[インデックス 12352] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部である「defer, panic, and recover」に関する記事内の誤字を修正するものです。具体的には、doc/articles/defer_panic_recover.html
と doc/articles/defer_panic_recover.tmpl
の両ファイルで、「panic is to unwind」という記述が「panic to unwind」に修正されています。これは、Go言語の例外処理メカニズムであるpanic
とrecover
の動作を説明する重要な箇所での、文法的な誤りを訂正するものです。
コミット
commit 54875a7a7f64ed3ae2f4d3b66f9de4b3c30c3a22
Author: Francisco Souza <franciscossouza@gmail.com>
Date: Sun Mar 4 14:40:14 2012 +1100
doc: fix another typo in article on defer, panic and recover
Fixes #3177
R=adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5728057
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/54875a7a7f64ed3ae2f4d3b66f9de4b3c30c3a22
元コミット内容
このコミットは、Go言語の公式ドキュメント記事「defer, panic, and recover」における以下の誤字を修正しました。
変更前:
When malformed JSON is encountered, the parser calls panic is to unwind the
変更後:
When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the
「panic is to unwind」という表現から、余分な「is」が削除され、「panic to unwind」という正しい表現に修正されています。
変更の背景
この変更は、Go言語の公式ドキュメントの品質向上を目的としています。技術ドキュメントにおける誤字は、読者の理解を妨げたり、誤解を招いたりする可能性があります。特に、defer
、panic
、recover
といったGo言語の重要な概念を説明する記事においては、正確な記述が不可欠です。この修正は、Issue #3177 に対応するものであり、ドキュメントの正確性と可読性を高めるための典型的なメンテナンス作業の一環です。
前提知識の解説
このコミットの理解には、Go言語における以下の概念の知識が前提となります。
1. Go言語のドキュメント構造
Go言語の公式ドキュメントは、HTMLファイル(.html
)とテンプレートファイル(.tmpl
)で構成されていることが多いです。.tmpl
ファイルは、Goのtext/template
またはhtml/template
パッケージによって処理され、最終的なHTMLコンテンツを生成します。このため、ドキュメントのテキスト内容の変更は、通常、.html
ファイルと対応する.tmpl
ファイルの両方で行われます。
2. defer
defer
ステートメントは、それが含まれる関数がリターンする直前に、指定された関数呼び出しを実行することをスケジュールします。これは、リソースの解放(ファイルのクローズ、ロックの解除など)や、エラーハンドリングのクリーンアップ処理によく使用されます。defer
された関数は、panic
が発生した場合でも実行されます。
3. panic
panic
は、Go言語における「回復不可能なエラー」を示すメカニズムです。panic
が発生すると、現在の関数の実行は即座に停止し、defer
された関数が順次実行されながら、呼び出しスタックを遡っていきます。スタックのどこかでrecover
が呼び出されない限り、プログラムはクラッシュします。panic
は、通常、プログラマーの論理的な誤りや、プログラムが続行できないような予期せぬ状況(例: 配列の範囲外アクセス、nilポインタ参照)で発生します。
4. recover
recover
は、panic
から回復するための組み込み関数です。recover
は、defer
された関数内でのみ有効です。recover
が呼び出されると、panic
の値が返され、パニック状態が終了します。これにより、プログラムはクラッシュすることなく、通常の実行フローを再開できます。recover
は、通常、トップレベルの関数で、予期せぬpanic
が発生した場合にプログラム全体が停止するのを防ぐために使用されます。
5. encoding/json
パッケージ
Go標準ライブラリのencoding/json
パッケージは、JSONデータのエンコードとデコードを提供します。このパッケージは、不正なJSONデータが入力された場合にpanic
を使用し、それをrecover
で捕捉して適切なエラーを返すという、panic
/recover
の典型的な使用例として知られています。これは、再帰的なパーシング処理において、エラー状態を効率的に伝播させるための手法として採用されています。
技術的詳細
このコミットは、Go言語のドキュメント生成プロセスと、panic
/recover
の概念の正確な記述に関する技術的な側面を含んでいます。
-
ドキュメントの同期:
doc/articles/defer_panic_recover.html
とdoc/articles/defer_panic_recover.tmpl
の両方が変更されていることから、Goのドキュメントシステムがテンプレートエンジンを使用していることがわかります。.tmpl
ファイルは、ドキュメントの「ソース」または「マスター」バージョンであり、そこから最終的な.html
ファイルが生成されます。したがって、テキストの変更は両方のファイルに適用される必要があります。これは、ドキュメントの整合性を保つための一般的なプラクティスです。 -
panic
の役割の明確化: 修正された文「When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the stack to the top-level function call, which recovers from the panic and returns an appropriate error value」は、panic
が単なるエラー通知ではなく、スタックを巻き戻す(unwind)メカニズムであることを明確にしています。これは、panic
が通常の制御フローを中断し、defer
された関数を実行しながら呼び出しスタックを遡るという、その本質的な動作を正確に表現しています。 -
encoding/json
の例: ドキュメントは、encoding/json
パッケージをpanic
とrecover
の「実世界の例」として挙げています。これは、Go言語の設計思想において、panic
が常に「回復不能なエラー」として扱われるわけではなく、特定の状況下(特に再帰的なパーシングや複雑な状態管理を伴うライブラリ内部)で、エラー伝播のメカニズムとして意図的に使用されることがあることを示唆しています。json
パッケージでは、不正な入力に対してpanic
を発生させ、それをトップレベルでrecover
することで、よりクリーンなエラーハンドリングを実現しています。これにより、各再帰呼び出しでエラーをチェックする手間を省き、コードの複雑さを軽減しています。
コアとなるコードの変更箇所
このコミットで変更されたのは、以下の2つのファイルです。
doc/articles/defer_panic_recover.html
doc/articles/defer_panic_recover.tmpl
両ファイルにおいて、以下の行が変更されました。
--- a/doc/articles/defer_panic_recover.html
+++ b/doc/articles/defer_panic_recover.html
@@ -236,7 +236,7 @@ panic PC=0x2a9cd8
For a real-world example of <b>panic</b> and <b>recover</b>, see the
<a href="/pkg/encoding/json/">json package</a> from the Go standard library.
It decodes JSON-encoded data with a set of recursive functions.
-When malformed JSON is encountered, the parser calls panic is to unwind the
+When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the
stack to the top-level function call, which recovers from the panic and returns
an appropriate error value (see the 'error' and 'unmarshal' functions in
<a href="/src/pkg/encoding/json/decode.go">decode.go</a>).
--- a/doc/articles/defer_panic_recover.tmpl
+++ b/doc/articles/defer_panic_recover.tmpl
@@ -157,7 +157,7 @@ panic PC=0x2a9cd8
For a real-world example of <b>panic</b> and <b>recover</b>, see the
<a href="/pkg/encoding/json/">json package</a> from the Go standard library.
It decodes JSON-encoded data with a set of recursive functions.
-When malformed JSON is encountered, the parser calls panic is to unwind the
+When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the
stack to the top-level function call, which recovers from the panic and returns
an appropriate error value (see the 'error' and 'unmarshal' functions in
<a href="/src/pkg/encoding/json/decode.go">decode.go</a>).
コアとなるコードの解説
変更は非常にシンプルで、単一の誤字修正です。
-
When malformed JSON is encountered, the parser calls panic is to unwind the
- この文は、「不正なJSONが検出された場合、パーサーはパニックを呼び出し、スタックを巻き戻す」という意味合いを持っています。しかし、「panic is to unwind」という表現は文法的に不自然です。
-
When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the
- 修正後、「panic to unwind」となり、「パニックを呼び出してスタックを巻き戻す」という、より自然で正確な表現になっています。これは、
panic
がスタック巻き戻しという動作を引き起こすことを直接的に示しています。
- 修正後、「panic to unwind」となり、「パニックを呼び出してスタックを巻き戻す」という、より自然で正確な表現になっています。これは、
この修正は、Go言語のpanic
メカニズムの動作を説明する上で、より正確な言葉遣いを提供し、読者の理解を深めることに貢献します。特に、panic
が単なるエラー通知ではなく、制御フローを中断し、スタックを遡るというその本質的な役割を明確にしています。
関連リンク
- Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/doc/
- Go言語の
defer
,panic
,recover
に関する記事 (修正対象のドキュメント): https://go.dev/blog/defer-panic-and-recover - Go言語
encoding/json
パッケージ: https://pkg.go.dev/encoding/json - Go言語
encoding/json/decode.go
ソースコード: https://go.dev/src/encoding/json/decode.go (記事内で参照されているファイル)
参考にした情報源リンク
- Go言語の
defer
,panic
,recover
の概念に関する一般的な情報源 - Go言語のドキュメント生成プロセスに関する一般的な知識
- Go言語の
encoding/json
パッケージの内部実装に関する情報 (特にpanic
/recover
の使用例) - GitHubのコミット履歴とIssueトラッカー (Issue #3177)
- Go Code Review Comments (CL 5728057)
[インデックス 12352] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部である「defer, panic, and recover」に関する記事内の誤字を修正するものです。具体的には、doc/articles/defer_panic_recover.html
と doc/articles/defer_panic_recover.tmpl
の両ファイルで、「panic is to unwind」という記述が「panic to unwind」に修正されています。これは、Go言語の例外処理メカニズムであるpanic
とrecover
の動作を説明する重要な箇所での、文法的な誤りを訂正するものです。
コミット
commit 54875a7a7f64ed3ae2f4d3b66f9de4b3c30c3a22
Author: Francisco Souza <franciscossouza@gmail.com>
Date: Sun Mar 4 14:40:14 2012 +1100
doc: fix another typo in article on defer, panic and recover
Fixes #3177
R=adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5728057
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/54875a7a7f64ed3ae2f4d3b66f9de4b3c30c3a22
元コミット内容
このコミットは、Go言語の公式ドキュメント記事「defer, panic, and recover」における以下の誤字を修正しました。
変更前:
When malformed JSON is encountered, the parser calls panic is to unwind the
変更後:
When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the
「panic is to unwind」という表現から、余分な「is」が削除され、「panic to unwind」という正しい表現に修正されています。
変更の背景
この変更は、Go言語の公式ドキュメントの品質向上を目的としています。技術ドキュメントにおける誤字は、読者の理解を妨げたり、誤解を招いたりする可能性があります。特に、defer
、panic
、recover
といったGo言語の重要な概念を説明する記事においては、正確な記述が不可欠です。この修正は、Issue #3177 に対応するものであり、ドキュメントの正確性と可読性を高めるための典型的なメンテナンス作業の一環です。
前提知識の解説
このコミットの理解には、Go言語における以下の概念の知識が前提となります。
1. Go言語のドキュメント構造
Go言語の公式ドキュメントは、HTMLファイル(.html
)とテンプレートファイル(.tmpl
)で構成されていることが多いです。.tmpl
ファイルは、Goのtext/template
またはhtml/template
パッケージによって処理され、最終的なHTMLコンテンツを生成します。このため、ドキュメントのテキスト内容の変更は、通常、.html
ファイルと対応する.tmpl
ファイルの両方で行われます。
2. defer
defer
ステートメントは、それが含まれる関数がリターンする直前に、指定された関数呼び出しを実行することをスケジュールします。これは、リソースの解放(ファイルのクローズ、ロックの解除など)や、エラーハンドリングのクリーンアップ処理によく使用されます。defer
された関数は、panic
が発生した場合でも実行されます。
3. panic
panic
は、Go言語における「回復不可能なエラー」を示すメカニズムです。panic
が発生すると、現在の関数の実行は即座に停止し、defer
された関数が順次実行されながら、呼び出しスタックを遡っていきます。スタックのどこかでrecover
が呼び出されない限り、プログラムはクラッシュします。panic
は、通常、プログラマーの論理的な誤りや、プログラムが続行できないような予期せぬ状況(例: 配列の範囲外アクセス、nilポインタ参照)で発生します。
4. recover
recover
は、panic
から回復するための組み込み関数です。recover
は、defer
された関数内でのみ有効です。recover
が呼び出されると、panic
の値が返され、パニック状態が終了します。これにより、プログラムはクラッシュすることなく、通常の実行フローを再開できます。recover
は、通常、トップレベルの関数で、予期せぬpanic
が発生した場合にプログラム全体が停止するのを防ぐために使用されます。
5. encoding/json
パッケージ
Go標準ライブラリのencoding/json
パッケージは、JSONデータのエンコードとデコードを提供します。このパッケージは、不正なJSONデータが入力された場合にpanic
を使用し、それをrecover
で捕捉して適切なエラーを返すという、panic
/recover
の典型的な使用例として知られています。これは、再帰的なパーシング処理において、エラー状態を効率的に伝播させるための手法として採用されています。
技術的詳細
このコミットは、Go言語のドキュメント生成プロセスと、panic
/recover
の概念の正確な記述に関する技術的な側面を含んでいます。
-
ドキュメントの同期:
doc/articles/defer_panic_recover.html
とdoc/articles/defer_panic_recover.tmpl
の両方が変更されていることから、Goのドキュメントシステムがテンプレートエンジンを使用していることがわかります。.tmpl
ファイルは、ドキュメントの「ソース」または「マスター」バージョンであり、そこから最終的な.html
ファイルが生成されます。したがって、テキストの変更は両方のファイルに適用される必要があります。これは、ドキュメントの整合性を保つための一般的なプラクティスです。 -
panic
の役割の明確化: 修正された文「When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the stack to the top-level function call, which recovers from the panic and returns an appropriate error value」は、panic
が単なるエラー通知ではなく、スタックを巻き戻す(unwind)メカニズムであることを明確にしています。これは、panic
が通常の制御フローを中断し、defer
された関数を実行しながら呼び出しスタックを遡るという、その本質的な動作を正確に表現しています。 -
encoding/json
の例: ドキュメントは、encoding/json
パッケージをpanic
とrecover
の「実世界の例」として挙げています。これは、Go言語の設計思想において、panic
が常に「回復不能なエラー」として扱われるわけではなく、特定の状況下(特に再帰的なパーシングや複雑な状態管理を伴うライブラリ内部)で、エラー伝播のメカニズムとして意図的に使用されることがあることを示唆しています。json
パッケージでは、不正な入力に対してpanic
を発生させ、それをトップレベルでrecover
することで、よりクリーンなエラーハンドリングを実現しています。これにより、各再帰呼び出しでエラーをチェックする手間を省き、コードの複雑さを軽減しています。
コアとなるコードの変更箇所
このコミットで変更されたのは、以下の2つのファイルです。
doc/articles/defer_panic_recover.html
doc/articles/defer_panic_recover.tmpl
両ファイルにおいて、以下の行が変更されました。
--- a/doc/articles/defer_panic_recover.html
+++ b/doc/articles/defer_panic_recover.html
@@ -236,7 +236,7 @@ panic PC=0x2a9cd8
For a real-world example of <b>panic</b> and <b>recover</b>, see the
<a href="/pkg/encoding/json/">json package</a> from the Go standard library.
It decodes JSON-encoded data with a set of recursive functions.
-When malformed JSON is encountered, the parser calls panic is to unwind the
+When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the
stack to the top-level function call, which recovers from the panic and returns
an appropriate error value (see the 'error' and 'unmarshal' functions in
<a href="/src/pkg/encoding/json/decode.go">decode.go</a>).
--- a/doc/articles/defer_panic_recover.tmpl
+++ b/doc/articles/defer_panic_recover.tmpl
@@ -157,7 +157,7 @@ panic PC=0x2a9cd8
For a real-world example of <b>panic</b> and <b>recover</b>, see the
<a href="/pkg/encoding/json/">json package</a> from the Go standard library.
It decodes JSON-encoded data with a set of recursive functions.
-When malformed JSON is encountered, the parser calls panic is to unwind the
+When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the
stack to the top-level function call, which recovers from the panic and returns
an appropriate error value (see the 'error' and 'unmarshal' functions in
<a href="/src/pkg/encoding/json/decode.go">decode.go</a>).
コアとなるコードの解説
変更は非常にシンプルで、単一の誤字修正です。
-
When malformed JSON is encountered, the parser calls panic is to unwind the
- この文は、「不正なJSONが検出された場合、パーサーはパニックを呼び出し、スタックを巻き戻す」という意味合いを持っています。しかし、「panic is to unwind」という表現は文法的に不自然です。
-
When malformed JSON is encountered, the parser calls panic to unwind the
- 修正後、「panic to unwind」となり、「パニックを呼び出してスタックを巻き戻す」という、より自然で正確な表現になっています。これは、
panic
がスタック巻き戻しという動作を引き起こすことを直接的に示しています。
- 修正後、「panic to unwind」となり、「パニックを呼び出してスタックを巻き戻す」という、より自然で正確な表現になっています。これは、
この修正は、Go言語のpanic
メカニズムの動作を説明する上で、より正確な言葉遣いを提供し、読者の理解を深めることに貢献します。特に、panic
が単なるエラー通知ではなく、制御フローを中断し、スタックを遡るというその本質的な役割を明確にしています。
関連リンク
- Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/doc/
- Go言語の
defer
,panic
,recover
に関する記事 (修正対象のドキュメント): https://go.dev/blog/defer-panic-and-recover - Go言語
encoding/json
パッケージ: https://pkg.go.dev/encoding/json - Go言語
encoding/json/decode.go
ソースコード: https://go.dev/src/encoding/json/decode.go (記事内で参照されているファイル)
参考にした情報源リンク
- Go言語の
defer
,panic
,recover
の概念に関する一般的な情報源 - Go言語のドキュメント生成プロセスに関する一般的な知識
- Go言語の
encoding/json
パッケージの内部実装に関する情報 (特にpanic
/recover
の使用例) - GitHubのコミット履歴とIssueトラッカー (Issue #3177)
- Go Code Review Comments (CL 5728057)