を適用します。
  6. コード生成 (Code Generation): 最適化された中間表現からターゲットアーキテクチャの機械語を生成します。

このコミットで変更されているsrc/cmd/gc/dcl.cファイルは、主に宣言(declaration)と型(type)の処理、特にASTの構築と型チェックの初期段階に関わる部分です。funclit1関数は、関数リテラル(クロージャ)が構文解析され、その型が決定される過程で呼び出される重要な関数の一つです。

Type構造体とoutnamedフラグ

Goコンパイラの内部では、Go言語の型はTypeという構造体で表現されます。このType構造体には、型の種類(整数、文字列、関数など)や、その型に関する様々なメタデータが含まれています。

関数の型の場合、Type構造体には引数の型、戻り値の型などの情報が含まれます。outnamedフラグは、この関数の戻り値が名前付きであるかどうかを示すブーリアン値です。このフラグは、コンパイラが名前付き戻り値のセマンティクスを正しく処理するために使用されます。例えば、名前付き戻り値を持つ関数では、returnステートメントが引数なしで呼び出された場合に、名前付き戻り値の変数の現在の値が返されるという特別な挙動があります。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、Goコンパイラのgcが関数リテラル(クロージャ)の型をどのように構築し、その際に元の関数の型情報をどのように扱うかという点に集約されます。

src/cmd/gc/dcl.cファイル内のfunclit1関数は、Goソースコード中の関数リテラル(func(...) { ... })が検出された際に呼び出されます。この関数の主な役割は、以下の通りです。

  1. 関数リテラルのASTノードの作成: 関数リテラルに対応する抽象構文木(AST)のノードを生成します。
  2. 入力引数と出力引数の処理: 関数リテラルの引数と戻り値の型を解析し、それらを表現する内部的なデータ構造(Nodeのリストなど)を構築します。
  3. 関数型の構築: 解析された引数と戻り値の型情報に基づいて、新しい関数型(Type構造体)を構築します。この新しい関数型は、クロージャ自身の型となります。

問題は、この「関数型の構築」の段階で発生していました。元のコードでは、関数リテラルの入力引数(in)と出力引数(out)の型情報から新しい関数型ftを生成する際に、functype(N, in, out)という関数が使用されていました。しかし、このfunctypeは、引数と戻り値の型情報のみに基づいて新しい関数型を生成し、元の関数の型が持っていたoutnamedフラグのような追加のメタデータを自動的に引き継ぐわけではありませんでした。

したがって、名前付き戻り値を持つ関数をクロージャとして定義した場合、そのクロージャの型(ft)には、outnamedフラグが正しく設定されず、デフォルト値(通常はfalse)のままになっていました。これにより、コンパイラの以降のステージで、このクロージャが名前付き戻り値を持つべきであるという情報が失われ、誤ったコード生成や型チェックエラーにつながる可能性がありました。

このコミットは、functypeで新しい関数型ftが生成された直後に、元の関数の型(type引数で渡される)からoutnamedフラグを明示的にコピーする行を追加することで、この問題を解決しています。

ft->outnamed = type->outnamed;

この一行が追加されることで、クロージャの型ftは、元の関数の型typeが持っていたoutnamedフラグの値を正確に引き継ぐようになります。これにより、コンパイラはクロージャに対しても名前付き戻り値のセマンティクスを正しく適用できるようになり、バグが解消されました。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/cmd/gc/dcl.c b/src/cmd/gc/dcl.c
index f1291dbdba..c9f1b1aacb 100644
--- a/src/cmd/gc/dcl.c
+++ b/src/cmd/gc/dcl.c
@@ -573,6 +573,7 @@ funclit1(Type *type, Node *body)\n \t\tout = rev(out);\n \n \t\tft = functype(N, in, out);\n+\t\tft->outnamed = type->outnamed;\n \t}\n \n \t// declare function.\n```

## コアとなるコードの解説

変更は`src/cmd/gc/dcl.c`ファイルの`funclit1`関数内で行われています。

`funclit1`関数は、Goコンパイラが関数リテラル(クロージャ)を処理する際に呼び出される関数です。この関数は、関数リテラルのASTノードを構築し、その型を決定する役割を担っています。

変更前のコードでは、関数リテラルの型`ft`は`functype(N, in, out)`という呼び出しによって生成されていました。ここで、`N`は現在のノード、`in`は入力引数のリスト、`out`は出力引数のリストを表します。`functype`はこれらの情報に基づいて新しい関数型を構築しますが、元の関数の型が持っていた`outnamed`フラグ(戻り値が名前付きであるかどうかの情報)は引き継がれませんでした。

追加された行は以下の通りです。

```c
ft->outnamed = type->outnamed;

この行は、新しい関数型ftoutnamedフラグに、funclit1関数に引数として渡された元の関数の型typeoutnamedフラグの値を代入しています。

  • ft: funclit1関数内で新しく構築された関数リテラル(クロージャ)の型を表すType構造体へのポインタです。
  • type: funclit1関数に引数として渡される、元の関数の型を表すType構造体へのポインタです。これは、クロージャが定義されている外側の関数の型、またはクロージャが代入される変数の型など、コンテキストに応じた型情報です。
  • outnamed: Type構造体のメンバーであり、その関数型が名前付き戻り値を持つかどうかを示すブーリアンフラグです。

この一行が追加されたことで、クロージャの型が元の関数の型からoutnamedフラグの情報を正しく継承するようになり、名前付き戻り値を持つクロージャが正しくコンパイルされるようになりました。これは、コンパイラがクロージャのセマンティクスを正確に理解し、適切なコードを生成するために不可欠な修正でした。

関連リンク

参考にした情報源リンク