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[インデックス 19273] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ内の様々なコメントにおけるタイプミス(typo)を修正するものです。具体的には、スペルミスや、イギリス英語からアメリカ英語への表記揺れ(例: "optimise" から "optimize")の修正が含まれています。これらの変更は、コードの可読性と一貫性を向上させることを目的としています。

変更されたファイルは以下の通りです。

  • src/cmd/api/goapi.go
  • src/cmd/go/clean.go
  • src/cmd/go/get.go
  • src/pkg/container/heap/heap.go
  • src/pkg/crypto/tls/key_agreement.go
  • src/pkg/math/big/rat.go
  • src/pkg/math/cmplx/pow.go
  • src/pkg/net/http/fs.go
  • src/pkg/net/ipsock.go
  • src/pkg/net/sendfile_dragonfly.go
  • src/pkg/net/sendfile_freebsd.go
  • src/pkg/regexp/syntax/prog.go
  • src/pkg/runtime/pprof/pprof.go
  • src/pkg/sort/sort.go
  • src/pkg/syscall/dir_plan9.go
  • src/pkg/syscall/fd_nacl.go
  • src/pkg/syscall/mksyscall_windows.go
  • src/pkg/syscall/route_dragonfly.go
  • src/pkg/syscall/route_freebsd.go
  • src/pkg/syscall/route_netbsd.go
  • src/pkg/syscall/route_openbsd.go
  • src/pkg/time/zoneinfo_windows.go

コミット

commit f3913624a7615fcd25cad078c19e0374ad4e1f3f
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Fri May 2 13:17:55 2014 -0700

    std lib: fix various typos in comments
    
    Where the spelling changed from British to
    US norm (e.g., optimise -> optimize) it follows
    the style in that file.
    
    LGTM=adonovan
    R=golang-codereviews, adonovan
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/96980043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/f3913624a7615fcd25cad078c19e0374ad4e1f3f

元コミット内容

std lib: fix various typos in comments

Where the spelling changed from British to
US norm (e.g., optimise -> optimize) it follows
the style in that file.

LGTM=adonovan
R=golang-codereviews, adonovan
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/96980043

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語の標準ライブラリの品質と一貫性を維持するという継続的な取り組みがあります。コメント内のタイプミスは、コードの機能には直接影響しませんが、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

  1. 可読性の低下: タイプミスのあるコメントは、そのコメントが説明しようとしているコードの意図を理解する上で、読者の集中を妨げ、混乱を招く可能性があります。特に、複雑なロジックや微妙な挙動を説明するコメントの場合、誤字脱字は誤解を生む原因となり得ます。
  2. プロフェッショナリズムの欠如: 高品質なソフトウェアプロジェクトにおいて、コメントの誤字脱字は、プロジェクト全体の品質に対する注意の欠如と見なされることがあります。これは、特にGo言語のような広く利用される標準ライブラリにおいては、その信頼性と権威に影響を与える可能性があります。
  3. 検索性の問題: 特定のキーワードでコードベースを検索する際、コメント内のタイプミスが原因で関連情報が見落とされる可能性があります。
  4. 表記揺れの問題: イギリス英語とアメリカ英語のスペルが混在している場合、コードベース全体での一貫性が失われます。これは、特に国際的な開発チームにおいて、混乱や不必要な議論を引き起こす可能性があります。このコミットでは、ファイル内の既存のスタイル(イギリス英語かアメリカ英語か)に合わせてスペルを統一することで、一貫性を保つ方針が取られています。

これらの問題を解決し、Go標準ライブラリのコメントの品質を向上させ、開発者体験をより良いものにすることが、この変更の主な背景です。

前提知識の解説

Go言語の標準ライブラリ

Go言語は、その強力な標準ライブラリによって特徴づけられます。標準ライブラリは、ネットワーキング、ファイルI/O、暗号化、データ構造、並行処理など、幅広い機能を提供し、Goアプリケーション開発の基盤となります。開発者は、これらのライブラリをインポートして利用することで、複雑な機能をゼロから実装することなく、効率的にアプリケーションを構築できます。標準ライブラリのコードは、Go言語の設計思想(シンプルさ、効率性、信頼性)を反映しており、Goコミュニティにとってのベストプラクティスの宝庫でもあります。そのため、標準ライブラリのコード品質、コメントの正確性、一貫性は非常に重要視されます。

コメントの重要性

プログラミングにおけるコメントは、コードの動作を説明し、その意図を明確にするために不可欠な要素です。特に、以下のような点で重要です。

  • 可読性の向上: コードが何をしているのか、なぜそのように実装されているのかを、他の開発者(または未来の自分)が迅速に理解するのに役立ちます。
  • 保守性の向上: コードの変更やデバッグを行う際に、コメントが提供する情報が問題解決のヒントとなります。
  • 設計意図の伝達: コードだけでは表現しきれない設計上の決定や、特定の選択をした理由などをコメントで補足することで、設計者の意図を正確に伝えることができます。
  • APIドキュメントの生成: Go言語では、コメント(特にエクスポートされた関数、変数、型に対するコメント)がgo docコマンドによって自動的にドキュメントとして抽出されます。これにより、コメントの品質が直接的に公式ドキュメントの品質に影響します。

スペルチェックとコーディング規約

ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、一貫したコーディング規約とスペルチェックの実施は、コードベースの品質を維持するために非常に重要です。

  • 一貫性: コードのフォーマット、命名規則、コメントのスタイルなど、プロジェクト全体で一貫した規約を設けることで、コードの見た目が統一され、どの部分を読んでも同じような感覚で理解できるようになります。これにより、新しい開発者がプロジェクトに参加した際の学習コストも低減されます。
  • スペルチェック: コメントや変数名、関数名などにおけるスペルミスは、プロフェッショナリズムを損なうだけでなく、誤解を招く原因にもなります。特に、英語のスペルにはイギリス英語とアメリカ英語のような地域差があり、プロジェクト内でどちらかに統一することが一般的です。Go言語の公式プロジェクトでは、一般的にアメリカ英語のスペルが採用される傾向にあります。このコミットは、この一貫性を強化する一環として行われました。

技術的詳細

このコミットで行われた技術的な変更は、主にGo言語の標準ライブラリ内のコメントの文字列修正です。具体的な修正内容は以下のカテゴリに分類できます。

  1. 単純なスペルミス(Typo)の修正:

    • reveiver -> receiver (受信者)
    • potental -> potential (潜在的な)
    • reestablishes -> re-establishes (再確立する)
    • advertized -> advertised (宣伝された)
    • compatiblity -> compatibility (互換性)
    • nunber -> number (数)
    • platfrom -> platform (プラットフォーム)
    • identifer -> identifier (識別子)
    • mutiple -> multiple (複数の)
    • ad nauseum -> ad nauseam (うんざりするほど)
    • resursive -> recursive (再帰的な)
    • inaccuate -> inaccurate (不正確な)
    • experimentaly -> experimentally (実験的に)
    • modifiying -> modifying (修正する)
    • deffaulFileImpl -> defaultFileImpl (デフォルトのファイル実装)
    • transated -> translated (翻訳された)
    • sufix -> suffix (接尾辞)
    • folowing -> following (以下の)
    • depature -> departure (出発)
    • exracts -> extracts (抽出する)
  2. イギリス英語からアメリカ英語へのスペル統一:

    • Optimisation -> Optimization (最適化)

これらの修正は、コードの動作には一切影響を与えません。しかし、コメントの正確性を高め、Go言語の標準ライブラリ全体のドキュメント品質とプロフェッショナリズムを向上させる上で重要な意味を持ちます。特に、optimiseからoptimizeへの変更は、Goプロジェクトがアメリカ英語のスペルを標準としていることを示唆しており、コードベース全体での一貫性を保つための細やかな配慮が伺えます。

このような小さな修正が多数のファイルにわたって行われていることから、コードベース全体を対象とした静的解析ツールや、あるいは手動でのレビュープロセスを通じて、コメントの品質が定期的にチェックされていることが推測されます。これは、大規模なオープンソースプロジェクトにおいて、コードの健全性を維持するための一般的なプラクティスです。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ内の様々なファイルのコメントを修正しています。以下に、いくつかの代表的な変更箇所を抜粋して示します。

src/cmd/api/goapi.go

--- a/src/cmd/api/goapi.go
+++ b/src/cmd/api/goapi.go
@@ -817,7 +817,7 @@ func (w *Walker) emitFunc(f *types.Func) {
 func (w *Walker) emitMethod(m *types.Selection) {
 	sig := m.Type().(*types.Signature)
 	recv := sig.Recv().Type()
-	// report exported methods with unexported reveiver base type
+	// report exported methods with unexported receiver base type
 	if true {
 		base := recv
 		if p, _ := recv.(*types.Pointer); p != nil {

reveiverreceiver に修正されています。

src/pkg/math/big/rat.go

--- a/src/pkg/math/big/rat.go
+++ b/src/pkg/math/big/rat.go
@@ -47,7 +47,7 @@ func (z *Rat) SetFloat64(f float64) *Rat {
 
 	shift := 52 - exp
 
-	// Optimisation (?): partially pre-normalise.
+	// Optimization (?): partially pre-normalise.
 	for mantissa&1 == 0 && shift > 0 {
 		tmantissa >>= 1
 		shift--

OptimisationOptimization に修正されています。これはイギリス英語からアメリカ英語へのスペル統一の例です。

src/pkg/net/ipsock.go

--- a/src/pkg/net/ipsock.go
+++ b/src/pkg/net/ipsock.go
@@ -16,7 +16,7 @@ var (
 	// networking functionality.
 	supportsIPv4 bool
 
-	// supportsIPv6 reports whether the platfrom supports IPv6
+	// supportsIPv6 reports whether the platform supports IPv6
 	// networking functionality.
 	supportsIPv6 bool
 
@@ -207,7 +207,7 @@ missingBrackets:
 }
 
 func splitHostZone(s string) (host, zone string) {
-	// The IPv6 scoped addressing zone identifer starts after the
+	// The IPv6 scoped addressing zone identifier starts after the
 	// last percent sign.
 	if i := last(s, '%'); i > 0 {
 		host, zone = s[:i], s[i+1:]
@@ -232,7 +232,7 @@ func JoinHostPort(host, port string) string {
 // address or a DNS name and returns an internet protocol family
 // address. It returns a list that contains a pair of different
 // address family addresses when addr is a DNS name and the name has
-// mutiple address family records. The result contains at least one
+// multiple address family records. The result contains at least one
 // address when error is nil.
 func resolveInternetAddr(net, addr string, deadline time.Time) (netaddr, error) {
 	var (

platfromplatform に、identiferidentifier に、mutiplemultiple に修正されています。

コアとなるコードの解説

これらの変更は、Go言語の標準ライブラリのコメントの品質と一貫性を向上させるためのものです。

  • reveiver から receiver: これは一般的なスペルミスであり、receiver(レシーバー)はGo言語のメソッド定義において非常に重要な概念です。この修正により、コメントの正確性が保たれ、Go言語の基本的な概念を説明する際の誤解がなくなります。
  • Optimisation から Optimization: これはイギリス英語からアメリカ英語へのスペル統一の典型的な例です。Go言語の公式ドキュメントやコードベースでは、一般的にアメリカ英語のスペルが採用されています。このような統一は、コードベース全体の一貫性を保ち、国際的な開発者コミュニティにおける混乱を避けるために重要です。
  • platfrom から platformidentifer から identifiermutiple から multiple など: これらも単純なスペルミスですが、Go言語のネットワーク関連のコード(netパッケージ)やシステムコール関連のコード(syscallパッケージ)など、多岐にわたる箇所で修正されています。これらの修正は、コメントが説明する技術的な概念を正確に伝える上で不可欠です。例えば、platformはオペレーティングシステムやハードウェアの環境を指し、identifierは一意の識別子を指します。これらの単語のスペルミスは、技術的な説明の信頼性を損なう可能性があります。

全体として、これらの修正は、Go言語の標準ライブラリが、そのコードだけでなく、それを説明するコメントにおいても最高水準の品質を維持しようとする姿勢を示しています。小さなタイプミスであっても、それが多数存在すれば、プロジェクト全体の印象や信頼性に影響を与える可能性があるため、このような細やかな修正が重要となります。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語公式ドキュメント (Go言語の標準ライブラリに関する一般的な情報): https://go.dev/doc/
  • Go言語のコーディング規約に関する情報 (Go Wikiなど): https://go.dev/wiki/CodeReviewComments (一般的なGoのコーディングスタイルに関する情報)
  • 英語のスペルに関する一般的な情報 (イギリス英語とアメリカ英語の違い): (特定のURLは参照していませんが、一般的な英語の知識に基づいています)