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[インデックス 1033] ファイルの概要

このコミットは、Goコンパイラのバックエンドの一部である src/cmd/gc/walk.c ファイルに対する変更です。walk.c は、Goコンパイラの「walk」フェーズを担当するファイルであり、抽象構文木(AST)を走査し、型チェック、最適化、および中間コード生成などの処理を行います。具体的には、ASTノードの変換や、特定の言語構造(例えば、ドットセレクタ . を含む式)の処理に関連するロジックが含まれています。

コミット

  • コミットハッシュ: 6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398
  • 作者: Russ Cox rsc@golang.org
  • コミット日時: Mon Nov 3 13:09:30 2008 -0800
  • 変更ファイル: src/cmd/gc/walk.c
  • 変更概要: GCCコンパイラが生成する警告を抑制するための変更。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398

元コミット内容

    silence gcc warnings
    
    R=ken
    OCL=18348
    CL=18348

変更の背景

このコミットの主な目的は、Goコンパイラ(gc)のビルド時にGCCコンパイラが発する警告を解消することです。コンパイラの警告は、コードの潜在的な問題(未使用の変数、型の一致しない比較など)を示すことが多く、これらを放置すると将来のバグや予期せぬ動作につながる可能性があります。特に、コンパイラ自体を開発する際には、警告をゼロに保つことがコード品質と保守性の観点から非常に重要です。

この特定のコミットでは、以下の2つの種類の警告が対象となっています。

  1. 未使用の変数に関する警告: コード内で宣言されたものの、一度も使用されていない変数がある場合にGCCが生成する警告。
  2. 型の一致しない比較に関する警告、またはNULLポインタチェックの誤りに関する警告: ポインタやノードを比較する際に、意図しない値と比較している、またはNULLチェックが適切に行われていない場合に発生する可能性のある警告。

これらの警告を解消することで、コンパイラのビルドプロセスがクリーンになり、開発者がより重要な問題に集中できるようになります。

前提知識の解説

Goコンパイラ (gc)

gc は、Go言語の公式コンパイラであり、Goソースコードを機械語に変換する役割を担っています。Goコンパイラは複数のフェーズ(字句解析、構文解析、型チェック、中間表現生成、最適化、コード生成など)を経てコンパイルを行います。src/cmd/gc ディレクトリには、このコンパイラの主要なソースコードが含まれています。

抽象構文木 (AST)

ASTは、ソースコードの構文構造を木構造で表現したものです。コンパイラはソースコードを解析してASTを構築し、その後のフェーズ(型チェック、最適化、コード生成など)でこのASTを走査・変換していきます。walk.c は、このASTの走査("walking")を行う部分であり、各ノードに対して特定の処理を適用します。

NodeType 構造体

Goコンパイラの内部では、ASTの各要素は Node 構造体で表現されます。例えば、変数、定数、関数呼び出し、演算子などが Node として扱われます。また、Go言語の型システムは Type 構造体で表現されます。Node はその型情報として Type へのポインタを持つことが一般的です。

TN (Goコンパイラ内部定数)

Goコンパイラの初期のコードベースでは、特定の内部定数やマクロが使用されていました。

  • T: この文脈では、おそらく true または何らかの有効な型を示す内部定数、あるいは単に Type 型の変数を初期化する際に使用されるデフォルト値のようなものを指していた可能性があります。しかし、ポインタの比較においては、NULL ではないことを示すために使われることもあります。
  • N: この文脈では、NULL または無効な Node を示す内部定数である可能性が高いです。コンパイラ内部では、ASTノードが存在しない、または無効な状態を示すために N が使われることがあります。

isddd 関数

isddd 関数は、Goコンパイラの内部関数であり、その名前から「...」(可変引数、variadic arguments)に関連する型チェックを行っていると推測されます。Go言語の関数は可変引数を受け取ることができ、その型は ...T のように表現されます。isddd は、与えられた Type がこのような可変引数型であるかどうかを判定するために使用されると考えられます。

GCC警告

GCC (GNU Compiler Collection) は、C、C++、Goなど様々なプログラミング言語をコンパイルできるコンパイラスイートです。GCCは、コードの潜在的な問題や非推奨の構文に対して警告を発します。これらの警告は、コンパイルエラーとは異なり、プログラムの実行を妨げるものではありませんが、コードの品質や将来の互換性に影響を与える可能性があるため、通常は解消することが推奨されます。

技術的詳細

このコミットでは、src/cmd/gc/walk.c 内の2箇所が変更されています。

1. 未使用変数の削除

--- a/src/cmd/gc/walk.c
+++ b/src/cmd/gc/walk.c
@@ -1492,8 +1492,7 @@ lookdot(Node *n, Type *t)\n void\n walkdot(Node *n)\n {\n-	Type *t, *f;\n-	int d;\n+	Type *t;\n \n 	if(n->left == N || n->right == N)\n 		return;\n```

`walkdot` 関数内で、`int d;` という変数が宣言されていましたが、その後のコードで一度も使用されていませんでした。このような未使用の変数は、GCCによって「unused variable」警告として報告されます。この変更では、単にこの未使用の宣言を削除することで、警告を解消しています。これは、コードのクリーンアップと、コンパイラのビルド時の警告リストを減らすための典型的な修正です。

### 2. ノード比較の修正

```diff
--- a/src/cmd/gc/walk.c
+++ b/src/cmd/gc/walk.c
@@ -1722,7 +1721,7 @@ ascompatte(int op, Type **nl, Node **nr, int fp)\n \n loop:\n \tif(l != T && isddd(l->type)) {\n-\t\tif(r != T && isddd(r->type)) {\n+\t\tif(r != N && isddd(r->type)) {\n \t\t\tgoto more;\n \t\t}\n \n```

`ascompatte` 関数内の `loop` ラベルの直後にある条件文が変更されています。
元のコード: `if(r != T && isddd(r->type))`
変更後: `if(r != N && isddd(r->type))`

ここで `r` は `Node *` 型の変数であると推測されます。Goコンパイラの文脈において、`N` は通常、無効なノードやNULLポインタを示すために使用される内部定数です。一方、`T` は、この文脈では `Type` 型の変数や、何らかの「真」を示す値として使われていた可能性がありますが、`Node *` 型の変数 `r` を `T` と比較することは、型が一致しない比較であるか、あるいは論理的に誤った比較である可能性が高いです。

`r != N` という変更は、`r` が有効なノードを指していることを確認するための標準的なNULLチェック(またはそれに相当する無効ノードチェック)です。つまり、`r` が有効なノードであり、かつその型が可変引数型である場合に特定の処理(`goto more`)を行うという意図が明確になります。元の `r != T` は、GCCが型不一致の警告を発するか、あるいは論理的な誤りとして認識していた可能性があります。この修正により、コードの意図が明確になり、コンパイラの警告が解消されます。

## コアとなるコードの変更箇所

```diff
diff --git a/src/cmd/gc/walk.c b/src/cmd/gc/walk.c
index f3bf6bdac0..3bfb50d87d 100644
--- a/src/cmd/gc/walk.c
+++ b/src/cmd/gc/walk.c
@@ -1492,8 +1492,7 @@ lookdot(Node *n, Type *t)\n void
 walkdot(Node *n)\n {\n-\tType *t, *f;\n-\tint d;\n+\tType *t;\n \n \tif(n->left == N || n->right == N)\n \t\treturn;\n@@ -1722,7 +1721,7 @@ ascompatte(int op, Type **nl, Node **nr, int fp)\n \n loop:\n \tif(l != T && isddd(l->type)) {\n-\t\tif(r != T && isddd(r->type)) {\n+\t\tif(r != N && isddd(r->type)) {\n \t\t\tgoto more;\n \t\t}\n \n```

## コアとなるコードの解説

### 1. `walkdot` 関数内の変更

`walkdot` 関数は、ASTを走査する際にドットセレクタ(例: `obj.field`)を処理する役割を担っていると考えられます。
元のコードでは、`int d;` という変数が宣言されていましたが、この変数は関数内で一度も読み書きされていませんでした。C言語のコンパイラ(GCCを含む)は、このような未使用の変数に対して警告を発することが一般的です。この警告は、コードの潜在的なバグ(例えば、変数を宣言したが、誤って別の変数名を使ってしまったなど)を示唆する可能性があるため、開発者は通常、これを解消しようとします。
このコミットでは、単に `int d;` の行を削除することで、この未使用変数に関するGCC警告を解消しています。これは、コードの冗長性を排除し、コンパイラの出力からノイズを減らすためのクリーンアップ作業です。

### 2. `ascompatte` 関数内の変更

`ascompatte` 関数は、おそらく型のアサイン互換性(assignment compatibility)をチェックする役割を担っていると考えられます。特に、可変引数(`isddd` 関数が関連しているため)の型チェックに関連している可能性があります。
変更された行は、`if(r != T && isddd(r->type))` から `if(r != N && isddd(r->type))` です。
ここで、`r` は `Node *` 型のポインタであると仮定されます。
*   **`r != T`**: 元のコードでは、`r` を `T` という値と比較していました。Goコンパイラの初期のコードベースでは、`T` が何らかの「真」を示す値や、特定の型を示す内部定数として使われていた可能性があります。しかし、ポインタである `r` を `T` と比較することは、型が一致しない比較であるか、あるいは論理的に誤った比較である可能性があり、GCCが警告を発する原因となっていたと考えられます。例えば、`T` が `1` のような整数値として定義されていた場合、ポインタと整数を直接比較することは、C言語の標準では未定義動作を引き起こす可能性があり、コンパイラはこれに対して警告を発します。
*   **`r != N`**: 変更後のコードでは、`r` を `N` と比較しています。Goコンパイラの文脈において、`N` は通常、`NULL` ポインタまたは無効なASTノードを示す内部定数です。したがって、`r != N` は「`r` が有効なノードを指している」という、ポインタのNULLチェックとして非常に一般的で正しい比較です。
この修正により、`r` が有効なノードである場合にのみ `r->type` にアクセスし、`isddd` 関数を呼び出すという、コードの意図が明確になります。これにより、型不一致の警告や、潜在的なNULLポインタ参照の警告が解消され、コードの堅牢性が向上します。

## 関連リンク

*   Go言語のGitHubリポジトリ: [https://github.com/golang/go](https://github.com/golang/go)
*   このコミットのGitHubページ: [https://github.com/golang/go/commit/6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398](https://github.com/golang/go/commit/6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398)

## 参考にした情報源リンク

*   Go Compiler Design (初期のGoコンパイラの設計に関する情報): [https://go.dev/doc/articles/go-compiler-design](https://go.dev/doc/articles/go-compiler-design)
*   GCC Warnings (GCCの警告に関する一般的な情報): [https://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc/Warning-Options.html](https://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc/Warning-Options.html)
*   Go言語のソースコード (特に `src/cmd/gc` ディレクトリ内の他のファイル): [https://github.com/golang/go/tree/master/src/cmd/gc](https://github.com/golang/go/tree/master/src/cmd/gc)
*   Go言語の初期のコミット履歴 (Goコンパイラの内部定数や構造体の進化を理解するため): [https://github.com/golang/go/commits/master](https://github.com/golang/go/commits/master)
*   C言語のポインタとNULLの比較に関する情報 (GCC警告の背景を理解するため)# [インデックス 1033] ファイルの概要

このコミットは、Goコンパイラのバックエンドの一部である `src/cmd/gc/walk.c` ファイルに対する変更です。`walk.c` は、Goコンパイラの「walk」フェーズを担当するファイルであり、抽象構文木(AST)を走査し、型チェック、最適化、および中間コード生成などの処理を行います。具体的には、ASTノードの変換や、特定の言語構造(例えば、ドットセレクタ `.` を含む式)の処理に関連するロジックが含まれています。

## コミット

*   **コミットハッシュ**: `6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398`
*   **作者**: Russ Cox <rsc@golang.org>
*   **コミット日時**: Mon Nov 3 13:09:30 2008 -0800
*   **変更ファイル**: `src/cmd/gc/walk.c`
*   **変更概要**: GCCコンパイラが生成する警告を抑制するための変更。

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398](https://github.com/golang/go/commit/6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398)

## 元コミット内容

silence gcc warnings

R=ken
OCL=18348
CL=18348

## 変更の背景

このコミットの主な目的は、Goコンパイラ(`gc`)のビルド時にGCCコンパイラが発する警告を解消することです。コンパイラの警告は、コードの潜在的な問題(未使用の変数、型の一致しない比較など)を示すことが多く、これらを放置すると将来のバグや予期せぬ動作につながる可能性があります。特に、コンパイラ自体を開発する際には、警告をゼロに保つことがコード品質と保守性の観点から非常に重要です。

この特定のコミットでは、以下の2つの種類の警告が対象となっています。

1.  **未使用の変数に関する警告**: コード内で宣言されたものの、一度も使用されていない変数がある場合にGCCが生成する警告。
2.  **型の一致しない比較に関する警告、またはNULLポインタチェックの誤りに関する警告**: ポインタやノードを比較する際に、意図しない値と比較している、またはNULLチェックが適切に行われていない場合に発生する可能性のある警告。

これらの警告を解消することで、コンパイラのビルドプロセスがクリーンになり、開発者がより重要な問題に集中できるようになります。

## 前提知識の解説

### Goコンパイラ (`gc`)

`gc` は、Go言語の公式コンパイラであり、Goソースコードを機械語に変換する役割を担っています。Goコンパイラは複数のフェーズ(字句解析、構文解析、型チェック、中間表現生成、最適化、コード生成など)を経てコンパイルを行います。`src/cmd/gc` ディレクトリには、このコンパイラの主要なソースコードが含まれています。

### 抽象構文木 (AST)

ASTは、ソースコードの構文構造を木構造で表現したものです。コンパイラはソースコードを解析してASTを構築し、その後のフェーズ(型チェック、最適化、コード生成など)でこのASTを走査・変換していきます。`walk.c` は、このASTの走査("walking")を行う部分であり、各ノードに対して特定の処理を適用します。

### `Node` と `Type` 構造体

Goコンパイラの内部では、ASTの各要素は `Node` 構造体で表現されます。例えば、変数、定数、関数呼び出し、演算子などが `Node` として扱われます。また、Go言語の型システムは `Type` 構造体で表現されます。`Node` はその型情報として `Type` へのポインタを持つことが一般的です。

### `T` と `N` (Goコンパイラ内部定数)

Goコンパイラの初期のコードベースでは、特定の内部定数やマクロが使用されていました。
*   `T`: この文脈では、おそらく `true` または何らかの有効な型を示す内部定数、あるいは単に `Type` 型の変数を初期化する際に使用されるデフォルト値のようなものを指していた可能性があります。しかし、ポインタの比較においては、`NULL` ではないことを示すために使われることもあります。
*   `N`: この文脈では、`NULL` または無効な `Node` を示す内部定数である可能性が高いです。コンパイラ内部では、ASTノードが存在しない、または無効な状態を示すために `N` が使われることがあります。

### `isddd` 関数

`isddd` 関数は、Goコンパイラの内部関数であり、その名前から「...」(可変引数、variadic arguments)に関連する型チェックを行っていると推測されます。Go言語の関数は可変引数を受け取ることができ、その型は `...T` のように表現されます。`isddd` は、与えられた `Type` がこのような可変引数型であるかどうかを判定するために使用されると考えられます。

### GCC警告

GCC (GNU Compiler Collection) は、C、C++、Goなど様々なプログラミング言語をコンパイルできるコンパイラスイートです。GCCは、コードの潜在的な問題や非推奨の構文に対して警告を発します。これらの警告は、コンパイルエラーとは異なり、プログラムの実行を妨げるものではありませんが、コードの品質や将来の互換性に影響を与える可能性があるため、通常は解消することが推奨されます。

## 技術的詳細

このコミットでは、`src/cmd/gc/walk.c` 内の2箇所が変更されています。

### 1. 未使用変数の削除

```diff
--- a/src/cmd/gc/walk.c
+++ b/src/cmd/gc/walk.c
@@ -1492,8 +1492,7 @@ lookdot(Node *n, Type *t)\n void
 walkdot(Node *n)\n {\n-\tType *t, *f;\n-\tint d;\n+\tType *t;\n \n \tif(n->left == N || n->right == N)\n \t\treturn;\n```

`walkdot` 関数内で、`int d;` という変数が宣言されていましたが、その後のコードで一度も使用されていませんでした。このような未使用の変数は、GCCによって「unused variable」警告として報告されます。この変更では、単にこの未使用の宣言を削除することで、警告を解消しています。これは、コードのクリーンアップと、コンパイラのビルド時の警告リストを減らすための典型的な修正です。

### 2. ノード比較の修正

```diff
--- a/src/cmd/gc/walk.c
+++ b/src/cmd/gc/walk.c
@@ -1722,7 +1721,7 @@ ascompatte(int op, Type **nl, Node **nr, int fp)\n \n loop:\n \tif(l != T && isddd(l->type)) {\n-\t\tif(r != T && isddd(r->type)) {\n+\t\tif(r != N && isddd(r->type)) {\n \t\t\tgoto more;\n \t\t}\n \n```

`ascompatte` 関数内の `loop` ラベルの直後にある条件文が変更されています。
元のコード: `if(r != T && isddd(r->type))`
変更後: `if(r != N && isddd(r->type))`

ここで `r` は `Node *` 型の変数であると推測されます。Goコンパイラの文脈において、`N` は通常、無効なノードやNULLポインタを示すために使用される内部定数です。一方、`T` は、この文脈では `Type` 型の変数や、何らかの「真」を示す値として使われていた可能性がありますが、`Node *` 型の変数 `r` を `T` と比較することは、型が一致しない比較であるか、あるいは論理的に誤った比較である可能性が高いです。

`r != N` という変更は、`r` が有効なノードを指していることを確認するための標準的なNULLチェック(またはそれに相当する無効ノードチェック)です。つまり、`r` が有効なノードであり、かつその型が可変引数型である場合に特定の処理(`goto more`)を行うという意図が明確になります。元の `r != T` は、GCCが型不一致の警告を発するか、あるいは論理的な誤りとして認識していた可能性があります。この修正により、コードの意図が明確になり、コンパイラの警告が解消されます。

## コアとなるコードの変更箇所

```diff
diff --git a/src/cmd/gc/walk.c b/src/cmd/gc/walk.c
index f3bf6bdac0..3bfb50d87d 100644
--- a/src/cmd/gc/walk.c
+++ b/src/cmd/gc/walk.c
@@ -1492,8 +1492,7 @@ lookdot(Node *n, Type *t)\n void
 walkdot(Node *n)\n {\n-\tType *t, *f;\n-\tint d;\n+\tType *t;\n \n \tif(n->left == N || n->right == N)\n \t\treturn;\n@@ -1722,7 +1721,7 @@ ascompatte(int op, Type **nl, Node **nr, int fp)\n \n loop:\n \tif(l != T && isddd(l->type)) {\n-\t\tif(r != T && isddd(r->type)) {\n+\t\tif(r != N && isddd(r->type)) {\n \t\t\tgoto more;\n \t\t}\n \n```

## コアとなるコードの解説

### 1. `walkdot` 関数内の変更

`walkdot` 関数は、ASTを走査する際にドットセレクタ(例: `obj.field`)を処理する役割を担っていると考えられます。
元のコードでは、`int d;` という変数が宣言されていましたが、この変数は関数内で一度も読み書きされていませんでした。C言語のコンパイラ(GCCを含む)は、このような未使用の変数に対して警告を発することが一般的です。この警告は、コードの潜在的なバグ(例えば、変数を宣言したが、誤って別の変数名を使ってしまったなど)を示唆する可能性があるため、開発者は通常、これを解消しようとします。
このコミットでは、単に `int d;` の行を削除することで、この未使用変数に関するGCC警告を解消しています。これは、コードの冗長性を排除し、コンパイラの出力からノイズを減らすためのクリーンアップ作業です。

### 2. `ascompatte` 関数内の変更

`ascompatte` 関数は、おそらく型のアサイン互換性(assignment compatibility)をチェックする役割を担っていると考えられます。特に、可変引数(`isddd` 関数が関連しているため)の型チェックに関連している可能性があります。
変更された行は、`if(r != T && isddd(r->type))` から `if(r != N && isddd(r->type))` です。
ここで、`r` は `Node *` 型のポインタであると仮定されます。
*   **`r != T`**: 元のコードでは、`r` を `T` という値と比較していました。Goコンパイラの初期のコードベースでは、`T` が何らかの「真」を示す値や、特定の型を示す内部定数として使われていた可能性があります。しかし、ポインタである `r` を `T` と比較することは、型が一致しない比較であるか、あるいは論理的に誤った比較である可能性があり、GCCが警告を発する原因となっていたと考えられます。例えば、`T` が `1` のような整数値として定義されていた場合、ポインタと整数を直接比較することは、C言語の標準では未定義動作を引き起こす可能性があり、コンパイラはこれに対して警告を発します。
*   **`r != N`**: 変更後のコードでは、`r` を `N` と比較しています。Goコンパイラの文脈において、`N` は通常、`NULL` ポインタまたは無効なASTノードを示す内部定数です。したがって、`r != N` は「`r` が有効なノードを指している」という、ポインタのNULLチェックとして非常に一般的で正しい比較です。
この修正により、`r` が有効なノードである場合にのみ `r->type` にアクセスし、`isddd` 関数を呼び出すという、コードの意図が明確になります。これにより、型不一致の警告や、潜在的なNULLポインタ参照の警告が解消され、コードの堅牢性が向上します。

## 関連リンク

*   Go言語のGitHubリポジトリ: [https://github.com/golang/go](https://github.com/golang/go)
*   このコミットのGitHubページ: [https://github.com/golang/go/commit/6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398](https://github.com/golang/go/commit/6b055185532676696b7c242b8f1eda873368e398)

## 参考にした情報源リンク

*   Go Compiler Design (初期のGoコンパイラの設計に関する情報): [https://go.dev/doc/articles/go-compiler-design](https://go.dev/doc/articles/go-compiler-design)
*   GCC Warnings (GCCの警告に関する一般的な情報): [https://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc/Warning-Options.html](https://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc/Warning-Options.html)
*   Go言語のソースコード (特に `src/cmd/gc` ディレクトリ内の他のファイル): [https://github.com/golang/go/tree/master/src/cmd/gc](https://github.com/golang/go/tree/master/src/cmd/gc)
*   Go言語の初期のコミット履歴 (Goコンパイラの内部定数や構造体の進化を理解するため): [https://github.com/golang/go/commits/master](https://github.com/golang/go/commits/master)
*   C言語のポインタとNULLの比較に関する情報 (GCC警告の背景を理解するため)