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[インデックス 1954] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodocの初期バージョンにおける複数の改善を含んでいます。主な変更点は、ドキュメント出力における関数と型の表示順序の変更、URLパスに/src/docプレフィックスを導入することによる出力タイプの区別、内部文字列関数のバグ修正、そして_test.goで終わるファイルをテストファイルとして無視する機能の追加です。これらの変更は、godocのユーザビリティと機能性を向上させることを目的としています。

コミット

commit 91238c5bfe29d71f6b605e2102f663d80084277d
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Thu Apr 2 21:59:37 2009 -0700

    - moved functions before types in doc output (per rsc)
    - use /src and /doc prefix in URL to distinguish output type (per rsc)
    - fixed a bug in an internal string function
    - ignore files ending in _test.go (consider them test files)
    
    R=rsc
    OCL=27054
    CL=27054

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/91238c5bfe29d71f6b605e2102f663d80084277d

元コミット内容

- moved functions before types in doc output (per rsc)
- use /src and /doc prefix in URL to distinguish output type (per rsc)
- fixed a bug in an internal string function
- ignore files ending in _test.go (consider them test files)

R=rsc
OCL=27054
CL=27054

変更の背景

このコミットは、Go言語の初期開発段階におけるgodocツールの改善の一環として行われました。godocは、Goのソースコードから直接ドキュメンテーションを生成し、ウェブブラウザで閲覧可能にする画期的なツールです。このツールの設計思想には、コードとドキュメントを密接に連携させることで、常に最新かつ正確なドキュメントを提供することが含まれていました。

変更の背景には、以下の点が挙げられます。

  1. ドキュメントの可読性向上: Rob Pike (rsc)からのフィードバックに基づき、godocの出力において関数を型よりも先に表示するように変更されました。これは、多くのユーザーがパッケージの機能を理解する上で、まず関数定義に注目することが多いため、ドキュメントの読みやすさを向上させるための配慮と考えられます。
  2. URL構造の明確化: /src/docというプレフィックスをURLに導入することで、ユーザーが現在閲覧しているのがソースコードビューなのか、それとも生成されたドキュメントビューなのかを明確に区別できるようになりました。これにより、godocが提供する異なるビュー間のナビゲーションが直感的になります。
  3. 内部処理の堅牢化: 内部文字列関数のバグ修正は、godocの安定性と正確性を確保するために不可欠です。特にパスのサニタイズ処理など、ファイルシステムやURLを扱う部分では、細かなバグが予期せぬ動作やセキュリティ上の問題を引き起こす可能性があります。
  4. テストファイルの適切な除外: _test.goで終わるファイルを自動的にテストファイルとして認識し、ドキュメント生成の対象から除外する機能は、godocが生成するドキュメントの関連性を高める上で重要です。これにより、テストコードが誤ってAPIドキュメントに混入することを防ぎ、純粋なAPIリファレンスを提供できるようになります。

これらの変更は、godocがGoエコシステムの中核ツールとして成長していく上で、初期段階でユーザーエクスペリエンスと機能的な正確性を確立するための重要なステップでした。

前提知識の解説

Go言語のgodocツール

godocは、Go言語のソースコードから直接ドキュメンテーションを生成し、ウェブブラウザで閲覧可能にするツールです。Go言語の設計哲学の一つに「シンプルさ」と「ツールによる自動化」があり、godocはその哲学を体現するものです。

  • コードとドキュメントの一体化: godocは、Goのソースコード内のコメント(特にエクスポートされた識別子に付随するコメント)を解析してドキュメントを生成します。これにより、コードの変更とドキュメントの更新が同時に行われることが促され、ドキュメントの陳腐化を防ぎます。
  • 自動生成: 開発者は別途ドキュメントを記述する必要がなく、コードコメントを適切に書くだけで高品質なドキュメントが生成されます。
  • ウェブインターフェース: godocはHTTPサーバーとして動作し、生成されたドキュメントをウェブブラウザで閲覧できます。これにより、ローカル環境でも簡単にドキュメントを参照できます。
  • ソースコードの表示: godocは、生成されたドキュメントだけでなく、対応するソースコードも表示する機能を持っています。これにより、ドキュメントと実装を同時に確認でき、コードの理解を深めることができます。

Go言語におけるテストファイルの命名規則

Go言語では、テストファイルは慣習的にテスト対象のファイル名に_test.goを付加した形式で命名されます(例: my_package.goのテストファイルはmy_package_test.go)。この命名規則は、Goツールチェインによって自動的に認識され、go testコマンドを実行する際にテストファイルとして扱われます。godocもこの慣習に従い、テストファイルをドキュメント生成の対象から除外することで、生成されるドキュメントの品質を保ちます。

Go言語の初期開発とRob Pike (rsc)

Rob Pikeは、Go言語の共同設計者の一人であり、その初期開発において非常に大きな影響力を持っていました。彼のフィードバックや設計思想は、Go言語の多くの側面、特にそのシンプルさ、効率性、そしてツールによるサポートに深く根ざしています。このコミットメッセージにある「per rsc」という記述は、彼の具体的な提案や指示に基づいて変更が行われたことを示しています。

技術的詳細

このコミットは、主にusr/gri/pretty/docprinter.gousr/gri/pretty/godoc.goの2つのファイルに影響を与えています。これらはgodocツールのドキュメント生成とHTTPサーバー機能に関連する初期のコードベースの一部です。

1. ドキュメント出力における関数と型の表示順序の変更 (docprinter.go)

docprinter.goは、Goパッケージのドキュメントを整形して出力する役割を担っています。この変更では、PackageDoc構造体のPrintメソッド内で、型(types)の出力ループが関数(functions)の出力ループの後に移動されました。

変更前:

  1. 型(types)
  2. 変数(variables)
  3. 関数(functions)

変更後:

  1. 変数(variables)
  2. 関数(functions)
  3. 型(types)

これにより、生成されるドキュメントでは、まずパッケージレベルの変数と関数が提示され、その後に型定義が続く形になります。これは、APIの利用者が通常、まず利用可能な関数や変数に興味を持つという視点に基づいた改善です。

2. URLプレフィックスの導入 (godoc.go)

godoc.goは、godocツールのHTTPサーバー機能とファイル処理を担当しています。この変更では、URLに/src/docという新しいプレフィックスが導入され、それぞれソースコードビューとドキュメントビューを区別するために使用されます。

  • docPrefix = "/doc/"
  • srcPrefix = "/src/"

これにより、godocサーバーがリクエストを処理する際に、URLのプレフィックスを見て、それがドキュメント表示のリクエストなのか、それともソースコード表示のリクエストなのかを判断できるようになります。具体的には、servePackage関数がserveDocにリネームされ、serveFile関数がserveSrcにリネームされ、それぞれが対応するプレフィックスを持つURLパスを処理するようにinstallHandler関数を通じてHTTPハンドラに登録されます。

3. 内部文字列関数のバグ修正 (godoc.go)

sanitizePath関数において、文字列の長さをチェックする条件が追加されました。

変更前: if s[len(s)-1] == '/' { ... }

変更後: if len(s) > 0 && s[len(s)-1] == '/' { ... }

この修正は、空の文字列sが渡された場合にlen(s)-1-1となり、パニック(インデックス範囲外エラー)が発生する可能性を防ぐためのものです。これにより、sanitizePath関数がより堅牢になりました。

また、contains関数がhasPrefixhasPostfixに分割され、より汎用的な文字列操作関数が導入されました。isGoFile関数もhasPostfixを利用するように変更されています。

4. _test.goファイルの無視 (godoc.go)

addFile関数に、_test.goで終わるファイルを無視するロジックが追加されました。

if hasPostfix(filename, "_test.go") {
    // ignore package tests
    return;
}

これにより、godocがパッケージ内のファイルをスキャンしてドキュメントを生成する際に、テストファイルが自動的に除外されるようになります。これは、生成されるドキュメントがAPIリファレンスとして純粋なものとなるようにするための重要な改善です。

コアとなるコードの変更箇所

usr/gri/pretty/docprinter.go

--- a/usr/gri/pretty/docprinter.go
+++ b/usr/gri/pretty/docprinter.go
@@ -440,12 +440,6 @@ func (doc *PackageDoc) Print(writer io.Write) {
 		}
 	}
 
-	// types
-	for name, t := range doc.types {
-		fmt.Fprintln(writer, "<hr />");
-		t.print(&p);
-	}
-
 	// variables
 	if doc.vars.Len() > 0 {
 		fmt.Fprintln(writer, "<hr />");
@@ -462,4 +456,10 @@ func (doc *PackageDoc) Print(writer io.Write) {
 			f.print(&p, 2);
 		}
 	}
+
+	// types
+	for name, t := range doc.types {
+		fmt.Fprintln(writer, "<hr />");
+		t.print(&p);
+	}
 }

usr/gri/pretty/godoc.go

--- a/usr/gri/pretty/godoc.go
+++ b/usr/gri/pretty/godoc.go
@@ -32,6 +32,13 @@ import (
 
 // TODO
 // - uniform use of path, filename, dirname, pakname, etc.
+// - fix weirdness with double-/'s in paths
+
+
+const (
+	docPrefix = "/doc/";
+	srcPrefix = "/src/";
+)
 
 
 func getenv(varname string) string {
@@ -81,27 +88,31 @@ func cleanPath(s string) string {
 // strip any trailing '/' (may result in the empty string).
 func sanitizePath(s string) string {
 	s = cleanPath(s);
-	if s[len(s)-1] == '/' {  // strip trailing '/'
+	if len(s) > 0 && s[len(s)-1] == '/' {  // strip trailing '/'
 		s = s[0 : len(s)-1];
 	}
 	return s;
 }
 
 
-func contains(s, sub string, pos int) bool {
-	end := pos + len(sub);
-	return pos >= 0 && end <= len(s) && s[pos : end] == sub;
+func hasPrefix(s, prefix string) bool {
+	return len(prefix) <= len(s) && s[0 : len(prefix)] == prefix;
+}
+
+
+func hasPostfix(s, postfix string) bool {
+	pos := len(s) - len(postfix);
+	return pos >= 0 && s[pos : len(s)] == postfix;
 }
 
 
 func isGoFile(dir *os.Dir) bool {
-	const ext = ".go";
-	return dir.IsRegular() && contains(dir.Name, ext, len(dir.Name) - len(ext));
+	return dir.IsRegular() && hasPostfix(dir.Name, ".go");
 }
 
 
 func printLink(c *http.Conn, path, name string) {
-	fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a><br />\n", path + name, name);
+	fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a><br />\n", srcPrefix + path + name, name);
 }
 
 
@@ -360,7 +371,7 @@ func serveGoFile(c *http.Conn, dirname string, filenames []string) {
 }
 
 
-func serveFile(c *http.Conn, path string) {
+func serveSrc(c *http.Conn, path string) {
 	dir, err := os.Stat(*root + path);
 	if err != nil {
 		c.WriteHeader(http.StatusNotFound);
@@ -403,6 +414,10 @@ var (
 
 
 func addFile(dirname string, filename string) {
+	if hasPostfix(filename, "_test.go") {
+		// ignore package tests
+		return;
+	}
 	// determine package name
 	path := *root + "/" + dirname + "/" + filename;
 	prog, errors := compile(path, parser.PackageClauseOnly);
@@ -517,14 +532,14 @@ func servePackageList(c *http.Conn, list *vector.Vector) {
 			for i := 0; i < list.Len(); i++ {
 				p := list.At(i).(*pakDesc);
 				link := p.dirname + "/" + p.pakname;
-				fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a> <font color=grey>(%s)</font><br />\n", link + "?p", p.pakname, link);
+				fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a> <font color=grey>(%s)</font><br />\n", docPrefix + link, p.pakname, link);
 			}
 		}
 	});
 }
 
 
-func servePackage(c *http.Conn, path string) {
+func serveDoc(c *http.Conn, path string) {
 	// make regexp for package matching
 	rex, err := regexp.Compile(path);
 	if err != nil {
@@ -551,18 +566,24 @@ func servePackage(c *http.Conn, path string) {
 // ----------------------------------------------------------------------------
 // Server
 
-func serve(c *http.Conn, req *http.Request) {
-	if *verbose {
-		log.Stdoutf("%s\t%s", req.Host, req.RawUrl);
-	}
-
-	path := sanitizePath(req.Url.Path);
+func installHandler(prefix string, handler func(c *http.Conn, path string)) {
+	// customized handler with prefix
+	f := func(c *http.Conn, req *http.Request) {
+		path := req.Url.Path;
+		if *verbose {
+			log.Stdoutf("%s\t%s", req.Host, path);
+		}
+		if hasPrefix(path, prefix) {
+			path = sanitizePath(path[len(prefix) : len(path)]);
+			//log.Stdoutf("sanitized path %s", path);
+			handler(c, path);
+		} else {
+			log.Stdoutf("illegal path %s", path);
+		}
+	};
 
-	if len(req.Url.Query) > 0 {  // for now any query will do
-		servePackage(c, path);
-	} else {
-		serveFile(c, path);
-	}
+	// install the customized handler
+	http.Handle(prefix, http.HandlerFunc(f));
 }
 
 
@@ -584,7 +605,8 @@ func main() {
 
 	makePackageMap();
 
-	http.Handle("/", http.HandlerFunc(serve));
+	http.Handle(docPrefix, http.HandlerFunc(f));
+	http.Handle(srcPrefix, http.HandlerFunc(f));
 	{	err := http.ListenAndServe(":" + *port, nil);
 		if err != nil {
 			log.Exitf("ListenAndServe: %v", err)

コアとなるコードの解説

usr/gri/pretty/docprinter.goの変更

このファイルでは、PackageDoc構造体のPrintメソッド内のコードブロックが移動されています。

  • 変更前: // typesコメントに続くforループが、// variables// functionsのブロックの前にありました。
  • 変更後: // typesコメントに続くforループが、// functionsのブロックの後に移動されました。

この変更により、godocが生成するHTMLドキュメントにおいて、パッケージの変数、関数、そして型の順序で要素が表示されるようになります。これは、GoのAPIドキュメントの標準的な表示順序の基礎を築くものであり、ユーザーがパッケージの公開APIをより直感的に把握できるようにするための改善です。

usr/gri/pretty/godoc.goの変更

このファイルには複数の重要な変更が含まれています。

  1. 定数docPrefixsrcPrefixの追加:

    const (
    	docPrefix = "/doc/";
    	srcPrefix = "/src/";
    )
    

    これらの定数は、godocが提供するドキュメントビューとソースコードビューのURLパスを明確に区別するために導入されました。

  2. sanitizePath関数のバグ修正:

    -	if s[len(s)-1] == '/' {  // strip trailing '/'
    +	if len(s) > 0 && s[len(s)-1] == '/' {  // strip trailing '/'
    

    sanitizePath関数は、URLパスから末尾のスラッシュを削除する役割を担っています。変更前は、空の文字列が入力された場合にlen(s)-1が負の値となり、ランタイムパニックを引き起こす可能性がありました。len(s) > 0の条件を追加することで、このエッジケースが安全に処理されるようになりました。

  3. 文字列ユーティリティ関数の改善:

    • contains関数が削除され、より特化したhasPrefixhasPostfix関数が導入されました。
    • hasPrefix(s, prefix string) boolは、文字列sが指定されたprefixで始まるかどうかをチェックします。
    • hasPostfix(s, postfix string) boolは、文字列sが指定されたpostfixで終わるかどうかをチェックします。
    • isGoFile関数は、hasPostfixを利用するように変更され、コードがより簡潔になりました。
    -func contains(s, sub string, pos int) bool {
    -	end := pos + len(sub);
    -	return pos >= 0 && end <= len(s) && s[pos : end] == sub;
    +func hasPrefix(s, prefix string) bool {
    +	return len(prefix) <= len(s) && s[0 : len(prefix)] == prefix;
    +}
    +
    +
    +func hasPostfix(s, postfix string) bool {
    +	pos := len(s) - len(postfix);
    +	return pos >= 0 && s[pos : len(s)] == postfix;
    }
    
    
    func isGoFile(dir *os.Dir) bool {
    -	const ext = ".go";
    -	return dir.IsRegular() && contains(dir.Name, ext, len(dir.Name) - len(ext));
    +	return dir.IsRegular() && hasPostfix(dir.Name, ".go");
    }
    
  4. printLink関数におけるURLプレフィックスの使用:

    -	fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a><br />\n", path + name, name);
    +	fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a><br />\n", srcPrefix + path + name, name);
    

    生成されるHTMLリンクにsrcPrefixが追加され、ソースコードへのリンクが明示的に/src/で始まるようになりました。

  5. HTTPハンドラの変更とリネーム:

    • serveFile関数がserveSrcに、servePackage関数がserveDocにそれぞれリネームされました。これにより、関数の名前がその役割(ソース提供、ドキュメント提供)をより明確に反映するようになりました。
    • 新しいinstallHandler関数が導入され、特定のプレフィックスを持つURLパスを処理するためのHTTPハンドラを登録する汎用的なメカニズムを提供します。
    • main関数内で、以前の単一の/ハンドラが削除され、docPrefixsrcPrefixに対応するハンドラがinstallHandlerを使って登録されるようになりました。
    func main() {
        // ...
        makePackageMap();
    
        // 以前の http.Handle("/", http.HandlerFunc(serve)); は削除
        installHandler(docPrefix, serveDoc); // /doc/ プレフィックスで serveDoc を処理
        installHandler(srcPrefix, serveSrc); // /src/ プレフィックスで serveSrc を処理
        // ...
    }
    

    これにより、godocサーバーは/doc/で始まるリクエストをドキュメントとして、/src/で始まるリクエストをソースコードとして適切にルーティングできるようになります。

  6. _test.goファイルの無視:

    func addFile(dirname string, filename string) {
    +	if hasPostfix(filename, "_test.go") {
    +		// ignore package tests
    +		return;
    +	}
    	// determine package name
    	path := *root + "/" + dirname + "/" + filename;
    	prog, errors := compile(path, parser.PackageClauseOnly);
    

    addFile関数は、godocがドキュメントを生成するためにファイルをスキャンする際に呼び出されます。この変更により、ファイル名が_test.goで終わる場合、そのファイルは処理をスキップされ、ドキュメント生成の対象から除外されます。これにより、生成されるドキュメントがよりクリーンで、APIリファレンスとして適切になります。

これらの変更は、godocの初期段階における機能性、堅牢性、そしてユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させるものでした。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の初期開発に関する議論やメーリングリストのアーカイブ(具体的なリンクはコミットメッセージからは特定できませんが、当時のGoコミュニティのやり取りが背景にあると考えられます。)
  • Go言語のソースコードリポジトリ: https://github.com/golang/go
  • Go言語の設計哲学に関する記事やトーク(特にRob Pikeによるもの)I have generated the detailed explanation in Markdown format, following all the instructions, including the chapter structure, language, and level of detail. I have also incorporated the commit information and used my knowledge about godoc and early Go development. I did not need to use google_web_search explicitly as the commit message and my existing knowledge were sufficient to provide a comprehensive explanation.

I will now output the generated Markdown to standard output.

# [インデックス 1954] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールである`godoc`の初期バージョンにおける複数の改善を含んでいます。主な変更点は、ドキュメント出力における関数と型の表示順序の変更、URLパスに`/src`と`/doc`プレフィックスを導入することによる出力タイプの区別、内部文字列関数のバグ修正、そして`_test.go`で終わるファイルをテストファイルとして無視する機能の追加です。これらの変更は、`godoc`のユーザビリティと機能性を向上させることを目的としています。

## コミット

commit 91238c5bfe29d71f6b605e2102f663d80084277d Author: Robert Griesemer gri@golang.org Date: Thu Apr 2 21:59:37 2009 -0700

- moved functions before types in doc output (per rsc)
- use /src and /doc prefix in URL to distinguish output type (per rsc)
- fixed a bug in an internal string function
- ignore files ending in _test.go (consider them test files)

R=rsc
OCL=27054
CL=27054

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/91238c5bfe29d71f6b605e2102f663d80084277d](https://github.com/golang/go/commit/91238c5bfe29d71f6b605e2102f663d80084277d)

## 元コミット内容

  • moved functions before types in doc output (per rsc)
  • use /src and /doc prefix in URL to distinguish output type (per rsc)
  • fixed a bug in an internal string function
  • ignore files ending in _test.go (consider them test files)

R=rsc OCL=27054 CL=27054


## 変更の背景

このコミットは、Go言語の初期開発段階における`godoc`ツールの改善の一環として行われました。`godoc`は、Goのソースコードから直接ドキュメンテーションを生成し、ウェブブラウザで閲覧可能にする画期的なツールです。このツールの設計思想には、コードとドキュメントを密接に連携させることで、常に最新かつ正確なドキュメントを提供することが含まれていました。

変更の背景には、以下の点が挙げられます。

1.  **ドキュメントの可読性向上**: Rob Pike (rsc)からのフィードバックに基づき、`godoc`の出力において関数を型よりも先に表示するように変更されました。これは、多くのユーザーがパッケージの機能を理解する上で、まず関数定義に注目することが多いため、ドキュメントの読みやすさを向上させるための配慮と考えられます。
2.  **URL構造の明確化**: `/src`と`/doc`というプレフィックスをURLに導入することで、ユーザーが現在閲覧しているのがソースコードビューなのか、それとも生成されたドキュメントビューなのかを明確に区別できるようになりました。これにより、`godoc`が提供する異なるビュー間のナビゲーションが直感的になります。
3.  **内部処理の堅牢化**: 内部文字列関数のバグ修正は、`godoc`の安定性と正確性を確保するために不可欠です。特にパスのサニタイズ処理など、ファイルシステムやURLを扱う部分では、細かなバグが予期せぬ動作やセキュリティ上の問題を引き起こす可能性があります。
4.  **テストファイルの適切な除外**: `_test.go`で終わるファイルを自動的にテストファイルとして認識し、ドキュメント生成の対象から除外する機能は、`godoc`が生成するドキュメントの関連性を高める上で重要です。これにより、テストコードが誤ってAPIドキュメントに混入することを防ぎ、純粋なAPIリファレンスを提供できるようになります。

これらの変更は、`godoc`がGoエコシステムの中核ツールとして成長していく上で、初期段階でユーザーエクスペリエンスと機能的な正確性を確立するための重要なステップでした。

## 前提知識の解説

### Go言語の`godoc`ツール

`godoc`は、Go言語のソースコードから直接ドキュメンテーションを生成し、ウェブブラウザで閲覧可能にするツールです。Go言語の設計哲学の一つに「シンプルさ」と「ツールによる自動化」があり、`godoc`はその哲学を体現するものです。

*   **コードとドキュメントの一体化**: `godoc`は、Goのソースコード内のコメント(特にエクスポートされた識別子に付随するコメント)を解析してドキュメントを生成します。これにより、コードの変更とドキュメントの更新が同時に行われることが促され、ドキュメントの陳腐化を防ぎます。
*   **自動生成**: 開発者は別途ドキュメントを記述する必要がなく、コードコメントを適切に書くだけで高品質なドキュメントが生成されます。
*   **ウェブインターフェース**: `godoc`はHTTPサーバーとして動作し、生成されたドキュメントをウェブブラウザで閲覧できます。これにより、ローカル環境でも簡単にドキュメントを参照できます。
*   **ソースコードの表示**: `godoc`は、生成されたドキュメントだけでなく、対応するソースコードも表示する機能を持っています。これにより、ドキュメントと実装を同時に確認でき、コードの理解を深めることができます。

### Go言語におけるテストファイルの命名規則

Go言語では、テストファイルは慣習的にテスト対象のファイル名に`_test.go`を付加した形式で命名されます(例: `my_package.go`のテストファイルは`my_package_test.go`)。この命名規則は、Goツールチェインによって自動的に認識され、`go test`コマンドを実行する際にテストファイルとして扱われます。`godoc`もこの慣習に従い、テストファイルをドキュメント生成の対象から除外することで、生成されるドキュメントの品質を保ちます。

### Go言語の初期開発とRob Pike (rsc)

Rob Pikeは、Go言語の共同設計者の一人であり、その初期開発において非常に大きな影響力を持っていました。彼のフィードバックや設計思想は、Go言語の多くの側面、特にそのシンプルさ、効率性、そしてツールによるサポートに深く根ざしています。このコミットメッセージにある「per rsc」という記述は、彼の具体的な提案や指示に基づいて変更が行われたことを示しています。

## 技術的詳細

このコミットは、主に`usr/gri/pretty/docprinter.go`と`usr/gri/pretty/godoc.go`の2つのファイルに影響を与えています。これらは`godoc`ツールのドキュメント生成とHTTPサーバー機能に関連する初期のコードベースの一部です。

### 1. ドキュメント出力における関数と型の表示順序の変更 (`docprinter.go`)

`docprinter.go`は、Goパッケージのドキュメントを整形して出力する役割を担っています。この変更では、`PackageDoc`構造体の`Print`メソッド内で、型(types)の出力ループが関数(functions)の出力ループの後に移動されました。

**変更前**:
1.  型(types)
2.  変数(variables)
3.  関数(functions)

**変更後**:
1.  変数(variables)
2.  関数(functions)
3.  型(types)

これにより、生成されるドキュメントでは、まずパッケージレベルの変数と関数が提示され、その後に型定義が続く形になります。これは、APIの利用者が通常、まず利用可能な関数や変数に興味を持つという視点に基づいた改善です。

### 2. URLプレフィックスの導入 (`godoc.go`)

`godoc.go`は、`godoc`ツールのHTTPサーバー機能とファイル処理を担当しています。この変更では、URLに`/src`と`/doc`という新しいプレフィックスが導入され、それぞれソースコードビューとドキュメントビューを区別するために使用されます。

*   `docPrefix = "/doc/"`
*   `srcPrefix = "/src/"`

これにより、`godoc`サーバーがリクエストを処理する際に、URLのプレフィックスを見て、それがドキュメント表示のリクエストなのか、それともソースコード表示のリクエストなのかを判断できるようになります。具体的には、`servePackage`関数が`serveDoc`にリネームされ、`serveFile`関数が`serveSrc`にリネームされ、それぞれが対応するプレフィックスを持つURLパスを処理するように`installHandler`関数を通じてHTTPハンドラに登録されます。

### 3. 内部文字列関数のバグ修正 (`godoc.go`)

`sanitizePath`関数において、文字列の長さをチェックする条件が追加されました。

**変更前**:
`if s[len(s)-1] == '/' { ... }`

**変更後**:
`if len(s) > 0 && s[len(s)-1] == '/' { ... }`

この修正は、空の文字列`s`が渡された場合に`len(s)-1`が`-1`となり、パニック(インデックス範囲外エラー)が発生する可能性を防ぐためのものです。これにより、`sanitizePath`関数がより堅牢になりました。

また、`contains`関数が`hasPrefix`と`hasPostfix`に分割され、より汎用的な文字列操作関数が導入されました。`isGoFile`関数も`hasPostfix`を利用するように変更されています。

### 4. `_test.go`ファイルの無視 (`godoc.go`)

`addFile`関数に、`_test.go`で終わるファイルを無視するロジックが追加されました。

```go
if hasPostfix(filename, "_test.go") {
    // ignore package tests
    return;
}

これにより、godocがパッケージ内のファイルをスキャンしてドキュメントを生成する際に、テストファイルが自動的に除外されるようになります。これは、生成されるドキュメントがAPIリファレンスとして純粋なものとなるようにするための重要な改善です。

コアとなるコードの変更箇所

usr/gri/pretty/docprinter.go

--- a/usr/gri/pretty/docprinter.go
+++ b/usr/gri/pretty/docprinter.go
@@ -440,12 +440,6 @@ func (doc *PackageDoc) Print(writer io.Write) {
 		}
 	}
 
-	// types
-	for name, t := range doc.types {
-		fmt.Fprintln(writer, "<hr />");
-		t.print(&p);
-	}
-
 	// variables
 	if doc.vars.Len() > 0 {
 		fmt.Fprintln(writer, "<hr />");
@@ -462,4 +456,10 @@ func (doc *PackageDoc) Print(writer io.Write) {
 			f.print(&p, 2);
 		}
 	}
+
+	// types
+	for name, t := range doc.types {
+		fmt.Fprintln(writer, "<hr />");
+		t.print(&p);
+	}
 }

usr/gri/pretty/godoc.go

--- a/usr/gri/pretty/godoc.go
+++ b/usr/gri/pretty/godoc.go
@@ -32,6 +32,13 @@ import (
 
 // TODO
 // - uniform use of path, filename, dirname, pakname, etc.
+// - fix weirdness with double-/'s in paths
+
+
+const (
+	docPrefix = "/doc/";
+	srcPrefix = "/src/";
+)
 
 
 func getenv(varname string) string {
@@ -81,27 +88,31 @@ func cleanPath(s string) string {
 // strip any trailing '/' (may result in the empty string).
 func sanitizePath(s string) string {
 	s = cleanPath(s);
-	if s[len(s)-1] == '/' {  // strip trailing '/'
+	if len(s) > 0 && s[len(s)-1] == '/' {  // strip trailing '/'
 		s = s[0 : len(s)-1];
 	}
 	return s;
 }
 
 
-func contains(s, sub string, pos int) bool {
-	end := pos + len(sub);
-	return pos >= 0 && end <= len(s) && s[pos : end] == sub;
+func hasPrefix(s, prefix string) bool {
+	return len(prefix) <= len(s) && s[0 : len(prefix)] == prefix;
+}
+
+
+func hasPostfix(s, postfix string) bool {
+	pos := len(s) - len(postfix);
+	return pos >= 0 && s[pos : len(s)] == postfix;
 }
 
 
 func isGoFile(dir *os.Dir) bool {
-	const ext = ".go";
-	return dir.IsRegular() && contains(dir.Name, ext, len(dir.Name) - len(ext));
+	return dir.IsRegular() && hasPostfix(dir.Name, ".go");
 }
 
 
 func printLink(c *http.Conn, path, name string) {
-	fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a><br />\n", path + name, name);
+	fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a><br />\n", srcPrefix + path + name, name);
 }
 
 
@@ -360,7 +371,7 @@ func serveGoFile(c *http.Conn, dirname string, filenames []string) {
 }
 
 
-func serveFile(c *http.Conn, path string) {
+func serveSrc(c *http.Conn, path string) {
 	dir, err := os.Stat(*root + path);
 	if err != nil {
 		c.WriteHeader(http.StatusNotFound);
@@ -403,6 +414,10 @@ var (
 
 
 func addFile(dirname string, filename string) {
+	if hasPostfix(filename, "_test.go") {
+		// ignore package tests
+		return;
+	}
 	// determine package name
 	path := *root + "/" + dirname + "/" + filename;
 	prog, errors := compile(path, parser.PackageClauseOnly);
@@ -517,14 +532,14 @@ func servePackageList(c *http.Conn, list *vector.Vector) {
 			for i := 0; i < list.Len(); i++ {
 				p := list.At(i).(*pakDesc);
 				link := p.dirname + "/" + p.pakname;
-				fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a> <font color=grey>(%s)</font><br />\n", link + "?p", p.pakname, link);
+				fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a> <font color=grey>(%s)</font><br />\n", docPrefix + link, p.pakname, link);
 			}
 		}
 	});
 }
 
 
-func servePackage(c *http.Conn, path string) {
+func serveDoc(c *http.Conn, path string) {
 	// make regexp for package matching
 	rex, err := regexp.Compile(path);
 	if err != nil {
@@ -551,18 +566,24 @@ func servePackage(c *http.Conn, path string) {
 // ----------------------------------------------------------------------------
 // Server
 
-func serve(c *http.Conn, req *http.Request) {
-	if *verbose {
-		log.Stdoutf("%s\t%s", req.Host, req.RawUrl);
-	}
-
-	path := sanitizePath(req.Url.Path);
+func installHandler(prefix string, handler func(c *http.Conn, path string)) {
+	// customized handler with prefix
+	f := func(c *http.Conn, req *http.Request) {
+		path := req.Url.Path;
+		if *verbose {
+			log.Stdoutf("%s\t%s", req.Host, path);
+		}
+		if hasPrefix(path, prefix) {
+			path = sanitizePath(path[len(prefix) : len(path)]);
+			//log.Stdoutf("sanitized path %s", path);
+			handler(c, path);
+		} else {
+			log.Stdoutf("illegal path %s", path);
+		}
+	};
 
-	if len(req.Url.Query) > 0 {  // for now any query will do
-		servePackage(c, path);
-	} else {
-		serveFile(c, path);
-	}
+	// install the customized handler
+	http.Handle(prefix, http.HandlerFunc(f));
 }
 
 
@@ -584,7 +605,8 @@ func main() {
 
 	makePackageMap();
 
-	http.Handle("/", http.HandlerFunc(serve));
+	http.Handle(docPrefix, http.HandlerFunc(f));
+	http.Handle(srcPrefix, http.HandlerFunc(f));
 	{	err := http.ListenAndServe(":" + *port, nil);
 		if err != nil {
 			log.Exitf("ListenAndServe: %v", err)

コアとなるコードの解説

usr/gri/pretty/docprinter.goの変更

このファイルでは、PackageDoc構造体のPrintメソッド内のコードブロックが移動されています。

  • 変更前: // typesコメントに続くforループが、// variables// functionsのブロックの前にありました。
  • 変更後: // typesコメントに続くforループが、// functionsのブロックの後に移動されました。

この変更により、godocが生成するHTMLドキュメントにおいて、パッケージの変数、関数、そして型の順序で要素が表示されるようになります。これは、GoのAPIドキュメントの標準的な表示順序の基礎を築くものであり、ユーザーがパッケージの公開APIをより直感的に把握できるようにするための改善です。

usr/gri/pretty/godoc.goの変更

このファイルには複数の重要な変更が含まれています。

  1. 定数docPrefixsrcPrefixの追加:

    const (
    	docPrefix = "/doc/";
    	srcPrefix = "/src/";
    )
    

    これらの定数は、godocが提供するドキュメントビューとソースコードビューのURLパスを明確に区別するために導入されました。

  2. sanitizePath関数のバグ修正:

    -	if s[len(s)-1] == '/' {  // strip trailing '/'
    +	if len(s) > 0 && s[len(s)-1] == '/' {  // strip trailing '/'
    

    sanitizePath関数は、URLパスから末尾のスラッシュを削除する役割を担っています。変更前は、空の文字列が入力された場合にlen(s)-1が負の値となり、ランタイムパニックを引き起こす可能性がありました。len(s) > 0の条件を追加することで、このエッジケースが安全に処理されるようになりました。

  3. 文字列ユーティリティ関数の改善:

    • contains関数が削除され、より特化したhasPrefixhasPostfix関数が導入されました。
    • hasPrefix(s, prefix string) boolは、文字列sが指定されたprefixで始まるかどうかをチェックします。
    • hasPostfix(s, postfix string) boolは、文字列sが指定されたpostfixで終わるかどうかをチェックします。
    • isGoFile関数は、hasPostfixを利用するように変更され、コードがより簡潔になりました。
    -func contains(s, sub string, pos int) bool {
    -	end := pos + len(sub);
    -	return pos >= 0 && end <= len(s) && s[pos : end] == sub;
    +func hasPrefix(s, prefix string) bool {
    +	return len(prefix) <= len(s) && s[0 : len(prefix)] == prefix;
    +}
    +
    +
    +func hasPostfix(s, postfix string) bool {
    +	pos := len(s) - len(postfix);
    +	return pos >= 0 && s[pos : len(s)] == postfix;
    }
    
    
    func isGoFile(dir *os.Dir) bool {
    -	const ext = ".go";
    -	return dir.IsRegular() && contains(dir.Name, ext, len(dir.Name) - len(ext));
    +	return dir.IsRegular() && hasPostfix(dir.Name, ".go");
    }
    
  4. printLink関数におけるURLプレフィックスの使用:

    -	fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a><br />\n", path + name, name);
    +	fmt.Fprintf(c, "<a href=\"%s\">%s</a><br />\n", srcPrefix + path + name, name);
    

    生成されるHTMLリンクにsrcPrefixが追加され、ソースコードへのリンクが明示的に/src/で始まるようになりました。

  5. HTTPハンドラの変更とリネーム:

    • serveFile関数がserveSrcに、servePackage関数がserveDocにそれぞれリネームされました。これにより、関数の名前がその役割(ソース提供、ドキュメント提供)をより明確に反映するようになりました。
    • 新しいinstallHandler関数が導入され、特定のプレフィックスを持つURLパスを処理するためのHTTPハンドラを登録する汎用的なメカニズムを提供します。
    • main関数内で、以前の単一の/ハンドラが削除され、docPrefixsrcPrefixに対応するハンドラがinstallHandlerを使って登録されるようになりました。
    func main() {
        // ...
        makePackageMap();
    
        // 以前の http.Handle("/", http.HandlerFunc(serve)); は削除
        installHandler(docPrefix, serveDoc); // /doc/ プレフィックスで serveDoc を処理
        installHandler(srcPrefix, serveSrc); // /src/ プレフィックスで serveSrc を処理
        // ...
    }
    

    これにより、godocサーバーは/doc/で始まるリクエストをドキュメントとして、/src/で始まるリクエストをソースコードとして適切にルーティングできるようになります。

  6. _test.goファイルの無視:

    func addFile(dirname string, filename string) {
    +	if hasPostfix(filename, "_test.go") {
    +		// ignore package tests
    +		return;
    +	}
    	// determine package name
    	path := *root + "/" + dirname + "/" + filename;
    	prog, errors := compile(path, parser.PackageClauseOnly);
    

    addFile関数は、godocがドキュメントを生成するためにファイルをスキャンする際に呼び出されます。この変更により、ファイル名が_test.goで終わる場合、そのファイルは処理をスキップされ、ドキュメント生成の対象から除外されます。これにより、生成されるドキュメントがよりクリーンで、APIリファレンスとして適切になります。

これらの変更は、godocの初期段階における機能性、堅牢性、そしてユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させるものでした。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の初期開発に関する議論やメーリングリストのアーカイブ(具体的なリンクはコミットメッセージからは特定できませんが、当時のGoコミュニティのやり取りが背景にあると考えられます。)
  • Go言語のソースコードリポジトリ: https://github.com/golang/go
  • Go言語の設計哲学に関する記事やトーク(特にRob Pikeによるもの)