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[インデックス 19361] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のプロファイリングツールである misc/pprof スクリプトに関する変更です。具体的には、Windows環境において objdump ツールを使用する際に、常に go tool objdump を利用するように修正を加えるものです。これにより、Windows上でのプロファイリングデータの解析における互換性と信頼性の向上が図られています。

コミット

misc/pprof スクリプトがWindows環境で objdump を使用する際に、go tool objdump を常に利用するように変更されました。これにより、Windowsにおける pprof の動作が改善されます。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/fcfc17f1b8b0d14f1ce350ed6001e82565aadd88

元コミット内容

commit fcfc17f1b8b0d14f1ce350ed6001e82565aadd88
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date:   Thu May 15 15:54:42 2014 +1000

    misc/pprof: always use go tool objdump on windows
    
    Fixes #7406.
    
    LGTM=r
    R=golang-codereviews, r
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/97440043

変更の背景

この変更は、Go言語のプロファイリングツール pprof がWindows環境で objdump を使用する際に発生していた問題(Issue #7406)を解決するために行われました。

Goの pprof ツールは、プログラムの実行プロファイル(CPU使用率、メモリ割り当てなど)を解析し、視覚化するために使用されます。この解析プロセスの一部として、実行ファイルのシンボル情報を解決するために objdump のようなツールが利用されることがあります。

Windows環境では、標準的な objdump ツール(例えばGNU Binutilsに含まれるもの)の動作が、Goのツールチェインが生成するバイナリに対して常に適切であるとは限りませんでした。これにより、pprof がWindows上で正確なプロファイリング情報を提供できない、あるいはエラーが発生するといった問題が生じていました。

Goツールチェインには、Goバイナリに特化した go tool objdump というコマンドが用意されており、これはGoのリンカやコンパイラが生成する特定の形式のバイナリを正確に解析できるように設計されています。このコミットは、Windows環境で pprofobjdump を必要とする場合に、汎用的な objdump ではなく、Goバイナリに最適化された go tool objdump を確実に使用するようにすることで、この問題を解決しようとするものです。

前提知識の解説

Go言語のプロファイリングと pprof

Go言語には、プログラムのパフォーマンスを分析するための強力なプロファイリングツールが組み込まれています。pprof は、これらのプロファイルデータを解析し、グラフやテキスト形式で表示するためのツールです。

  • プロファイルデータ: Goプログラムは、runtime/pprof パッケージや net/http/pprof パッケージを使用して、CPUプロファイル、メモリプロファイル、ゴルーチンプロファイルなどのデータを生成できます。
  • pprof ツール: 生成されたプロファイルデータは、go tool pprof コマンドを使用して解析されます。このツールは、プロファイルデータを読み込み、コールスタック、関数ごとの実行時間、メモリ使用量などを分析し、テキストレポート、SVGグラフ、Webインターフェースなど様々な形式で結果を出力します。

objdump とは

objdump は、オブジェクトファイルや実行ファイルの内容を表示するためのコマンドラインツールです。通常、バイナリファイルのセクションヘッダ、シンボルテーブル、リロケーションエントリ、逆アセンブルされたコードなどを表示するために使用されます。

  • 汎用 objdump: GNU Binutilsに含まれる objdump は、様々なアーキテクチャやファイル形式(ELF, PE, Mach-Oなど)に対応しています。
  • go tool objdump: Goツールチェインに含まれる objdump は、Go言語のコンパイラが生成するバイナリに特化しています。Goバイナリは、通常のC/C++コンパイラが生成するバイナリとは異なる独自の構造(例えば、Goランタイムのメタデータやスタックフレーム情報など)を持つため、汎用 objdump では正確に解析できない場合があります。go tool objdump は、これらのGo特有の情報を理解し、正確な逆アセンブルやシンボル解決を提供します。

misc/pprof スクリプト

misc/pprof は、Goのソースツリーの misc ディレクトリにあるPerlスクリプトです。これは、go tool pprof コマンドの内部で利用される、より低レベルなプロファイル解析とレポート生成を行うためのスクリプトです。pprof がプロファイルデータを解析し、シンボル情報を解決する際に、このスクリプトが objdump などの外部ツールを呼び出すロジックを含んでいます。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、misc/pprof スクリプト内の ConfigureObjTools サブルーチンにあります。このサブルーチンは、プロファイル解析に必要な外部ツール(nm, addr2line, objdump など)のパスや設定を決定する役割を担っています。

変更前の pprof スクリプトは、Windows環境において objdump を使用する際に、特定の条件で汎用的な objdump を参照しようとする可能性がありました。しかし、Goバイナリの解析には go tool objdump が不可欠です。汎用 objdump では、Goのスタックフレーム情報やインライン展開された関数などの詳細を正確に把握できないため、プロファイルレポートの精度が低下したり、誤った情報が表示されたりする原因となっていました。

このコミットでは、Windows環境($osname eq "windows" のブロック内)において、$obj_tool_map{"objdump"} = "false"; という行が追加されています。これは一見すると objdump の使用を無効にしているように見えますが、実際には pprof スクリプトの内部ロジックにおいて、この設定が「汎用 objdump は使用しない」というシグナルとして機能します。

pprof スクリプトは、obj_tool_map の設定に基づいて、適切な objdump コマンドを決定します。この変更により、Windows環境では汎用 objdump の使用が明示的に避けられ、結果として go tool objdump が優先的に選択されるようになります。go tool objdump はGoツールチェインの一部として提供されるため、Go開発環境が適切に設定されていれば常に利用可能です。

この修正により、Windowsユーザーは pprof を使用してGoプログラムのプロファイリングを行う際に、より正確で信頼性の高いシンボル解決とプロファイル解析結果を得られるようになりました。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/misc/pprof
+++ b/misc/pprof
@@ -4616,6 +4616,7 @@ sub ConfigureObjTools {
     # in the same directory as pprof.
     $obj_tool_map{"nm_pdb"} = "nm-pdb";
     $obj_tool_map{"addr2line_pdb"} = "addr2line-pdb";
+    $obj_tool_map{"objdump"} = "false";  # no objdump
   }
 
   if ($file_type =~ /Mach-O/) {

コアとなるコードの解説

変更は misc/pprof スクリプトの ConfigureObjTools サブルーチン内、Windows環境 ($osname eq "windows") の設定ブロックに追加された1行です。

$obj_tool_map{"objdump"} = "false";  # no objdump
  • $obj_tool_map: これはPerlのハッシュ(連想配列)であり、pprof が使用する外部ツールのマッピングを保持しています。キーはツールの種類(例: objdump, nm, addr2line)、値は対応するコマンド名や設定です。
  • "objdump": objdump ツールに対する設定を指定しています。
  • "false": ここで "false" という文字列が値として設定されています。これは、pprof スクリプトの内部ロジックにおいて、この特定の objdump エントリが「汎用的な objdump コマンドは使用しない」という指示として解釈されることを意味します。

この変更が適用される前は、Windows環境で objdump の設定が明示的に行われていなかった場合、pprof はシステムパスから汎用 objdump を見つけようとする可能性がありました。しかし、Goバイナリの解析には go tool objdump が必要であるため、この挙動は問題を引き起こしていました。

この1行を追加することで、Windows環境では汎用 objdump の使用が明示的に抑制され、pprof は自動的にGoツールチェインの一部である go tool objdump を使用するロジックにフォールバックするようになります。これにより、Windows上でのGoプロファイリングの正確性と信頼性が向上しました。コメント # no objdump は、この設定の意図が汎用 objdump の使用を避けることにあることを明確に示しています。

関連リンク

  • Go Issue #7406: このコミットが修正した問題に関するGoのIssueトラッカーのエントリ。
    • 直接的なリンクは見つかりませんでしたが、コミットメッセージとCLの記述から、misc/pprof がWindowsで go tool objdump を適切に使用しないことに関する問題であったことが確認されています。
  • Go CL 97440043: このコミットに対応するGerrit Change-ID。

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント(pprofgo tool objdump に関する情報)
  • Go言語のソースコード(misc/pprof スクリプトの解析)
  • Web検索によるGo Issue #7406 および golang.org/cl/97440043 の情報# [インデックス 19361] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のプロファイリングツールである misc/pprof スクリプトに関する変更です。具体的には、Windows環境において objdump ツールを使用する際に、常に go tool objdump を利用するように修正を加えるものです。これにより、Windows上でのプロファイリングデータの解析における互換性と信頼性の向上が図られています。

コミット

misc/pprof スクリプトがWindows環境で objdump を使用する際に、go tool objdump を常に利用するように変更されました。これにより、Windowsにおける pprof の動作が改善されます。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/fcfc17f1b8b0d14f1ce350ed6001e82565aadd88

元コミット内容

commit fcfc17f1b8b0d14f1ce350ed6001e82565aadd88
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date:   Thu May 15 15:54:42 2014 +1000

    misc/pprof: always use go tool objdump on windows
    
    Fixes #7406.
    
    LGTM=r
    R=golang-codereviews, r
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/97440043

変更の背景

この変更は、Go言語のプロファイリングツール pprof がWindows環境で objdump を使用する際に発生していた問題(Issue #7406)を解決するために行われました。

Goの pprof ツールは、プログラムの実行プロファイル(CPU使用率、メモリ割り当てなど)を解析し、視覚化するために使用されます。この解析プロセスの一部として、実行ファイルのシンボル情報を解決するために objdump のようなツールが利用されることがあります。

Windows環境では、標準的な objdump ツール(例えばGNU Binutilsに含まれるもの)の動作が、Goのツールチェインが生成するバイナリに対して常に適切であるとは限りませんでした。これにより、pprof がWindows上で正確なプロファイリング情報を提供できない、あるいはエラーが発生するといった問題が生じていました。

Goツールチェインには、Goバイナリに特化した go tool objdump というコマンドが用意されており、これはGoのリンカやコンパイラが生成する特定の形式のバイナリを正確に解析できるように設計されています。このコミットは、Windows環境で pprofobjdump を必要とする場合に、汎用的な objdump ではなく、Goバイナリに最適化された go tool objdump を確実に使用するようにすることで、この問題を解決しようとするものです。

前提知識の解説

Go言語のプロファイリングと pprof

Go言語には、プログラムのパフォーマンスを分析するための強力なプロファイリングツールが組み込まれています。pprof は、これらのプロファイルデータを解析し、グラフやテキスト形式で表示するためのツールです。

  • プロファイルデータ: Goプログラムは、runtime/pprof パッケージや net/http/pprof パッケージを使用して、CPUプロファイル、メモリプロファイル、ゴルーチンプロファイルなどのデータを生成できます。
  • pprof ツール: 生成されたプロファイルデータは、go tool pprof コマンドを使用して解析されます。このツールは、プロファイルデータを読み込み、コールスタック、関数ごとの実行時間、メモリ使用量などを分析し、テキストレポート、SVGグラフ、Webインターフェースなど様々な形式で結果を出力します。

objdump とは

objdump は、オブジェクトファイルや実行ファイルの内容を表示するためのコマンドラインツールです。通常、バイナリファイルのセクションヘッダ、シンボルテーブル、リロケーションエントリ、逆アセンブルされたコードなどを表示するために使用されます。

  • 汎用 objdump: GNU Binutilsに含まれる objdump は、様々なアーキテクチャやファイル形式(ELF, PE, Mach-Oなど)に対応しています。
  • go tool objdump: Goツールチェインに含まれる objdump は、Go言語のコンパイラが生成するバイナリに特化しています。Goバイナリは、通常のC/C++コンパイラが生成するバイナリとは異なる独自の構造(例えば、Goランタイムのメタデータやスタックフレーム情報など)を持つため、汎用 objdump では正確に解析できない場合があります。go tool objdump は、これらのGo特有の情報を理解し、正確な逆アセンブルやシンボル解決を提供します。

misc/pprof スクリプト

misc/pprof は、Goのソースツリーの misc ディレクトリにあるPerlスクリプトです。これは、go tool pprof コマンドの内部で利用される、より低レベルなプロファイル解析とレポート生成を行うためのスクリプトです。pprof がプロファイルデータを解析し、シンボル情報を解決する際に、このスクリプトが objdump などの外部ツールを呼び出すロジックを含んでいます。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、misc/pprof スクリプト内の ConfigureObjTools サブルーチンにあります。このサブルーチンは、プロファイル解析に必要な外部ツール(nm, addr2line, objdump など)のパスや設定を決定する役割を担っています。

変更前の pprof スクリプトは、Windows環境において objdump を使用する際に、特定の条件で汎用的な objdump を参照しようとする可能性がありました。しかし、Goバイナリの解析には go tool objdump が不可欠です。汎用 objdump では、Goのスタックフレーム情報やインライン展開された関数などの詳細を正確に把握できないため、プロファイルレポートの精度が低下したり、誤った情報が表示されたりする原因となっていました。

このコミットでは、Windows環境($osname eq "windows" のブロック内)において、$obj_tool_map{"objdump"} = "false"; という行が追加されています。これは一見すると objdump の使用を無効にしているように見えますが、実際には pprof スクリプトの内部ロジックにおいて、この設定が「汎用 objdump は使用しない」というシグナルとして機能します。

pprof スクリプトは、obj_tool_map の設定に基づいて、適切な objdump コマンドを決定します。この変更により、Windows環境では汎用 objdump の使用が明示的に避けられ、結果として go tool objdump が優先的に選択されるようになります。go tool objdump はGoツールチェインの一部として提供されるため、Go開発環境が適切に設定されていれば常に利用可能です。

この修正により、Windowsユーザーは pprof を使用してGoプログラムのプロファイリングを行う際に、より正確で信頼性の高いシンボル解決とプロファイル解析結果を得られるようになりました。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/misc/pprof
+++ b/misc/pprof
@@ -4616,6 +4616,7 @@ sub ConfigureObjTools {
     # in the same directory as pprof.
     $obj_tool_map{"nm_pdb"} = "nm-pdb";
     $obj_tool_map{"addr2line_pdb"} = "addr2line-pdb";
+    $obj_tool_map{"objdump"} = "false";  # no objdump
   }
 
   if ($file_type =~ /Mach-O/) {

コアとなるコードの解説

変更は misc/pprof スクリプトの ConfigureObjTools サブルーチン内、Windows環境 ($osname eq "windows") の設定ブロックに追加された1行です。

$obj_tool_map{"objdump"} = "false";  # no objdump
  • $obj_tool_map: これはPerlのハッシュ(連想配列)であり、pprof が使用する外部ツールのマッピングを保持しています。キーはツールの種類(例: objdump, nm, addr2line)、値は対応するコマンド名や設定です。
  • "objdump": objdump ツールに対する設定を指定しています。
  • "false": ここで "false" という文字列が値として設定されています。これは、pprof スクリプトの内部ロジックにおいて、この特定の objdump エントリが「汎用的な objdump コマンドは使用しない」という指示として解釈されることを意味します。

この変更が適用される前は、Windows環境で objdump の設定が明示的に行われていなかった場合、pprof はシステムパスから汎用 objdump を見つけようとする可能性がありました。しかし、Goバイナリの解析には go tool objdump が必要であるため、この挙動は問題を引き起こしていました。

この1行を追加することで、Windows環境では汎用 objdump の使用が明示的に抑制され、pprof は自動的にGoツールチェインの一部である go tool objdump を使用するロジックにフォールバックするようになります。これにより、Windows上でのGoプロファイリングの正確性と信頼性が向上しました。コメント # no objdump は、この設定の意図が汎用 objdump の使用を避けることにあることを明確に示しています。

関連リンク

  • Go Issue #7406: このコミットが修正した問題に関するGoのIssueトラッカーのエントリ。
    • 直接的なリンクは見つかりませんでしたが、コミットメッセージとCLの記述から、misc/pprof がWindowsで go tool objdump を適切に使用しないことに関する問題であったことが確認されています。
  • Go CL 97440043: このコミットに対応するGerrit Change-ID。

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント(pprofgo tool objdump に関する情報)
  • Go言語のソースコード(misc/pprof スクリプトの解析)
  • Web検索によるGo Issue #7406 および golang.org/cl/97440043 の情報