[インデックス 12603] ファイルの概要
このコミットは、Go言語プロジェクトのバージョン管理システムにおいて、週次リリースを示すタグ weekly.2012-03-12
を追加するものです。特に、Goプロジェクトがかつて採用していたMercurialバージョン管理システムにおけるタグ管理ファイルである .hgtags
に変更が加えられています。これは、特定のコミットハッシュに週次タグを関連付けることで、リリース履歴を明確にするための標準的な運用の一部です。
コミット
commit 51db4bb4ea3bd8ec2fa8a89919ed4d438239c582
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Tue Mar 13 15:12:05 2012 +1100
tag weekly.2012-03-12
R=golang-dev
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5796074
---
.hgtags | 2 ++
1 file changed, 2 insertions(+)
diff --git a/.hgtags b/.hgtags
index 945782d82e..f5899bcbcf 100644
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -107,3 +107,5 @@ b4a91b6933748db1a7150c06a1b55ad506e52906 weekly.2011-11-18
43cf9b39b6477d3144b0353ee91096e55db6107f weekly.2012-02-14
96bd78e7d35e892113bdfa1bdc392d3a5f2e644b weekly.2012-02-22
f4470a54e6dbcdd52d8d404e12e4754adcd2c948 weekly.2012-03-04
+d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6 weekly.2012-03-12
+d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6 weekly
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/51db4bb4ea3bd8ec2fa8a89919ed4d438239c582
元コミット内容
tag weekly.2012-03-12
R=golang-dev
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5796074
変更の背景
このコミットは、Go言語プロジェクトの週次リリースプロセスの一環として作成されました。Goプロジェクトは、その歴史の中でSubversionからMercurialへ、そして最終的にはGitへとバージョン管理システムを移行してきました。このコミットが作成された2012年3月時点では、GoプロジェクトはMercurialを使用しており、タグ付けには .hgtags
ファイルが用いられていました。
週次タグは、Goプロジェクトの安定版リリースとは別に、開発の進捗を定期的にスナップショットとして記録し、開発者や早期採用者が最新の変更を追跡できるようにするための仕組みでした。これにより、特定の時点でのコードベースの状態を容易に参照できるようになり、問題の特定や機能の検証に役立てられていました。このコミットは、2012年3月12日時点のコードベースに weekly.2012-03-12
というタグを付与し、さらに常に最新の週次リリースを指す weekly
タグも更新することで、この運用を継続するためのものです。
前提知識の解説
バージョン管理システム (VCS)
バージョン管理システムは、ソフトウェア開発においてソースコードやその他のファイルの変更履歴を管理するためのツールです。これにより、過去の任意の時点のファイルの状態を復元したり、複数の開発者による並行作業を統合したりすることが可能になります。主要なVCSには、Git、Mercurial、Subversionなどがあります。
Mercurial
Mercurial (hg) は、分散型バージョン管理システム (DVCS) の一つで、Gitと同様に各開発者が完全なリポジトリのコピーを持つことができます。Mercurialは、そのシンプルさと使いやすさで知られており、Goプロジェクトも初期にはMercurialを使用していました。
Git
Gitは、現在最も広く利用されている分散型バージョン管理システムです。高速性、柔軟性、強力なブランチ・マージ機能が特徴で、多くのオープンソースプロジェクトや企業で採用されています。Goプロジェクトも後にMercurialからGitへ移行しました。
タグ (Tagging)
バージョン管理システムにおける「タグ」とは、特定のコミット(リビジョン)に意味のある名前を付ける機能です。これにより、リリースバージョン(例: v1.0.0
)や重要な開発マイルストーン(例: beta-release
)など、後で参照しやすいように特定のコードの状態をマークすることができます。タグは通常、変更されない固定された参照点として扱われます。
.hgtags
ファイル
.hgtags
ファイルは、Mercurialリポジトリにおいてタグ情報を管理するために使用される特殊なファイルです。このファイルは、リポジトリのルートディレクトリに存在し、各行が「コミットハッシュ タグ名」の形式でタグのエントリを記録します。Mercurialは、このファイルの内容を読み取ることで、どのコミットにどのタグが付けられているかを認識します。Gitにおけるタグはリポジトリのメタデータとして管理され、通常はファイルシステム上の .git/refs/tags/
以下に直接格納されますが、Mercurialではこのようなテキストファイルで管理される点が特徴です。
技術的詳細
このコミットは、Mercurialのタグ管理メカニズムに直接作用しています。Mercurialでは、タグはリポジトリ内の .hgtags
というプレーンテキストファイルに記録されます。各行は、特定のコミットのハッシュと、そのコミットに関連付けられたタグ名で構成されます。
このコミットでは、以下の2行が .hgtags
ファイルに追加されています。
d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6 weekly.2012-03-12
- これは、コミットハッシュ
d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6
に対して、weekly.2012-03-12
というタグを割り当てています。このハッシュは、2012年3月12日時点のGoプロジェクトのコードベースの特定の状態を指します。
- これは、コミットハッシュ
d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6 weekly
- これは、同じコミットハッシュ
d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6
に対して、weekly
というタグを割り当てています。このweekly
タグは、Goプロジェクトの週次リリース運用において、常に最新の週次リリースを指すように更新される慣習的なタグでした。これにより、開発者は常にweekly
タグをチェックアウトすることで、最新の週次スナップショットにアクセスできました。
- これは、同じコミットハッシュ
この変更は、Mercurialの内部的なタグ管理に直接影響を与え、リポジトリのタグ履歴に新しいエントリを追加します。Mercurialクライアントは、この .hgtags
ファイルを解析してタグ情報を表示し、タグ名を使って特定のコミットにアクセスできるようになります。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -107,3 +107,5 @@ b4a91b6933748db1a7150c06a1b55ad506e52906 weekly.2011-11-18
43cf9b39b6477d3144b0353ee91096e55db6107f weekly.2012-02-14
96bd78e7d35e892113bdfa1bdc392d3a5f2e644b weekly.2012-02-22
f4470a54e6dbcdd52d8d404e12e4754adcd2c948 weekly.2012-03-04
+d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6 weekly.2012-03-12
+d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6 weekly
コアとなるコードの解説
上記の差分は、.hgtags
ファイルの変更を示しています。具体的には、ファイルの末尾に2行が追加されています。
-
+d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6 weekly.2012-03-12
- これは、
weekly.2012-03-12
という名前の新しいタグが、コミットハッシュd58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6
に関連付けられたことを意味します。このタグは、特定の日付の週次リリースを永続的にマークします。
- これは、
-
+d58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6 weekly
- これは、
weekly
という名前のタグが、同じコミットハッシュd58f8f9c5a54828b06e7e844b4465c0578d7cea6
に関連付けられたことを意味します。このweekly
タグは、常に最新の週次リリースを指すように更新される「移動する」タグとして機能していました。これにより、開発者は常に最新の週次ビルドを簡単に取得できました。
- これは、
この変更は、Goプロジェクトのリリース管理プロセスにおける、Mercurial時代の週次タグ付けの慣行を明確に示しています。.hgtags
ファイルを直接編集することで、Mercurialリポジトリに新しいタグが効果的に追加され、そのタグが指すコミットが定義されます。
関連リンク
- GitHub上のコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/51db4bb4ea3bd8ec2fa8a89919ed4d438239c582
- Go言語のMercurialからGitへの移行に関する情報: https://swtch.com/~rsc/hg-git.html (これは一般的な情報源であり、Goプロジェクトの具体的な移行ツールやプロセスについて言及している可能性があります)
参考にした情報源リンク
- Go言語のバージョン管理の歴史 (SubversionからMercurial、そしてGitへ): https://swtch.com/~rsc/hg-git.html
- Mercurialのタグ付けシステムと
.hgtags
ファイルに関する情報: https://www.dzone.com/articles/mercurial-tags - MercurialからGitへの移行ツール (
hg-git
,hg-fast-export
): https://github.com/offbyone/hg-git - Go言語の公式リリースとセマンティックバージョニング: https://go.dev/doc/devel/release
- Go言語のstruct tagsに関する情報 (参考): https://go.dev/blog/json