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[インデックス 1921] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の初期のコンパイラツールチェーンにおけるビルドの問題を修正するものです。具体的には、6gコンパイラ(64ビットアーキテクチャ向けのGoコンパイラ)の内部ヘッダーファイルsrc/cmd/6g/gg.hから、nodconst関数の宣言を削除しています。コミットメッセージによると、この変更はgo.hへの宣言の移動と、vlong型からint64型への変更に関連するビルド修正の一環です。

コミット

  • コミットハッシュ: 441da9af0d6b2e2f07f67e7a9d45c3a84535409b
  • Author: Russ Cox rsc@golang.org
  • Date: Mon Mar 30 21:39:10 2009 -0700

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/441da9af0d6b2e2f07f67e7a9d45c3a84535409b

元コミット内容

fix build (moved decl to go.h earlier
and changed vlong to int64).

R=ken
OCL=26934
CL=26934

変更の背景

このコミットは、Go言語のコンパイラビルドプロセスにおける特定の不具合を修正するために行われました。コミットメッセージが示唆するように、問題は主に以下の2点に起因していました。

  1. 宣言の順序と場所: nodconst関数の宣言が、コンパイラのビルドシステムが期待するよりも「遅く」行われていたか、あるいは不適切なヘッダーファイルに配置されていた可能性があります。go.hというより一般的な(あるいはより早期にインクルードされる)ヘッダーファイルに宣言を移動することで、依存関係の問題が解決され、ビルドが成功するようになったと考えられます。C言語のコンパイルでは、関数や変数が使用される前に宣言されている必要があります。ヘッダーファイルのインクルード順序や、どのヘッダーにどの宣言を配置するかは、大規模なプロジェクトのビルドにおいて非常に重要です。
  2. 型定義の変更 (vlongからint64へ): vlongという型が、標準的なint64型に置き換えられました。これは、Goコンパイラの初期段階において、内部的に使用されていたカスタムの64ビット整数型(おそらくPlan 9由来)を、より標準的で移植性の高いint64型に統一する動きの一環であると推測されます。型の不一致や未定義の型が存在すると、コンパイルエラーが発生します。

これらの問題が複合的に作用し、コンパイラのビルドが失敗していたと考えられます。このコミットは、これらの問題を解決し、コンパイラのビルドを安定させることを目的としています。

前提知識の解説

Goコンパイラ (6g)

Go言語の初期のツールチェーンでは、各アーキテクチャ(例: 6は64ビット、8は32ビット、5はARM)に対応するコンパイラが個別の名前を持っていました。6gは、64ビットシステム(x86-64アーキテクチャ)向けのGoコンパイラを指します。これは、現在のgo buildコマンドが内部的に呼び出すコンパイラ(cmd/compile)の前身にあたります。これらのコンパイラは、Goのソースコードを機械語に変換する役割を担っていました。

C言語のヘッダーファイル (.h)

Go言語の初期のコンパイラは、C言語で書かれていました。C言語において、ヘッダーファイル(.h拡張子を持つファイル)は、関数、変数、マクロ、構造体などの宣言を記述するために使用されます。これらの宣言は、実際の定義(実装)が別のソースファイル(.c拡張子を持つファイル)にある場合でも、コンパイラがそれらのエンティティの存在と型を知るために必要です。ソースファイルは、#includeプリプロセッサディレクティブを使用してヘッダーファイルをインクルードし、その中に宣言されたエンティティを利用します。

型定義 (vlong, int64)

  • vlong: このコミットの文脈では、vlongはGoコンパイラの内部で64ビット整数を表すために使用されていたカスタム型である可能性が高いです。Go言語の初期のツールチェーンは、Plan 9オペレーティングシステムのツールチェーンに強く影響を受けており、vlongのようなカスタム型はPlan 9環境でよく見られました。これは、特定のプラットフォームやコンパイラ環境に依存する型定義であった可能性があります。
  • int64: int64は、64ビット符号付き整数を保証する標準的な型です。C99標準では<stdint.h>int64_tとして定義されており、Go言語自体もint64という組み込み型を持っています。カスタム型から標準型への移行は、コードの移植性、可読性、および異なるコンパイラやプラットフォーム間での互換性を向上させる上で重要です。

ビルドシステムと依存関係

ソフトウェアプロジェクトのビルドは、ソースコードをコンパイルし、リンクして実行可能なプログラムを作成するプロセスです。このプロセスでは、ファイル間の依存関係が非常に重要になります。あるファイルが別のファイルで定義された関数や型を使用する場合、その定義がコンパイル時に利用可能である必要があります。ヘッダーファイルのインクルード順序や、宣言がどのヘッダーに配置されているかは、これらの依存関係を解決し、ビルドエラーを防ぐ上で決定的な役割を果たします。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、Goコンパイラの内部構造における型システムと宣言の管理の改善にあります。

src/cmd/6g/gg.hは、6gコンパイラのバックエンド(コード生成や最適化など)に関連する内部的な宣言を含むヘッダーファイルであると推測されます。nodconst関数は、コンパイラの抽象構文木(AST)において定数ノードを扱うための関数であったと考えられます。

コミットメッセージの「moved decl to go.h earlier」という記述は、nodconstの宣言がgg.hからgo.hへ移動されたことを示しています。go.hは、コンパイラ全体で共有されるより基本的な宣言を含むヘッダーファイルである可能性が高いです。これにより、nodconstが使用されるすべての場所で、その宣言が確実に利用可能になるようにしたと考えられます。これは、C言語のコンパイルにおける「前方宣言」の原則に従い、シンボルが使用される前に必ず宣言されていることを保証するための一般的なプラクティスです。

「changed vlong to int64」という記述は、nodconstの引数型、あるいはコンパイラ内部の他の場所でvlongが使用されていた箇所がint64に置き換えられたことを意味します。この変更は、GoコンパイラがPlan 9の遺産から脱却し、より標準的なC言語の型システムに準拠しようとする初期の努力を示しています。vlongのようなカスタム型は、特定のコンパイラや環境に依存するため、移植性やメンテナンスの点で問題を引き起こす可能性があります。int64への統一は、コンパイラのコードベースをより堅牢で、将来の変更に対応しやすくするための重要なステップでした。

このコミットのdiffでは、src/cmd/6g/gg.hからvoid nodconst(Node*, Type*, vlong);という行が削除されていることのみが示されています。これは、この宣言がgg.hから完全に削除され、新しい宣言(おそらくint64型を使用し、go.hに移動されたもの)が別の場所で追加されたことを裏付けています。この変更により、コンパイラのビルドシステムが、nodconstの正しい宣言と型定義を見つけられるようになり、ビルドエラーが解消されたと考えられます。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/cmd/6g/gg.hファイルの一箇所のみです。

--- a/src/cmd/6g/gg.h
+++ b/src/cmd/6g/gg.h
@@ -115,7 +115,6 @@ void	regfree(Node*);
 Node*	nodarg(Type*, int);
 void	nodreg(Node*, Type*, int);
 void	nodindreg(Node*, Type*, int);
-void	nodconst(Node*, Type*, vlong);
 void	gconreg(int, vlong, int);
 void	buildtxt(void);
 Plist*	newplist(void);

具体的には、118行目から以下の宣言が削除されました。

-void nodconst(Node*, Type*, vlong);

コアとなるコードの解説

削除された行は、nodconstという関数の前方宣言です。

  • void: 関数の戻り値の型がvoid(何も返さない)であることを示します。
  • nodconst: 関数の名前です。Goコンパイラの文脈では、抽象構文木(AST)内で定数値を表すノードを生成または操作するための関数であると推測されます。
  • Node*: 最初の引数で、Node型へのポインタです。これはASTのノード構造体への参照であると考えられます。
  • Type*: 2番目の引数で、Type型へのポインタです。これは定数の型情報(例: 整数、浮動小数点数、文字列など)を表すと考えられます。
  • vlong: 3番目の引数で、vlong型です。これが、このコミットでint64に置き換えられたカスタムの64ビット整数型です。この引数は、定数ノードが保持する実際の値(例えば、整数定数の値)を渡すために使用されていたと考えられます。

この宣言がgg.hから削除されたのは、コミットメッセージにあるように、この宣言がgo.hという別のヘッダーファイルに移動され、かつvlong型がint64型に変更されたためです。これにより、コンパイラのビルドシステムが、nodconstの正しいシグネチャ(引数の型を含む)を、より適切な場所で参照できるようになりました。

関連リンク

参考にした情報源リンク

[インデックス 1921] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の初期のコンパイラツールチェーンにおけるビルドの問題を修正するものです。具体的には、6gコンパイラ(64ビットアーキテクチャ向けのGoコンパイラ)の内部ヘッダーファイルsrc/cmd/6g/gg.hから、nodconst関数の宣言を削除しています。コミットメッセージによると、この変更はgo.hへの宣言の移動と、vlong型からint64型への変更に関連するビルド修正の一環です。

コミット

  • コミットハッシュ: 441da9af0d6b2e2f07f67e7a9d45c3a84535409b
  • Author: Russ Cox rsc@golang.org
  • Date: Mon Mar 30 21:39:10 2009 -0700

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/441da9af0d6b2e2f07f67e7a9d45c3a84535409b

元コミット内容

fix build (moved decl to go.h earlier
and changed vlong to int64).

R=ken
OCL=26934
CL=26934

変更の背景

このコミットは、Go言語のコンパイラビルドプロセスにおける特定の不具合を修正するために行われました。コミットメッセージが示唆するように、問題は主に以下の2点に起因していました。

  1. 宣言の順序と場所: nodconst関数の宣言が、コンパイラのビルドシステムが期待するよりも「遅く」行われていたか、あるいは不適切なヘッダーファイルに配置されていた可能性があります。go.hというより一般的な(あるいはより早期にインクルードされる)ヘッダーファイルに宣言を移動することで、依存関係の問題が解決され、ビルドが成功するようになったと考えられます。C言語のコンパイルでは、関数や変数が使用される前に宣言されている必要があります。ヘッダーファイルのインクルード順序や、どのヘッダーにどの宣言を配置するかは、大規模なプロジェクトのビルドにおいて非常に重要です。
  2. 型定義の変更 (vlongからint64へ): vlongという型が、標準的なint64型に置き換えられました。これは、Goコンパイラの初期段階において、内部的に使用されていたカスタムの64ビット整数型(おそらくPlan 9由来)を、より標準的で移植性の高いint64型に統一する動きの一環であると推測されます。型の不一致や未定義の型が存在すると、コンパイルエラーが発生します。

これらの問題が複合的に作用し、コンパイラのビルドが失敗していたと考えられます。このコミットは、これらの問題を解決し、コンパイラのビルドを安定させることを目的としています。

前提知識の解説

Goコンパイラ (6g)

Go言語の初期のツールチェーンでは、各アーキテクチャ(例: 6は64ビット、8は32ビット、5はARM)に対応するコンパイラが個別の名前を持っていました。6gは、64ビットシステム(x86-64アーキテクチャ)向けのGoコンパイラを指します。これは、現在のgo buildコマンドが内部的に呼び出すコンパイラ(cmd/compile)の前身にあたります。これらのコンパイラは、Goのソースコードを機械語に変換する役割を担っていました。

C言語のヘッダーファイル (.h)

Go言語の初期のコンパイラは、C言語で書かれていました。C言語において、ヘッダーファイル(.h拡張子を持つファイル)は、関数、変数、マクロ、構造体などの宣言を記述するために使用されます。これらの宣言は、実際の定義(実装)が別のソースファイル(.c拡張子を持つファイル)にある場合でも、コンパイラがそれらのエンティティの存在と型を知るために必要です。ソースファイルは、#includeプリプロセッサディレクティブを使用してヘッダーファイルをインクルードし、その中に宣言されたエンティティを利用します。

型定義 (vlong, int64)

  • vlong: このコミットの文脈では、vlongはGoコンパイラの内部で64ビット整数を表すために使用されていたカスタム型である可能性が高いです。Go言語の初期のツールチェーンは、Plan 9オペレーティングシステムのツールチェーンに強く影響を受けており、vlongのようなカスタム型はPlan 9環境でよく見られました。これは、特定のプラットフォームやコンパイラ環境に依存する型定義であった可能性があります。
  • int64: int64は、64ビット符号付き整数を保証する標準的な型です。C99標準では<stdint.h>int64_tとして定義されており、Go言語自体もint64という組み込み型を持っています。カスタム型から標準型への移行は、コードの移植性、可読性、および異なるコンパイラやプラットフォーム間での互換性を向上させる上で重要です。

ビルドシステムと依存関係

ソフトウェアプロジェクトのビルドは、ソースコードをコンパイルし、リンクして実行可能なプログラムを作成するプロセスです。このプロセスでは、ファイル間の依存関係が非常に重要になります。あるファイルが別のファイルで定義された関数や型を使用する場合、その定義がコンパイル時に利用可能である必要があります。ヘッダーファイルのインクルード順序や、宣言がどのヘッダーに配置されているかは、これらの依存関係を解決し、ビルドエラーを防ぐ上で決定的な役割を果たします。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、Goコンパイラの内部構造における型システムと宣言の管理の改善にあります。

src/cmd/6g/gg.hは、6gコンパイラのバックエンド(コード生成や最適化など)に関連する内部的な宣言を含むヘッダーファイルであると推測されます。nodconst関数は、コンパイラの抽象構文木(AST)において定数ノードを扱うための関数であったと考えられます。

コミットメッセージの「moved decl to go.h earlier」という記述は、nodconstの宣言がgg.hからgo.hへ移動されたことを示しています。go.hは、コンパイラ全体で共有されるより基本的な宣言を含むヘッダーファイルである可能性が高いです。これにより、nodconstが使用されるすべての場所で、その宣言が確実に利用可能になるようにしたと考えられます。これは、C言語のコンパイルにおける「前方宣言」の原則に従い、シンボルが使用される前に必ず宣言されていることを保証するための一般的なプラクティスです。

「changed vlong to int64」という記述は、nodconstの引数型、あるいはコンパイラ内部の他の場所でvlongが使用されていた箇所がint64に置き換えられたことを意味します。この変更は、GoコンパイラがPlan 9の遺産から脱却し、より標準的なC言語の型システムに準拠しようとする初期の努力を示しています。vlongのようなカスタム型は、特定のコンパイラや環境に依存するため、移植性やメンテナンスの点で問題を引き起こす可能性があります。int64への統一は、コンパイラのコードベースをより堅牢で、将来の変更に対応しやすくするための重要なステップでした。

このコミットのdiffでは、src/cmd/6g/gg.hからvoid nodconst(Node*, Type*, vlong);という行が削除されていることのみが示されています。これは、この宣言がgg.hから完全に削除され、新しい宣言(おそらくint64型を使用し、go.hに移動されたもの)が別の場所で追加されたことを裏付けています。この変更により、コンパイラのビルドシステムが、nodconstの正しい宣言と型定義を見つけられるようになり、ビルドエラーが解消されたと考えられます。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/cmd/6g/gg.hファイルの一箇所のみです。

--- a/src/cmd/6g/gg.h
+++ b/src/cmd/6g/gg.h
@@ -115,7 +115,6 @@ void	regfree(Node*);
 Node*	nodarg(Type*, int);
 void	nodreg(Node*, Type*, int);
 void	nodindreg(Node*, Type*, int);
-void	nodconst(Node*, Type*, vlong);
 void	gconreg(int, vlong, int);
 void	buildtxt(void);
 Plist*	newplist(void);

具体的には、118行目から以下の宣言が削除されました。

-void nodconst(Node*, Type*, vlong);

コアとなるコードの解説

削除された行は、nodconstという関数の前方宣言です。

  • void: 関数の戻り値の型がvoid(何も返さない)であることを示します。
  • nodconst: 関数の名前です。Goコンパイラの文脈では、抽象構文木(AST)内で定数値を表すノードを生成または操作するための関数であると推測されます。
  • Node*: 最初の引数で、Node型へのポインタです。これはASTのノード構造体への参照であると考えられます。
  • Type*: 2番目の引数で、Type型へのポインタです。これは定数の型情報(例: 整数、浮動小数点数、文字列など)を表すと考えられます。
  • vlong: 3番目の引数で、vlong型です。これが、このコミットでint64に置き換えられたカスタムの64ビット整数型です。この引数は、定数ノードが保持する実際の値(例えば、整数定数の値)を渡すために使用されていたと考えられます。

この宣言がgg.hから削除されたのは、コミットメッセージにあるように、この宣言がgo.hという別のヘッダーファイルに移動され、かつvlong型がint64型に変更されたためです。これにより、コンパイラのビルドシステムが、nodconstの正しいシグネチャ(引数の型を含む)を、より適切な場所で参照できるようになりました。

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