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[インデックス 10574] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のosパッケージにModeTypeという新しい定数を追加するものです。この定数は、os.FileModeからファイルの種類を示すビットをマスクするために使用され、特に通常のファイル(regular files)を簡潔に識別する際に役立ちます。これにより、IsRegularのような特定のファイルタイプをチェックするメソッドがない場合でも、ビット演算を用いてファイルタイプを効率的に判別できるようになります。

コミット

commit d2b77bb194b8377c1b1ba5826960f1e63f13a51a
Author: Gustavo Niemeyer <gustavo@niemeyer.net>
Date:   Thu Dec 1 17:35:43 2011 -0200

    os: add ModeType constant to mask file type bits
    
    This covers the lack of IsRegular comfortably:
    
        if stat.Mode()&os.ModeType == 0 { ... }
    
    R=golang-dev, r, rsc, r, gustavo
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5440075

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/d2b77bb194b8377c1b1ba5826960f1e63f13a51a

元コミット内容

os: add ModeType constant to mask file type bits

This covers the lack of IsRegular comfortably:

    if stat.Mode()&os.ModeType == 0 { ... }

R=golang-dev, r, rsc, r, gustavo
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5440075

変更の背景

この変更の背景には、Go言語のosパッケージにおけるファイルモードの扱いと、特定のファイルタイプ(特に通常のファイル)を判別する際の利便性の向上が挙げられます。

Go言語のosパッケージでは、ファイルのメタデータ(パーミッション、ファイルタイプなど)はos.FileMode型で表現されます。このFileModeはビットフィールドとして設計されており、各ビットが特定の属性(ディレクトリ、シンボリックリンク、実行可能など)を示します。

コミットメッセージにある「lack of IsRegular comfortably」という記述が示すように、当時、os.FileModeにはファイルが通常のファイルであるかどうかを直接かつ簡潔に判定するためのIsRegular()のようなヘルパーメソッドが提供されていませんでした。通常のファイルとは、ディレクトリ、シンボリックリンク、パイプ、ソケット、デバイスファイルなど、特殊なファイルタイプではない一般的なデータファイルを指します。

os.FileModeには、IsDir()IsSymlink()などの個別のファイルタイプをチェックするメソッドは存在しましたが、これらを組み合わせて「通常のファイルである」ことを判定しようとすると、以下のような冗長なコードが必要になる可能性がありました。

if !stat.IsDir() && !stat.IsSymlink() && !stat.IsNamedPipe() && !stat.IsSocket() && !stat.IsDevice() {
    // これは通常のファイルである
}

このような状況では、開発者はファイルタイプを判別する際に、すべての特殊なファイルタイプを個別に否定するロジックを書く必要があり、コードの可読性や保守性が低下していました。

そこで、このコミットでは、すべての特殊なファイルタイプを示すビットをまとめたModeTypeというマスク定数を導入することで、この問題を解決しようとしました。ModeTypeとファイルモードをビットAND演算し、結果が0であれば、そのファイルはどの特殊なファイルタイプにも該当しない、つまり通常のファイルであると判断できる、という簡潔な方法を提供することが目的でした。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下の前提知識が必要です。

  1. Go言語のosパッケージ:

    • osパッケージは、オペレーティングシステムとのインタフェースを提供します。ファイル操作、プロセス管理、環境変数へのアクセスなどが含まれます。
    • os.Stat()関数は、ファイルパスを受け取り、そのファイルのメタデータ(ファイル情報)をos.FileInfoインターフェースとして返します。
    • os.FileInfoインターフェースには、ファイルのモード(パーミッションとファイルタイプ)を取得するためのMode()メソッドがあります。このメソッドはos.FileMode型を返します。
  2. os.FileMode:

    • os.FileModeは、ファイルのパーミッションビットとファイルタイプビットを組み合わせた型です。これは符号なし整数型(uint32またはuint64のエイリアス)として実装されており、各ビットが特定の意味を持ちます。
    • パーミッションビット: ファイルの読み取り、書き込み、実行権限(所有者、グループ、その他)を定義します。これらは通常、0o777のような8進数で表現されます。os.ModePerm定数(0777)は、パーミッションビットのマスクとして使用されます。
    • ファイルタイプビット: ファイルの種類(ディレクトリ、シンボリックリンク、デバイスファイルなど)を定義します。これらのビットはパーミッションビットとは独立しており、os.ModeDiros.ModeSymlinkなどの定数で表されます。
  3. ビット演算:

    • os.FileModeはビットフィールドであるため、ビット演算が頻繁に用いられます。
    • ビットAND (&): 2つの数値の対応するビットが両方とも1の場合にのみ、結果のビットが1になります。特定のビットがセットされているか(またはマスクに一致するか)をチェックする際に使用されます。
      • 例: value & mask == mask は、valuemaskのすべてのビットがセットされているかをチェックします。
      • 例: value & mask != 0 は、valuemaskのいずれかのビットがセットされているかをチェックします。
      • 例: value & mask == 0 は、valuemaskのどのビットもセットされていないかをチェックします。
    • ビットOR (|): 2つの数値の対応するビットのいずれか一方が1の場合に、結果のビットが1になります。複数のビットフラグを結合する際に使用されます。
      • 例: flag1 | flag2 は、flag1flag2の両方のビットがセットされた新しい値を作成します。

このコミットでは、既存のファイルタイプ定数(ModeDir, ModeSymlink, ModeNamedPipe, ModeSocket, ModeDevice)をビットORで結合し、ModeTypeという新しい定数として定義しています。これにより、ファイルモードからファイルタイプに関するビットのみを抽出(マスク)し、その結果が0であるかどうかで通常のファイルであるかを判断するという、簡潔なロジックを実現しています。

技術的詳細

このコミットで導入されたos.ModeType定数は、os.FileMode型におけるファイルタイプを示すビット群を包括的にマスクするためのものです。

os.FileModeは、ファイルのパーミッションとタイプ情報を単一の整数値にパックしています。この値の上位ビットがファイルタイプを示し、下位ビットがパーミッションを示します。Go言語のosパッケージでは、以下のようなファイルタイプを示す定数が既に定義されていました。

  • os.ModeDir: ディレクトリ
  • os.ModeSymlink: シンボリックリンク
  • os.ModeNamedPipe: 名前付きパイプ(FIFO)
  • os.ModeSocket: ソケット
  • os.ModeDevice: デバイスファイル(キャラクタデバイスまたはブロックデバイス)

これらの定数は、それぞれos.FileMode値の特定のビット位置に1がセットされています。例えば、os.ModeDirはディレクトリであることを示すビットが1になっています。

ModeType定数は、これらの個別のファイルタイプ定数をビットOR演算子 (|) で結合することによって定義されます。

ModeType = ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice

この定義により、ModeTypeは、上記に挙げられたすべての特殊なファイルタイプを示すビットが1になっているマスク値となります。

このModeTypeを使用することで、ファイルが通常のファイル(regular file)であるかどうかを非常に簡潔に判定できるようになります。通常のファイルとは、上記の特殊なファイルタイプに該当しないファイルのことです。

判定ロジックは以下のようになります。

if stat.Mode()&os.ModeType == 0 {
    // stat.Mode() は os.FileMode を返す
    // stat.Mode() と os.ModeType のビットAND演算を行う
    // 結果が 0 であれば、stat.Mode() のファイルタイプビットはすべて 0 であることを意味する
    // これは、ファイルがどの特殊なファイルタイプにも該当しない、つまり通常のファイルであることを示す
}

このif文の条件式は、stat.Mode()が持つファイルタイプビットのうち、ModeTypeで定義されたいずれのビットもセットされていないことを確認します。もしstat.Mode()のファイルタイプビットとModeTypeの対応するビットのAND演算の結果が0であれば、それはstat.Mode()がディレクトリ、シンボリックリンク、名前付きパイプ、ソケット、デバイスファイルのいずれでもないことを意味します。したがって、そのファイルは通常のファイルであると結論付けられます。

このアプローチは、従来の「すべての特殊なファイルタイプを個別に否定する」方法と比較して、以下の利点があります。

  1. 簡潔性: コードが短く、意図が明確になります。
  2. 拡張性: 将来的に新しい特殊なファイルタイプが追加された場合でも、ModeTypeの定義を更新するだけで、この判定ロジックは引き続き機能します(ただし、ModeTypeに新しいタイプを追加する必要がある)。
  3. 効率性: ビット演算は非常に高速な操作です。

この変更は、Go言語の標準ライブラリにおけるファイルモードの扱いをより堅牢で使いやすいものにするための、小さなしかし重要な改善と言えます。

コアとなるコードの変更箇所

src/pkg/os/types.go ファイルに以下の変更が加えられました。

--- a/src/pkg/os/types.go
+++ b/src/pkg/os/types.go
@@ -44,6 +44,9 @@ const (
 	ModeSetuid                                    // u: setuid
 	ModeSetgid                                    // g: setgid
 
+// Mask for the type bits. For regular files, none will be set.
+	ModeType = ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice
+
 	ModePerm FileMode = 0777 // permission bits
 )

コアとなるコードの解説

変更はsrc/pkg/os/types.goファイル内のconstブロックに、ModeTypeという新しいFileMode定数を追加するものです。

// Mask for the type bits. For regular files, none will be set.
ModeType = ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice
  • // Mask for the type bits. For regular files, none will be set.: これは追加された定数に対するコメントです。ModeTypeがファイルタイプビットのマスクとして機能すること、そして通常のファイルの場合、このマスクとのビットAND演算の結果が0になることを明確に説明しています。
  • ModeType = ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice:
    • ModeTypeは、os.FileMode型の定数です。
    • 右辺では、既存のファイルタイプを示す定数(ModeDir, ModeSymlink, ModeNamedPipe, ModeSocket, ModeDevice)がビットOR演算子 (|) で結合されています。
    • この結合により、ModeTypeは、これらの特殊なファイルタイプを示すすべてのビットがセットされた単一のマスク値となります。
    • 例えば、ModeDir0x80000000(最上位ビット)を表し、ModeSymlink0x40000000を表す場合、ModeType0xC0000000(両方のビットがセットされた値)のようになります(実際の値は実装依存ですが、概念は同じです)。
    • このマスクを使用することで、stat.Mode() & os.ModeTypeという演算によって、stat.Mode()からファイルタイプに関するビットのみを抽出できます。もし抽出されたビットがすべて0であれば、そのファイルは上記のどの特殊なファイルタイプにも該当しない、つまり通常のファイルであると判断できます。

この追加により、Go言語のユーザーは、ファイルが通常のファイルであるかどうかを判定する際に、より簡潔で意図が明確なコードを書けるようになりました。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語 os パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/os
  • Go言語 os.FileMode のドキュメント: https://pkg.go.dev/os#FileMode
  • Go言語におけるビット演算の概念(一般的な情報源)
  • Go言語のコミット履歴(GitHub)
  • Go言語のコードレビューシステム (Gerrit) のアーカイブ# [インデックス 10574] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のosパッケージにModeTypeという新しい定数を追加するものです。この定数は、os.FileModeからファイルの種類を示すビットをマスクするために使用され、特に通常のファイル(regular files)を簡潔に識別する際に役立ちます。これにより、IsRegularのような特定のファイルタイプをチェックするメソッドがない場合でも、ビット演算を用いてファイルタイプを効率的に判別できるようになります。

コミット

commit d2b77bb194b8377c1b1ba5826960f1e63f13a51a
Author: Gustavo Niemeyer <gustavo@niemeyer.net>
Date:   Thu Dec 1 17:35:43 2011 -0200

    os: add ModeType constant to mask file type bits
    
    This covers the lack of IsRegular comfortably:
    
        if stat.Mode()&os.ModeType == 0 { ... }
    
    R=golang-dev, r, rsc, r, gustavo
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5440075

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/d2b77bb194b8377c1b1ba5826960f1e63f13a51a

元コミット内容

os: add ModeType constant to mask file type bits

This covers the lack of IsRegular comfortably:

    if stat.Mode()&os.ModeType == 0 { ... }

R=golang-dev, r, rsc, r, gustavo
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5440075

変更の背景

この変更の背景には、Go言語のosパッケージにおけるファイルモードの扱いと、特定のファイルタイプ(特に通常のファイル)を判別する際の利便性の向上が挙げられます。

Go言語のosパッケージでは、ファイルのメタデータ(パーミッション、ファイルタイプなど)はos.FileMode型で表現されます。このFileModeはビットフィールドとして設計されており、各ビットが特定の属性(ディレクトリ、シンボリックリンク、実行可能など)を示します。

コミットメッセージにある「lack of IsRegular comfortably」という記述が示すように、当時、os.FileModeにはファイルが通常のファイルであるかどうかを直接かつ簡潔に判定するためのIsRegular()のようなヘルパーメソッドが提供されていませんでした。通常のファイルとは、ディレクトリ、シンボリックリンク、パイプ、ソケット、デバイスファイルなど、特殊なファイルタイプではない一般的なデータファイルを指します。

os.FileModeには、IsDir()IsSymlink()などの個別のファイルタイプをチェックするメソッドは存在しましたが、これらを組み合わせて「通常のファイルである」ことを判定しようとすると、以下のような冗長なコードが必要になる可能性がありました。

if !stat.IsDir() && !stat.IsSymlink() && !stat.IsNamedPipe() && !stat.IsSocket() && !stat.IsDevice() {
    // これは通常のファイルである
}

このような状況では、開発者はファイルタイプを判別する際に、すべての特殊なファイルタイプを個別に否定するロジックを書く必要があり、コードの可読性や保守性が低下していました。

そこで、このコミットでは、すべての特殊なファイルタイプを示すビットをまとめたModeTypeというマスク定数を導入することで、この問題を解決しようとしました。ModeTypeとファイルモードをビットAND演算し、結果が0であれば、そのファイルはどの特殊なファイルタイプにも該当しない、つまり通常のファイルであると判断できる、という簡潔な方法を提供することが目的でした。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下の前提知識が必要です。

  1. Go言語のosパッケージ:

    • osパッケージは、オペレーティングシステムとのインタフェースを提供します。ファイル操作、プロセス管理、環境変数へのアクセスなどが含まれます。
    • os.Stat()関数は、ファイルパスを受け取り、そのファイルのメタデータ(ファイル情報)をos.FileInfoインターフェースとして返します。
    • os.FileInfoインターフェースには、ファイルのモード(パーミッションとファイルタイプ)を取得するためのMode()メソッドがあります。このメソッドはos.FileMode型を返します。
  2. os.FileMode:

    • os.FileModeは、ファイルのパーミッションビットとファイルタイプビットを組み合わせた型です。これは符号なし整数型(uint32またはuint64のエイリアス)として実装されており、各ビットが特定の意味を持ちます。
    • パーミッションビット: ファイルの読み取り、書き込み、実行権限(所有者、グループ、その他)を定義します。これらは通常、0o777のような8進数で表現されます。os.ModePerm定数(0777)は、パーミッションビットのマスクとして使用されます。
    • ファイルタイプビット: ファイルの種類(ディレクトリ、シンボリックリンク、デバイスファイルなど)を定義します。これらのビットはパーミッションビットとは独立しており、os.ModeDiros.ModeSymlinkなどの定数で表されます。
  3. ビット演算:

    • os.FileModeはビットフィールドであるため、ビット演算が頻繁に用いられます。
    • ビットAND (&): 2つの数値の対応するビットが両方とも1の場合にのみ、結果のビットが1になります。特定のビットがセットされているか(またはマスクに一致するか)をチェックする際に使用されます。
      • 例: value & mask == mask は、valuemaskのすべてのビットがセットされているかをチェックします。
      • 例: value & mask != 0 は、valuemaskのいずれかのビットがセットされているかをチェックします。
      • 例: value & mask == 0 は、valuemaskのどのビットもセットされていないかをチェックします。
    • ビットOR (|): 2つの数値の対応するビットのいずれか一方が1の場合に、結果のビットが1になります。複数のビットフラグを結合する際に使用されます。
      • 例: flag1 | flag2 は、flag1flag2の両方のビットがセットされた新しい値を作成します。

このコミットでは、既存のファイルタイプ定数(ModeDir, ModeSymlink, ModeNamedPipe, ModeSocket, ModeDevice)をビットORで結合し、ModeTypeという新しい定数として定義しています。これにより、ファイルモードからファイルタイプに関するビットのみを抽出(マスク)し、その結果が0であるかどうかで通常のファイルであるかを判断するという、簡潔なロジックを実現しています。

技術的詳細

このコミットで導入されたos.ModeType定数は、os.FileMode型におけるファイルタイプを示すビット群を包括的にマスクするためのものです。

os.FileModeは、ファイルのパーミッションとタイプ情報を単一の整数値にパックしています。この値の上位ビットがファイルタイプを示し、下位ビットがパーミッションを示します。Go言語のosパッケージでは、以下のようなファイルタイプを示す定数が既に定義されていました。

  • os.ModeDir: ディレクトリ
  • os.ModeSymlink: シンボリックリンク
  • os.ModeNamedPipe: 名前付きパイプ(FIFO)
  • os.ModeSocket: ソケット
  • os.ModeDevice: デバイスファイル(キャラクタデバイスまたはブロックデバイス)

これらの定数は、それぞれos.FileMode値の特定のビット位置に1がセットされています。例えば、os.ModeDirはディレクトリであることを示すビットが1になっています。

ModeType定数は、これらの個別のファイルタイプ定数をビットOR演算子 (|) で結合することによって定義されます。

ModeType = ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice

この定義により、ModeTypeは、上記に挙げられたすべての特殊なファイルタイプを示すビットが1になっているマスク値となります。

このModeTypeを使用することで、ファイルが通常のファイル(regular file)であるかどうかを非常に簡潔に判定できるようになります。通常のファイルとは、上記の特殊なファイルタイプに該当しないファイルのことです。

判定ロジックは以下のようになります。

if stat.Mode()&os.ModeType == 0 {
    // stat.Mode() は os.FileMode を返す
    // stat.Mode() と os.ModeType のビットAND演算を行う
    // 結果が 0 であれば、stat.Mode() のファイルタイプビットはすべて 0 であることを意味する
    // これは、ファイルがどの特殊なファイルタイプにも該当しない、つまり通常のファイルであることを示す
}

このif文の条件式は、stat.Mode()が持つファイルタイプビットのうち、ModeTypeで定義されたいずれのビットもセットされていないことを確認します。もしstat.Mode()のファイルタイプビットとModeTypeの対応するビットのAND演算の結果が0であれば、それはstat.Mode()がディレクトリ、シンボリックリンク、名前付きパイプ、ソケット、デバイスファイルのいずれでもないことを意味します。したがって、そのファイルは通常のファイルであると結論付けられます。

このアプローチは、従来の「すべての特殊なファイルタイプを個別に否定する」方法と比較して、以下の利点があります。

  1. 簡潔性: コードが短く、意図が明確になります。
  2. 拡張性: 将来的に新しい特殊なファイルタイプが追加された場合でも、ModeTypeの定義を更新するだけで、この判定ロジックは引き続き機能します(ただし、ModeTypeに新しいタイプを追加する必要がある)。
  3. 効率性: ビット演算は非常に高速な操作です。

この変更は、Go言語の標準ライブラリにおけるファイルモードの扱いをより堅牢で使いやすいものにするための、小さなしかし重要な改善と言えます。

コアとなるコードの変更箇所

src/pkg/os/types.go ファイルに以下の変更が加えられました。

--- a/src/pkg/os/types.go
+++ b/src/pkg/os/types.go
@@ -44,6 +44,9 @@ const (
 	ModeSetuid                                    // u: setuid
 	ModeSetgid                                    // g: setgid
 
+// Mask for the type bits. For regular files, none will be set.
+	ModeType = ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice
+
 	ModePerm FileMode = 0777 // permission bits
 )

コアとなるコードの解説

変更はsrc/pkg/os/types.goファイル内のconstブロックに、ModeTypeという新しいFileMode定数を追加するものです。

// Mask for the type bits. For regular files, none will be set.
ModeType = ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice
  • // Mask for the type bits. For regular files, none will be set.: これは追加された定数に対するコメントです。ModeTypeがファイルタイプビットのマスクとして機能すること、そして通常のファイルの場合、このマスクとのビットAND演算の結果が0になることを明確に説明しています。
  • ModeType = ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice:
    • ModeTypeは、os.FileMode型の定数です。
    • 右辺では、既存のファイルタイプを示す定数(ModeDir, ModeSymlink, ModeNamedPipe, ModeSocket, ModeDevice)がビットOR演算子 (|) で結合されています。
    • この結合により、ModeTypeは、これらの特殊なファイルタイプを示すすべてのビットがセットされた単一のマスク値となります。
    • 例えば、ModeDir0x80000000(最上位ビット)を表し、ModeSymlink0x40000000を表す場合、ModeType0xC0000000(両方のビットがセットされた値)のようになります(実際の値は実装依存ですが、概念は同じです)。
    • このマスクを使用することで、stat.Mode() & os.ModeTypeという演算によって、stat.Mode()からファイルタイプに関するビットのみを抽出できます。もし抽出されたビットがすべて0であれば、そのファイルは上記のどの特殊なファイルタイプにも該当しない、つまり通常のファイルであると判断できます。

この追加により、Go言語のユーザーは、ファイルが通常のファイルであるかどうかを判定する際に、より簡潔で意図が明確なコードを書けるようになりました。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語 os パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/os
  • Go言語 os.FileMode のドキュメント: https://pkg.go.dev/os#FileMode
  • Go言語におけるビット演算の概念(一般的な情報源)
  • Go言語のコミット履歴(GitHub)
  • Go言語のコードレビューシステム (Gerrit) のアーカイブ