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[インデックス 1963] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の初期のByteBuffer実装における非常に軽微なバグ修正です。具体的には、ByteBufferWriteメソッド内で、バッファの容量チェックを行う際に誤ってlen(p)を再計算していた箇所を、既に計算済みのplen変数を使用するように修正しています。これにより、コードの整合性が保たれ、潜在的なバグや非効率性が解消されました。

コミット

commit 0ea0919534bc2d39f6fc7c62c92a1d40b7f58c1f
Author: Peter McKenzie <petermck@google.com>
Date:   Mon Apr 6 17:03:07 2009 -0700

    Extremely minor fix to ByteBuffer.
    
    R=r
    APPROVED=r
    DELTA=1  (0 added, 0 deleted, 1 changed)
    OCL=27123
    CL=27130
---
 src/lib/io/bytebuffer.go | 2 +--
 1 file changed, 1 insertion(+), 1 deletion(-)

diff --git a/src/lib/io/bytebuffer.go b/src/lib/io/bytebuffer.go
index cb2d44815a..440f265c53 100644
--- a/src/lib/io/bytebuffer.go
+++ b/lib/io/bytebuffer.go
@@ -47,7 +47,7 @@ func (b *ByteBuffer) Write(p []byte) (n int, err *os.Error) {
 		b.buf = make([]byte, b.cap);
 		b.len = 0;
 	}
-	if b.len + len(p) > b.cap {
+	if b.len + plen > b.cap {
 		b.cap = 2*(b.cap + plen);
 		nb := make([]byte, b.cap);
 		bytecopy(nb, 0, b.buf, 0, b.len);

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0ea0919534bc2d39f6fc7c62c92a1d40b7f58c1f

元コミット内容

Extremely minor fix to ByteBuffer.

R=r
APPROVED=r
DELTA=1  (0 added, 0 deleted, 1 changed)
OCL=27123
CL=27130

変更の背景

このコミットは、Go言語の初期開発段階におけるByteBufferの実装に関するものです。ByteBufferは、バイト列を効率的に扱うためのデータ構造であり、特にI/O操作において頻繁に使用されます。Writeメソッドは、与えられたバイトスライスpByteBufferに追加する役割を担います。

変更の背景としては、Writeメソッド内でバッファの容量が不足している場合に、新しい容量を計算してバッファを拡張するロジックが存在していました。この容量計算の際に、入力されたバイトスライスpの長さを参照する必要がありましたが、その参照方法に一貫性がなかったか、あるいは単純なタイプミスや見落としがあったと考えられます。

コミットメッセージにある「Extremely minor fix」という表現から、この変更が機能に大きな影響を与えるものではなく、主にコードの正確性や整合性を向上させるための修正であったことが伺えます。おそらく、Write関数の冒頭でplen := len(p)のようにpの長さをplenという変数に格納しており、その後の処理でplenを使用すべき箇所で誤ってlen(p)を直接使用していた、という状況が考えられます。

前提知識の解説

Go言語の[]bytelen()

Go言語において、[]byteはバイトスライスの型を表します。これは可変長であり、バイトのシーケンスを効率的に格納・操作するために使用されます。len()組み込み関数は、スライス、配列、文字列、マップ、チャネルなどの長さを返します。len(p)は、バイトスライスpに含まれるバイトの数を返します。

ByteBufferの役割

ByteBufferは、Go言語の標準ライブラリ(初期のsrc/lib/io、現在のbytesパッケージに相当)において、可変長のバイトバッファを実装するための構造体です。これは、データをメモリ上で効率的に読み書きするために使用されます。例えば、ネットワーク通信で受信したデータを一時的に保持したり、ファイルに書き込むデータを構築したりする際に利用されます。

Writeメソッドの一般的な動作

Writeメソッドは、通常、io.Writerインターフェースの一部として定義されます。そのシグネチャはWrite(p []byte) (n int, err error)です。

  • p []byte: 書き込むデータを含むバイトスライス。
  • n int: 実際に書き込まれたバイト数。
  • err error: エラーが発生した場合に返されるエラー。

ByteBufferWriteメソッドは、与えられたバイトスライスpの内容を自身の内部バッファに追加します。この際、内部バッファの容量が不足している場合は、新しいデータを格納するためにバッファを拡張する必要があります。

バッファの拡張戦略

ByteBufferのような可変長バッファでは、新しいデータが追加されて現在の容量を超過する場合、より大きな新しいバッファを割り当て、既存のデータを新しいバッファにコピーし、その後新しいデータを追加するという拡張戦略が取られます。この拡張の際に、新しいバッファの容量を決定するために、現在のバッファ長と追加されるデータの長さを考慮する必要があります。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、ByteBufferWriteメソッド内でのバッファ容量チェックのロジックにあります。

元のコードでは、バッファの容量が不足しているかどうかを判断するために、以下の条件式を使用していました。

if b.len + len(p) > b.cap {

ここで、b.lenは現在のByteBufferに格納されているデータの長さ、b.capByteBufferの現在の内部バッファの容量です。len(p)は、Writeメソッドに引数として渡されたバイトスライスpの長さ、つまり追加しようとしているデータの長さです。

この行の修正は、len(p)plenに置き換えるというものです。

if b.len + plen > b.cap {

この変更が意味することは、plenという変数が、Writeメソッドのより早い段階でlen(p)の値を保持するように定義されていたということです。例えば、Writeメソッドの冒頭で以下のような行があったと推測されます。

plen := len(p)

このような変更は、以下の理由で行われることがあります。

  1. 一貫性の向上: 関数内で同じ値(この場合はlen(p))を複数回参照する場合、それを一度変数に格納し、その変数を使用することでコードの一貫性が向上します。これにより、将来的な変更やデバッグが容易になります。
  2. 潜在的なバグの修正: pが関数内で再スライスされる可能性がある場合、len(p)を複数回呼び出すと、呼び出し時点でのpの長さが異なる可能性があります。plenとして初期のlen(p)を保存しておくことで、このような潜在的なバグを防ぐことができます。この特定のケースでは、pが再スライスされる可能性は低いですが、一般的なプログラミングプラクティスとして重要です。
  3. 微細なパフォーマンス最適化: len()関数は非常に高速ですが、ループ内で頻繁に呼び出される場合など、ごく稀にパフォーマンスに影響を与える可能性があります。一度計算した値を再利用することで、理論的にはわずかながらパフォーマンスが向上する可能性があります。ただし、このケースではその影響はごくわずかでしょう。

この修正は、ByteBufferが新しいデータを格納するために必要な新しい容量を正確に計算し、それに基づいてバッファを適切に拡張することを保証します。もしlen(p)plenが異なる値を指すような状況が発生した場合(例えば、pが関数内で変更された場合)、この修正はバッファの容量計算の誤りを防ぎ、結果としてデータ破損やパニック(プログラムの異常終了)といった深刻な問題を防ぐことにつながります。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/lib/io/bytebuffer.goファイル内のByteBuffer構造体のWriteメソッドに限定されています。

具体的には、以下の1行が変更されました。

--- a/src/lib/io/bytebuffer.go
+++ b/src/lib/io/bytebuffer.go
@@ -47,7 +47,7 @@ func (b *ByteBuffer) Write(p []byte) (n int, err *os.Error) {
 		b.buf = make([]byte, b.cap);
 		b.len = 0;
 	}
-	if b.len + len(p) > b.cap {
+	if b.len + plen > b.cap {
 		b.cap = 2*(b.cap + plen);
 		nb := make([]byte, b.cap);
 		bytecopy(nb, 0, b.buf, 0, b.len);

コアとなるコードの解説

変更された行は、ByteBufferWriteメソッド内で、追加されるデータpを格納するために現在のバッファ容量b.capが十分であるかをチェックする条件式です。

  • b.len: ByteBufferに現在格納されている有効なデータの長さ。
  • plen: Writeメソッドに渡された入力バイトスライスpの長さ(len(p))を事前に計算して格納した変数。

元のコードではb.len + len(p)と直接len(p)を呼び出していましたが、修正後はb.len + plenplen変数を使用しています。

この修正の目的は、Writeメソッドの実行中にpの長さが変化する可能性がないことを保証し、コードの意図を明確にすることです。また、もしplenWriteメソッドの冒頭で一度だけ計算されるのであれば、この変更はわずかながらも計算の重複を避けることにも繋がります。

この条件式がtrueの場合、つまり現在のバッファ容量が不足している場合、ByteBufferは新しい、より大きなバッファを割り当て(b.cap = 2*(b.cap + plen))、既存のデータを新しいバッファにコピーし(bytecopy(nb, 0, b.buf, 0, b.len))、その後新しいデータpを追加する準備をします。この拡張ロジックにおいて、追加されるデータの正確な長さ(plen)を使用することは、適切なバッファサイズを確保するために不可欠です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • コミット情報 (./commit_data/1963.txtの内容)
  • Go言語の公式ドキュメント (bytesパッケージ、ioパッケージ)
  • Go言語のソースコード (特に初期のsrc/lib/io/bytebuffer.goの歴史)
  • Web検索によるlen(p)plenに関する一般的なGo言語の慣習とByteBufferの動作に関する情報。