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[インデックス 19206] ファイルの概要

このコミットは、Go 1.3 のリリースノートである doc/go1.3.html に、go test コマンドの新しい振る舞いに関する記述を追加するものです。具体的には、テストファイルが存在しないパッケージに対しても go test が常にビルドを実行するようになった変更点が明記されています。

コミット

  • コミットハッシュ: 0d612a8572229d02e569a865e27e32e163c40ea2
  • 作者: Rob Pike r@golang.org
  • コミット日時: 2014年4月18日 金曜日 11:00:38 -0700

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0d612a8572229d02e569a865e27e32e163c40ea2

元コミット内容

doc/go1.3.html: go test always builds

LGTM=bradfitz
R=golang-codereviews, bradfitz
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/89370043

変更の背景

Go言語のビルドシステムにおいて、go test コマンドは通常、パッケージのテストを実行するために使用されます。Go 1.3 より前のバージョンでは、もし対象のパッケージにテストファイル(_test.go で終わるファイル)が存在しない場合、go test コマンドは何もしませんでした。

しかし、開発のワークフローにおいては、テストの有無にかかわらず、パッケージが正しくビルドできることを確認したい場合があります。例えば、CI/CDパイプラインにおいて、テストの実行前に必ずビルドが成功することを確認するステップを設けたい場合などです。以前の挙動では、テストファイルがないパッケージに対してはビルドがスキップされてしまうため、ビルドエラーの検出が遅れる可能性がありました。

このコミットは、Go 1.3 で導入された go test の新しい振る舞いを公式ドキュメントに反映させるものです。この変更により、go test は常にパッケージのビルドを試みるようになり、テストファイルが存在しない場合でもビルドの検証が行われるようになりました。これにより、開発者はより確実にパッケージのビルド状態を把握できるようになり、ビルドプロセスの堅牢性が向上しました。

前提知識の解説

  • go test コマンド: Go言語の標準的なテストツールです。Goパッケージ内のテスト関数(TestXxxBenchmarkXxxExampleXxx)を実行するために使用されます。通常、go test はテストを実行する前に、対象のパッケージとその依存関係をビルドします。
  • Goパッケージのビルド: Go言語では、ソースコードはパッケージとして組織されます。パッケージをビルドするとは、そのパッケージのソースコードをコンパイルし、実行可能なバイナリやライブラリを生成するプロセスを指します。go build コマンドが一般的なビルドコマンドですが、go testgo install なども内部的にビルドプロセスを呼び出します。
  • doc/go1.3.html: これはGo言語の公式ドキュメントの一部であり、Go 1.3 のリリースにおける変更点や新機能について説明しているHTMLファイルです。Goの各バージョンアップ時には、このようなリリースノートが作成され、ユーザーに新しい情報を提供します。

技術的詳細

Go 1.3 における go test コマンドの変更は、その内部的な動作ロジックに影響を与えました。以前は、go test はまず対象パッケージにテストファイルが存在するかどうかを確認し、存在しない場合はそこで処理を終了していました。しかし、Go 1.3 からは、テストファイルの有無にかかわらず、常にパッケージのビルドプロセスを開始するようになりました。

この変更は、特にCI/CD環境や大規模なプロジェクトにおいて有用です。

  1. ビルドエラーの早期発見: テストファイルがないパッケージでもビルドが強制されるため、コンパイルエラーやリンケージエラーなどのビルドに関する問題を早期に発見できます。これにより、問題が開発サイクルの後半に持ち越されることを防ぎ、デバッグコストを削減できます。
  2. 一貫したビルド検証: プロジェクト内のすべてのGoパッケージに対して、テストの有無にかかわらず一貫したビルド検証プロセスを適用できるようになります。これにより、ビルドスクリプトやCI設定を簡素化し、予測可能な挙動を実現できます。
  3. 開発者の利便性: 開発者が特定のパッケージのビルド可能性を素早く確認したい場合、たとえテストが書かれていなくても go test を実行するだけでその目的を達成できるようになりました。

この変更自体は go test コマンドの内部実装に関わるものであり、このコミットはそれをドキュメントに反映させるものです。実際のコード変更はGoツールチェインの内部で行われましたが、このドキュメントの更新は、その変更がユーザーにどのように影響するかを明確に伝えるために重要です。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットで変更されたファイルは doc/go1.3.html のみです。 追加されたコードは以下のHTMLスニペットです。

--- a/doc/go1.3.html
+++ b/doc/go1.3.html
@@ -152,6 +152,12 @@ when the race detector is enabled, to eliminate false reports about unsafe
 access to coverage counters.
 </p>
 
+<p>
+The <a href="/cmd/go/"><code>go test</code></a> subcommand
+now always builds the package, even if it has no test files.
+Previously, it would do nothing if no test files were present.
+</p>
+
 <p>
 Finally, the go command now supports packages that import Objective-C
 files (suffixed <code>.m</code>) through cgo.

コアとなるコードの解説

追加されたHTMLコードは、Go 1.3 のリリースノートの「go コマンド」セクションに新しい段落として挿入されています。

  • <p> タグは新しい段落を示します。
  • The <a href="/cmd/go/"><code>go test</code></a> subcommand は、go test コマンドへのリンクとコードスタイルでの表示を提供します。
  • now always builds the package, even if it has no test files. は、この変更の核心部分であり、「テストファイルがなくても、常にパッケージをビルドするようになった」ことを明確に述べています。
  • Previously, it would do nothing if no test files were present. は、以前の挙動との比較を示し、この変更がどのような改善であるかを読者に理解させます。

このドキュメントの更新は、Go 1.3 の重要な変更点をユーザーに正確に伝えるためのものであり、開発者が新しい go test の振る舞いを理解し、それに応じてワークフローを調整できるようにするために不可欠です。

関連リンク

参考にした情報源リンク