[インデックス 12515] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるfmtパッケージのドキュメントファイルsrc/pkg/fmt/doc.goに対する軽微な変更です。fmtパッケージは、C言語のprintfやscanfに似た、フォーマットされたI/O機能を提供します。doc.goファイルは、Goのパッケージドキュメンテーションの慣習に従い、パッケージ全体の概要や使用方法を記述するために使用されます。このファイルは、godocツールによって解析され、Webブラウザやコマンドラインで表示されるドキュメントを生成します。
コミット
このコミットは、fmtパッケージのdoc.goファイル内の見出しの記述方法を微調整し、godocツールで表示される際に正しく見出しとして認識されるようにすることを目的としています。具体的には、「Printing:」と「Scanning:」という見出しからコロン(:)を削除し、「Printing」と「Scanning」に変更することで、godocがこれらをセクション見出しとして適切にレンダリングするように修正しています。
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/d7d1b18a5de13bf5f8a4972182ae572b7ea3d41a
元コミット内容
commit d7d1b18a5de13bf5f8a4972182ae572b7ea3d41a
Author: Volker Dobler <dr.volker.dobler@gmail.com>
Date: Thu Mar 8 22:22:36 2012 +1100
fmt: minor tweak of package doc to show headings in godoc
R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5781052
---
src/pkg/fmt/doc.go | 6 ++++--
1 file changed, 4 insertions(+), 2 deletions(-)
diff --git a/src/pkg/fmt/doc.go b/src/pkg/fmt/doc.go
index 7d4178da76..9660370c29 100644
--- a/src/pkg/fmt/fmt.go
+++ b/src/pkg/fmt/fmt.go
@@ -7,7 +7,8 @@
to C's printf and scanf. The format 'verbs' are derived from C's but
are simpler.
- Printing:
+ Printing
The verbs:
@@ -127,7 +128,8 @@
by a single character (the verb) and end with a parenthesized
description.
- Scanning:
+ Scanning
An analogous set of functions scans formatted text to yield
values. Scan, Scanf and Scanln read from os.Stdin; Fscan,
変更の背景
この変更の背景には、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodocの挙動と、Goのパッケージドキュメンテーションの慣習があります。godocは、Goのソースコードから自動的にドキュメントを生成する強力なツールです。特に、doc.goファイルに記述されたパッケージレベルのコメントは、パッケージの概要としてgodocによって表示されます。
当時のgodocのパーサーは、特定の形式のテキストをセクション見出しとして認識していました。一般的な慣習として、見出しは単語またはフレーズのみで構成され、末尾に句読点(特にコロン)が付かないことが推奨されていました。このコミット以前のfmt/doc.goでは、「Printing:」や「Scanning:」のように見出しの末尾にコロンが付いていました。このコロンが存在すると、godocはこれらを単なる通常のテキストとして扱い、期待されるようなセクション見出しとして強調表示したり、目次を生成したりしませんでした。
この変更は、godocのレンダリングを改善し、パッケージドキュメントがより読みやすく、構造化された形で表示されるようにするために行われました。これにより、ユーザーがgodocを通じてfmtパッケージのドキュメントを参照した際に、「Printing」と「Scanning」が明確なセクション見出しとして認識され、ドキュメントのナビゲーションと理解が容易になります。
前提知識の解説
- Go言語のパッケージドキュメンテーション: Go言語では、ソースコード内に直接ドキュメンテーションを記述する慣習があります。パッケージ、関数、型、変数など、エクスポートされた(大文字で始まる)エンティティには、その直前にコメントを記述することでドキュメントとして扱われます。特に、パッケージの概要は、パッケージ宣言の直前、通常は
doc.goというファイルに記述されます。 godocツール:godocは、Go言語のソースコードからドキュメントを生成し、表示するための公式ツールです。ローカルでWebサーバーを起動してブラウザで閲覧したり、コマンドラインで特定のパッケージのドキュメントを表示したりできます。godocは、コメントの構造を解析し、見出し、コードブロック、リンクなどを適切にレンダリングします。fmtパッケージ:fmtは"format"の略で、Go言語における基本的なフォーマットI/O機能を提供する標準パッケージです。Printf、Sprintf、Scanfなどの関数が含まれており、文字列のフォーマット、標準入出力からの読み込み、ファイルへの書き込みなど、様々な用途で利用されます。doc.goファイル: Goのパッケージにおいて、パッケージ全体のドキュメンテーションを記述するための慣習的なファイル名です。このファイルは通常、パッケージの概要、主要な機能、使用例などを説明するために使用されます。godocは、このファイルのパッケージコメントをパッケージのトップレベルのドキュメントとして表示します。godocの見出し認識:godocは、コメント内の特定のパターンを解析して見出しとして扱います。一般的に、空行で区切られた単一の単語またはフレーズは、見出しとして認識される傾向があります。末尾に句読点が付いていると、見出しとして認識されない場合があります。この挙動は、godocの内部的なパーシングロジックに依存します。
技術的詳細
この変更は、godocがパッケージドキュメント内のセクション見出しをどのように解釈するかという、特定の技術的詳細に基づいています。
godocは、GoのソースコードコメントをHTMLに変換する際に、単純なテキストフォーマットルールを適用します。そのルールの一つに、見出しの自動認識があります。当時のgodocの実装では、コメントブロック内で、空行に続いて単一の単語または短いフレーズが記述されている場合、それをセクション見出しとして解釈し、HTMLの<h3>タグなどでレンダリングする傾向がありました。しかし、その単語やフレーズの末尾にコロン(:)などの句読点が付いていると、godocはそれを通常のテキストの一部とみなし、見出しとして特別に扱わないことがありました。
このコミットでは、このgodocの挙動を利用して、ドキュメントの表示を改善しています。具体的には、以下の変更が行われました。
- Printing:を- Printingに変更- Scanning:を- Scanningに変更
この変更により、godocは「Printing」と「Scanning」を独立したセクション見出しとして認識し、より視覚的に区切られた、読みやすいドキュメントを生成するようになります。これは、ドキュメントのセマンティクスを変更するものではなく、単にその表示形式を最適化するためのものです。
このような微細な変更が重要である理由は、Goのエコシステムにおいてgodocがドキュメンテーションの主要な手段であり、開発者がパッケージの機能や使い方を理解する上で、その表示品質が直接的な影響を与えるためです。明確なセクション見出しは、ドキュメントの構造を把握し、必要な情報を素早く見つけるのに役立ちます。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/fmt/doc.go
+++ b/src/pkg/fmt/doc.go
@@ -7,7 +7,8 @@
to C's printf and scanf. The format 'verbs' are derived from C's but
are simpler.
- Printing:
+ Printing
The verbs:
@@ -127,7 +128,8 @@
by a single character (the verb) and end with a parenthesized
description.
- Scanning:
+ Scanning
An analogous set of functions scans formatted text to yield
values. Scan, Scanf and Scanln read from os.Stdin; Fscan,
コアとなるコードの解説
変更はsrc/pkg/fmt/doc.goファイル内の2箇所にあります。
-
Printing:からPrintingへの変更: 元のコード:Printing:変更後のコード:
Printingこの変更により、「Printing」という単語の末尾からコロンが削除されました。これにより、
godocがこの行を「Printing」というセクションの見出しとして正しく認識し、ドキュメント内で適切に強調表示されるようになります。 -
Scanning:からScanningへの変更: 元のコード:Scanning:変更後のコード:
Scanning同様に、「Scanning」という単語の末尾からコロンが削除されました。これにより、
godocがこの行を「Scanning」というセクションの見出しとして正しく認識し、ドキュメント内で適切に強調表示されるようになります。
これらの変更は、コードの機能的な動作には一切影響を与えません。これは純粋にドキュメンテーションの表示に関する修正であり、godocツールがパッケージのコメントをHTMLとしてレンダリングする際の挙動を最適化するためのものです。Goのドキュメンテーションの品質と可読性を向上させるための、細かながらも重要な改善と言えます。
関連リンク
- Go CL 5781052: https://golang.org/cl/5781052
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメンテーション(
godocの挙動に関する一般的な情報) - Go言語のパッケージドキュメンテーションの慣習に関する情報源(例:
go docコマンドのヘルプ、Goの公式ブログ記事など) godocのソースコード(見出しのパーシングロジックに関する詳細)
[インデックス 12515] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるfmtパッケージのドキュメントファイルsrc/pkg/fmt/doc.goに対する軽微な変更です。fmtパッケージは、C言語のprintfやscanfに似た、フォーマットされたI/O機能を提供します。doc.goファイルは、Goのパッケージドキュメンテーションの慣習に従い、パッケージ全体の概要や使用方法を記述するために使用されます。このファイルは、godocツールによって解析され、Webブラウザやコマンドラインで表示されるドキュメントを生成します。
コミット
このコミットは、fmtパッケージのdoc.goファイル内の見出しの記述方法を微調整し、godocツールで表示される際に正しく見出しとして認識されるようにすることを目的としています。具体的には、「Printing:」と「Scanning:」という見出しからコロン(:)を削除し、「Printing」と「Scanning」に変更することで、godocがこれらをセクション見出しとして適切にレンダリングするように修正しています。
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/d7d1b18a5de13bf5f8a4972182ae572b7ea3d41a
元コミット内容
commit d7d1b18a5de13bf5f8a4972182ae572b7ea3d41a
Author: Volker Dobler <dr.volker.dobler@gmail.com>
Date: Thu Mar 8 22:22:36 2012 +1100
fmt: minor tweak of package doc to show headings in godoc
R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5781052
---
src/pkg/fmt/doc.go | 6 ++++--
1 file changed, 4 insertions(+), 2 deletions(-)
diff --git a/src/pkg/fmt/doc.go b/src/pkg/fmt/doc.go
index 7d4178da76..9660370c29 100644
--- a/src/pkg/fmt/doc.go
+++ b/src/pkg/fmt/doc.go
@@ -7,7 +7,8 @@
to C's printf and scanf. The format 'verbs' are derived from C's but
are simpler.
- Printing:
+ Printing
The verbs:
@@ -127,7 +128,8 @@
by a single character (the verb) and end with a parenthesized
description.
- Scanning:
+ Scanning
An analogous set of functions scans formatted text to yield
values. Scan, Scanf and Scanln read from os.Stdin; Fscan,
変更の背景
この変更の背景には、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodocの挙動と、Goのパッケージドキュメンテーションの慣習があります。godocは、Goのソースコードから自動的にドキュメントを生成する強力なツールです。特に、doc.goファイルに記述されたパッケージレベルのコメントは、パッケージの概要としてgodocによって表示されます。
当時のgodocのパーサーは、特定の形式のテキストをセクション見出しとして認識していました。Go 1.19より前のgodocでは、見出しは暗黙的に認識されており、以下の条件を満たす行が見出しと見なされていました。
- 単一行であること。
- その後に別の段落が続くこと。
- 大文字で始まること。
- 括弧とコンマ以外の句読点を含まないこと。
このコミット以前のfmt/doc.goでは、「Printing:」や「Scanning:」のように見出しの末尾にコロンが付いていました。このコロンが存在すると、godocはこれを通常のテキストの一部とみなし、期待されるようなセクション見出しとして強調表示したり、目次を生成したりしませんでした。
この変更は、godocのレンダリングを改善し、パッケージドキュメントがより読みやすく、構造化された形で表示されるようにするために行われました。これにより、ユーザーがgodocを通じてfmtパッケージのドキュメントを参照した際に、「Printing」と「Scanning」が明確なセクション見出しとして認識され、ドキュメントのナビゲーションと理解が容易になります。
前提知識の解説
- Go言語のパッケージドキュメンテーション: Go言語では、ソースコード内に直接ドキュメンテーションを記述する慣習があります。パッケージ、関数、型、変数など、エクスポートされた(大文字で始まる)エンティティには、その直前にコメントを記述することでドキュメントとして扱われます。特に、パッケージの概要は、パッケージ宣言の直前、通常は
doc.goというファイルに記述されます。 godocツール:godocは、Go言語のソースコードからドキュメントを生成し、表示するための公式ツールです。ローカルでWebサーバーを起動してブラウザで閲覧したり、コマンドラインで特定のパッケージのドキュメントを表示したりできます。godocは、コメントの構造を解析し、見出し、コードブロック、リンクなどを適切にレンダリングします。fmtパッケージ:fmtは"format"の略で、Go言語における基本的なフォーマットI/O機能を提供する標準パッケージです。Printf、Sprintf、Scanfなどの関数が含まれており、文字列のフォーマット、標準入出力からの読み込み、ファイルへの書き込みなど、様々な用途で利用されます。doc.goファイル: Goのパッケージにおいて、パッケージ全体のドキュメンテーションを記述するための慣習的なファイル名です。このファイルは通常、パッケージの概要、主要な機能、使用例などを説明するために使用されます。godocは、このファイルのパッケージコメントをパッケージのトップレベルのドキュメントとして表示します。godocの見出し認識 (Go 1.19以前): Go 1.19より前のgodocでは、コメント内の特定のパターンを解析して見出しとして扱っていました。一般的に、空行で区切られた単一の単語またはフレーズは、見出しとして認識される傾向がありました。しかし、その単語やフレーズの末尾にコロン(:)などの句読点が付いていると、godocはそれを通常のテキストの一部とみなし、見出しとして特別に扱わないことがありました。この挙動は、godocの内部的なパーシングロジックに依存していました。Go 1.19以降では、#記号を用いた明示的な見出し記法が導入されています。
技術的詳細
この変更は、godocがパッケージドキュメント内のセクション見出しをどのように解釈するかという、特定の技術的詳細に基づいています。
Go 1.19より前のgodocは、GoのソースコードコメントをHTMLに変換する際に、単純なテキストフォーマットルールを適用していました。そのルールの一つに、見出しの自動認識がありました。当時のgodocの実装では、コメントブロック内で、空行に続いて単一の単語または短いフレーズが記述されている場合、それをセクション見出しとして解釈し、HTMLの<h3>タグなどでレンダリングする傾向がありました。しかし、その単語やフレーズの末尾にコロン(:)などの句読点が付いていると、godocはそれを通常のテキストの一部とみなし、見出しとして特別に扱わないことがありました。
このコミットでは、このgodocの挙動を利用して、ドキュメントの表示を改善しています。具体的には、以下の変更が行われました。
- Printing:を- Printingに変更- Scanning:を- Scanningに変更
この変更により、godocは「Printing」と「Scanning」を独立したセクション見出しとして認識し、より視覚的に区切られた、読みやすいドキュメントを生成するようになります。これは、ドキュメントのセマンティクスを変更するものではなく、単にその表示形式を最適化するためのものです。
このような微細な変更が重要である理由は、Goのエコシステムにおいてgodocがドキュメンテーションの主要な手段であり、開発者がパッケージの機能や使い方を理解する上で、その表示品質が直接的な影響を与えるためです。明確なセクション見出しは、ドキュメントの構造を把握し、必要な情報を素早く見つけるのに役立ちます。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/fmt/doc.go
+++ b/src/pkg/fmt/doc.go
@@ -7,7 +7,8 @@
to C's printf and scanf. The format 'verbs' are derived from C's but
are simpler.
- Printing:
+ Printing
The verbs:
@@ -127,7 +128,8 @@
by a single character (the verb) and end with a parenthesized
description.
- Scanning:
+ Scanning
An analogous set of functions scans formatted text to yield
values. Scan, Scanf and Scanln read from os.Stdin; Fscan,
コアとなるコードの解説
変更はsrc/pkg/fmt/doc.goファイル内の2箇所にあります。
-
Printing:からPrintingへの変更: 元のコード:Printing:変更後のコード:
Printingこの変更により、「Printing」という単語の末尾からコロンが削除されました。これにより、
godocがこの行を「Printing」というセクションの見出しとして正しく認識し、ドキュメント内で適切に強調表示されるようになります。 -
Scanning:からScanningへの変更: 元のコード:Scanning:変更後のコード:
Scanning同様に、「Scanning」という単語の末尾からコロンが削除されました。これにより、
godocがこの行を「Scanning」というセクションの見出しとして正しく認識し、ドキュメント内で適切に強調表示されるようになります。
これらの変更は、コードの機能的な動作には一切影響を与えません。これは純粋にドキュメンテーションの表示に関する修正であり、godocツールがパッケージのコメントをHTMLとしてレンダリングする際の挙動を最適化するためのものです。Goのドキュメンテーションの品質と可読性を向上させるための、細かながらも重要な改善と言えます。
関連リンク
- Go CL 5781052: https://golang.org/cl/5781052
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメンテーション(
godocの挙動に関する一般的な情報) - Go言語のパッケージドキュメンテーションの慣習に関する情報源(例:
go docコマンドのヘルプ、Goの公式ブログ記事など) godocのソースコード(見出しのパーシングロジックに関する詳細)- Go 1.19 Release Notes -
go docandgodoc: https://go.dev/doc/go1.19#godoc - Go: Documenting Go Code: https://go.dev/blog/godoc