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[インデックス 19647] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ツールである gofmt-w (write) および -s (simplify) オプション付きで実行した結果を適用したものです。これにより、Goソースコードのフォーマットが統一され、一部の冗長なコードが簡潔な形式に自動的に書き換えられています。機能的な変更は含まれておらず、コードの可読性と保守性の向上が主な目的です。

コミット

commit b39e2a0ca38cab086c0c90a45399ae4b4897b47b
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Tue Jul 1 10:28:10 2014 -0700

    src, misc: applied gofmt -w -s
    
    TBR=rsc
    R=golang-codereviews
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/111770043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b39e2a0ca38cab086c0c90a45399ae4b4897b47b

元コミット内容

src, misc: applied gofmt -w -s
    
TBR=rsc
R=golang-codereviews
CC=golang-codereviews
https://golang.org/cl/111770043

変更の背景

Go言語では、コードのフォーマットを統一し、可読性を高めるために gofmt というツールが提供されています。このツールは、Goの公式スタイルガイドに沿ってコードを自動的に整形します。本コミットは、gofmt-s オプション(簡略化)を適用することで、コードベース全体の一貫性を保ち、より簡潔でイディオマティックなGoコードに自動的に変換することを目的としています。これにより、将来のコード変更やレビューが容易になり、潜在的なバグのリスクを低減する効果も期待できます。

前提知識の解説

gofmt とは

gofmt は、Go言語のソースコードを自動的にフォーマットするツールです。Go言語のツールチェインに標準で含まれており、Goコミュニティ全体で広く利用されています。gofmt は、インデント、スペース、改行などのスタイルを統一するだけでなく、特定の冗長な構文をより簡潔な形式に書き換える機能も持っています。これにより、開発者間のコードスタイルの議論を減らし、コードレビューの効率を向上させ、Goコードの可読性を高めることに貢献しています。

gofmt -w オプション

-w オプションは、gofmt がフォーマット結果を標準出力に出力するのではなく、元のファイルを直接上書きすることを指示します。これにより、手動でコピー&ペーストする手間を省き、自動化されたコード整形プロセスを可能にします。

gofmt -s オプション

-s オプションは、gofmt にコードの簡略化(simplification)を指示します。これは、Go言語のイディオムに沿って、より簡潔な表現に書き換えられる冗長なコードパターンを自動的に検出して修正する機能です。例えば、以下のような簡略化が行われます。

  • 複合リテラルの型名の省略: Type{...} のように、型名が明らかな場合に Type を省略して {...} と記述する。
  • スライスリテラルの型名の省略: []Type{...} のように、スライス要素の型が明らかな場合に Type を省略して {...} と記述する。
  • for ループにおける未使用のインデックス/値の削除: for i, _ := range slicefor _, v := range slice のように、インデックスや値が使用されない場合に _ を削除して for i := range slicefor v := range slice と記述する。
  • マップリテラルの型名の省略: map[Key]Value{...} のように、マップ要素の型が明らかな場合に map[Key]Value を省略して {...} と記述する。

これらの簡略化は、コードの行数を減らし、視覚的なノイズを排除することで、コードの意図をより明確にする効果があります。

技術的詳細

このコミットで行われた変更は、すべて gofmt -s の適用によるものです。具体的には、以下の種類の簡略化が複数のファイルにわたって行われています。

  1. 複合リテラル(struct, slice, map)の型名の省略:

    • Certificate{{ に変更されています。これは、config.Certificates = []Certificate{...} のように、代入先の型から Certificate であることが推論できる場合に、冗長な型名を省略するGoの構文糖衣です。
    • []uint16{...}{...} に変更されています。これも同様に、代入先の型からスライスの要素型が推論できる場合の簡略化です。
    • map[string]string{{ に変更されています。これも同様に、代入先の型からマップのキーと値の型が推論できる場合の簡略化です。
  2. for range ループにおける未使用変数の削除:

    • for i, _ := range p.Inst {for i := range p.Inst { に変更されています。これは、ループのインデックス i のみが使用され、値 _ が使用されていない場合に、冗長な _ を削除する簡略化です。
    • for _, _ = range m {for _ = range m { に変更されています。これは、ループのインデックスも値も使用されていない場合に、両方の _ を削除する簡略化です。

これらの変更は、Goコンパイラによって生成されるバイナリコードの動作には影響を与えません。純粋にソースコードの見た目を改善し、Go言語の推奨されるスタイルに準拠させるためのものです。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットは特定の機能を追加したりバグを修正したりするものではなく、コードベース全体にわたるフォーマットと簡略化の適用です。そのため、特定の「コアとなるコード」というよりは、複数のファイルにわたる構文的な変更が特徴です。

変更されたファイルの例と、その変更内容のパターンは以下の通りです。

  • src/pkg/crypto/tls/handshake_server_test.go:

    -		Certificate{
    +		{
    

    複合リテラルの型名省略。

  • src/pkg/crypto/x509/x509_test.go:

    -			pkix.Extension{
    +			{
    

    複合リテラルの型名省略。

    -		pkix.AttributeTypeAndValueSET{
    +		{
    

    複合リテラルの型名省略。

    -				[]pkix.AttributeTypeAndValue{
    -					pkix.AttributeTypeAndValue{
    +				{
    +					{
    

    複合リテラルの型名省略。

  • src/pkg/mime/multipart/example_test.go:

    -			"Content-Type": []string{"multipart/mixed; boundary=foo"},
    +			"Content-Type": {"multipart/mixed; boundary=foo"},
    

    スライスリテラルの型名省略。

  • src/pkg/net/http/serve_test.go:

    -		1: []ConnState{StateNew, StateActive, StateIdle, StateActive, StateClosed},
    +		1: {StateNew, StateActive, StateIdle, StateActive, StateClosed},
    

    スライスリテラルの型名省略。

  • src/pkg/reflect/all_test.go:

    -	{[][]int{[]int{1}}, [][]int{[]int{2}}, false},
    +	{[][]int{{1}}, [][]int{{2}}, false},
    

    ネストされたスライスリテラルの型名省略。

  • src/pkg/regexp/onepass.go:

    -	\tfor i, _ := range p.Inst {
    +	\tfor i := range p.Inst {
    

    for range ループの未使用変数 _ の削除。

  • src/pkg/runtime/mapspeed_test.go:

    -		for _, _ = range m {
    +		for _ = range m {
    

    for range ループの未使用変数 _ の削除。

  • src/pkg/runtime/race/testdata/mop_test.go:

    -		"a": map[string]string{
    +		"a": {
    

    マップリテラルの型名省略。

  • src/pkg/runtime/string_test.go:

    -		for _, _ = range s {
    +		for _ = range s {
    

    for range ループの未使用変数 _ の削除。

コアとなるコードの解説

このコミットにおける「コアとなるコードの解説」は、個々のコード行の機能的な意味を説明するものではなく、gofmt -s が適用された結果として、Goコードがどのように簡潔になったかを説明することになります。

上記の変更箇所に見られるように、gofmt -s は以下のようなパターンでコードを簡略化しています。

  1. 型推論の活用: Go言語では、変数の宣言時や複合リテラルの初期化時に、コンパイラが型を推論できる場合、明示的な型名を省略できます。gofmt -s はこの機能を積極的に活用し、Type{...}{...} に、[]Type{...}{...} に、map[Key]Value{...}{...} に自動的に書き換えます。これにより、コードがより短く、読みやすくなります。

  2. 未使用変数の削除: for range ループでインデックスや値が使用されない場合、Goでは _ (ブランク識別子) を使用してその変数を破棄します。gofmt -s は、この _ が冗長であると判断した場合(例えば、インデックスのみが必要で値は不要な場合など)、_ を完全に削除して for i := range ... のような形式に簡略化します。これにより、コードの意図がより明確になり、不要な要素が視覚的に排除されます。

これらの変更は、Go言語の設計思想である「シンプルさ」と「明瞭さ」を反映したものであり、コードベース全体の一貫性を保ち、Go開発者がより効率的にコードを読み書きできるようにするためのものです。

関連リンク

参考にした情報源リンク