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[インデックス 19587] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式ドキュメントである doc/articles/race_detector.html の更新に関するものです。具体的には、Go Race Detectorがサポートするシステムの一覧に freebsd/amd64 を追加する変更が行われています。これは、Go Race DetectorがFreeBSDのamd64アーキテクチャ上で利用可能になったことを公式に明記するための修正です。

コミット

commit fd234d68230373c735995e2af0a919cbf522cc09
Author: Dmitriy Vyukov <dvyukov@google.com>
Date:   Sat Jun 21 20:19:32 2014 +0400

    doc: say that race detector is supported on freebsd
    
    LGTM=ruiu
    R=golang-codereviews, ruiu
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/109100046

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/fd234d68230373c735995e2af0a919cbf522cc09

元コミット内容

doc: say that race detector is supported on freebsd

変更の背景

この変更の背景には、Go言語のRace DetectorがFreeBSDのamd64アーキテクチャ上で実際に動作するようになったという事実があります。Go Race Detectorは、Go 1.1で導入された強力なツールであり、並行処理におけるデータ競合(レースコンディション)を検出する目的で開発されました。初期のバージョンでは、darwin/amd64 (macOS), linux/amd64 (Linux), windows/amd64 (Windows) のみが公式にサポートされていました。

しかし、Go言語自体のFreeBSDサポートが進む中で、Race DetectorもFreeBSD/amd64環境で安定して動作するようになりました。このコミットが行われた2014年6月は、Go 1.3のリリース時期と重なります。Go 1.3ではFreeBSD 10のx86プラットフォーム(386およびamd64)がサポートされており、これに伴いRace DetectorもFreeBSD環境で利用可能になったと考えられます。このコミットは、その技術的な進展を公式ドキュメントに反映させるためのものです。

前提知識の解説

Go Race Detectorとは

Go Race Detectorは、Goプログラムにおけるデータ競合(Data Race)を検出するための動的解析ツールです。データ競合とは、複数のゴルーチン(Goの軽量スレッド)が同時に同じメモリ位置にアクセスし、少なくとも1つのアクセスが書き込みであり、かつそれらのアクセスが同期メカニズムによって保護されていない場合に発生するバグです。データ競合は、プログラムの予測不能な動作、クラッシュ、データの破損などを引き起こす可能性があり、デバッグが非常に困難です。

Go Race Detectorは、プログラムの実行時にメモリアクセスを監視し、データ競合のパターンを検出します。これは、Googleが開発したC/C++向けのThreadSanitizerというツールを基盤としています。Goプログラムをビルドまたは実行する際に -race フラグ(例: go run -race main.gogo test -race ./...)を付けることで有効にできます。有効にすると、コンパイラがメモリアクセスを計測するためのコードを挿入し、ランタイムライブラリが競合を監視します。競合が検出されると、詳細なレポート(競合が発生した場所、スタックトレースなど)が出力されます。

FreeBSDとは

FreeBSDは、UNIXライクなオペレーティングシステムの一つで、BSD系OSの代表的な存在です。高性能、安定性、セキュリティの高さで知られ、サーバー用途や組み込みシステムで広く利用されています。Linuxと同様にオープンソースであり、多くの開発者によって支えられています。Go言語は、その設計思想から様々なプラットフォームへの移植性を重視しており、FreeBSDも公式にサポート対象となっています。

amd64アーキテクチャ

amd64は、x86-64とも呼ばれる64ビットのCPUアーキテクチャです。AMDが開発し、後にIntelも採用したことで、現在のパーソナルコンピュータやサーバーの主流となっています。64ビットのレジスタとアドレス空間を持ち、より大量のメモリを扱えるため、大規模なアプリケーションや高性能な計算に適しています。Go言語のバイナリは、特定のアーキテクチャ向けにコンパイルされるため、Race Detectorも各アーキテクチャ(例: darwin/amd64, linux/amd64, freebsd/amd64)ごとにサポートが明記されます。

技術的詳細

このコミットは、Go言語のドキュメントの一部である doc/articles/race_detector.html ファイルに対する変更です。このHTMLファイルは、Go Race Detectorの機能、使用方法、およびサポートされるシステムについて説明しています。

変更の具体的な内容は、HTML内の <p> タグで囲まれたテキスト行の修正です。元々は以下の記述がありました。

The race detector runs on <code>darwin/amd64</code>, <code>linux/amd64</code>, and <code>windows/amd64</code>.

この行は、Race DetectorがサポートするプラットフォームとしてmacOS (darwin), Linux, Windowsのamd64版を列挙していました。このコミットでは、このリストに freebsd/amd64 を追加しています。

The race detector runs on <code>darwin/amd64</code>, <code>freebsd/amd64</code>,
<code>linux/amd64</code>, and <code>windows/amd64</code>.

この変更は、単なるドキュメントの更新に過ぎませんが、その背後にはGoランタイムおよびRace DetectorのFreeBSDへの移植作業が完了し、FreeBSD/amd64環境での安定した動作が確認されたという重要な事実があります。ドキュメントの更新は、ユーザーに対して最新かつ正確な情報を提供するための最終ステップです。これにより、FreeBSDユーザーは安心してGo Race Detectorを利用できることが公式に保証されることになります。

コアとなるコードの変更箇所

変更は doc/articles/race_detector.html ファイルの以下の部分です。

--- a/doc/articles/race_detector.html
+++ b/doc/articles/race_detector.html
@@ -377,7 +377,8 @@ func (w *Watchdog) Start() {
 <h2 id="Supported_Systems">Supported Systems</h2>
 
 <p>
-The race detector runs on <code>darwin/amd64</code>, <code>linux/amd64</code>, and <code>windows/amd64</code>.
+The race detector runs on <code>darwin/amd64</code>, <code>freebsd/amd64</code>,
+<code>linux/amd64</code>, and <code>windows/amd64</code>.
 </p>
 
 <h2 id="Runtime_Overheads">Runtime Overhead</h2>

コアとなるコードの解説

この変更は、HTMLドキュメント内の特定の段落(<p>タグ)の内容を修正するものです。具体的には、<code>タグで囲まれたプラットフォームのリストに freebsd/amd64 が追加されています。

  • - The race detector runs on <code>darwin/amd64</code>, <code>linux/amd64</code>, and <code>windows/amd64</code>.
    • これは変更前の行で、Race Detectorがサポートするプラットフォームとして darwin/amd64, linux/amd64, windows/amd64 が記載されていました。
  • +The race detector runs on <code>darwin/amd64</code>, <code>freebsd/amd64</code>,
  • +<code>linux/amd64</code>, and <code>windows/amd64</code>.
    • これらは変更後の行で、darwin/amd64 の直後に freebsd/amd64 が追加され、行が折り返されています。これにより、FreeBSDのamd64アーキテクチャが公式にサポート対象として明記されました。

この修正自体は非常に小さく、コードの機能に直接影響を与えるものではありません。しかし、GoエコシステムにおけるFreeBSDサポートの成熟を示す重要なドキュメント更新であり、ユーザーがGo Race Detectorの利用可能性を正確に理解するための情報提供として機能します。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go Race Detector history (Web Search Result)
  • FreeBSD amd64 Go support (Web Search Result)
  • Go Race Detector FreeBSD support 2014 (Web Search Result)
  • Go公式ドキュメント (go.dev)
  • Wikipedia (ThreadSanitizer, amd64)