[インデックス 19481] ファイルの概要
このコミットは、Go言語プロジェクトのビルドおよびテストスクリプトである src/run.bash
と src/run.bat
から、goplay
というツールのビルドとクリーンアップに関する記述を削除するものです。run.bash
はUnix系システム向けのシェルスクリプト、run.bat
はWindows向けのバッチスクリプトであり、Goプロジェクトの継続的な統合(CI)や開発環境でのテスト実行、ビルドプロセスを自動化するために使用されます。goplay
は、Go Playgroundに関連するユーティリティであると推測されます。
コミット
このコミットは、Go言語のビルドプロセスから goplay
ツールを削除することを目的としています。具体的には、src/run.bash
および src/run.bat
という2つのスクリプトから、goplay
のビルドコマンドと一時ファイルの削除コマンドが削除されました。これにより、Goの標準的なビルドおよびテストサイクルにおいて goplay
がコンパイルされなくなります。
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/189a6494ee5912f7add466bff9e7afbe960a6a2e
元コミット内容
commit 189a6494ee5912f7add466bff9e7afbe960a6a2e
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Mon Jun 2 08:44:47 2014 +1000
build: remove goplay from run.bash and run.bat
TBR=rsc
R=golang-codereviews
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/106730043
変更の背景
この変更の背景には、goplay
ツールがGoプロジェクトの主要なビルドまたはテストプロセスにおいて、もはや必要とされなくなったという判断があります。goplay
はGo Playgroundに関連するユーティリティであり、Go PlaygroundはGoコードをブラウザ上で実行できる公式のオンラインサービスです。
run.bash
や run.bat
のようなビルドスクリプトは、Go言語のソースコードをコンパイルし、テストを実行し、配布可能なバイナリを生成する際に使用されます。これらのスクリプトから goplay
のビルドステップが削除されたということは、以下のいずれかの理由が考えられます。
goplay
がGoプロジェクトのコアなビルド成果物の一部ではなくなった。goplay
の機能が他のツールやプロセスに統合された、あるいは置き換えられた。goplay
が開発段階でのみ使用されるツールであり、リリースビルドや標準テストスイートには不要になった。goplay
自体が非推奨となり、メンテナンスが終了した。
このコミットは、Goプロジェクトのビルドプロセスの合理化と、不要な依存関係やビルドステップの削減を目的としていると考えられます。
前提知識の解説
- Go Playground: Go言語の公式ウェブサイトで提供されているオンラインツールで、Goコードをブラウザ上で記述、コンパイル、実行し、その結果を共有することができます。学習、プロトタイピング、コード共有に広く利用されています。
run.bash
とrun.bat
: これらはGo言語のソースコードリポジトリに含まれるシェルスクリプト(run.bash
はLinux/macOS向け、run.bat
はWindows向け)です。Goプロジェクトのビルド、テスト、およびその他の開発関連タスクを自動化するために使用されます。これらはGoのCIシステムや開発者のローカル環境で実行され、Goのコンパイラ、ツール、標準ライブラリのテストなど、様々なサブシステムをビルド・テストします。go build
: Go言語のソースコードをコンパイルして実行可能バイナリを生成するコマンドです。rm -f
(Unix/Linux) /del
(Windows): ファイルを削除するコマンドです。-f
オプションは、存在しないファイルを無視し、確認プロンプトを表示しないことを意味します。
技術的詳細
このコミットは、src/run.bash
と src/run.bat
の両方から、goplay
のビルドとクリーンアップに関連する5行のコードブロックを削除しています。
src/run.bash
での変更点:
削除された行は以下の通りです。
echo
echo '#' ../misc/goplay
go build ../misc/goplay
rm -f goplay
echo
とecho '#' ../misc/goplay
: これは、スクリプトの実行中にgoplay
のビルドが開始されることを示すメッセージを出力するための行です。go build ../misc/goplay
:../misc/goplay
にあるgoplay
のソースコードをコンパイルし、実行可能ファイルgoplay
を生成するコマンドです。rm -f goplay
: ビルド後に生成されたgoplay
実行可能ファイルを削除するコマンドです。これは、goplay
が一時的なビルド成果物であり、永続的に保持する必要がないことを示唆しています。
src/run.bat
での変更点:
削除された行は以下の通りです。
echo # ..\misc\goplay
go build ..\misc\goplay
if errorlevel 1 goto fail
echo.
echo # ..\misc\goplay
:run.bash
と同様に、goplay
のビルド開始を示すメッセージです。go build ..\misc\goplay
:../misc/goplay
にあるgoplay
のソースコードをコンパイルするコマンドです。if errorlevel 1 goto fail
: ビルドコマンドが失敗した場合(エラーレベルが1以上の場合)に、スクリプトの実行をfail
ラベルにジャンプさせることで、エラー処理を行うための行です。echo.
: 空行を出力します。
両方のスクリプトで、goplay
のビルドとそれに続く処理(run.bash
では削除、run.bat
ではエラーチェック)が完全に削除されました。これにより、Goのビルドプロセスから goplay
のコンパイルが除外されます。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/src/run.bash b/src/run.bash
index 76216ba010..6eec7caa40 100755
--- a/src/run.bash
+++ b/src/run.bash
@@ -197,11 +197,6 @@ time ./run || exit 1
time ./run || exit 1
) || exit $?\n
-echo
-echo '#' ../misc/goplay
-go build ../misc/goplay
-rm -f goplay
-\n [ "$GOOS" == nacl ] ||
[ "$GOARCH" == arm ] ||
(xcd ../test/bench/shootout
diff --git a/src/run.bat b/src/run.bat
index fdaacfff44..62692acaf2 100644
--- a/src/run.bat
+++ b/src/run.bat
@@ -73,11 +73,6 @@ if errorlevel 1 goto fail
echo.\n :norace\n
-echo # ..\misc\goplay
-go build ..\misc\goplay
-if errorlevel 1 goto fail
-echo.\n -
echo # ..\test\bench\go1
go test ..\test\bench\go1
if errorlevel 1 goto fail
コアとなるコードの解説
上記の diff
は、src/run.bash
と src/run.bat
から削除された具体的な行を示しています。
-
src/run.bash
から削除されたブロックは、../misc/goplay
にあるgoplay
ツールをビルドし、その後に生成された実行可能ファイルgoplay
を削除する一連のコマンドでした。これは、goplay
が一時的なビルド成果物として扱われ、ビルドプロセスの一部としてコンパイルされるものの、最終的な配布物には含まれないことを示唆しています。このブロックの削除により、goplay
はGoのビルドスクリプトによって自動的にコンパイルされなくなりました。 -
src/run.bat
から削除されたブロックも同様に、../misc/goplay
をビルドし、ビルドが失敗した場合にはスクリプトを終了させるエラーハンドリングを含んでいました。こちらもgoplay
のビルドステップがGoのWindows向けビルドプロセスから除外されたことを意味します。
これらの変更は、goplay
がGoのビルドシステムにおいて、もはや必須のコンポーネントではない、あるいはその役割が終了したことを明確に示しています。これにより、ビルド時間の短縮や、ビルドプロセスの複雑性の軽減に貢献する可能性があります。
関連リンク
- Go Playground: https://go.dev/play/
参考にした情報源リンク
- Go Playgroundに関する情報: Google検索 "goplay golang"
- GoのコミットメッセージとCLに関する一般的な情報: Google検索 "golang.org/cl/106730043" (ただし、このCLは今回のコミットとは直接関係ないが、CLの形式を理解するのに役立った)