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[インデックス 19566] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のビルドシステムにおけるドキュメントの更新に関するものです。具体的には、Go 1.3のリリースに伴い、ビルドタグのリストにgo1.3が追加されたことを反映しています。これは、Goのバージョン管理と条件付きコンパイルのメカニズムを理解する上で重要な変更点です。

コミット

  • コミットハッシュ: 5f896ae30686165ea5233d9b07ed3bc73246eda0
  • 作者: David Symonds dsymonds@golang.org
  • コミット日時: 2014年6月18日 水曜日 08:47:05 -0700
  • コミットメッセージ: go/build: update doc.go for go1.3 build tag.

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/5f896ae30686165ea5233d9b07ed3bc73246eda0

元コミット内容

go/build: update doc.go for go1.3 build tag.

LGTM=bradfitz
R=adg, rsc, bradfitz
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/102470045

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のバージョンアップサイクルと、それに伴うビルドシステムの進化があります。Go言語では、特定のGoバージョン以降で利用可能な機能やAPIが存在する場合、そのバージョンに特化したコードを条件付きでコンパイルするメカニズムが提供されています。これが「ビルドタグ」です。

Go 1.3のリリースが近づくにつれて、Goツールチェインがgo1.3というビルドタグを認識し、それに基づいてファイルをコンパイルできるようになる必要がありました。このコミットは、その機能的な変更自体ではなく、その機能が利用可能になったことを開発者に伝えるためのドキュメント(doc.go)の更新です。

src/pkg/go/build/doc.goファイルは、go/buildパッケージのドキュメントの一部であり、Goのビルドプロセスにおける重要な概念、特にビルドタグについて説明しています。Go 1.3が導入されるにあたり、このドキュメントにgo1.3ビルドタグが追加されることを明記することで、開発者がGo 1.3以降の機能を利用する際に適切なビルドタグを使用できるようになります。

前提知識の解説

Goビルドタグ(Build Tags / Build Constraints)

Goビルドタグは、Goソースファイル内の特別なコメントであり、特定の条件に基づいてファイルがビルドプロセスに含まれるかどうかを決定するために使用されます。これは、オペレーティングシステム、アーキテクチャ、またはカスタム定義された基準に基づいて、特定のコードを含めたり除外したりするのに特に役立ちます。

  • 目的: プラットフォーム固有の実装、機能の切り替え、または同じソースコードからアプリケーションの異なるバージョンを管理するために使用されます。
  • 配置: ビルドタグは、.goファイルの先頭近くに配置され、空白行と他の行コメントのみが先行し、空白行が続く必要があります。package句の前に配置されます。
  • 構文(Go 1.17以前): Go 1.3を含むGo 1.17より前のバージョンでは、ビルドタグの構文は// +buildを使用しました。例えば、// +build linux darwinは、ビルドターゲットがLinuxまたはmacOSの場合にファイルが含まれることを示します。
  • 論理演算:
    • スペースで区切られたタグ(+build構文の場合)はORロジックで解釈されます。
    • カンマで区切られたタグ(+build構文の場合)はANDロジックで解釈されます。
    • !プレフィックスはタグを否定し、条件が満たされない場合にファイルが含まれることを意味します。
  • ビルド時の適用: go buildコマンドの-tagsフラグを使用して、アクティブにするタグを指定できます。例: go build -tags=debugdebugビルドタグを持つファイルを含めます。
  • 一般的な使用例:
    • プラットフォーム固有のコード: さまざまなオペレーティングシステム用の異なる実装を含める(例: // +build windowsまたは// +build linux)。
    • 条件付きコンパイル: カスタムタグに基づいて機能を有効または無効にする(例: デバッグロギング用の// +build debug)。
    • ファイルの除外: ビルドからファイルを除外するために否定を使用する(例: // +build !release)。

doc.goファイル

Go言語のパッケージでは、doc.goという名前のファイルが特別な意味を持ちます。このファイルは、パッケージ全体のドキュメントを記述するために使用されます。通常、パッケージの概要、使用方法、重要な概念などが含まれます。go docコマンドやGoのドキュメント生成ツールによって読み取られ、開発者向けのドキュメントとして表示されます。

このコミットで変更されたsrc/pkg/go/build/doc.goは、go/buildパッケージのドキュメントであり、Goのビルド制約(ビルドタグ)に関する情報を提供しています。

技術的詳細

このコミット自体は、Goコンパイラやランタイムの動作を変更するものではなく、Goツールチェインがgo1.3ビルドタグを認識するようになったという事実をドキュメントに反映させるものです。

Goのビルドシステムは、ソースファイルをスキャンしてビルドタグを解析します。go/buildパッケージは、この解析ロジックの中核を担っています。doc.goファイルにgo1.3が追加されたということは、Go 1.3のリリースに伴い、Goツールチェインが内部的にgo1.3というビルドタグを認識し、それに基づいて条件付きコンパイルを実行できるようになったことを意味します。

例えば、Go 1.3以降の特定の機能を使用するコードがある場合、開発者はそのファイルに// +build go1.3というビルドタグを追加することで、Go 1.3以降の環境でのみそのコードがコンパイルされるように制御できます。これにより、古いGoバージョンとの互換性を保ちつつ、新しいGoバージョンの機能を活用することが可能になります。

この変更は、GoのビルドシステムがGoのバージョンアップにどのように対応しているかを示す良い例です。新しいバージョンがリリースされるたびに、そのバージョンに対応するビルドタグが導入され、関連するドキュメントが更新されます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/go/build/doc.go
+++ b/src/pkg/go/build/doc.go
@@ -99,6 +99,7 @@
 //	- "cgo", if ctxt.CgoEnabled is true
 //	- "go1.1", from Go version 1.1 onward
 //	- "go1.2", from Go version 1.2 onward
+//	- "go1.3", from Go version 1.3 onward
 //	- any additional words listed in ctxt.BuildTags
 //
 // If a file's name, after stripping the extension and a possible _test suffix,

コアとなるコードの解説

変更はsrc/pkg/go/build/doc.goファイルに対して行われています。このファイルは、go/buildパッケージのドキュメントの一部であり、Goのビルドタグに関する説明が含まれています。

具体的には、99行目から始まるコメントブロックに、Goのビルドシステムが認識する標準的なビルドタグのリストが記載されています。このリストには、Goの特定のバージョン(例: go1.1, go1.2)に対応するタグが含まれています。

このコミットでは、既存のリストに以下の行が追加されました。

+//	- "go1.3", from Go version 1.3 onward

これは、Go 1.3がリリースされた(またはリリースされようとしている)ことを示し、Go 1.3以降の環境ではgo1.3というビルドタグが有効になることを明示しています。これにより、開発者はGo 1.3以降のバージョンに特化したコードを記述する際に、このタグを使用して条件付きコンパイルを行うことができるようになります。

この変更は純粋にドキュメントの更新であり、Goのビルドシステムの動作自体を変更するものではありません。しかし、開発者にとっては、Goのバージョンアップに伴う新しいビルドタグの存在を知るための重要な情報源となります。

関連リンク

参考にした情報源リンク