[インデックス 12351] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールである godoc における「コードウォーク (codewalks)」機能のバグ修正です。具体的には、コードウォークのXML定義をパースする際の構造体タグの指定が誤っていたために発生していた問題を修正しています。これにより、godoc がコードウォークのXMLファイルを正しく読み込み、表示できるようになります。
コミット
commit dd29609244b72e57ebda3551eb84d4bed716f4bf
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Sun Mar 4 11:53:07 2012 +1100
godoc: fix codewalks
R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5732056
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/dd29609244b72e57ebda3551eb84d4bed716f4bf
元コミット内容
godoc: fix codewalks
このコミットは、godoc ツールにおけるコードウォーク機能の修正を目的としています。
変更の背景
godoc のコードウォーク機能は、Goのコードベースを巡るインタラクティブなチュートリアルや解説を提供するために設計されています。これらのコードウォークはXMLファイルで定義されており、godoc はこれらのXMLファイルをパースして表示します。
このコミットが行われる前は、godoc がコードウォークのXMLファイルを正しくパースできていませんでした。これは、Goの encoding/xml パッケージを使用してXMLをGoの構造体にマッピングする際の、構造体タグの指定方法に誤りがあったためです。具体的には、XML要素の属性として読み込むべきフィールドが正しく指定されていなかったり、要素の内部テキスト(innerxml)を読み込むための指定が不足していたりしました。
このパースエラーにより、コードウォークが正しく表示されず、ユーザーが godoc を通じてコードウォークを利用する際に問題が発生していました。このコミットは、これらのXMLパースの問題を修正し、コードウォーク機能が意図通りに動作するようにすることを目的としています。
前提知識の解説
godoc
godoc は、Go言語の公式ドキュメンテーションツールです。Goのソースコードからコメントや宣言を抽出し、Webブラウザで閲覧可能な形式でドキュメントを生成します。Goのパッケージ、関数、型、変数などのドキュメントを自動的に生成し、ローカルでホストしたり、pkg.go.dev のようなオンラインサービスで利用されたりします。
コードウォーク (Codewalks)
コードウォークは、godoc が提供する特別な機能の一つで、Goのコードベースを段階的に解説するインタラクティブなチュートリアルです。特定のコードスニペットやファイルに焦点を当て、その目的、動作、関連する概念などを説明します。コードウォークは通常、XML形式で定義され、各ステップで表示するコード、タイトル、説明などが記述されます。
Goの encoding/xml パッケージと構造体タグ
Goの標準ライブラリには、XMLデータをGoの構造体との間でエンコード/デコードするための encoding/xml パッケージが含まれています。このパッケージを使用すると、XML要素や属性をGoの構造体のフィールドにマッピングできます。
マッピングは、構造体フィールドに「構造体タグ (struct tags)」を付与することで行われます。XMLタグの一般的な形式は以下の通りです。
type MyStruct struct {
Field1 string `xml:"element_name"` // XML要素名にマッピング
Field2 string `xml:"attribute_name,attr"` // XML属性にマッピング
Field3 string `xml:",innerxml"` // 要素の内部テキスト(子要素を含む)にマッピング
Field4 string `xml:"-"` // このフィールドはXMLにマッピングしない
Field5 string `xml:"element_name,omitempty"` // 要素が空の場合に省略
}
xml:"element_name": フィールドがXMLのelement_nameという名前の要素にマッピングされることを示します。xml:"attribute_name,attr": フィールドがXMLのattribute_nameという名前の属性にマッピングされることを示します。xml:",innerxml": フィールドがXML要素の内部コンテンツ(子要素やテキストノードを含む)全体にマッピングされることを示します。これは、XML要素の開始タグと終了タグの間のすべての内容を文字列として取得したい場合に便利です。xml:"attr": これはxml:"name,attr"のように属性名を指定せずにattrだけを指定する形式は、Go 1.0のencoding/xmlパッケージではサポートされていませんでした。属性名を明示的に指定する必要があります。このコミットの変更前は、この誤った形式が使用されていた可能性があります。
このコミットの修正は、特に xml:"attr" と xml:",innerxml" の使用方法に関する理解に基づいています。
技術的詳細
このコミットの技術的な核心は、Goの encoding/xml パッケージがXMLデータをGoの構造体にデコードする際の、構造体タグの正確な使用法にあります。
変更前のコードでは、Codewalk および Codestep 構造体において、XML属性を読み込むためのタグ指定が不正確でした。
-
変更前:
Title stringxml:"attr"``- これは
encoding/xmlパッケージの正しい属性マッピングの構文ではありません。属性名を指定せずにattrだけを指定すると、XMLデコーダはどの属性をこのフィールドにマッピングすべきか判断できません。結果として、TitleフィールドにXML属性の値が正しく読み込まれませんでした。
- これは
-
変更後:
Title stringxml:"title,attr"``- これは正しい構文です。
titleという名前のXML属性をTitleフィールドにマッピングするように明示的に指示しています。
- これは正しい構文です。
同様に、Codestep 構造体におけるXMLの内部コンテンツの読み込みにも問題がありました。
-
変更前:
XML stringxml:"innerxml"``- これもまた、
encoding/xmlパッケージの正しい内部コンテンツマッピングの構文ではありません。innerxmlはオプションであり、カンマの前に要素名を指定しないことで、その要素自身の内部コンテンツを読み込むことを示します。
- これもまた、
-
変更後:
XML stringxml:",innerxml"``- これは正しい構文です。
XMLフィールドに、XML要素の開始タグと終了タグの間のすべてのコンテンツ(子要素やテキストノードを含む)を文字列として読み込むように指示しています。
- これは正しい構文です。
これらの修正により、godoc はコードウォークのXMLファイルから Title 属性やステップの内部コンテンツを正しく抽出し、コードウォークを意図通りに表示できるようになりました。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/cmd/godoc/codewalk.go
+++ b/src/cmd/godoc/codewalk.go
@@ -72,17 +72,17 @@ func codewalk(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
// A Codewalk represents a single codewalk read from an XML file.
type Codewalk struct {
- Title string `xml:"attr"`
- File []string
- Step []*Codestep
+ Title string `xml:"title,attr"`
+ File []string `xml:"file"`
+ Step []*Codestep `xml:"step"`
}
// A Codestep is a single step in a codewalk.
type Codestep struct {
// Filled in from XML
- Src string `xml:"attr"`
- Title string `xml:"attr"`
- XML string `xml:"innerxml"`
+ Src string `xml:"src,attr"`
+ Title string `xml:"title,attr"`
+ XML string `xml:",innerxml"`
// Derived from Src; not in XML.
Err error
コアとなるコードの解説
このコミットは、src/cmd/godoc/codewalk.go ファイル内の Codewalk および Codestep 構造体のXML構造体タグを修正しています。
Codewalk 構造体
-
変更前:
type Codewalk struct { Title string `xml:"attr"` File []string Step []*Codestep }Titleフィールドはxml:"attr"と指定されていました。これはXML属性を読み込むための不正確なタグです。 -
変更後:
type Codewalk struct { Title string `xml:"title,attr"` File []string `xml:"file"` Step []*Codestep `xml:"step"` }Titleフィールドのタグがxml:"title,attr"に修正されました。これにより、XMLの<Codewalk title="...">のtitle属性がこのフィールドに正しくマッピングされるようになります。 また、FileとStepフィールドにもそれぞれxml:"file"とxml:"step"タグが追加されました。これは、これらのフィールドがそれぞれ<file>要素と<step>要素のリストにマッピングされることを明示しています。Goのencoding/xmlパッケージは、タグが指定されていない場合でもフィールド名に基づいて要素を推測しようとしますが、明示的に指定することで意図が明確になり、より堅牢になります。
Codestep 構造体
-
変更前:
type Codestep struct { Src string `xml:"attr"` Title string `xml:"attr"` XML string `xml:"innerxml"` }SrcとTitleフィールドはxml:"attr"と指定されており、Codewalk構造体と同様に不正確でした。XMLフィールドはxml:"innerxml"と指定されていましたが、これも内部コンテンツを読み込むための正しい構文ではありませんでした。 -
変更後:
type Codestep struct { Src string `xml:"src,attr"` Title string `xml:"title,attr"` XML string `xml:",innerxml"` }Srcフィールドのタグがxml:"src,attr"に、Titleフィールドのタグがxml:"title,attr"に修正されました。これにより、XMLの<Codestep src="..." title="...">のsrcおよびtitle属性がそれぞれのフィールドに正しくマッピングされるようになります。XMLフィールドのタグがxml:",innerxml"に修正されました。これにより、<Codestep>要素の内部にあるすべてのコンテンツ(テキストや子要素など)が文字列としてこのフィールドに読み込まれるようになります。
これらの変更により、godoc はコードウォークのXML定義を正確にパースし、コードウォークのタイトル、ソースファイル、各ステップのタイトル、そしてステップのコンテンツを正しく抽出できるようになりました。
関連リンク
- Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/
godocコマンドのドキュメント (Goコマンドリファレンス): https://pkg.go.dev/cmd/godocencoding/xmlパッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/encoding/xml
参考にした情報源リンク
- Go言語
encoding/xmlパッケージの公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/encoding/xml - Go言語の構造体タグに関する一般的な情報源 (例: A Tour of Go, Effective Goなど)
- Go言語のコミット履歴と関連するコードレビュー (GoのGitHubリポジトリ)
- Goのコードウォークに関する情報 (Goのブログやチュートリアル)
[インデックス 12351] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールである godoc における「コードウォーク (codewalks)」機能のバグ修正です。具体的には、コードウォークのXML定義をパースする際の構造体タグの指定が誤っていたために発生していた問題を修正しています。これにより、godoc がコードウォークのXMLファイルを正しく読み込み、表示できるようになります。
コミット
commit dd29609244b72e57ebda3551eb84d4bed716f4bf
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Sun Mar 4 11:53:07 2012 +1100
godoc: fix codewalks
R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5732056
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/dd29609244b72e57ebda3551eb84d4bed716f4bf
元コミット内容
godoc: fix codewalks
このコミットは、godoc ツールにおけるコードウォーク機能の修正を目的としています。
変更の背景
godoc のコードウォーク機能は、Goのコードベースを巡るインタラクティブなチュートリアルや解説を提供するために設計されています。これらのコードウォークはXMLファイルで定義されており、godoc はこれらのXMLファイルをパースして表示します。
このコミットが行われる前は、godoc がコードウォークのXMLファイルを正しくパースできていませんでした。これは、Goの encoding/xml パッケージを使用してXMLをGoの構造体にマッピングする際の、構造体タグの指定方法に誤りがあったためです。具体的には、XML要素の属性として読み込むべきフィールドが正しく指定されていなかったり、要素の内部テキスト(innerxml)を読み込むための指定が不足していたりしました。
このパースエラーにより、コードウォークが正しく表示されず、ユーザーが godoc を通じてコードウォークを利用する際に問題が発生していました。このコミットは、これらのXMLパースの問題を修正し、コードウォーク機能が意図通りに動作するようにすることを目的としています。
前提知識の解説
godoc
godoc は、Go言語の公式ドキュメンテーションツールです。Goのソースコードからコメントや宣言を抽出し、Webブラウザで閲覧可能な形式でドキュメントを生成します。Goのパッケージ、関数、型、変数などのドキュメントを自動的に生成し、ローカルでホストしたり、pkg.go.dev のようなオンラインサービスで利用されたりします。
コードウォーク (Codewalks)
コードウォークは、godoc が提供する特別な機能の一つで、Goのコードベースを段階的に解説するインタラクティブなチュートリアルです。特定のコードスニペットやファイルに焦点を当て、その目的、動作、関連する概念などを説明します。コードウォークは通常、XML形式で定義され、各ステップで表示するコード、タイトル、説明などが記述されます。
コードウォークのXMLフォーマットは、<codewalk> ルート要素を持ち、その中に複数の <step> 要素を含みます。
<codewalk>要素はtitle属性を持ち、コードウォーク全体のタイトルを指定します。<step>要素はtitle属性でステップのタイトルを、src属性で表示するソースコードファイルとその範囲を指定します。
Goの encoding/xml パッケージと構造体タグ
Goの標準ライブラリには、XMLデータをGoの構造体との間でエンコード/デコードするための encoding/xml パッケージが含まれています。このパッケージを使用すると、XML要素や属性をGoの構造体のフィールドにマッピングできます。
マッピングは、構造体フィールドに「構造体タグ (struct tags)」を付与することで行われます。XMLタグの一般的な形式は以下の通りです。
type MyStruct struct {
Field1 string `xml:"element_name"` // XML要素名にマッピング
Field2 string `xml:"attribute_name,attr"` // XML属性にマッピング
Field3 string `xml:",innerxml"` // 要素の内部テキスト(子要素を含む)にマッピング
Field4 string `xml:"-"` // このフィールドはXMLにマッピングしない
Field5 string `xml:"element_name,omitempty"` // 要素が空の場合に省略
}
xml:"element_name": フィールドがXMLのelement_nameという名前の要素にマッピングされることを示します。xml:"attribute_name,attr": フィールドがXMLのattribute_nameという名前の属性にマッピングされることを示します。xml:",innerxml": フィールドがXML要素の内部コンテンツ(子要素やテキストノードを含む)全体にマッピングされることを示します。これは、XML要素の開始タグと終了タグの間のすべての内容を文字列として取得したい場合に便利です。xml:"attr": これはxml:"name,attr"のように属性名を指定せずにattrだけを指定する形式は、Go 1.0のencoding/xmlパッケージではサポートされていませんでした。属性名を明示的に指定する必要があります。このコミットの変更前は、この誤った形式が使用されていた可能性があります。
このコミットの修正は、特に xml:"attr" と xml:",innerxml" の使用方法に関する理解に基づいています。
技術的詳細
このコミットの技術的な核心は、Goの encoding/xml パッケージがXMLデータをGoの構造体にデコードする際の、構造体タグの正確な使用法にあります。
変更前のコードでは、Codewalk および Codestep 構造体において、XML属性を読み込むためのタグ指定が不正確でした。
-
変更前:
Title stringxml:"attr"``- これは
encoding/xmlパッケージの正しい属性マッピングの構文ではありません。属性名を指定せずにattrだけを指定すると、XMLデコーダはどの属性をこのフィールドにマッピングすべきか判断できません。結果として、TitleフィールドにXML属性の値が正しく読み込まれませんでした。
- これは
-
変更後:
Title stringxml:"title,attr"``- これは正しい構文です。
titleという名前のXML属性をTitleフィールドにマッピングするように明示的に指示しています。
- これは正しい構文です。
同様に、Codestep 構造体におけるXMLの内部コンテンツの読み込みにも問題がありました。
-
変更前:
XML stringxml:"innerxml"``- これもまた、
encoding/xmlパッケージの正しい内部コンテンツマッピングの構文ではありません。innerxmlはオプションであり、カンマの前に要素名を指定しないことで、その要素自身の内部コンテンツを読み込むことを示します。
- これもまた、
-
変更後:
XML stringxml:",innerxml"``- これは正しい構文です。
XMLフィールドに、XML要素の開始タグと終了タグの間のすべてのコンテンツ(子要素やテキストノードを含む)を文字列として読み込むように指示しています。
- これは正しい構文です。
これらの修正により、godoc はコードウォークのXMLファイルから Title 属性やステップの内部コンテンツを正しく抽出し、コードウォークを意図通りに表示できるようになりました。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/cmd/godoc/codewalk.go
+++ b/src/cmd/godoc/codewalk.go
@@ -72,17 +72,17 @@ func codewalk(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
// A Codewalk represents a single codewalk read from an XML file.
type Codewalk struct {
- Title string `xml:"attr"`
- File []string
- Step []*Codestep
+ Title string `xml:"title,attr"`
+ File []string `xml:"file"`
+ Step []*Codestep `xml:"step"`
}
// A Codestep is a single step in a codewalk.
type Codestep struct {
// Filled in from XML
- Src string `xml:"attr"`
- Title string `xml:"attr"`
- XML string `xml:"innerxml"`
+ Src string `xml:"src,attr"`
+ Title string `xml:"title,attr"`
+ XML string `xml:",innerxml"`
// Derived from Src; not in XML.
Err error
コアとなるコードの解説
このコミットは、src/cmd/godoc/codewalk.go ファイル内の Codewalk および Codestep 構造体のXML構造体タグを修正しています。
Codewalk 構造体
-
変更前:
type Codewalk struct { Title string `xml:"attr"` File []string Step []*Codestep }Titleフィールドはxml:"attr"と指定されていました。これはXML属性を読み込むための不正確なタグです。 -
変更後:
type Codewalk struct { Title string `xml:"title,attr"` File []string `xml:"file"` Step []*Codestep `xml:"step"` }Titleフィールドのタグがxml:"title,attr"に修正されました。これにより、XMLの<codewalk title="...">のtitle属性がこのフィールドに正しくマッピングされるようになります。 また、FileとStepフィールドにもそれぞれxml:"file"とxml:"step"タグが追加されました。これは、これらのフィールドがそれぞれ<file>要素と<step>要素のリストにマッピングされることを明示しています。Goのencoding/xmlパッケージは、タグが指定されていない場合でもフィールド名に基づいて要素を推測しようとしますが、明示的に指定することで意図が明確になり、より堅牢になります。
Codestep 構造体
-
変更前:
type Codestep struct { Src string `xml:"attr"` Title string `xml:"attr"` XML string `xml:"innerxml"` }SrcとTitleフィールドはxml:"attr"と指定されており、Codewalk構造体と同様に不正確でした。XMLフィールドはxml:"innerxml"と指定されていましたが、これも内部コンテンツを読み込むための正しい構文ではありませんでした。 -
変更後:
type Codestep struct { Src string `xml:"src,attr"` Title string `xml:"title,attr"` XML string `xml:",innerxml"` }Srcフィールドのタグがxml:"src,attr"に、Titleフィールドのタグがxml:"title,attr"に修正されました。これにより、XMLの<step src="..." title="...">のsrcおよびtitle属性がそれぞれのフィールドに正しくマッピングされるようになります。XMLフィールドのタグがxml:",innerxml"に修正されました。これにより、<step>要素の内部にあるすべてのコンテンツ(テキストや子要素など)が文字列としてこのフィールドに読み込まれるようになります。
これらの変更により、godoc はコードウォークのXML定義を正確にパースし、コードウォークのタイトル、ソースファイル、各ステップのタイトル、そしてステップのコンテンツを正しく抽出できるようになりました。
関連リンク
- Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/
godocコマンドのドキュメント (Goコマンドリファレンス): https://pkg.go.dev/cmd/godocencoding/xmlパッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/encoding/xml
参考にした情報源リンク
- Go言語
encoding/xmlパッケージの公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/encoding/xml - Go言語の構造体タグに関する一般的な情報源 (例: A Tour of Go, Effective Goなど)
- Go言語のコミット履歴と関連するコードレビュー (GoのGitHubリポジトリ)
- Goのコードウォークに関する情報 (Goのブログやチュートリアル)
- Web search results for "Go godoc codewalks XML format" (Google Search)
[インデックス 12351] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールである godoc における「コードウォーク (codewalks)」機能のバグ修正です。具体的には、コードウォークのXML定義をパースする際の構造体タグの指定が誤っていたために発生していた問題を修正しています。これにより、godoc がコードウォークのXMLファイルを正しく読み込み、表示できるようになります。
コミット
commit dd29609244b72e57ebda3551eb84d4bed716f4bf
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Sun Mar 4 11:53:07 2012 +1100
godoc: fix codewalks
R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5732056
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/dd29609244b72e57ebda3551eb84d4bed716f4bf
元コミット内容
godoc: fix codewalks
このコミットは、godoc ツールにおけるコードウォーク機能の修正を目的としています。
変更の背景
godoc のコードウォーク機能は、Goのコードベースを巡るインタラクティブなチュートリアルや解説を提供するために設計されています。これらのコードウォークはXMLファイルで定義されており、godoc はこれらのXMLファイルをパースして表示します。
このコミットが行われる前は、godoc がコードウォークのXMLファイルを正しくパースできていませんでした。これは、Goの encoding/xml パッケージを使用してXMLをGoの構造体にマッピングする際の、構造体タグの指定方法に誤りがあったためです。具体的には、XML要素の属性として読み込むべきフィールドが正しく指定されていなかったり、要素の内部テキスト(innerxml)を読み込むための指定が不足していたりしました。
このパースエラーにより、コードウォークが正しく表示されず、ユーザーが godoc を通じてコードウォークを利用する際に問題が発生していました。このコミットは、これらのXMLパースの問題を修正し、コードウォーク機能が意図通りに動作するようにすることを目的としています。
前提知識の解説
godoc
godoc は、Go言語の公式ドキュメンテーションツールです。Goのソースコードからコメントや宣言を抽出し、Webブラウザで閲覧可能な形式でドキュメントを生成します。Goのパッケージ、関数、型、変数などのドキュメントを自動的に生成し、ローカルでホストしたり、pkg.go.dev のようなオンラインサービスで利用されたりします。
コードウォーク (Codewalks)
コードウォークは、godoc が提供する特別な機能の一つで、Goのコードベースを段階的に解説するインタラクティブなチュートリアルです。特定のコードスニペットやファイルに焦点を当て、その目的、動作、関連する概念などを説明します。コードウォークは通常、XML形式で定義され、各ステップで表示するコード、タイトル、説明などが記述されます。
コードウォークのXMLフォーマットは、<codewalk> ルート要素を持ち、その中に複数の <step> 要素を含みます。
<codewalk>要素はtitle属性を持ち、コードウォーク全体のタイトルを指定します。<step>要素はtitle属性でステップのタイトルを、src属性で表示するソースコードファイルとその範囲を指定します。
Goの encoding/xml パッケージと構造体タグ
Goの標準ライブラリには、XMLデータをGoの構造体との間でエンコード/デコードするための encoding/xml パッケージが含まれています。このパッケージを使用すると、XML要素や属性をGoの構造体のフィールドにマッピングできます。
マッピングは、構造体フィールドに「構造体タグ (struct tags)」を付与することで行われます。XMLタグの一般的な形式は以下の通りです。
type MyStruct struct {
Field1 string `xml:"element_name"` // XML要素名にマッピング
Field2 string `xml:"attribute_name,attr"` // XML属性にマッピング
Field3 string `xml:",innerxml"` // 要素の内部テキスト(子要素を含む)にマッピング
Field4 string `xml:"-"` // このフィールドはXMLにマッピングしない
Field5 string `xml:"element_name,omitempty"` // 要素が空の場合に省略
}
xml:"element_name": フィールドがXMLのelement_nameという名前の要素にマッピングされることを示します。xml:"attribute_name,attr": フィールドがXMLのattribute_nameという名前の属性にマッピングされることを示します。xml:",innerxml": フィールドがXML要素の内部コンテンツ(子要素やテキストノードを含む)全体にマッピングされることを示します。これは、XML要素の開始タグと終了タグの間のすべての内容を文字列として取得したい場合に便利です。xml:"attr": これはxml:"name,attr"のように属性名を指定せずにattrだけを指定する形式は、Go 1.0のencoding/xmlパッケージではサポートされていませんでした。属性名を明示的に指定する必要があります。このコミットの変更前は、この誤った形式が使用されていた可能性があります。
このコミットの修正は、特に xml:"attr" と xml:",innerxml" の使用方法に関する理解に基づいています。
技術的詳細
このコミットの技術的な核心は、Goの encoding/xml パッケージがXMLデータをGoの構造体にデコードする際の、構造体タグの正確な使用法にあります。
変更前のコードでは、Codewalk および Codestep 構造体において、XML属性を読み込むためのタグ指定が不正確でした。
-
変更前:
Title stringxml:"attr"``- これは
encoding/xmlパッケージの正しい属性マッピングの構文ではありません。属性名を指定せずにattrだけを指定すると、XMLデコーダはどの属性をこのフィールドにマッピングすべきか判断できません。結果として、TitleフィールドにXML属性の値が正しく読み込まれませんでした。
- これは
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変更後:
Title stringxml:"title,attr"``- これは正しい構文です。
titleという名前のXML属性をTitleフィールドにマッピングするように明示的に指示しています。
- これは正しい構文です。
同様に、Codestep 構造体におけるXMLの内部コンテンツの読み込みにも問題がありました。
-
変更前:
XML stringxml:"innerxml"``- これもまた、
encoding/xmlパッケージの正しい内部コンテンツマッピングの構文ではありません。innerxmlはオプションであり、カンマの前に要素名を指定しないことで、その要素自身の内部コンテンツを読み込むことを示します。
- これもまた、
-
変更後:
XML stringxml:",innerxml"``- これは正しい構文です。
XMLフィールドに、XML要素の開始タグと終了タグの間のすべてのコンテンツ(子要素やテキストノードを含む)を文字列として読み込むように指示しています。
- これは正しい構文です。
これらの修正により、godoc はコードウォークのXMLファイルから Title 属性やステップの内部コンテンツを正しく抽出し、コードウォークを意図通りに表示できるようになりました。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/cmd/godoc/codewalk.go
+++ b/src/cmd/godoc/codewalk.go
@@ -72,17 +72,17 @@ func codewalk(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
// A Codewalk represents a single codewalk read from an XML file.
type Codewalk struct {
- Title string `xml:"attr"`
- File []string
- Step []*Codestep
+ Title string `xml:"title,attr"`
+ File []string `xml:"file"`
+ Step []*Codestep `xml:"step"`
}
// A Codestep is a single step in a codewalk.
type Codestep struct {
// Filled in from XML
- Src string `xml:"attr"`
- Title string `xml:"attr"`
- XML string `xml:"innerxml"`
+ Src string `xml:"src,attr"`
+ Title string `xml:"title,attr"`
+ XML string `xml:",innerxml"`
// Derived from Src; not in XML.
Err error
コアとなるコードの解説
このコミットは、src/cmd/godoc/codewalk.go ファイル内の Codewalk および Codestep 構造体のXML構造体タグを修正しています。
Codewalk 構造体
-
変更前:
type Codewalk struct { Title string `xml:"attr"` File []string Step []*Codestep }Titleフィールドはxml:"attr"と指定されていました。これはXML属性を読み込むための不正確なタグです。 -
変更後:
type Codewalk struct { Title string `xml:"title,attr"` File []string `xml:"file"` Step []*Codestep `xml:"step"` }Titleフィールドのタグがxml:"title,attr"に修正されました。これにより、XMLの<codewalk title="...">のtitle属性がこのフィールドに正しくマッピングされるようになります。 また、FileとStepフィールドにもそれぞれxml:"file"とxml:"step"タグが追加されました。これは、これらのフィールドがそれぞれ<file>要素と<step>要素のリストにマッピングされることを明示しています。Goのencoding/xmlパッケージは、タグが指定されていない場合でもフィールド名に基づいて要素を推測しようとしますが、明示的に指定することで意図が明確になり、より堅牢になります。
Codestep 構造体
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変更前:
type Codestep struct { Src string `xml:"attr"` Title string `xml:"attr"` XML string `xml:"innerxml"` }SrcとTitleフィールドはxml:"attr"と指定されており、Codewalk構造体と同様に不正確でした。XMLフィールドはxml:"innerxml"と指定されていましたが、これも内部コンテンツを読み込むための正しい構文ではありませんでした。 -
変更後:
type Codestep struct { Src string `xml:"src,attr"` Title string `xml:"title,attr"` XML string `xml:",innerxml"` }Srcフィールドのタグがxml:"src,attr"に、Titleフィールドのタグがxml:"title,attr"に修正されました。これにより、XMLの<step src="..." title="...">のsrcおよびtitle属性がそれぞれのフィールドに正しくマッピングされるようになります。XMLフィールドのタグがxml:",innerxml"に修正されました。これにより、<step>要素の内部にあるすべてのコンテンツ(テキストや子要素など)が文字列としてこのフィールドに読み込まれるようになります。
これらの変更により、godoc はコードウォークのXML定義を正確にパースし、コードウォークのタイトル、ソースファイル、各ステップのタイトル、そしてステップのコンテンツを正しく抽出できるようになりました。
関連リンク
- Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/
godocコマンドのドキュメント (Goコマンドリファレンス): https://pkg.go.dev/cmd/godocencoding/xmlパッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/encoding/xml
参考にした情報源リンク
- Go言語
encoding/xmlパッケージの公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/encoding/xml - Go言語の構造体タグに関する一般的な情報源 (例: A Tour of Go, Effective Goなど)
- Go言語のコミット履歴と関連するコードレビュー (GoのGitHubリポジトリ)
- Goのコードウォークに関する情報 (Goのブログやチュートリアル)
- Web search results for "Go godoc codewalks XML format" (Google Search)