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[インデックス 12166] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のテストスイート内の複数のテストファイル(ファイル名が 'h' から 'm' で始まるもの)に、そのテストの目的を説明するコメントを追加するものです。これにより、各テストファイルの意図が明確になり、コードの可読性と保守性が向上します。

コミット

  • コミットハッシュ: 501f0b578fd2bbd1919d85c4d3d4bb2e15e18545
  • 作者: Rob Pike r@golang.org
  • コミット日時: 2012年2月23日 木曜日 18:47:26 +1100

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/501f0b578fd2bbd1919d85c4d3d4bb2e15e18545

元コミット内容

test: commentary for [h-m]*.go

R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5674112

変更の背景

Go言語のテストスイートは、言語の機能やコンパイラの挙動を検証するために非常に重要です。しかし、テストファイルが増えるにつれて、各テストが具体的に何を検証しているのか、その意図が不明瞭になることがあります。このコミットは、test/ ディレクトリ内の特定の範囲のファイル(helloworld.go から method3.go まで)に対して、その目的を簡潔に説明するコメントを追加することで、テストコードの自己文書化を強化し、将来の保守や理解を容易にすることを目的としています。特に、コンパイルエラーを意図的に発生させるテストファイルには、「Does not compile.」といった注釈が追加され、その性質が明確にされています。

前提知識の解説

Go言語のテスト

Go言語には、標準ライブラリとしてtestingパッケージが提供されており、これを用いてユニットテストやベンチマークテストを記述します。テストファイルは通常、テスト対象のGoファイルと同じディレクトリに配置され、ファイル名の末尾が_test.goとなります。テスト関数はTestで始まり、*testing.T型の引数を取ります。

Go言語のコメント

Go言語では、C++やJavaと同様に、単一行コメント(//)と複数行コメント(/* ... */)が使用されます。このコミットでは、主に単一行コメントがファイルの冒頭に追加され、そのファイルの全体的な目的を説明しています。

Go言語のimport

Go言語では、importキーワードを使用して他のパッケージの機能を取り込みます。importに関するテストは、パッケージのインポート時の名前解決、衝突検出、未使用インポートの検出など、コンパイラの挙動を検証するために重要です。

iotaキーワード

iotaはGo言語の特別なキーワードで、const宣言内で連続する整数値を生成するために使用されます。これは列挙型のようなものを定義する際に非常に便利です。iotaの挙動を検証するテストは、このキーワードが期待通りに機能するかを確認します。

メソッドとレシーバ

Go言語では、関数を型に関連付けることで「メソッド」を定義できます。メソッドは、値レシーバまたはポインタレシーバを持つことができます。レシーバの型によってメソッドの挙動が変わるため、様々なレシーバ型でのメソッドの動作を検証するテストは重要です。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、既存のGoテストファイルの冒頭に、そのテストの目的を説明するコメントを追加することに集約されます。具体的には、各ファイルのpackage宣言の直前、または既存のライセンスコメントの直後に、// Test ...// Verify ... といった形式のコメントが挿入されています。

例えば、test/helloworld.goには// Test that we can do page 1 of the C book.というコメントが追加され、このファイルがC言語の入門書に出てくるような基本的な「Hello, World!」プログラムのテストであることを示しています。

また、test/import1.goのように、意図的にコンパイルエラーを発生させるテストファイルには、// Verify that import conflicts are detected by the compiler.// Does not compile. というコメントが追加され、そのテストがコンパイラの特定のエラー検出機能を検証するためのものであることが明示されています。これは、テストが成功すること(コンパイルが通ること)を期待する通常のテストとは異なり、コンパイルが失敗すること自体がテストの成功条件であることを示唆しています。

変更されたファイルは、test/helloworld.goからtest/method3.goまでのアルファベット順の範囲にわたっており、importindexindirectinitinitializeint_litintcvtiotalabellinkxliteralmallocfinmapmethodなど、Go言語の様々な機能に関するテストが含まれています。

この変更は、コードの機能的な挙動には影響を与えませんが、テストスイート全体の文書化と理解を大幅に改善します。特に、Go言語のコンパイラやランタイムの挙動を深く理解しようとする開発者や、テストの失敗原因を特定しようとする際に、これらのコメントは貴重な情報源となります。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、28個のファイルが変更されています。そのほとんどがtest/ディレクトリ内のGoファイルです。変更内容は、ファイルの冒頭にコメントを追加する形式が主です。

以下に、いくつかの代表的な変更箇所を抜粋します。

test/helloworld.go

--- a/test/helloworld.go
+++ b/test/helloworld.go
@@ -4,6 +4,8 @@
 // Use of this source code is governed by a BSD-style
 // license that can be found in the LICENSE file.

+// Test that we can do page 1 of the C book.
+
 package main

 func main() {

test/import.go

--- a/test/import.go
+++ b/test/import.go
@@ -4,8 +4,8 @@
 // Use of this source code is governed by a BSD-style
 // license that can be found in the LICENSE file.

-// check that when import gives multiple names
-// to a type, they're still all the same type
+// Test that when import gives multiple names
+// to a single type, they still all refer to the same type.

 package main

test/import1.go (コンパイルエラーを意図するテストの例)

--- a/test/import1.go
+++ b/test/import1.go
@@ -4,7 +4,8 @@
 // Use of this source code is governed by a BSD-style
 // license that can be found in the LICENSE file.

-// check for import conflicts
+// Verify that import conflicts are detected by the compiler.
+// Does not compile.

 package main

test/iota.go

--- a/test/iota.go
+++ b/test/iota.go
@@ -4,6 +4,8 @@
 // Use of this source code is governed by a BSD-style
 // license that can be found in the LICENSE file.

+// Test iota.

 package main

 func assert(cond bool, msg string) {

コアとなるコードの解説

変更のコアは、各テストファイルの冒頭に、そのテストの目的を簡潔に説明するコメントを追加することです。これらのコメントは、主に以下のパターンに従っています。

  • // Test ...: 特定のGo言語の機能や構文の正しい挙動を検証するテストに対して使用されます。例えば、test/helloworld.goには// Test that we can do page 1 of the C book.が追加され、基本的なプログラムのテストであることを示します。
  • // Verify that ... are caught by the compiler.: コンパイラが特定の不正なコードパターンを正しく検出するかどうかを検証するテストに対して使用されます。
  • // Does not compile.: 上記のVerifyパターンと組み合わせて使用され、そのファイルが意図的にコンパイルエラーを引き起こすように設計されていることを明示します。これは、コンパイラの診断メッセージが期待通りに出力されることをテストする際に重要です。

これらのコメントは、テストコードの「なぜ」を説明し、コードベースの理解を深める上で非常に役立ちます。特に、Go言語の進化に伴い、過去のテストがどのような意図で書かれたのかを追跡する際に、これらのコメントが重要な手がかりとなります。

関連リンク

参考にした情報源リンク