[インデックス 10575] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリtime
パッケージ内のParseError
構造体のError
メソッドのドキュメント文字列を更新するものです。具体的には、コメントがString
メソッドについて言及していたのを、Error
メソッドについて言及するように修正しています。
コミット
commit 473de6035930f4014a07f5b2a1315993cb42fb27
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date: Thu Dec 1 11:44:17 2011 -0800
time: update doc string for Error method
Fixes #2512.
R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5449057
---
src/pkg/time/format.go | 2 +--
1 file changed, 1 insertion(+), 1 deletion(-)
diff --git a/src/pkg/time/format.go b/src/pkg/time/format.go
index d09735763f..082a51a162 100644
--- a/src/pkg/time/format.go
+++ b/src/pkg/time/format.go
@@ -515,7 +515,7 @@ func quote(s string) string {
return "\"" + s + "\""
}
-// String is the string representation of a ParseError.
+// Error returns the string representation of a ParseError.
func (e *ParseError) Error() string {
if e.Message == "" {
return "parsing time " +
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/473de6035930f4014a07f5b2a1315993cb42fb27
元コミット内容
time: update doc string for Error method
Fixes #2512.
R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5449057
変更の背景
この変更は、Go言語の標準ライブラリtime
パッケージにおけるParseError
構造体のError
メソッドに関するドキュメントの誤りを修正するために行われました。元のコメントは、Error
メソッドがString
メソッドであるかのように記述されていましたが、Go言語の慣習としてエラー型はError()
メソッドを実装し、そのメソッドがエラーの文字列表現を返すことになっています。このコミットは、その慣習に沿ってドキュメントを正確に反映させることを目的としています。
具体的には、このコミットはGoのIssue #2512を修正しています。このIssueは、time.ParseError
のError
メソッドのコメントが誤ってString
メソッドとして記述されていることを指摘していました。これは、Goのerror
インターフェースのセマンティクスと、fmt.Stringer
インターフェースのセマンティクスを混同している可能性がありました。
前提知識の解説
Go言語のエラーハンドリング
Go言語では、エラーは組み込みのerror
インターフェースによって表現されます。このインターフェースは非常にシンプルで、Error() string
という単一のメソッドを定義しています。このメソッドは、エラーの人間が読める文字列表現を返します。
type error interface {
Error() string
}
Goの関数は、通常、最後の戻り値としてerror
型を返します。エラーが発生しなかった場合はnil
を返します。
fmt.Stringer
インターフェース
Go言語には、fmt.Stringer
という別のインターフェースも存在します。これは、型が自身の文字列表現を提供するためのものです。
type Stringer interface {
String() string
}
fmt
パッケージの関数(例: fmt.Println
)は、引数がfmt.Stringer
インターフェースを実装している場合、そのString()
メソッドを呼び出して文字列を取得します。
time.ParseError
time
パッケージは、日付と時刻の操作を提供するGoの標準ライブラリの一部です。time.Parse
関数など、文字列から時刻を解析する際にエラーが発生した場合、time.ParseError
型の値が返されることがあります。このParseError
は、error
インターフェースを実装しているため、Error()
メソッドを持っています。
ドキュメントコメントの重要性
Go言語では、エクスポートされた(大文字で始まる)関数、変数、型、メソッドには、その目的や使い方を説明するドキュメントコメントを記述することが推奨されています。これらのコメントはgo doc
コマンドやGoの公式ドキュメントサイトで利用され、コードの可読性と保守性を高める上で非常に重要です。コメントが不正確であると、開発者がコードの挙動を誤解する原因となります。
技術的詳細
このコミットは、src/pkg/time/format.go
ファイル内のParseError
構造体のError
メソッドのドキュメントコメントを修正しています。
元のコメントは以下の通りでした。
// String is the string representation of a ParseError.
func (e *ParseError) Error() string {
このコメントは、メソッド名がError
であるにもかかわらず、String
メソッドであるかのように記述されていました。これは、error
インターフェースのError()
メソッドと、fmt.Stringer
インターフェースのString()
メソッドの役割を混同している可能性を示唆しています。
Goの慣習では、エラー型はError()
メソッドを実装し、そのメソッドがエラーメッセージを返します。String()
メソッドは、主にデバッグや表示目的で、型のデフォルトの文字列表現を提供するために使用されます。ParseError
はエラー型であるため、Error()
メソッドがその主要なインターフェース実装となります。
このコミットによって、コメントは以下のように修正されました。
// Error returns the string representation of a ParseError.
func (e *ParseError) Error() string {
この修正により、コメントはメソッドの実際の名前と役割に合致し、ParseError
がerror
インターフェースを実装していることを明確に示しています。これは、コードの正確性とドキュメントの一貫性を向上させるための小さな、しかし重要な変更です。
コアとなるコードの変更箇所
変更はsrc/pkg/time/format.go
ファイルの一箇所のみです。
--- a/src/pkg/time/format.go
+++ b/src/pkg/time/format.go
@@ -515,7 +515,7 @@ func quote(s string) string {
return "\"" + s + "\""
}
-// String is the string representation of a ParseError.
+// Error returns the string representation of a ParseError.
func (e *ParseError) Error() string {
if e.Message == "" {
return "parsing time " +
コアとなるコードの解説
変更された行は、ParseError
構造体のError
メソッドの直前にあるドキュメントコメントです。
- // String is the string representation of a ParseError.
- これは削除された行です。誤って
String
メソッドについて言及していました。
- これは削除された行です。誤って
+ // Error returns the string representation of a ParseError.
- これは追加された行です。
Error
メソッドがParseError
の文字列表現を返すことを正確に記述しています。
- これは追加された行です。
この変更は、コードの動作には一切影響を与えません。純粋にドキュメントの正確性を向上させるためのものです。しかし、Go言語のコードベースでは、このようなドキュメントの正確性が非常に重視されます。なぜなら、開発者はしばしばドキュメントコメントを読んで、関数やメソッドの挙動を理解するからです。不正確なコメントは混乱を招き、誤った使用につながる可能性があります。
関連リンク
- Go Issue #2512: https://github.com/golang/go/issues/2512 (このコミットが修正したIssue)
- Go CL 5449057: https://golang.org/cl/5449057 (このコミットに対応するGerritの変更リスト)
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメント: https://golang.org/doc/
- Go言語のエラーハンドリングに関する公式ブログ記事: https://blog.golang.org/error-handling-and-go
fmt.Stringer
インターフェースに関するGoのドキュメント: https://pkg.go.dev/fmt#Stringer- Goのコードレビューコメントに関するガイドライン: https://github.com/golang/go/wiki/CodeReviewComments#doc-comments