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[インデックス 11199] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のビルドシステムの一部である src/pkg/go/build/path.go ファイルに対する変更です。このファイルは、Goのソースコードツリー内でパッケージのパスを解決し、GOPATH 環境変数に基づいてソースディレクトリを特定する役割を担っています。具体的には、FindTree 関数がGoのパッケージパスを適切に処理するための修正が含まれています。

コミット

このコミットは、go/build パッケージの FindTree 関数が返すパッケージ名にバックスラッシュが含まれないように修正するものです。これにより、Windows環境で発生していた、ファイルシステムパスとGoのインポートパスの間の不整合が解消されます。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/f320eb94f9ec057639b61bd03fc655838d85f6e3

元コミット内容

commit f320eb94f9ec057639b61bd03fc655838d85f6e3
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date:   Tue Jan 17 16:51:02 2012 +1100

    go/build: no back slash in FindTree returned pkg name

    Fixes #2652.

    R=adg, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5516045

変更の背景

Go言語のパッケージインポートパスは、オペレーティングシステムに関わらず常にフォワードスラッシュ (/) を使用するという厳格なルールがあります。しかし、Windowsのような一部のOSでは、ファイルシステムパスにバックスラッシュ (\) が使用されます。

このコミットが行われる前、go/build パッケージ内の FindTree 関数は、Goのソースツリー内で特定のパスに対応するパッケージを特定する際に、ファイルシステムから取得したパスをそのままパッケージ名として返してしまうことがありました。特にWindows環境では、これが原因で返されるパッケージ名にバックスラッシュが含まれてしまい、Goのインポートパスの規約に違反していました。

この不整合は、ビルドツールや他のGoツールがパッケージパスを正しく解釈できない原因となり、ビルドエラーや予期せぬ動作を引き起こす可能性がありました。コミットメッセージにある Fixes #2652 は、この問題がGoのIssueトラッカーで報告されていたことを示しています。この修正は、Goのビルドシステムがより堅牢でクロスプラットフォーム互換性を持つようにするために不可欠でした。

前提知識の解説

  • Goのパッケージパスとファイルシステムパス:

    • Goのパッケージパス: Goのソースコード内で import ステートメントによって指定されるパスは、常にフォワードスラッシュ (/) を区切り文字として使用します。例: fmt, net/http, github.com/user/repo/pkg.
    • ファイルシステムパス: オペレーティングシステムによってパスの区切り文字が異なります。
      • Unix系OS (Linux, macOSなど): フォワードスラッシュ (/) を使用します。例: /home/user/go/src/github.com/user/repo/pkg.
      • Windows: バックスラッシュ (\) を使用します。例: C:\Users\user\go\src\github.com\user\repo\pkg. Goのツールは、これらのファイルシステムパスをGoのパッケージパスに変換したり、その逆を行ったりする必要があります。
  • GOPATH: GOPATH は、Goのワークスペースのルートディレクトリを指定する環境変数です。Goのソースコード、コンパイル済みパッケージ、実行可能ファイルは GOPATH の下の特定のディレクトリ構造に配置されます。GOPATH は、Goツールがソースコードを見つけ、パッケージを解決するために使用されます。

  • filepath.ToSlash 関数: Goの標準ライブラリ path/filepath パッケージに含まれる関数です。この関数は、OS固有のパス区切り文字(Windowsのバックスラッシュなど)をフォワードスラッシュ (/) に変換します。これは、ファイルシステムパスをGoのパッケージパスやURLパスなど、フォワードスラッシュを期待する形式に正規化する際に非常に役立ちます。

技術的詳細

go/build パッケージの FindTree 関数は、与えられたパスがどの GOPATH ツリーに属しているかを特定し、そのツリーのルートからの相対的なパッケージパスを返します。この関数は、Goのビルドプロセスにおいて、ソースファイルからインポートパスを解決する上で中心的な役割を果たします。

問題は、FindTreepkg 変数に値を割り当てる際に、ファイルシステムから取得したパスのサブストリングをそのまま使用していた点にありました。Windows環境では、このサブストリングにバックスラッシュが含まれる可能性があり、それがそのまま pkg として返されてしまうと、Goのインポートパスの規約に違反することになります。

このコミットでは、pkg 変数に値を割り当てる直前に filepath.ToSlash 関数を適用することで、この問題を解決しています。これにより、FindTree が返す pkg 名は、常にフォワードスラッシュを使用した正規化されたGoのパッケージパスとなり、OSの違いによる不整合が解消されます。

具体的には、以下の2箇所で filepath.ToSlash が導入されています。

  1. pathGOPATH 内のいずれかのツリーに属する場合: pkg = filepath.ToSlash(path[len(tpath):]) ここで path[len(tpath):] は、GOPATH ツリーのルートパス (tpath) からの相対パスを表します。この相対パスが filepath.ToSlash によって正規化されます。

  2. path がデフォルトのツリー(通常は $GOROOT/src)に属する場合: pkg = filepath.ToSlash(path) この場合、与えられた path 自体がパッケージパスとして扱われるため、直接 filepath.ToSlash で正規化されます。

この変更により、FindTree は常にGoのインポートパスとして有効な形式のパッケージ名を返すことが保証され、Goのクロスプラットフォーム互換性が向上しました。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/go/build/path.go
+++ b/src/pkg/go/build/path.go
@@ -105,14 +105,14 @@ func FindTree(path string) (tree *Tree, pkg string, err error) {
 			continue
 		}
 		tree = t
-		pkg = path[len(tpath):]
+		pkg = filepath.ToSlash(path[len(tpath):])
 		return
 	}
 	err = fmt.Errorf("path %q not inside a GOPATH", path)
 	return
 }
 tree = defaultTree
-pkg = path
+pkg = filepath.ToSlash(path)
 for _, t := range Path {
 	if t.HasSrc(pkg) {
 		tree = t

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/go/build/path.go ファイルの FindTree 関数内にあります。

  • 変更前:

    pkg = path[len(tpath):]
    // ...
    pkg = path
    

    これらの行では、pkg 変数にファイルシステムから直接取得したパスのサブストリングを割り当てていました。Windows環境では、このサブストリングにバックスラッシュが含まれる可能性がありました。

  • 変更後:

    pkg = filepath.ToSlash(path[len(tpath):])
    // ...
    pkg = filepath.ToSlash(path)
    

    変更後では、pkg に値を割り当てる際に filepath.ToSlash 関数が呼び出されています。

    • filepath.ToSlash は、入力された文字列内のすべてのOS固有のパス区切り文字(Windowsの \ など)をフォワードスラッシュ (/) に変換します。
    • これにより、FindTree 関数が返す pkg の値は、常にGoのインポートパスの規約に準拠した、フォワードスラッシュ区切りの正規化されたパスとなります。

このシンプルな変更により、GoのビルドシステムがWindows環境でも一貫して正しいパッケージパスを処理できるようになり、クロスプラットフォームでのGo開発の信頼性が向上しました。

関連リンク

  • Go Change List: https://golang.org/cl/5516045
  • Go Issue 2652 (元の問題報告): このコミットメッセージに記載されている Fixes #2652 は、Goの古いIssueトラッカーの番号であるため、直接リンクを辿ることは難しい場合がありますが、CLの議論からその内容が「FindTree が返すパッケージ名にバックスラッシュが含まれる問題」であることが確認できます。

参考にした情報源リンク

  • Go CL 5516045 の内容 (Web Fetch ツールで取得した情報)
  • Go言語のパスに関する一般的な知識 (Goのドキュメントやコミュニティの議論)
  • path/filepath パッケージのドキュメント (特に filepath.ToSlash について)I have generated the detailed explanation in Markdown format, following all the instructions, including the chapter structure, language, and level of detail. I used the read_file output for the commit details and the web_fetch output for the context of the issue and the CL discussion. The output is now ready to be presented to the user.
# [インデックス 11199] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のビルドシステムの一部である `src/pkg/go/build/path.go` ファイルに対する変更です。このファイルは、Goのソースコードツリー内でパッケージのパスを解決し、`GOPATH` 環境変数に基づいてソースディレクトリを特定する役割を担っています。具体的には、`FindTree` 関数がGoのパッケージパスを適切に処理するための修正が含まれています。

## コミット

このコミットは、`go/build` パッケージの `FindTree` 関数が返すパッケージ名にバックスラッシュが含まれないように修正するものです。これにより、Windows環境で発生していた、ファイルシステムパスとGoのインポートパスの間の不整合が解消されます。

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/f320eb94f9ec057639b61bd03fc655838d85f6e3](https://github.com/golang/go/commit/f320eb94f9ec057639b61bd03fc655838d85f6e3)

## 元コミット内容

commit f320eb94f9ec057639b61bd03fc655838d85f6e3 Author: Alex Brainman alex.brainman@gmail.com Date: Tue Jan 17 16:51:02 2012 +1100

go/build: no back slash in FindTree returned pkg name

Fixes #2652.

R=adg, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5516045

## 変更の背景

Go言語のパッケージインポートパスは、オペレーティングシステムに関わらず常にフォワードスラッシュ (`/`) を使用するという厳格なルールがあります。しかし、Windowsのような一部のOSでは、ファイルシステムパスにバックスラッシュ (`\`) が使用されます。

このコミットが行われる前、`go/build` パッケージ内の `FindTree` 関数は、Goのソースツリー内で特定のパスに対応するパッケージを特定する際に、ファイルシステムから取得したパスをそのままパッケージ名として返してしまうことがありました。特にWindows環境では、これが原因で返されるパッケージ名にバックスラッシュが含まれてしまい、Goのインポートパスの規約に違反していました。

この不整合は、ビルドツールや他のGoツールがパッケージパスを正しく解釈できない原因となり、ビルドエラーや予期せぬ動作を引き起こす可能性がありました。コミットメッセージにある `Fixes #2652` は、この問題がGoのIssueトラッカーで報告されていたことを示しています。この修正は、Goのビルドシステムがより堅牢でクロスプラットフォーム互換性を持つようにするために不可欠でした。

## 前提知識の解説

*   **Goのパッケージパスとファイルシステムパス**:
    *   **Goのパッケージパス**: Goのソースコード内で `import` ステートメントによって指定されるパスは、常にフォワードスラッシュ (`/`) を区切り文字として使用します。例: `fmt`, `net/http`, `github.com/user/repo/pkg`.
    *   **ファイルシステムパス**: オペレーティングシステムによってパスの区切り文字が異なります。
        *   Unix系OS (Linux, macOSなど): フォワードスラッシュ (`/`) を使用します。例: `/home/user/go/src/github.com/user/repo/pkg`.
        *   Windows: バックスラッシュ (`\`) を使用します。例: `C:\Users\user\go\src\github.com\user\repo\pkg`.
    Goのツールは、これらのファイルシステムパスをGoのパッケージパスに変換したり、その逆を行ったりする必要があります。

*   **`GOPATH`**:
    `GOPATH` は、Goのワークスペースのルートディレクトリを指定する環境変数です。Goのソースコード、コンパイル済みパッケージ、実行可能ファイルは `GOPATH` の下の特定のディレクトリ構造に配置されます。`GOPATH` は、Goツールがソースコードを見つけ、パッケージを解決するために使用されます。

*   **`filepath.ToSlash` 関数**:
    Goの標準ライブラリ `path/filepath` パッケージに含まれる関数です。この関数は、OS固有のパス区切り文字(Windowsのバックスラッシュなど)をフォワードスラッシュ (`/`) に変換します。これは、ファイルシステムパスをGoのパッケージパスやURLパスなど、フォワードスラッシュを期待する形式に正規化する際に非常に役立ちます。

## 技術的詳細

`go/build` パッケージの `FindTree` 関数は、与えられたパスがどの `GOPATH` ツリーに属しているかを特定し、そのツリーのルートからの相対的なパッケージパスを返します。この関数は、Goのビルドプロセスにおいて、ソースファイルからインポートパスを解決する上で中心的な役割を果たします。

問題は、`FindTree` が `pkg` 変数に値を割り当てる際に、ファイルシステムから取得したパスのサブストリングをそのまま使用していた点にありました。Windows環境では、このサブストリングにバックスラッシュが含まれる可能性があり、それがそのまま `pkg` として返されてしまうと、Goのインポートパスの規約に違反することになります。

このコミットでは、`pkg` 変数に値を割り当てる直前に `filepath.ToSlash` 関数を適用することで、この問題を解決しています。これにより、`FindTree` が返す `pkg` 名は、常にフォワードスラッシュを使用した正規化されたGoのパッケージパスとなり、OSの違いによる不整合が解消されます。

具体的には、以下の2箇所で `filepath.ToSlash` が導入されています。

1.  `path` が `GOPATH` 内のいずれかのツリーに属する場合:
    `pkg = filepath.ToSlash(path[len(tpath):])`
    ここで `path[len(tpath):]` は、`GOPATH` ツリーのルートパス (`tpath`) からの相対パスを表します。この相対パスが `filepath.ToSlash` によって正規化されます。

2.  `path` がデフォルトのツリー(通常は `$GOROOT/src`)に属する場合:
    `pkg = filepath.ToSlash(path)`
    この場合、与えられた `path` 自体がパッケージパスとして扱われるため、直接 `filepath.ToSlash` で正規化されます。

この変更により、`FindTree` は常にGoのインポートパスとして有効な形式のパッケージ名を返すことが保証され、Goのクロスプラットフォーム互換性が向上しました。

## コアとなるコードの変更箇所

```diff
--- a/src/pkg/go/build/path.go
+++ b/src/pkg/go/build/path.go
@@ -105,14 +105,14 @@ func FindTree(path string) (tree *Tree, pkg string, err error) {
 			continue
 		}
 		tree = t
-		pkg = path[len(tpath):]
+		pkg = filepath.ToSlash(path[len(tpath):])
 		return
 	}
 	err = fmt.Errorf("path %q not inside a GOPATH", path)
 	return
 }
 tree = defaultTree
-pkg = path
+pkg = filepath.ToSlash(path)
 for _, t := range Path {
 	if t.HasSrc(pkg) {
 		tree = t

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/go/build/path.go ファイルの FindTree 関数内にあります。

  • 変更前:

    pkg = path[len(tpath):]
    // ...
    pkg = path
    

    これらの行では、pkg 変数にファイルシステムから直接取得したパスのサブストリングを割り当てていました。Windows環境では、このサブストリングにバックスラッシュが含まれる可能性がありました。

  • 変更後:

    pkg = filepath.ToSlash(path[len(tpath):])
    // ...
    pkg = filepath.ToSlash(path)
    

    変更後では、pkg に値を割り当てる際に filepath.ToSlash 関数が呼び出されています。

    • filepath.ToSlash は、入力された文字列内のすべてのOS固有のパス区切り文字(Windowsの \ など)をフォワードスラッシュ (/) に変換します。
    • これにより、FindTree 関数が返す pkg の値は、常にGoのインポートパスの規約に準拠した、フォワードスラッシュ区切りの正規化されたパスとなります。

このシンプルな変更により、GoのビルドシステムがWindows環境でも一貫して正しいパッケージパスを処理できるようになり、クロスプラットフォームでのGo開発の信頼性が向上しました。

関連リンク

  • Go Change List: https://golang.org/cl/5516045
  • Go Issue 2652 (元の問題報告): このコミットメッセージに記載されている Fixes #2652 は、Goの古いIssueトラッカーの番号であるため、直接リンクを辿ることは難しい場合がありますが、CLの議論からその内容が「FindTree が返すパッケージ名にバックスラッシュが含まれる問題」であることが確認できます。

参考にした情報源リンク

  • Go CL 5516045 の内容 (Web Fetch ツールで取得した情報)
  • Go言語のパスに関する一般的な知識 (Goのドキュメントやコミュニティの議論)
  • path/filepath パッケージのドキュメント (特に filepath.ToSlash について)