[インデックス 10699] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のランタイムパッケージ(pkg/runtime)内のMakefileにおいて、オブジェクトモジュール名のリストをソートする変更を加えています。具体的には、GOFILES変数とOFILES変数に定義されているファイル名をアルファベット順に並べ替えることで、コードの可読性とメンテナンス性を向上させています。
コミット
pkg/runtime/Makefile内のGOFILESおよびOFILES変数に記述されているファイル名をアルファベット順にソートしました。これにより、ファイルの追加や削除があった際の差分が明確になり、コードレビューやマージ作業が容易になります。
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/e628144aeb2776f8d3a0be57d31a27d8fc470fb7
元コミット内容
pkg/runtime/Makefile: sorted object module names.
R=golang-dev, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5479060
変更の背景
この変更の主な背景は、Makefileの可読性とメンテナンス性の向上です。GOFILESやOFILESのような変数に多数のファイル名がリストされている場合、特定のファイルを探したり、新しいファイルを追加する際に、リストがソートされていないと手間がかかります。また、複数の開発者が同時にファイルを追加・削除する際に、リストの順序が不定だと不必要なマージコンフリクトが発生しやすくなります。ファイル名をアルファベット順にソートすることで、これらの問題を軽減し、開発プロセスをスムーズにすることが目的です。
前提知識の解説
Makefileとは
Makefileは、主にUnix系システムでソフトウェアのビルドプロセスを自動化するために使用されるファイルです。makeコマンドによって解釈され、ソースコードのコンパイル、リンク、インストールなどの一連のタスクを定義します。Makefileは、ターゲット(生成されるファイルや実行されるアクション)、依存関係(ターゲットを生成するために必要なファイル)、レシピ(依存関係が満たされたときに実行されるコマンド)で構成されます。
Go言語のビルドシステムにおけるMakefileの役割
Go言語の初期のビルドシステムでは、Makefileが重要な役割を担っていました。特に、Goのコンパイラやランタイム自体をビルドする際には、C言語やアセンブリ言語で書かれた部分(GoのランタイムはCやアセンブリで書かれた部分も含む)のコンパイルやリンクを制御するためにMakefileが利用されていました。
このコミットで変更されているsrc/pkg/runtime/Makefileは、Goランタイムのビルド設定を定義しており、GOFILESはGoソースファイルのリストを、OFILESはオブジェクトファイルのリストをそれぞれ示しています。
GOFILESとOFILES
GOFILES: この変数には、Goランタイムパッケージを構成するGo言語のソースファイル(.go拡張子を持つファイル)のリストが記述されています。これらのファイルはGoコンパイラによってコンパイルされます。OFILES: この変数には、Goランタイムパッケージを構成するオブジェクトファイル(.o拡張子を持つファイル)のリストが記述されています。これらは通常、C言語やアセンブリ言語で書かれたソースファイルがコンパイルされた結果生成されるファイルです。
これらのリストをソートすることで、開発者がファイルを見つけやすくなり、またバージョン管理システム上での差分が最小限に抑えられます。
技術的詳細
この変更は、Makefile内のリストの順序を変更するだけの、機能的には影響のない(no-op)変更です。しかし、ソフトウェア開発におけるベストプラクティスの一つである「一貫性」と「可読性」を追求したものです。
- 可読性の向上: ファイル名がアルファベット順に並んでいることで、開発者は特定のファイルがリストに含まれているか、あるいはどのファイルが欠けているかを素早く確認できます。これは、特にファイル数が多い場合に顕著な効果を発揮します。
- マージコンフリクトの削減: 複数の開発者が同時に同じ
Makefileを編集し、新しいファイルを追加する場合、ソートされていないリストでは、追加された位置によって異なる差分が生成され、マージコンフリクトが発生しやすくなります。アルファベット順にソートされていれば、新しいファイルは常に正しい位置に挿入されるため、マージコンフリクトのリスクが大幅に低減されます。これは、大規模なオープンソースプロジェクトにおいて特に重要です。 - 自動化ツールの恩恵: ソートされたリストは、自動化されたスクリプトやツールが
Makefileを解析する際にも有利に働きます。例えば、特定のパターンに一致するファイルを検索する際に、予測可能な順序であることは処理の効率化に繋がります。
このコミットは、Goプロジェクトの初期段階において、将来的なメンテナンスコストを削減し、開発者の生産性を向上させるための基盤固めの一環として行われたと考えられます。
コアとなるコードの変更箇所
変更はsrc/pkg/runtime/Makefileファイルに集中しています。
GOFILES変数の変更
@@ -20,13 +20,13 @@ GOFILES=\
error.go\
extern.go\
mem.go\
+\truntime_defs.go\
sig.go\
softfloat64.go\
type.go\
version.go\
version_$(GOOS).go\
version_$(GOARCH).go\
-\truntime_defs.go\
\
CLEANFILES+=version.go version_*.go
runtime_defs.goがリストの下部からmem.goの直後に移動し、アルファベット順になるように再配置されています。
OFILES変数の変更
@@ -69,9 +69,9 @@ OFILES=\
cgocall.$O\
chan.$O\
closure.$O\
+\tcomplex.$O\
cpuprof.$O\
float.$O\
-\tcomplex.$O\
hashmap.$O\
iface.$O\
malloc.$O\
@@ -87,10 +87,10 @@ OFILES=\
msize.$O\
print.$O\
proc.$O\
+\trt0.$O\
rune.$O\
runtime.$O\
runtime1.$O\
-\trt0.$O\
sema.$O\
signal.$O\
sigqueue.$O\
complex.$Oがfloat.$Oの後に移動し、rt0.$Oがruntime1.$Oの後に移動しています。これらもアルファベット順になるように再配置されています。
コアとなるコードの解説
このコミットは、Makefile内で定義されているGOFILESとOFILESという2つの変数内のファイルリストの順序を、アルファベット順に並べ替えることを目的としています。
GOFILES: Go言語のソースファイル群を列挙しています。変更前はruntime_defs.goがリストの末尾近くにありましたが、アルファベット順に並べ替えることでmem.goの直後に移動しました。OFILES: オブジェクトファイル群を列挙しています。同様に、complex.$Oとrt0.$Oがそれぞれ適切なアルファベット順の位置に移動されました。
これらの変更は、ビルドの動作には一切影響を与えません。makeコマンドはリスト内のファイルの順序に関係なく、すべてのファイルを処理します。したがって、この変更は純粋にコードの整理と、将来的なメンテナンスの容易さを追求したものです。特に、大規模なプロジェクトで多くのファイルが関わる場合、このような小さな整理が長期的な開発効率に大きく貢献します。
関連リンク
- Go Code Review: https://golang.org/cl/5479060
参考にした情報源リンク
- GNU Make マニュアル: https://www.gnu.org/software/make/manual/
- Go言語の初期のビルドシステムに関する議論(一般的な情報源として)
- Gitの差分表示に関する一般的な情報# [インデックス 10699] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のランタイムパッケージ(pkg/runtime)内のMakefileにおいて、オブジェクトモジュール名のリストをソートする変更を加えています。具体的には、GOFILES変数とOFILES変数に定義されているファイル名をアルファベット順に並べ替えることで、コードの可読性とメンテナンス性を向上させています。
コミット
pkg/runtime/Makefile内のGOFILESおよびOFILES変数に記述されているファイル名をアルファベット順にソートしました。これにより、ファイルの追加や削除があった際の差分が明確になり、コードレビューやマージ作業が容易になります。
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/e628144aeb2776f8d3a0be57d31a27d8fc470fb7
元コミット内容
pkg/runtime/Makefile: sorted object module names.
R=golang-dev, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5479060
変更の背景
この変更の主な背景は、Makefileの可読性とメンテナンス性の向上です。GOFILESやOFILESのような変数に多数のファイル名がリストされている場合、特定のファイルを探したり、新しいファイルを追加する際に、リストがソートされていないと手間がかかります。また、複数の開発者が同時にファイルを追加・削除する際に、リストの順序が不定だと不必要なマージコンフリクトが発生しやすくなります。ファイル名をアルファベット順にソートすることで、これらの問題を軽減し、開発プロセスをスムーズにすることが目的です。
前提知識の解説
Makefileとは
Makefileは、主にUnix系システムでソフトウェアのビルドプロセスを自動化するために使用されるファイルです。makeコマンドによって解釈され、ソースコードのコンパイル、リンク、インストールなどの一連のタスクを定義します。Makefileは、ターゲット(生成されるファイルや実行されるアクション)、依存関係(ターゲットを生成するために必要なファイル)、レシピ(依存関係が満たされたときに実行されるコマンド)で構成されます。
Go言語のビルドシステムにおけるMakefileの役割
Go言語の初期のビルドシステムでは、Makefileが重要な役割を担っていました。特に、Goのコンパイラやランタイム自体をビルドする際には、C言語やアセンブリ言語で書かれた部分(GoのランタイムはCやアセンブリで書かれた部分も含む)のコンパイルやリンクを制御するためにMakefileが利用されていました。
このコミットで変更されているsrc/pkg/runtime/Makefileは、Goランタイムのビルド設定を定義しており、GOFILESはGoソースファイルのリストを、OFILESはオブジェクトファイルのリストをそれぞれ示しています。
GOFILESとOFILES
GOFILES: この変数には、Goランタイムパッケージを構成するGo言語のソースファイル(.go拡張子を持つファイル)のリストが記述されています。これらのファイルはGoコンパイラによってコンパイルされます。OFILES: この変数には、Goランタイムパッケージを構成するオブジェクトファイル(.o拡張子を持つファイル)のリストが記述されています。これらは通常、C言語やアセンブリ言語で書かれたソースファイルがコンパイルされた結果生成されるファイルです。
これらのリストをソートすることで、開発者がファイルを見つけやすくなり、またバージョン管理システム上での差分が最小限に抑えられます。
技術的詳細
この変更は、Makefile内のリストの順序を変更するだけの、機能的には影響のない(no-op)変更です。しかし、ソフトウェア開発におけるベストプラクティスの一つである「一貫性」と「可読性」を追求したものです。
- 可読性の向上: ファイル名がアルファベット順に並んでいることで、開発者は特定のファイルがリストに含まれているか、あるいはどのファイルが欠けているかを素早く確認できます。これは、特にファイル数が多い場合に顕著な効果を発揮します。
- マージコンフリクトの削減: 複数の開発者が同時に同じ
Makefileを編集し、新しいファイルを追加する場合、ソートされていないリストでは、追加された位置によって異なる差分が生成され、マージコンフリクトが発生しやすくなります。アルファベット順にソートされていれば、新しいファイルは常に正しい位置に挿入されるため、マージコンフリクトのリスクが大幅に低減されます。これは、大規模なオープンソースプロジェクトにおいて特に重要です。 - 自動化ツールの恩恵: ソートされたリストは、自動化されたスクリプトやツールが
Makefileを解析する際にも有利に働きます。例えば、特定のパターンに一致するファイルを検索する際に、予測可能な順序であることは処理の効率化に繋がります。
このコミットは、Goプロジェクトの初期段階において、将来的なメンテナンスコストを削減し、開発者の生産性を向上させるための基盤固めの一環として行われたと考えられます。
コアとなるコードの変更箇所
変更はsrc/pkg/runtime/Makefileファイルに集中しています。
GOFILES変数の変更
--- a/src/pkg/runtime/Makefile
+++ b/src/pkg/runtime/Makefile
@@ -20,13 +20,13 @@ GOFILES=\
error.go\
extern.go\
mem.go\
+\truntime_defs.go\
sig.go\
softfloat64.go\
type.go\
version.go\
version_$(GOOS).go\
version_$(GOARCH).go\
-\truntime_defs.go\
\
CLEANFILES+=version.go version_*.go
runtime_defs.goがリストの下部からmem.goの直後に移動し、アルファベット順になるように再配置されています。
OFILES変数の変更
--- a/src/pkg/runtime/Makefile
+++ b/src/pkg/runtime/Makefile
@@ -69,9 +69,9 @@ OFILES=\
cgocall.$O\
chan.$O\
closure.$O\
+\tcomplex.$O\
cpuprof.$O\
float.$O\
-\tcomplex.$O\
hashmap.$O\
iface.$O\
malloc.$O\
@@ -87,10 +87,10 @@ OFILES=\
msize.$O\
print.$O\
proc.$O\
+\trt0.$O\
rune.$O\
runtime.$O\
runtime1.$O\
-\trt0.$O\
sema.$O\
signal.$O\
sigqueue.$O\
complex.$Oがfloat.$Oの後に移動し、rt0.$Oがruntime1.$Oの後に移動しています。これらもアルファベット順になるように再配置されています。
コアとなるコードの解説
このコミットは、Makefile内で定義されているGOFILESとOFILESという2つの変数内のファイルリストの順序を、アルファベット順に並べ替えることを目的としています。
GOFILES: Go言語のソースファイル群を列挙しています。変更前はruntime_defs.goがリストの末尾近くにありましたが、アルファベット順に並べ替えることでmem.goの直後に移動しました。OFILES: オブジェクトファイル群を列挙しています。同様に、complex.$Oとrt0.$Oがそれぞれ適切なアルファベット順の位置に移動されました。
これらの変更は、ビルドの動作には一切影響を与えません。makeコマンドはリスト内のファイルの順序に関係なく、すべてのファイルを処理します。したがって、この変更は純粋にコードの整理と、将来的なメンテナンスの容易さを追求したものです。特に、大規模なプロジェクトで多くのファイルが関わる場合、このような小さな整理が長期的な開発効率に大きく貢献します。
関連リンク
- Go Code Review: https://golang.org/cl/5479060
参考にした情報源リンク
- GNU Make マニュアル: https://www.gnu.org/software/make/manual/
- Gitの差分表示に関する一般的な情報