[インデックス 12118] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodoc
におけるGo Playgroundへのリンクの修正に関するものです。具体的には、Go PlaygroundのURL構造の変更に対応し、godoc
が生成するコードスニペットの共有リンクが正しく機能するようにするための修正が行われました。
コミット
commit 9a26a7822eb54fc4d0316b4c57bf5b52124bfd92
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Wed Feb 22 10:09:34 2012 +1100
godoc: fix playground url
R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5685070
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/9a26a7822eb54fc4d0316b4c57bf5b52124bfd92
元コミット内容
godoc: fix playground url
このコミットの目的は、godoc
が使用するGo PlaygroundのURLを修正することです。
変更の背景
Go言語の公式ドキュメンテーションツールであるgodoc
は、Goのソースコードからドキュメントを生成するだけでなく、コード例をGo Playgroundで実行・共有できる機能を提供しています。Go Playgroundは、Goのコードをブラウザ上で記述、実行、共有できるオンラインサービスであり、Go言語の学習やデモンストレーションにおいて非常に重要な役割を担っています。
このコミットが行われた2012年2月頃、Go PlaygroundのURL構造に変更があったと考えられます。以前はhttp://play.golang.org/
がコードスニペットの共有に使用されていたのに対し、新しい構造ではパスに/p/
が追加され、http://play.golang.org/p/
の形式で共有リンクが生成されるようになりました。
このURL構造の変更に対応しないと、godoc
が生成するGo Playgroundへの共有リンクが正しく機能せず、ユーザーがコード例をGo Playgroundで開こうとした際にエラーが発生したり、意図しないページにリダイレクトされたりする問題が発生します。このコミットは、この問題を解決し、godoc
の利便性と機能性を維持するために行われました。
前提知識の解説
godoc
godoc
は、Go言語の公式ドキュメンテーションツールです。Goのソースコードに記述されたコメントや宣言から、自動的にドキュメントを生成します。これは、Goのコードが自己文書化されることを奨励するGoの設計思想の一部です。godoc
は、ローカルでドキュメントサーバーを起動することもでき、Goの標準ライブラリやプロジェクトのコードベースのドキュメントをブラウザで閲覧できます。また、コード例(Example functions)を検出し、それらをGo Playgroundで実行できるリンクを提供します。
Go Playground
Go Playgroundは、Go言語のコードをブラウザ上で記述、実行、共有できるWebサービスです。Goのコンパイラとランタイムがサーバーサイドで動作し、ユーザーが入力したコードを実行してその結果を返します。これにより、Goの環境をローカルにセットアップすることなく、手軽にGoのコードを試したり、他の人と共有したりすることが可能になります。特に、短いコードスニペットや概念実証(PoC)を共有する際に非常に便利です。
URL構造とパス
WebサイトのURLは、プロトコル(例: http://
)、ホスト名(例: play.golang.org
)、ポート番号(省略されることが多い)、パス(例: /p/
)、クエリパラメータ、フラグメントなどから構成されます。このコミットでは、URLの「パス」の部分が変更の対象となりました。パスは、Webサーバー上の特定のリソースや機能を示すために使用されます。Go Playgroundの場合、/p/
というパスは、共有されたコードスニペットを識別するための特定の形式を示唆しています。
技術的詳細
このコミットの技術的詳細は、godoc
がGo Playgroundへの共有リンクを生成する際に使用するJavaScriptコード内のURL文字列の修正にあります。
godoc
は、ブラウザ上で動作するJavaScriptを使用して、Go Playgroundとの連携を実現しています。具体的には、doc/root.html
というファイルに含まれるJavaScriptコードが、Go PlaygroundのURLを構築し、コードスニペットを送信するための設定を持っています。
変更前のコードでは、shareRedirect
という設定値が"http://play.golang.org/"
となっていました。これは、Go PlaygroundのルートURLを指しており、コードスニペットを共有する際に、このルートURLに直接リダイレクトしようとしていました。
しかし、Go Playgroundの内部的なURLルーティングが変更され、共有されたコードスニペットは特定のパス(例: /p/
)の下で管理されるようになりました。この変更により、以前のルートURLへのリダイレクトでは、共有されたコードが正しく表示されなくなりました。
このコミットでは、shareRedirect
の値を"http://play.golang.org/p/"
に変更することで、この新しいURL構造に対応しています。これにより、godoc
が生成する共有リンクは、Go Playgroundの正しいエンドポイントを指すようになり、ユーザーがコードスニペットを共有した際に、Go Playground上でそのコードが正しくロードされるようになります。
この修正は、クライアントサイドのJavaScript設定の変更であり、サーバーサイドのgodoc
のロジックやGo Playground自体のバックエンドには影響を与えません。これは、フロントエンドとバックエンドの間のインターフェース(この場合はURL構造)の変更に、フロントエンド側が追従した典型的な例と言えます。
コアとなるコードの変更箇所
変更はdoc/root.html
ファイル内のJavaScriptコードの一行に限定されています。
--- a/doc/root.html
+++ b/doc/root.html
@@ -118,7 +118,7 @@ function init() {
"outputEl": "#output",
"runEl": "#run",
"shareEl": "#share",
- "shareRedirect": "http://play.golang.org/"
+ "shareRedirect": "http://play.golang.org/p/"
});
}
具体的には、118行目から124行目にかけてのJavaScriptオブジェクトリテラル内のshareRedirect
プロパティの値が変更されています。
コアとなるコードの解説
このコードスニペットは、godoc
のWebインターフェースで使用されるJavaScriptのinit()
関数の一部です。この関数は、ページがロードされたときに実行され、Go Playgroundとの連携に必要な設定を初期化します。
function init() {
// ... (他の設定)
playground({
"outputEl": "#output",
"runEl": "#run",
"shareEl": "#share",
"shareRedirect": "http://play.golang.org/p/" // 変更された行
});
}
ここで注目すべきは、playground()
関数への引数として渡されているオブジェクトです。このオブジェクトは、Go Playgroundの機能(コードの実行、出力の表示、コードの共有など)を制御するための設定を含んでいます。
outputEl
: コード実行結果を表示するHTML要素のセレクタ。runEl
: コード実行をトリガーするボタンのHTML要素のセレクタ。shareEl
: コードを共有するためのボタンのHTML要素のセレクタ。shareRedirect
: このコミットで変更された部分。Go Playgroundにコードを共有する際にリダイレクトされるURLのベースパスを指定します。
以前の"http://play.golang.org/"
という値は、Go Playgroundのトップページを指していました。しかし、Go Playgroundが共有されたコードスニペットを処理するために/p/
というパスを導入したため、このshareRedirect
の値もそれに合わせて"http://play.golang.org/p/"
に更新する必要がありました。
この修正により、godoc
がユーザーのコードをGo Playgroundに送信する際、正しいURLパスを使用してリダイレクトが行われるようになり、共有機能が再び正常に動作するようになりました。これは、Webアプリケーションにおけるフロントエンドと外部サービスの連携において、APIエンドポイントやURL構造の変更に追従することの重要性を示す良い例です。
関連リンク
- Go Playground
- GoDoc (現在のgodoc.orgの後継)
- golang.org/cl/5685070 (このコミットに対応するGerritの変更リスト)
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメンテーション
- Go Playgroundの動作に関する一般的な知識
- Gitのコミットログと差分
- JavaScriptの基本的な構文とWebアプリケーションにおける役割
- Web検索によるGo PlaygroundのURL構造に関する情報 (2012年頃の変更点)
godoc playground url change 2012
golang playground /p/ url
go playground share url format
godoc doc/root.html
golang.org/cl/5685070
(Gerritの変更リストを直接参照し、変更の意図とレビューコメントを確認)